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Green (@ribbon_bear) が毎週好きな音楽ネタを語ります! Since 2011

スティーブ・ヴァイ 「エディ・ヴァン・ヘイレンと競おうだなんて愚か者のすることだ」

10月6日に亡くなったエディ・ヴァン・ヘイレンについて、スティーブ・ヴァイが Rolling Stone 誌の取材に思い出を語りました。日本時間で8日朝7時20分公開の記事ですので、訃報の直後に電話取材を受けたものと思われます。

www.rollingstone.com

エディとの出会いから、交流の思い出話が語られます。その内容の一部を和訳してみました。

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エドワードと初めて会ったのは、アラン・ホールズワースが Roxy(LAにあるライブハウス)でプレイするのを観に行ったときだ。彼はステージにも上がってプレイしていたよ。楽屋に行って彼と話したときに、私はザッパと働いていると教えた。彼はザッパのファンだったから、私の電話番号を渡して、「フランクと会いたければ電話してくれ」と言ったんだ。すると驚いたことに翌日私のルームメイトから「エドヴァン・ヘイレン」から電話があったと聞いた。

それで彼に電話してフランクの電話番号を教えたら電話が鳴って、それはフランクだった。「おい、エドワード・ヴァン・ヘイレンが来てる、こっちへ来い」と言われたので、フランクの家に行って、3人で1日中音楽を聴いてジャムしたんだ。当時もエドワードは素晴らしかった。彼はそこにあったギターを1本手に取ったのだが、ナットが浅くて弦がザワついてた。彼は巨大なドライバーを見つけるとナットの下に差し込んでいたよ。ドライバーが45cm(!)くらい飛び出していたのだが、それで彼は私たちとジャムしていたよ。

1989年に私がDLRバンドを去った翌日にエドワードから電話があった。彼がどうしてそのことを知ったのかはわからないのだけど。それが私たちの良い関係、そして友情の始まりだった。半年ほどの間、私たちはよく連れ立って出かけたので、彼を良く知るようになった。

彼のスタジオにも行った。山ほどのテープを聴かせてくれたよ。彼は常に作曲しプレイしていた。未リリースの作品を聴かせてくれたよ、いかにもエドワードというものだった。「なぜソロアルバムを創らないんだい?」と訊くと、彼は Van Halen アルバムがソロアルバムのように感じているのだという。でもそこで聴かせてくれたものは実に素晴らしかった。皆が愛して止まない彼のプレイの全てが詰まっていた。

ギタープレイヤーには興味深い話だと思うのだが、私がハリウッドの自宅スタジオにいるとエドワードがやってきたんだ。話をしていたら「今取り組んでいる曲を聴かせたい」と言って彼が私のギターを手に取って弾き始めたんだ。ギター、リグ、ペダル、アンプも全て私のものだったが、即座にわかったよ、それはエドワード・ヴァン・ヘイレンの音だ。皆が愛するエドのトーンの全て、あの“ブラウンサウンド”だった。私のギアを使ってプレイしてもサウンドは彼の音だった。

私たちは土曜の朝に彼の兄や友人たちとソフトボールをやったものだった。楽しかったよ。彼が興味深いことを言ったことを覚えている。「お前のこと嫌いになるかと思っていた」そんな趣旨のことだ。

私がDLRバンドに加入したときは、あの優れた構築のロック曲を弾ける、恵まれた機会だった。ギタリストの夢だよ。もちろん、エドワードのように弾ける者などいない。ただベストを尽くすのみだ。デイヴとステージで Van Halen 曲を演奏するのは実に楽しかった。"Unchained" をプレイするのが好きだったよ、ダウンチューニングがとてもヘヴィだ。(半音下げ +6弦 1音下げ)"Pretty Woman" はとても美しいメロディで、"Panama" はいつ弾いても楽しいし、 "Hot For Teacher" も。

もちろん、彼の様には全く弾けなかった。私はやってみようともしなかった。エディ・ヴァン・ヘイレンと競おうだなんて愚か者のすることだ。ギタープレイヤーがあれらの楽曲を弾いたなら、構造に気付いただろう。実に素晴らしいよ。

『Eat 'Em and Smile』の制作中にプロデューサーのテッド・テンプルマンがエドワードのギターのネイキッド・トラックを聴かせてくれたのを覚えているよ。1トラックだけだというのに、エドワードのギターを録った1本のマイクはオーケストラのようなサウンドだった。パワフルでダイナミックな表現が完璧に込められていた。

彼は内耳を通して聴衆と繋がることができたのさ。楽曲はある意味明らかにシンプルだ、しかしとても心に残る。彼の人柄の優しさが聴こえてくるだろう。もちろん時にはとても激しくもある。だが彼の人柄にある、あの優しさが "Jump" のコード変更にも私には聴こえるんだ。

なぜ彼が新曲を出さなくなったのか?私には答えられないが、私の仕事量が時と共に発展したいきさつに基づいてその質問に答えるとすれば、彼は忙しくしていたのではないか。けれど他に興味を持つことができたのかも。それで彼は生涯闘っていたのではないか。

私たちは全く異なった種類の人間だったので、疎遠になってしまった。彼には7年くらい会っていない。彼を最後に見たのは何年も前の Motörhead コンサートの楽屋だった。調子が悪そうだったが、あの笑顔はまだそこにあったよ。

私たちが失ったもの?得たもののことを考えたい。この世の全てはやって来ては去るのだ。私は彼の貢献について話そう、彼はモノリス(巨大な一枚岩)のようだから。以前君たちのインタビューを受けたことがあるね、革新者は誰かと訊かれた。私の直感ではロックギター界ではヘンドリックスとヴァン・ヘイレンだ。数多くの偉大なギタリストが現れて貢献したが、2人は我々の楽器演奏方法を変革しただけでなく、作曲も衣装もステージでのパフォーマンスも変えるという偉業を成したんだ。実に深いところまで。だから、エドワードはモノリスの1つであることを確信している。

ギター・コミュニティ全体が喪失感でショックを受けているのを感じるよ。彼が私たちに与えてくれたものに注目しようではないか、それらは真の贈り物だ。彼は卓越している。

 

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エディの大ファンのヌーノから遂に9日、追悼コメントが出ました。

それによると、2019年夏のツアーを Van Halen が模索していた当時に、エディ本人が Extreme のニューアルバムをレコーディング中だったヌーノの自宅スタジオを訪問し、(不仲になっていた)マイケル・アンソニーに連絡を取り、オリジナルメンバーでのファイナル・ツアーを計画していることを興奮気味に語ったそうです。そして Extreme のニューアルバムが完成したら聴きに来るから「いいもん創れよ」と言って去ったそう。
コロナが始まって結局エディに新譜を聴いてもらう機会は永遠になくなってしまったそうで、大変辛いいきさつでした。せめて19年中にニューアルバムが完成していたら聴いてもらえるチャンスがあったかも、と思うと残念です。Van Halen の19年ツアーは結局エディの体調もあり実現しませんでした。

 

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Van Halen の来日は13年が最後となりましたが、この東京ドームでのライブが最後のライブアルバムとして世に残った訳ですし、感謝の気持ちで一杯です。

100% #VAI説法 リリース! Under It All 全7話

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今年の3月から6月にかけて毎週ライブストリーミングされていたスティーブ・ヴァイの Under It All セッションはご覧になりましたか?コロナ禍でスタジオに籠っていたヴァイ先生が満を持して従来から時折お話されていた哲学的見解を7回にわたってトータル13時間近く聞かせてくれました。

スタジオでカメラの前に座ったヴァイ先生が時にはファンからの質問に答えつつ、基本的には1回当たり2時間ほど喋り倒すという、非常に深遠な時間でした。このセッション全話を和訳しよう!という野望に燃えてこの4ヶ月あまり黙々と和訳してきました。遂に全話完了しましたので、noteにて公開しました。ビデオでヴァイ先生が話している内容のうち、一部本題から逸れた部分や繰り返し部分を除いてほぼ全て和訳してあります。

終えてみると、全部で13万文字ほどになりました。エピソードごとに分量の違いはありますが、プリントアウトしたら100枚くらいになるかも。(汗)内容が難しい部分もありますので、これはネット上に置いておいても、真剣に読む気にならないと誰も読まないだろうなぁと思いました。

そこで今回はnoteで有料公開としました。少額でも有料なら読むモチベーションを持って臨んでもらえるのではないかと思ったからです。各エピソード200円の設定で、全7話をまとめたマガジンは1,000円とお得になっています。これでどれだけ読んでいただけるかわかりませんが、収益金が貯まったら Cameo を通じてヴァイ先生の慈善団体 Make A Noise Foundation に全て寄付します。今回のプロジェクトをヴァイ先生が何と言って迎えてくださるか楽しみなので、全話購入いただけると嬉しいです。

 

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Under It All セッション全7話の内容は、2017年にヴァイ先生が Starmus で行った講演に通じるものがありますので、こちらの過去記事が内容的に参考になると思います。

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以下に Under It All 各エピソードの概要を記しますので、ご参考まで。

Episode 1 - All About Steve スティーブの全て

幼少期のお話とスピリチュアル世界に導かれるに至った経緯とそこからの学びが語られています。

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 Episode 2 - Criticism 批判

ファンからの質問に答える形式となっています。批判を受けたとき、ネガティブな感情の背後にあるエゴの影響、対処の仕方など、誰にも役立つ説法が聞けます。

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Episode 3 - Meditation 瞑想

複数ある瞑想の方法とその効果のお話。VAI説法の基礎、VAI式生活様式など学ぶことができます。

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Episode 4 - Religion 信仰

宗教については余り語らないヴァイ先生が自身の宗教観について話しています。決めた宗教がないというヴァイ先生が語るその理由は深く、共感しました。後半ではネットからの辛辣な質問にも冷静に答えてくれています。

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Episode 5 - The Most Important Question 最も重要な質問

人生の最も重要な質に関する質問としてヴァイ先生が取り上げるのは極シンプルな質問ですが、その理由はあまりにも深い!後半はファンからの質問に答えています。自殺願望を持つ少年に真剣に語りかけるヴァイ先生の言葉は深いです。

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Episode 6 - Evolution 進化

ヴァイ先生が Starmus で語ったことの次ステージともいえる人類の進化のお話。深いです。後半ではファンからの質問に答えていますが、珍しくヴァイ先生の政治的信条が語られており、大統領選のある今年には特に興味深いです。

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Episode 7 - And We Are One そして我々は1つ

ファンからの質問に答える形式となっています。子供を持つ父親からの質問に答えるうちに、ヴァイ先生の子供に教えるべき事柄が語られます。終盤ではVAI説法は到達点に。深いです。

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ご報告 10/18追記

「100% #VAI説法」を購入して頂いた読者の皆さま、Cameoを使って収益金をMake A Noise Foundation へ寄付いたしました。ヴァイ先生からのメッセージビデオを受領しましたので、ここにビデオと和訳を掲載します。先生の温かいお言葉に涙しました。参加者の皆さま、心より御礼申し上げます。この感動を分かち合いましょう。

 

 

ヴァイ先生のメッセージ和訳

VAI説法を読んでいる日本のファン、スティーブ・ヴァイだ。Greenから依頼されたCameoだよ。受け取ったメッセージは特別のものだ。Make A Noise Foundation への寄付をもらったのでこのCameoで応えている。Greenは私の Under It All 全7話を翻訳したそうで、「100% VAI説法」と呼んでいるそうだね。「感謝の気持ちを表します。あなたの言葉はあなたの音楽同様に私たちの心に深い感動を与えました」とメッセージをもらった。

君たちには感謝しきれない。君たちが Under It All の各エピソードに建設的な価値を見出してくれたことを私はとても嬉しく思うよ。何年にもわたってずっとやりたいと思っていたことなんだが、私はやっていなかった。多分まだ自分に準備ができていないと感じていたのだろうね。でも始めてみると、とても良い感じで自然に感じた。Under It Allの各エピソードには沢山の温かいメッセージを受け取ったよ、おかげでとても励みになって続けられた。

そして近いうちに追加のエピソードをやりたいと思っている。ただ今はあるプロジェクトの最中で、これを何としても仕上げたいので、それが終わったら Under It All に戻りたいと思う。

それにしても、Under It All が誰かにとって全てを翻訳するほどに興味を引くものであったと知ったことに驚いているよ、日本語にするだなんて大変だっただろう。大変な仕事量だ。だから私はこの上なく感動したし、光栄に思っているよ。そうして日本のファンにあれが届いたということに。

皆、本当にありがとう。私の髭も感謝しているからね。ハハ!心配無用だ、そのうち剃るから。とにかく、君たちを愛している、ありがとう。

ジョエル・ホークストラ "Stormbringer" をプログレッシブにアレンジ!

9月17日(日本時間は18日朝)にライブ配信された Six String Salute という音楽業界のクルー救済のためのチャリティ・イベントには多数の著名ギタリストが参加しました。

スティーブ・ヴァイジョー・サトリアーニ、アレックス・スコルニック、ジェニファー・バッテン、ニタ・ストラウス、TSO他と盛りだくさん。ちなみにヴァイ先生のビデオは今年の前半にスタジオ演奏したアコースティックの "Moon And I" のビデオ再掲で、サッチはJSギターのオークション出品ビデオでした。目玉の2人がそんな風でしたが、このラインナップに興奮してヤル気を奮い立たせていたジョエルが素晴らしいカバーをビデオ公開してくれました。

 

 

参加ミュージシャンは以下のとおり

ジョエル・ホークストラ(ギターとアレンジ)
ヴァージル・ドナティ (ドラムス)
トニー・フランクリン (ベース)
ディノ・イェルシッチ (ボーカル)

特に2:45辺りからのインストパートは楽器担当3人のミュージシャンシップとクールなアレンジが鳥肌出る程カッコイイので、是非チェックして欲しい!しかもミックスを担当しているのが、今やデヴィッド・カヴァデールのスタジオ右腕となっているクリス・コリアー。これはジョエルが本気出してきたという証拠。ちなみにビデオ編集はSOTOのベーシストでジョエルの友人トニー・ディッキンソンです。

ヴァージルはかつてヴァイ先生とツアーにも出ていましたが、最近はスタジオ仕事が多いのかな。久しぶりに見ましたが、やっぱり素晴らしい。ちなみにヴァージルはジョエルの1st2ndソロインストアルバムでも叩いています。

トニー VHF というインスト・プロジェクトでジョエルとプレイしている他、Joel Hoekstra's 13 の1stアルバムでも来年発売予定の2ndアルバムでもプレイしています。この動画でのトニーのプレイはとんでもなくカッコイイ。フレットレス・ベースっていいねぇ。

ディノクロアチア出身のシンガーで、ジョージ・リンチとの Dirty Shirley が好評でした。自身のバンド Animal Drive や TSO でも活躍しています。私は彼の歌声に惚れました、強烈推しです。Whitesnake の "Judgement Day" をカバーしたこれなんて鳥肌モノです!

音源の制作は、ジョエルの作ったガイドトラックでヴァージルが演奏し、それからトニーのベース入れ、ジョエルのギター入れを経て最後にディノがボーカルを入れたそう。もちろん、事前にカヴァ様には今回の楽曲カバーとアレンジの話は事前承諾とっていたようです。

以前のインタビューでジョエルが語っていましたが、Whitesnake の新作アルバム『Flesh & Blood』でオリジナル曲を作曲したときよりも『Purple Album』で既存の有名曲に存在しない2ndギターパートを考える方がクリエイティブで難しかったそうです。今回の "Stormbringer" カバーは自由でクリエイティブで楽しそうですね。

今回の反響が良かったこともあり、ジョエルはディノとのオフィシャルな作品作りにも前向きなようです。これは相当に楽しみです。Joel Hoekstra's 13 ではラッセル・アレンと組んでいるけれど、ラッセルとツアーに出るのは至難の業なので、ディノとプロジェクトやってツアーやってくれたらいいなぁ。

プロジェクトと言えば、Stryperマイケル・スウィートのプロジェクトにジョエルが Inglorious のネイサン・ジェイムズと共に参加するようです。マイケルさんとのプロジェクトは前々から話が出ていましたが、遂に始動しそうですね。

 

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ジョー・サトリアーニ 『Stripped x Three』バッキングトラック 11月発売

以前はバッキングトラックの発売に後ろ向きだったジョー・サトリアーニですが、『Surfing With The Alien deluxversion』に続き、3枚のアルバムのバッキングトラックを11月にリリースすると発表しました。『Is There Love In Space?』『Black Swans and Wormhole Wizards』『Shapeshifting』を収録しています。

リミックスはサッチのキャリアを通しての盟友ジョン・カニベルチで、音源はサッチのシグネチャーJS型のUSBに収められるようです。詳細と購入はこちらで。

更に楽しみなことに、スティーブ・ヴァイ、フィル・コリン、サミー・ヘイガー、バンブルフット、フィル・キャンベル(Motörhead)、ラリ・バシリオ、アリッサ・デイ、ジョシュア・デ・ラ・ヴィクトリアがこのバッキングトラックを使っての演奏ビデオを公開してくれるようです。

 

 

 

現在のところ、ヴァイ先生とフィル・コリンの動画が公開されています。

ヴァイ先生の "Teardrops" はもうさすがの素晴らしさ!サッチ曲をヴァイ・ワールドに変換して美しい音楽で魅了してくれました。バッキングトラックの上でジャムするだなどというカジュアルなものでは全くなく、5トラックを入れての美しいハーモニーに感激です。

 

 

 

また、撮影場所のヴァイ先生自宅スタジオの背景には、誕生日にサッチから贈られたJSギターが背景に掛けられています。2人の友情が感じられてぐっときました。↓

 

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ヴァイ先生がサッチにもらったギターの話は↓の過去記事でどうぞ。

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フィル・コリンは "Nineteen Eighty" をプレイ。冒頭で「簡単なやつ送ってよ」とサッチに頼んでこの曲になったと話していますが、1980年のロックをイメージした痛快なこの曲のイメージがフィルに合っていて良いのではないかと思います。

 

 

フィルのギターがプラグインされていないのを指摘している書き込みを見かけますが、ギターと映像を別撮りするのなんて良くあることなので、別にいいじゃないかと思います。それより、前半でリードギターのパートを弾かずにコード弾いてるところで、そっち弾くんだ?と驚きました。後半になってやっとガツンとオリジナル・ソロを弾いてくれてほっとしました。普段ボーカル入りバンドの音楽をプレイしている人だけに原曲を大切にして、見せ所を心得た箇所で個性を加えるプレイということなのかな。

 

追記(9/25)

 ロン・”バンブルフット”・サールが演奏した "Gnaahh" の動画が公開されました!

サッチの紹介文には「彼は完璧にユニークで、彼の歌も作曲もギタープレイも他の誰とも違う。彼のプレイした “Gnaahh” はクレイジーだ。私がプレイしたワーミー・ペダルのパートをそれなしで彼がどうキメているのか見てくれ」とあります。確かに、ロンさんが指ぬき技を使ってあのサウンドを創っている様子はオリジナリティとクリエイティビティの塊で、短い動画内で見せたロンさんの音楽センスに感嘆せずにはいられません!

インスタグラム上では、ヴァイ先生も「さすがロンだ。トンデモ素晴らしい!」と惜しみない賛辞をおくっていました。

ロンさん、最高にクールでユニークでクレイジーです!

 

 

今後公開される動画も楽しみです。

 

ジェフ・スコット・ソート 「馴染みの仲間が組んだアルバムとは一味違った、ユニークなものになる」

11月4日にソロアルバム『Wide Awake (In My Dreamland)』をリリースする(日本盤ジェフ・スコット・ソートがメディアのインタビューに応えました。

ソロアルバムについて、Sons Of Apollo について率直な話が聞けましたので、概要をざっくり和訳してみました。

 

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ソロアルバム『Wide Awake (In My Dreamland)』のリリースが近いそうだね?

ああ、Frontiers Records と俺の7枚目のソロアルバムだ。誰でも新作が出るときには最高作とか言うだろうけど、最も多様性に富んだアルバムになった。友人のアレッサンドロ・デル・ヴェッキオはレーベルの作曲家兼プロデューサーでアーティストでシンガーで、何でもできるんだ。

2005年のJSSツアーのとき、マルセル・ヤコブが Edge Of Forever ってバンドのプロデュースをしていて、俺がバックコーラスを歌ったんだよ。だからアレッサンドロとは15年前に会って、ずっと知合いで、何か一緒にやろうとずっと話していたんだが、実現していなくて、今回は Frontiers に強く説得されてソロアルバムで組むことになった。彼らは俺たちが組むことで、いつもの俺がプロデュースする馴染みの仲間が組んだアルバムとは一味違った、ユニークなものになると考えたんだ。その証拠作品ができたから、早く皆に聴かせたいよ。

アルバムは多様性に富んでいて、作曲は全てアレッサンドロで、プロデュースは共同なんだが、ボーカルについては全て俺のプロデュースだ。メロディも彼が書いて送ってきた、歌詞を書いたのは俺だ。アルバム全体の印象は俺の意向を反映しているが、始めから終わりまでのプロジェクトを導いたのは彼だ。

ニューアルバムには Talisman や JSS の要素や、『Lost in the Translation』、『Prism』、『Damage Control』の感じも入っている。それにまだ俺のキャリアでやっていないようなことも入っている。だから、これまでで最もユニークで多様性に富んだソロアルバムになっている。『Beautiful Mess』が最初のJSSサウンド出発点だったけれど。

あなたは多数のバンドをやっているけれど、それらにどう音楽的にアプローチするのかな?例えば、Sons Of Apollo では低音が多いけど、ただそこで自分の仕事をするだけなのか、どんなアプローチを?

そのプロジェクトと音楽にフィットするだけでなく、今の俺の声に応じるようにしている。俺はもう18や22や35、40歳の頃のようには歌えない。全てが変化するから、それに合わせて適応しなくてはいけない。君が言うように少し低かったり深かったりするのは意図的で、そうすればツアー時に苦労せずに済む。スタジオでは歌えるけど、ライブでは無理だということにならずに済む。俺を含めて多くのシンガーが長年のキャリアで過去作品の再現に苦労し、今夜はこの曲はやめておこうという経験をしている。

Sons Of Apollo ではボーカル面では今の俺の声に快適な範囲でやっている。もちろん音楽的にそれがフィットしていなくてはいけない。それに Sons Of Apollo がバンドメンバーの過去キャリアの集大成であって欲しくはない。Dream TheaterMr.Big や The Winery Dogs その他もろもろが集まったサウンドではないんだ。JSS でも SOTO でも W.E.T. でもない。Sons Of Apolloサウンドであるべきだ。

多くのプロジェクトやアルバムをやる上ではそこが難しいところだ。その作品のためだけのアイデンティティやキャラクターが必要だ。それは最初から徐々に学んでいったよ、バンドの誰も俺たちのサウンドが何かはわからなかった。デビューアルバム制作には多くの試行錯誤があったが、最終的にバンドサウンドが削り出されると、皆も俺もどうすべきかはわかった。2nd アルバムではデビューアルバムと違って、皆の前でいろいろ提案を聞きながら歌うのではなく、自由に自宅スタジオで制作に没頭できた。いつものように自分が納得でき快適に感じるまでトライして彼らに送り、それから協議できたんだ。

君は以前、Sons Of Apollo が継続するバンドかどうかわからないと言っていたね。バンドメンバーの凄さの割に予想されたほどの早さでバンドの成長は進まなかった。このパンデミックで皆が厳しい状況だ。今はどう思っているの?

そういう疑いは直ぐに消えたよ。熱心なファンベースができて、メンバーそれぞれの過去のキャリアからライブに来るのではなく、Sons Of Apollo を観に人が集まったんだ。俺たちの中でやっとそういう評価に落ち着いたんだ。最初のツアーでスーパーグループってのは失敗するんじゃないかって思ったけど、必ずしもそうではないんだ。他も見渡してみれば20くらいは名前を挙げられる。ビッグなメンバーがいるから必ずしも成功するのではないんだ。とは言え、俺たちは名の知れたメンバーの集まったグループだ。2ndアルバムを出して皆にも俺たちが継続するバンドだと示せたと思う。一瞬で終わるスーパーグループじゃないんだ。ツアーをやって目にしたのは、オーディエンスが歌う姿で曲を覚えているんだ、正にキマッた瞬間だね。

君みたいに多くのプロジェクトをやっているとスケジュールがとても厳しいと思う。このパンデミックが終わって、皆がこぞってツアーに出ようというとき、君にとっての優先順位はどれなんだろうか?

TSOは俺にとっての主要なギグだから、その時期にはそもそも他のバンドでブッキングはしない。次に優先度の高いのは Sons Of Apollo だ。俺たちはバンドとしての突破口を迎え、今年のツアーは最重要だった。日程は調整され、来年4月から9月まで欧州、南米を周る。それをぬってJSSや何かをするだろう。もちろん休暇もとるよ。

話は違うけど、アダム・ランバートQueen のドキュメンタリーを観てね、君は彼らを気に入ってる?JSS と Queenの方が良かった?

ハハ、もちろん Queen のメンバーと歌うのは夢の経験だったよ。誰だって、彼らとやりたいさ。彼らの音楽は俺のDNAに組み込まれている程だから、彼らの曲を歌うのは最高だ。でも俺は初めてアメリカン・アイドルでアダムを見てから、彼の突出した才能に釘付けだったし、彼はいともたやすくあの楽曲を歌う。彼は素晴らしいものをバンドに持ち込んだんだ。彼らには祝福の気持ちしかない、また彼らのライブを観る機会があれば必ず行くよ。

じゃあ仮に11月に Queen のオファーがあったらTSOとどっちを取る?(笑)

ハハ、もし Queen のギグ(単発)が11月ならTSOを取るね。もし俺の残りの人生でずっと Queen ツアーができるのなら、俺の選択は明らかだろう。(笑)

 

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デレク・シェリニアン 『The Phoenix』参加ギタリスト、Whitesnake / マイケル・シェンカー アルバム参加を語る

9月18日(国内盤は9月30日)にソロアルバム『The Phoenix』をリリースする Sons Of Apollo のデレク・シェリニアンがミッチ・ラフォンのインタビューに応えました。

ニューアルバムの参加ギタリストについて、Whitesnake の『Rock Album』について、マイケル・シェンカーのアルバム参加等についての話、それにスティーブ・ヴァイのエピソードがなかなかに興味深かったので、その一部を和訳してみました。

『The Phoenix』にはデレクの人脈を活かして豪華なギタープレイヤーが参加しており、ギターファンの私も大注目しています。それに加えて、ドラムプレイと共同プロデューサー、ミキシングでサイモン・フィリップスが参加しているというのも大注目。サイモンのソロプロジェクト Protocol でお馴染みのベーシスト、アーネスト・ティブスも参加しています。

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《主な参加ミュージシャン》

スティーブ・ヴァイ 
ザック・ワイルド 
キコ・ルーレイロ 
ロン・“バンブルフット”・サール 
ジョー・ボナマッサ 
ビリー・シーン 
トニー・フランクリン
アーネスト・ティブス
ジミー・ションソン

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『The Phoenix』では様々なゲストが登場していますが、誰に何を弾いてもらうのか、どう組み立てているの?

キコ・ルーレイロとは一緒に曲を書くって話していたから、それはやるとわかっていた。それからジョー・ボナマッサとはカバー曲をやって、彼に歌ってもらうつもりだった。他の曲については作曲ができると自ずと誰が何をプレイするのか明らかになったんだ。いわば曲が語ったんだよ。作曲中から俺の中で特定のプレイヤーを想定して書いた曲もある。オープニングトラックの "The Phenix" ではビリー・シーンザック・ワイルドのプレイを頭の中で聴いていた。この2人をペアリングしたかったんだ、きっと凄くクールになるだろう。オープニングトラックでは2人のプレイスタイルが火花を上げて完璧に曲にフィットしたんだ。

他にはガニメデ(曲名 "Clounds Of Ganymede")のストリングスとして、スティーブ・ヴァイジョー・サトリアーニもしくはそのような誰かにプレイして欲しかった。そしてスティーブが俺の第一希望だった。彼は曲を聴いて、喜んで受けてくれたよ、素晴らしい仕事をしてくれた。

スティーブ・ヴァイの話が出たから言うけれど、何年も前にインタビューしたときにツアーバスに乗って向かい合ったんだ。彼はパソコンに向かっていた。あまり彼はこっちの話に集中していなかったので、これはどういうことだ?と思っていたんだ。インタビューが終わると彼がパソコンをこっちに向けてくれて、そこには彼が入力していた譜面があったんだ。「君と話しているときに、これが頭の中で聴こえたから、書き留めたんだよ」と言うので、しばらくそれに取り組んでいたんですか?、と訊くと、「いや、さっき浮かんだんだ」と言ってプレイボタンを押すと3~5分の曲が聴こえてきた。わお、僕の目の前で新曲を書いたんだ!って。スティーブは天才だね。(その時の過去ブログ記事はこちら

ジョー・ボナマッサとはアルバムのゲスト以外に何かする予定は?

ジョーとは Black Country Communion のニューアルバムを創る予定だ、おそらく来年。来年取り掛かる時間を見つけたい。今年やりたかったけれどできなかった。来年こそBCC5枚目のアルバムを創りたい。ジョーとは今のところその予定だけど、彼とならどんな組み合わせでも状況でも喜んでプレイする。彼は素晴らしい人物だし、ウマが合うんだ。BCCではアメリカ人2人とイギリス人2人だから、俺たちは最初から絆ができていたんだよ。

 

Whitesnake の『Rock Album』でもプレイしたね。

デヴィッドはBCCでの俺のプレイを良く知っていて、ジョン・ロードとの強い類似点を聴いていた。『Rock Album』のプレス取材時にデヴィッドが「デレクはジョン・ロードの私生児のようだ」と言っていて、大きな誉め言葉だと受け取ったよ。何しろ、Deep Purpleジョン・ロードとプレイした人の言葉なんだから。グレン・ヒューズにも同じようなことを言われたことがある。とてもクールだ。

それで、デヴィッドから電話をもらって、「君のプレイをしてくれ。古き良きハモンドB3の音をくれ」と言われた。俺はただスタジオに行って、何年も皆が愛し聴いてきた最高のクラシック・ロック キーボーディストのプレイをした。ジョン・ポール・ジョーンズのメロトロンや "No Quarter" (Led Zeppelin『Houses of the Holy』)のローズ・ピアノみたいな。それに Boston のトム・シュルツみたいなのとか、出来る限りのプレイをした。

ただ基本的にはジョン・ロードWhitesnake でプレイしているように、他の要素も入れて。デヴィッドは気に入ってくれた。オリジナルの『Slip Of The Tongue』と俺の鍵盤の入ったバージョンを聴くと大きな違いがあるよ。

君の鍵盤への情熱はどこからきているんだい?

子供の頃クラシックのレッスンから始めて、10歳頃に辞めたんだ。友達が皆、スケートボードをやっていたから。友達は誰も楽器の演奏はしていなかった。数年後に近所に引っ越してきた少年がエレキギターを弾いていて、KISS や Aerosmith やクールなロックバンドを聴いていたから、すっかり俺もハマって、それで彼と一緒にプレイするようになった。ロックの虜になったのさ。俺はギターの大ファンだけど、プレイしたのはキーボードでギターに手を出したことはなかった。早くから気付いていたんだ、キーボードに集中していれば、俺には完璧にユニークなプレイができて、人とは全く違った角度から弾けると。その公式に従ったんだよ。

Alice Cooper や KISS ではただパートを弾いただけだったから、それは表に出なかったけれど、Dream Theater では初めてそれが出せた。自分のスタイルが初めてレコーディングでも出せたんだ。

『The Phoenix』をリリースしますが、コロナ禍で次の創作活動の予定はある?

もう既に次のソロアルバムの制作を始めているんだ。実はマイケル・シェンカーから彼のアルバムでプレイを頼まれた。俺のプレイしたトラックを送ったら、凄く気に入ってもらえたよ。先方から代金を訊かれたけれど、偉大なるマイケル・シェンカーで俺のヒーローにプレイできたんだから、代金は要らないと答えた。もし彼がお返ししたいと思うなら、俺の次のソロアルバムで弾いてくれたら最高だ。でも彼にプレイできただけでも光栄だ。そうしたら直ぐにマイケルから返事が来て、次のソロアルバムに喜んで参加しよう、と言ってくれた。

それで俺は直ぐにスタジオに入って、最高のインストゥルメンタルのマイケル・シェンカー曲を書き上げて、サイモン・フィリップスとレコーディングした。彼は1980年のMSG 1stアルバムでプレイしている、俺には特大の影響をもたらしたアルバムだ。その40年後に、ベースはトニー・フランクリンだ、あと少しサイモンと詰めてから、マイケルに送るつもりだ。彼がトラックを入れてから人に聴かせるまでに恐らく1年程は金庫で寝かせることになるだろうけれど、少なくとも仕上げて、俺は次に進める。

この前ザックと話していたんだけれど、マイケルはランディ・ローズの前にランディのプレイをしていたのさ。マイケルもクラシックのフィーリングのスケール、エオリアンを弾いて、そこからクールなブルースに入るだろう、ランディと同じスタイルだ。

ウリ・ジョン・ロートのスタイルについてはどう思う?実にユニークなギタープレイヤーだ。

素晴らしいよ、彼はイングヴェイのプロトタイプだと思う。"The Sails Of Charon" で初めてフリジアン・スパニッシュ・メジャースケールを16分音符の3連符で聴いた。それまでに誰もやっていない。ぜひウリにも俺のアルバムで弾いてもらいたいね、彼は俺のヒーローだ。

Sons Of Apollo のツアーは今年止まっていますが、今後のツアーの予定については?

2021年の欧州、南米ツアーは日程が決まった。ただ誰にも不確定要素が多すぎてどうなるかはわからない。ツアーできることを祈るよ。

多くの国は米国からの入国を許可していないから、米国のバンドには気がかりだ。

ああ。欧州では複数の国の国境を跨いで移動するから、もしどこかの国が米国民に対して制限を設けたら、それが俺たちのツアー中だったらどうか。それが2月に俺たちがツアーを中止したときの理由だ。最近では少しずつ再開されているけれど、状況は余りに脆弱だ。これではいつまたツアーの中止に追い込まれるのかわからない。クルーや金が掛かっている状況ではそれはとても恐ろしい。

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『The Phoenix』ではスティーブ・ルカサーにも声を掛けていたようですが、ルークのスケジュール都合で実現せずだったようで、次回参加の話をルークとデレクがSNS上でしていました。
そうすると、デレクの次のソロアルバムにはルークとマイケル・シェンカー参加ということのよう。
それにしてもマイケルはもうデレクの音源が送られてきてびっくりするでしょうね。(笑)

 

Whitesnake Live At Donington 1990 30周年同窓会 エイドリア~~~ン!

8月18日(日本時間19日)、1990年のドニントンライブ30周年を記念して当時の Whitesnake バンドメンバーがオンラインで集うイベントが行われました。カヴァ様、ヴァイ先生、エイドリアン、ルディ、トミーが集うのはあれ以来初、歴史的事件をライブストリーミングで目撃しました。

イベントはイギリス時間午後7時半からのプレショウ(オンライン同窓会)と午後8時半(30年前のドニントンライブ開始時刻)から始まるライブビデオ配信の2部制で、プレショウはファンから募った質問にまずカヴァ様が答え、バンドメンバーがログインしてから、カヴァ様の司会でメンバー向けの質問に回答していくという形式でした。

残念ながら、エイドリアンはログインしてもフリーズを繰り返し、繋がった短い時間も音声が聞こえない状況だったようで、全員揃っての会話は聞けませんでした。後日のInstagram投稿でエイドリアンが、事前のテストでは通信に問題がなかったのに、本番で問題が発生したことを悔しがっていました。「まるで窓の外からパーティを眺めているようだった」の言葉に悔しさがにじんでいます。

プレショウの後半、カヴァ様(DC)、ヴァイ先生(SV)、ルディ(RS)、トミー(TA)の会話の中の一部をざっくりまとめて和訳してみました。

 

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DC:スティーブンへの質問だ。「WSでプレイする決断は簡単でしたか?WSとプレイすることはあなたの他のバンドでプレイするのと比べてどう違いましたか?」

SV:まずWSは既に確立されたバンドだったということが良かった。それにジョン・サイクスと君が創ったアルバムは好きだったよ、とてもパワフルで真摯だった。いい曲だし、WSには優れた品位がある。だからオファーがあったとき、「これはどういうことか」と考えた。Dave Lee Roth とのツアーが終わった直後だったから、上手くいくだろうかと。私にとって良かったのは、アルバムは文字通り制作が完了していたことだ。私がやることはギターパートを入れることだけだった。問題なかった。それで私にとっての違いとしては、私はフランク・ザッパ、Alcatrazz、DLRとやってきたから、DLRというのは非常に統制されているんだ。そこで私のエゴが動き出したのだが。

DC:私はそれでいいと思う。好きにやってくれ。

SV:正に新世界だったよ、WSでは自由があった。恐らく私はその寛大さに付け込んでしまったのだろうね。

DC:そんなことはない。

SV:とにかく、全く違う気分だった。私は違うところから来てバンドに合流したのだが、皆が素晴らしかった。いい人ばかりで、全てが揃っていたんだ。完璧に御膳立てされた状態で差し出されたんだよ。

DC:私はこのメンバーでバンドとして究極のところまでWSを持って行けたのだと思っている。妥協なく、シンフォニー面にしても、全員の腕は熱く燃えていた。コンサートを観ればそこに現れている。毎晩一貫していいライブをやってた。オーディエンスの反応は驚くほどだった。

ポルトガルの街でのことを覚えているかな?我々の機材がスペインとの国境で止まってしまって、警察が私たちの泊まったホテルの周りで大勢を宿泊させていたんだ。翌日がコンサートだったけれど、Beatles の狂乱のようだった。それがまた翌日のパフォーマンスを刺激していた。

トミーが寝てしまう前に質問しよう。「70年代~現代まで音楽シーンの変化についてどう思う?」最初はどこにいたんだった?

TA: Black Oak Arkansas でプレイしてた。 California Jam で初めてデヴィッドに会ったんだったな。40年以上か、振り返るのが怖い位だ。(音楽シーンは)発展したんだと思うよ、昔はバンドはレコード会社と契約しなきゃ音楽を出せなかったけど、そういうのは全て去った。今はオーディエンスに直接届けられる、最高だよ。その結果原石のままの新鮮な音楽が出てきている。机の後ろに座った太った葉巻を吸って音楽に興味もない奴らが仕切ってた(レコード会社)時代は去った、こいつは最高だと思うね。

DC:全く賛成だ。ルディ、ファンから君への質問は、「多くのロック・ロイアルティとプレイしていますが、このような凄いキャリアを予想していましたか?」

RS:まさか!数々のバンドとプレイできたのは恵みで、もちろんWSがそうだ。73年に友達の家に行って山積みのレコードに Deep Purple の『Burn』を見つけたんだ。衝撃だったよ、私はそこで『Burn』を聴いたときからデヴィッド、君のファンなんだ。

SV:私も同じだ。

RS:私のキャリアというのは共に仕事をした仲間と共にある。達成したことは楽ではなかった。ドニントンでのライブ、あの時デヴィッド、君は感情的に多くを抱えていたけれど、君がステージで成し遂げた勝利、あれはそれ以前のどこでも見たことはなかった!

SV:ああ、あれはずば抜けていた。とても強力な一夜だった。

DC:あの時、マネージャーが手元にあったVHS-MONOで、ステージサイドのスクリーン映像を録画していたんだ。良かったよ。

SV:当時はきちんとライブ撮影されたショウが少ないというのは不思議だね。

DC:(今のスマホと違って)当時のオーディエンスの手にはライトがあった。

SV:DLRの時にはオーディエンス撮影は禁止だったよ。

DC:当時カメラが入ってライブを撮影したのは日本だった。彼らは驚くほど熱烈な音楽ファンだから、特定のミュージシャンの特定のショウの全てを記録に留めたいんだ。
さて、「ドニントンのライブでの思い出は何か」これは全員への質問だ。

TA:"Judgement Day" で違う動きをイメージしていたせいで違うパートを叩いちゃったんだけど、上手くいったこと。(笑)

SV:だと思ってたよ!(笑)

DC:去年のツアーでも凄かったけれど、あの夜のトミーは最高だった。ルディは?

RS:ステージサイドにいて、スペシャル・ゲストを見ていたこと。 Aerosmith だ。そこにジミー・ペイジが飛び入りしたのを見て、よし、WSはこの上を行くんだと気合が入った。それが実現したんだ、映像に残っているとおり。

DC:スティーブン、君とエイドリアンのギターソロの配分は半々でとても互いを尊重していたね。私たちには素晴らしい仲間意識があって、誰かの足を引っ張るようなことがなかった。当時のバンドはどこもエゴの争いで酷いものだったけれど。

SV:ライブ映像を観て記憶が蘇ってきたよ。その時の私は自分のプレイがこれでいいのかどうか頭の中で葛藤していたんだ。でも何年も後になってこのビデオを観て、私たちは何て凄いことをやり遂げたのだろうかと思った。あのエネルギーは強烈だった。

もう1つ、このライブの私的思い出は、初めてジミー・ペイジに楽屋で会ったことだ。私には大事件だよ。

DC:彼が来ていたことを知らなかったよ。彼と親しくなったのは Coverdale-Page の頃だったから。とにかくあの夜の私たちは素晴らしかった。個々のミュージシャンとしてもバンドとしても。そしてオーディエンスのエネルギーを受けて、更に上のパフォーマンスを返した。

あと覚えているのは、強風で喉が渇いたことだ。あの風ではシナトラのような呼吸が必要だった。それに私にはホーム・ギグだったから力が入ったよ。

SV:どうやらエイドリアンは回線が繋がらないようなので、言っておきたい。私たちがいかにお互いをインスパイアしていたか。彼と仕事をするのは実に堅実で安定している。彼のギタートーンは常にファットでリッチだ。彼のヴィブラート、音の選択、イントネーションも素晴らしい。"Kittens Got Claws" には沢山の変わったサウンドがある。いつも彼のプレイを聴いていたよ。彼は常に私のインスピレーションだったし、成熟した芸術的人物だ。

(訳者注:この後、エイドリアンが復帰して、カヴァ様が急いで彼宛の質問を読み上げるも直ぐにまたフリーズして、一同大笑いになるシーンが…)

DC:私は幸運にもまだトミーと世界をツアーしているけれど、こういうロック・フェスティバルというのはコミュニティの集まりでもある。残念ながらコロナウィルスで今はツアーも出来ないが、皆は家にとどまり安全でいて欲しい。自分も他人も尊重することでこの状況が打開されるだろう。

SV:ライブミュージックを観たいという要望は感じるし、やがて戻ると思う。

RS:さっきデヴィッドがホームタウン・ギグと言っていたけれど、ドニントンで WSとしてヘッドライナーを務めるのは特別なことだったよ。

DC:一度スネイクに加入した者はずっとスネイクなんだよ。ユナイテッド・ネイション・オブ・スネイクだ。

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同窓会の冒頭で、カヴァ様がヴァイ先生に、「この前話していたギター5本の "Burn" はできたのか?早くその髭を剃って仕上げてくれ!」と言っていましたが、「ああ、あれならもうできたから送るよ」と先生が答えていました。恐らく Generation Axe のライブアルバム2作目のミックスは順調に進んでいるようです。

カヴァ様やエイドリアンに気を遣うヴァイ先生、仲良しバンドの思い出を辿るメンバーの会話に、30年の年月が良い思い出だけを残して苦い思い出は消し去ってくれたのかと同窓会をしみじみと見守りました。

 

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