※11/29 追加情報を掲載しました。
スティーブ・ヴァイがカナダのロック・ジャーナリスト、ミッチ・ラフォンのインタビューに応えました。トニーマカパイン、音楽制作、David Lee Roth Band、Whitesnake、オジー・オズボーン、アリス・クーパー 等に話が及んでいます。
ヴァイ先生の口から今まで語られなかった話がいろいろ飛び出し、これはお宝インタビューです!その一部から概要を和訳してみました。
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結腸癌を患うトニー・マカパインのために12月にチャリティ・ライブを行うそうですね。経緯を教えてください。
彼とは80年代に出会ったんだ。彼は非常に優れたプレイヤーで、私は彼の音楽が好きだし、アルバムも聞いていた。私がバンドを集める必要があったときに、素晴らしいギタープレイヤーかつ、キーボードの弾ける人物を探していた。トニーに声を掛けると彼がいい返事をくれたんだ。
トニーは生まれつき音楽の才能に恵まれていて、私が何かプレイしてみせると、いとも簡単にそれをやってみせてくれるんだ。彼とツアーしたとき、どこかの控え室の隅にピアノがあってね、そこから美しいピアノが聞こえてきたんだ。その熟練した技術と音楽性からピアニストが弾いているのかと思ったら、それはトニーだったんだよ。
「それは一体何なんだ?」と聞くと「ショパンのエチュードだよ」と彼が答えるので、他にも弾けるかと聞いてみると、「どれが聞きたい?ショパンなら全部わかるよ」と彼。(笑)彼は才能のある素晴らしいミュージシャンであると同時に人格的にも優れていて一緒にツアーするのが楽しいんだ。
今の時代、アルバムは売れないので、生活のためにミュージシャンはひたすらツアーを続けなくちゃいけないが、彼は今それができない。トニーは助けを必要としていて、彼の仲間がそれに応えようということなんだ。我々がよく知っている方法でね。彼の治療には金がかかるから、その助けをしようということさ。
音楽制作
新しい音楽についてですが、あなたは今でも新譜を出すことは重要だと思いますか?新譜を出さなくても、スティーブ・ヴァイのコンサートで観客を呼ぶこともできますよね。
君はライターだったね。では君だってこうしてインタビューだけしていたっていいのではないかい?でも君は記事も書くだろう、それは君自身のクリエイティブな欲求があるからじゃないのかい?
そのとおりです。
私も同じだ。私はライブで演奏することが大好きだが、レコードを作るのも好きなんだよ。自分の中にクリエイティブなひらめきが無くなれば終わるかも知れないが、今のところ私は様々なアイデアを抱えていてこれらを創作する意欲に圧倒されている。
今、私は自分の過去のアイデアをリリースしようとしている。過去の自分のアイデアは自分を過去に戻すのではないのだよ。過去でも未来でもなく、新しく面白いことをしようとすることが私を自由にし、インスパイアする。それを完成させようという気にさせてくれる。とても楽しいんだ。
新譜を作るにはスタジオ代ほか様々なコストや労力がかかるのに対し、今の時代はアルバムを出しても大幅な売上は見込めません。それでもやるに値することでしょうか。
そういったことを気にするのであれば、止めてしまうことだ。だが本当にクリエイティブな人間というのは売れるかどうかに関わらず、自己表現の強い要求に従って、創作し続けるしかないのだよ。
他人に受け入れられるかどうかではなく、自分にとって最高の作品ができるかということだ。売上だのという事柄は2次的な事柄なんだ。それよりも自分を捕らえたアイデアやインスピレーションを作品にすることが大切なんだ。
多くの人はレコードが売れるか、契約が取れるか、といったことを気にして音楽を作ってしまう。皮肉なことに、結果に何も期待せず、真の自己表現として作った作品の方が本当の聴衆を引き付けるんだ。
David Lee Roth Band
David Lee Roth の "Yankee Rose" はあの時代最高のレコードだと思います。どのような体験でしたか。
文字通り、私はあのバンドに入って一夜にしてロック・スターになった訳で、とても感謝している。当時の私はまだ青二才で、70年代の音楽が好きだった。それが80年代のロック全盛期がやってきた。ステージ衣装はクレイジーだったし、とんでもないパーティーだった。あのレコードはあの時代を捕らえたものだったね。
来年で結成から30年経ちますが、何か予定はありませんか?デラックス盤の発売とか1夜だけの再結成とか。何かしてください!
知らなかったよ、そうだったのか!(笑)いいことを教えよう、ビリーとグレッグはハリウッドのLucky Strike というボーリング場で水曜の夜に行われるロック・ナイトというライブショウに出ていてね、私も誘われたから出るかも知れないよ。
(ここでヴァイ先生が話したことが実現しそうになりました!本文の後に追加情報としてまとめましたので、チェックしてください)
DLRでプレイするに当たって、あなたは自由なプレイが許されたのですか?デイヴやレコード会社からエディ・ヴァン・ヘイレンみたいに弾くことを求められたりしませんでしたか?
バンドメンバーによって違うだろうけれど、私の話をすると、このバンドでやることがヴァン・ヘイレンと比較されることは分かっていた。エディが成し遂げてくれたことを尊敬しているし、感謝している。
私がエディのように弾くということについては、まず A) 私には出来ない。B) 私が自分の能力才能を見せない理由などない、ということさ。
クリエイティブということについて言うと、私は最大級のクリエイティビティを注ぎ込んだ。"Big Trouble" のソロはどうやろうかと考えたものだ。アルバムのプロデューサーにも恵まれていた。
当時の私はマーシャルの音にも慣れていなくて、そんな時、スティーヴ・スティーブンスが隣のスタジオにいたんだ。彼は本当にギアに精通していて、いつも素晴らしいトーンだった。その彼がギアを貸してくれたんだよ。たしかそれで何曲か録音したんだ。
Whitesnake への加入ですが、あの時代はいかがでしたか?
デイヴの元を離れてからだが、あの時代の私は今の私とは別の人間だった。一度有名になると周りが違う扱いをするようになる。当時私は様々な雑誌の表紙を飾っていたし、いくつも賞をもらっていた。私はやがて自分のエゴに囚われてしまったんだ。それを自分のアイデンティティと考えてしまった。
そんな思い上がった私の全てを、デヴィッド・カヴァーデイルは良しとして許容してくれたんだ。私のソロ・アルバムが出来た頃で、Whitesnake でプレイするのもいいと思ったんだよ。なぜなら私もアルバム "Whitesnake" が好きだった。
私は何度もデヴィッドに会って、彼が好きだったし、"Slip Of The Tongue" はほぼ出来上がっていた。ギター録音だけだったんだ。だからトラックを聞いて、そこに自分のギターで何が出来るかを考えるのはとてもクリエイティブだったんだ。
私がバンドにとって適任だったか?私には分からない。それにはイエスという人がいる一方で、真っ当なブルース・ロックのギタープレイヤーが必要だったと言う人もいる。
私は自分のやりたいことを妥協したくはなかったし、デヴィッドも私に妥協して欲しくはなかった。とてもクリエイティブな時間をスタジオですごしたよ。
レコーディングと違って、ツアーは難しかった。いや、本当は簡単なはずだったんだ。デイヴとのパーティー・ツアーを経験した後だったんだから。Whitesnakeのツアーはもっと抑制されたもので、バンドメイトは皆が素晴らしい人間だった。
ルーディ・サーゾは素晴らしいジェントルマンなんだ。エイドリアン・ヴァンデンバーグは芸術家肌でいかにも素養の整ったヨーロッパ人なんだ。一緒にステージでプレイするのはとても上手くいったし。トミー・アルドリッジは面白いんだ、皮肉屋でとにかく面白い人物だよ。あのバンドで問題があるとすれば、それは私だった。
そうかも知れませんが…
(訳者ひとりごと:ミッチさん、なぜここでもっと突っ込み入れなかった?ここまで喋ってくれたの初めてくらいだよ!?)
サトリアーニは Chickenfoot でスーパーバンドの活動はしていますが、あなたはバンド活動はしていません。
誰でも自分のしたいことをする。私は自分のしたいことをするだけだ。
あなたはオジー・オズボーンに曲を書いていますが、オジーはソングライターとしてあなたに頼んだのですか?彼のバンドで弾いて欲しかったのではないのですか?
オジーのアルバムは半分ほど出来ていて、彼は何人もに曲を書いて欲しいとアプローチしてたんだよ。オジーが訪ねてきて、私たちはとてもウマが合った。3ヶ月ほど一緒に仕事をして、アルバムとして十分な量の作品ができた。彼とは新しいアルバムを出そうかと話し合ったよ。
しかし、彼はプロデューサーのマイケル・バインフォーンを雇い、最終的には現実的な決断をしたんだよ。アルバム製作にはレコード会社の予算があるし、私を雇うのにもコストがかかる。結局彼は元のアイデアに戻ることにしたんだ。
この件については構わないよ、なぜなら私はオジーと仕事をしたんだ、って自慢できるし、彼とはとても楽しい時間をすごすことが出来たからね。
(訳者ひとりごと:オジー&ヴァイの幻のアルバムがあったってこと!?音源出てこい!それに、Ozzmosis で"My Little Man" をヴァイ先生が弾いてないのはそういう事情があったからか~!!!)
私はオジーが大好きだよ、でも彼とツアーに出ている私を想像できるかい?私は自分が毎晩 "Paranoid" を弾いてる姿は想像できないんだよ。
でも95年当時、あなたがオジーとツアーに出れば、大見出しの記事になっていたでしょう。
当時の私は "Passion And Warefare" やそれに続いたアルバムの成功もあり、キャリア的に完全な自由を手に入れていた。自分の作りたい音楽を書き、プレイしたいと思うギターを弾いていたんだ。
オジーの件については、自分のキャリアとして足踏みとまでは言わないけれど、私はもう既にビッグなロック・バンドでプレイしたし、金もいらなかった。自分の本能がこれはやるべきじゃないと告げていたんだよ。
私のところには様々な依頼が来る。曲を書いてくれ、プレイしてくれ、様々だ。スーパー・バンド的な話もある。でも私はあの時代に生きているのではなくて、私は今ここに生きているんだ。
でも、"Eat'Em And Smile" の30周年はやるべきですよ!
はは、デイヴが聞いていたらいいんだけどね。
あなたはアリス・クーパーのアルバムにも参加しましたが、彼は業界でも最高に素晴らしい人物です。
私はティーンの頃からアリスの大ファンなんだ。最近 Rock In Rio で彼に会ったけれど、彼こそ歴史に名を残すにふさわしい人物だ。彼は自分の芸術に打ち込んでいる。彼は Hollywood Vampires のライブをやっていてね、それを見ていた。そうだ、ジョニー・デップにも会ったよ。
もし明日、アリスから電話があって、彼のバンドに入ってくれと言われたらどうしますか?
はは、そうだな、大喜びでイエス!と答えるよ。しばらくならツアーできると思う。実際に、Rio のショウの後、アリスのマネージャーに会ってアリスが関心があるなら、私が書いた曲があると話したんだ。先のことは誰も分からないさ。私が彼に曲を書くかも知れない。これは、言うなれば私にとって罪深い喜びなんだよ。
(訳者ひとりごと:アリスの横でギターを弾くヴァイ先生!いっそのことHollywood Vampires に飛び入りすれば良かったのに!)
アリスは後進のミュージシャンたちに大いなる影響を与えた。彼が曲に吹き込むメロディは素晴らしいんだよ。それこそが彼がこれほど長いキャリアで成功してきた真の理由だ。彼のショウのシアトリカルな要素というのは2番目の要素さ。彼の曲をチェックしてみるといい、とてもインスパイアされる。彼の曲が大好きなのさ。もし彼と仕事をするなら最高だ。
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聞きながら盛り上がりまくったインタビューでした。ヴァイ先生からこれだけ話を聞き出したミッチさんはエライ!途中、ヴァイ先生の温度が下がる場面では聞いててドキドキしたけど、それでも食い下がってインタビューしたのはお見事。
特にWhitesnake については、聞かれても話さないことが多いヴァイ先生がこれだけ話すのに興奮しました。オジーとのアルバムも素材は出来ていたんだ… アリス・クーパーとの共演もそのうち見れそうな予感!
※追加情報 11/29
Lucky Strike で行われる Ultimate Jam Night に11/25、 Eat'em And Smile 30周年記念として、スティーブ、ビリー、グレッグにSteel Panther のボーカル、ラルフ・サインズからなるバンドの出演が決定しました!(公式発表はこちら)
私は当日、これを見るべく現地からのライブ中継映像にかじりついていたのですが、彼らの出番時刻(現地22時半頃)から中継が止まって再開する様子がなく1時間が経ち、これはおかしい!とネットで情報を拾っていたところ、この夜の歴史的再結成は驚愕の顛末を迎えていました。
この再結成を見ようと詰め掛けた人々が2千人だったのか3千人だったのか分かりませんが、会場に対してあまりにも人が多く、オーバーキャパシティで、消防によって会場が閉鎖されたのだそう。
この時、楽屋にはデイヴ・リー・ロスまでもが来ており、完全なオリジナルメンバーでのパフォーマンスが行われる直前だったのです!ビリーのツイートには楽屋での写真が掲載されています!あとほんの少しで夢の再結成が実現したのに!(涙)
残念すぎる結末でしたが、デイヴが来て4人揃った意味は大きい!そしてマスコミ、ミュージシャン仲間、ファンの反響がここまで大きいという事実が確認できたのですから、日と会場を改めて、再結成ライブを見せて欲しい!