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幻の Eat 'Em And Smile 30年ぶり再結成の舞台裏

11/25、ロスにあるボーリング場 Lucky Strike で毎水曜夜に行われる無料のロックイベント The Ultimate Jam Night で多くのロックファン待望のDavid Lee Roth Band オリジナルメンバーによる Eat 'Em And Smile の再結成が実現する正にその瞬間に会場が消防によってシャット・ダウンされた事件は今思い返しても残念で仕方がありません。(関連記事はこちら

この企画が始まってから無念の強制撤収に至るまでの舞台裏一部始終を運営者のアダム・マンデルさんがFBで語っていましたので、その概要を時間軸で並び替えて事件の真相に迫ってみたいと思います。

ことの始まり

The Ultimate Jam Night に出演していたビリー・シーンが友人のグレッグ・ビゾネットを誘って2人の共演する夜が実現。あまりに楽しかった2人はもしスティーブ・ヴァイを誘って、ちょっとしたDLRバンドのリユニオンをやって Eat 'Em And Smile の曲をプレイしたらどうだろう?と考えた。

企画、発表

3人はもちろん超一流のミュージシャン、何とか3人の都合の付く11月末をブッキングし、出演時刻、演奏曲、必要機材といった詳細を彼らと詰めていった。そして当日の1週間前に公式発表。ここでデイヴも参加しないか?という期待の声は無論あがったものの、我々はあまり期待はしていなかった。

3人のリユニオンを発表してほんの数時間でインターネットでは大騒ぎになった。公式FBにアクセス集中、世界中のメディアからの電話は鳴り続ける・・・デイヴにも参加して欲しいという思いはあるものの、この時点ではボーカリストとして Steel Panther のラルフ・サインズを公表。

もう1人のオリジナル・メンバー

DLRバンドのオリジナル・キーボード・プレイヤーだったブレット・タグルとの連絡に成功し、彼も当日参加することになった。これで4人のオリジナル・メンバーが揃うことになった!

そして、前日(火曜)の夜遅く、デイヴが参加するという電話があった!既に世間はとんでもない騒ぎになっているため、デイヴの参加は極秘とする。電話打ち合わせで厳しい警備プランを立て、どうサプライズを演出するかを話し合った。

直前のメディア

Eat 'Em And Smile 再結成への関心は益々高まっていった。大手ラジオ局が取上げ、地元テレビ局はデイヴも来るのではという憶測付きでイベントを紹介した。主催者側が何の発表もしていないというのに!

対処プランの作成

The Ultimate Jam Night 至上初めてのプランが計画された。皆にライブに来ないように呼びかけるというものだ。長蛇の列が予想され、来ても会場に入れないかも知れないという告知をした。8時間かけて他州から車で見に来るという人の話を聞き、ライブが見れず落胆した人々への対処プランを考えた。これらは全てデイヴが現れるという告知もない時点での状況。

デイヴの参加は極秘のまま準備は進められた。あまりの騒ぎにデイヴが最後の最後でキャンセルしてくるリスクも考えられた。

招待客リストを作り、開場時間を決めた。The Ultimate Jam Night 至上初めて(いつもはずっと開扉している)ドアを閉めた。

入場できない人も出ることが予想されたため、そういった人たちに配るグッズの準備をし、彼らに来てくれたことを直接スタッフが感謝し、少なくともこのイベントの目的であるロック音楽への関心を高めることを理解してもらえるよう考えた。

当日のカオス

The Ultimate Jam Night はロック・コンサートに変貌してしまった。最初の観客たちが到着した頃はいつもより盛況な程度だった。しかし、カメラマンの数は通常の5倍に膨らみ、VIPのイス取りは大変なことになっていた。

およそ3,000人が来場。ハリウッド大通まで長蛇の列があふれ、対処する間もなく新たな人垣が増える。

VIPやそのゲストたちは事前の予告なしに、ライブ直前に現れ入場しようとした。入場を断ったVIPの中には、その人を見るためにまた3,000人が集まるような有名人もいた。

通常どおり、オープニング・アクト、第1部、第2部と進む進行計画で、プラン通り、第1部の終わりごろにスティーブとデイヴをそれぞれ乗せた黒いSUVがビルに到着。

デイヴはボーカル・ウォームアップをするために、建物周辺を急遽ドライブすることになった。そしてタイミング悪く、スティーブが会場入りする時に、デイヴの乗った車の窓が下ろされ、助手席に乗っているデイヴを入場待ちの観客に目撃される。「マジかよ!」の反響は次々に広がる。

幻のステージ

予定では、ステージのカーテンが下りたまま、スティーブのギターが響き、観客にはまだボーカルはラルフだと思わせておきながら、デイヴの声で "Yankee Rose" を始め、カーテンが開くというサプライズの演出だった。

正にバンドが演奏を始める直前に、消防局長が来たという知らせを受けた。会場管理者がステージに来て、消防の要求を聞く。

急いで対処にとりかかり、一部の観客に退場を依頼する(ショウを2回やる、またはミュージシャンとのミート&グリートを条件に提案)ものの、誰も去らず会場の混雑を収集することはできなかった。消防から罰金を課されたら、それを支払うというアーティストの申し出もあった。しかし、混雑は収まらず、続行は許されなかった。

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スタッフの方たちが相当に頑張ったということはアダムさんの文章で良く分かったのですが、DLRバンドの30年ぶり再結成をやるのに、この会場では無理があり過ぎたんでしょうね。それに、当日のマスコミと業界人の来場がとんでもなく膨れ上がってしまったことが誤算の原因の1つだった気がします。

当日は本当にノーリハーサルで "Yankee Rose" と "Shy Boy" が演奏される予定だったようです。残念でなりませんが、ビリーが再結成ライブについては再度話し合っている旨の発言をしており、いつの日か実現する模様です。その日まで期待して待ちましょう!