今年もあと半月を切り、Guitar World 誌では今年のギターソング/アルバム/ソロ・リフなどのネット投票が行われ、結果が集計されてきています。
(ベスト・ギター・リフ10選の結果はこちら)
ベスト・ギター・ソロ10選の結果では、ヴァイ先生が "Teeth of the Hydra" と Polyphia との共演 "Ego Death" とで2つのベスト10入りを果たしました!
この記事では選出された10曲と、編集部がピックアップした要チェックのギターソロ選が掲載されています。この内容のうち、ヴァイ先生やサッチ関連のものを中心にまとめてみました。
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スティーブ・ヴァイ "Teeth of the Hydra"
ヴァイの演奏はギターを超越してしまった。長らく我々もそうにらんでいた。その兆候として、これまでに積み上げられたダブルネック・ギターの数々、手術後の回復期に行われた片手演奏がある。全てはファンの興味をかきたて、新たなる音楽的探検の道を見つけるためだった。
そして遂に、至高の Ibanez Hydra である。トリプルネックのスチーム・パンク風ギターがカスタムメイドされ、この演奏をインスパイアしたのだ。この世のものとは思えない楽器。
トラヴィス・ピッキングを練習して何時間も費やした者には特に嬉しいのが、ヴァイが脳を幾パートにも分離して、頭・肩・膝・つま先が全て独立して、それぞれのメトロノームに応えるかのごとき動きだ。
"Teeth of the Hydra" が技術的に大胆この上ないことは言うに及ばない。1人の男がトリプルネックのギターを弾くのだから。しかし、これはこのような特異のギターが鳴らすべき音を要約しているのだ。これほどやっかいな楽器はスタンドの支えが必要で、独自のテーマソングまであるのだ。
この楽器による2作目を楽しみに待とう。
Polyphia "Ego Death" (feat. Steve Vai)
YouTube で880万回再生されたこの曲は、ヴァイにとってはベスト10選出の2曲目であり、アルバム中で最も大胆な瞬間だ。この先何年にも渡って勇猛果敢の見本となるかも知れない。
"Ego Death" は時期早々ながら、21世紀のインストゥルメンタル・ギター音楽の極限に至った優勝候補である。
巨匠のサウンドは自身の鋭い急進性を失うことなく、ティム・ヘンソンとスコット・ルページにソロの手を伸ばすが、それは紛れもなく「ヴァイ」だ。技巧的でありながら遊び心があり、トリッキーでありながらメロディックで、Polyphia 的美学の天才的純粋さに完璧にフィットする。
編集者ピックアップ
ジョー・サトリアーニ "Sahara"
メロディック・ギターのキング、ニック・ジョンストンが今年のベストに選んだのは『The Elephants of Mars』からの "Sailing the Seas of Ganymede" でのキーボードとギターの共演だったが、これは僅差で選出されなかった。
しかし、サトリアーニのニューアルバムの1曲目に対し、我々は賞賛を表したい。なぜなら、速弾きのゴッドファーザーその人が過去のアルバム制作でのルールブックを破り捨て、プラグインを使ったトーンで結局はこの数十年での自己ベストアルバムを制作したのだから。
"Sahara" の1stソロは余りにも過小評価されているが、クリスタルなトーンでデヴィッド・ギルモアと交信し、『Engines of Creation』スタイルのリキッドなレガートのリードに続いている。どちらのソロも過小評価されているが、メロディックで巨匠の新境地を開いている。40年近くに及ぶレコーディング・キャリアを持ちながら、サッチは今だ我々を驚かせる能力に溢れている。
(Michael Astley-Brown)
ラリ・バシリオ "Your Love"
腕のあるギタリストを偉大な演奏者にする要素の一部は、フィールであり、フレージングやメロディックな安らぎを指板上の動きで創り出す能力だ。
これに関して、ラリ・バシリオは真に今日のベスト・プレイヤーの1人だ。彼女のテクニックは正確で極上のトーンを持つ。しかし、彼女の地位を高めているのは、ボーカル・ラインのリックと魅惑的な正確性に裏打ちされたゴージャスな滝のごときギター・マジックだ。
"Your Love" は正に純バシリオで、彼女の優れたソロ演奏の腕前と一流のフレージングを見せつけている。
(Matt Owen)