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ダグ・アルドリッチ 「難しいのは完璧な演奏を毎日再現することなんだ」

昨年のLoud Parkで来日初ライブを披露して好評だった The Dead Daisies が来日時の「来年3月に戻ってくるよ」という言葉からは遅れますが(笑)、7月に単独ライブで来日が実現します。さらに4月にはライブアルバム Live And Louder をリリース!

メンバーのダグ・アルドリッチがメディアのインタビューに応えました。久しぶりの長くて重厚なインタビューでしたので一部を和訳してみました。

特にステージでの演奏について、彼のコメントはなかなかに深く、多くのミュージシャンに訴えかけるものがあるのでは。

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なぜ The Dead Daisies に参加したのですか?

4歳だった息子ともっと一緒に過ごしたくて、Whitesnake を去ってから、2014年にヴェガスでのロックショウに参加したんだ。それに少し疲れてしまった頃、2015年にグレン・ヒューズからトリオバンドに誘われたから承諾したんだ。

ちょうどその時、The Dead Daisies から誘われたんだけど、僕はグレンとヨーロッパにいたから断ったんだ。それから暫くして、リチャード・フォータスが去ってからもう一度彼らに誘われたから受けたんだ。素晴らしいバンドだし、彼らとやるのは楽しそうだったから。

ブライアン・ティッチー、マルコ・メンドーサとまた一緒にできるという要因もあったのでは?

二人はモンスターなリズム隊だよ。ジョン・コラビとは1979年からいい友達だったけど、一緒に音楽を作ったことはなかったんだ。それでもお互いに違う仕事をしながら姿は見かけていた。デヴィッド・ロウイーのことは知っていたし、彼がこのバンドでやっていたことは素晴らしいね。

The Dead Daisies で忙しくプレイし始めてみると、これは単なる次のギグじゃないって気付いたんだ。ずっと長くやってきたバンドにいるような感覚を感じた。それって重要なこと。僕らは何でも一緒にやってるんだ。

バンドに参加して直ぐにレコーディングスタジオに入りましたよね。ほとんど準備期間はありませんでした。

いや、スタジオ入りするのが近いってことは分かってたんだ。アイデアを練るのに1ヶ月くらいはあった。僕が一番心配してたことは妻が妊娠中でいつ生まれるかは分からないことだった。でも無事に生まれて、僕はスタジオに向かったんだ。ナッシュビルで1週間、NYでまた1週間作曲して、またナッシュビルに戻って2、3日かけてレコーディングしたい曲を選んだんだ。

それも大変でしたか?

楽しかったよ。直ぐに仲間からフィードバックがもらえるし、そういうのが好きなんだ。一緒にやるのって凄く上手くいくよ。

それがアルバムがとても活き活きと聞こえる理由でしょうか?

そうさ。それに僕らは一緒にレコーディングしたんだ。ドラムの録音中はリズムギターやベースのほとんどはカットされたけど。

本当のことを言うと、Whitesnake の Forevermore アルバムでは、僕はブライアンとスタジオに入って、5テイクくらい録って繋ぎ合わせたんだ。それからベースを録音してって感じでさ。つまり創り上げていく感じのプロセスなのさ。

The Dead Daisies では古き良きやり方で、ブライアンも皆のプレイも見えてそれに反応してプレイしたのさ。僕らは張り詰めた熱い興奮のただ中でプレイしたんだ。最高だよ。

それこそが音楽を作るということでしょうか、共に演奏することが。

いいことさ、楽しいしね。僕らにはアルバムを作る時間が限られていたからそれしか方法がなかったのさ。恐ろしくもあるけど、それしかなかった。スナップショットを録るようなものさ、最高ではないかもしれないし、僕らはもっとうまくやれたかもしれない。でもあれが2016年3月の The Dead Daisies のスナップショットなのさ。

バンドの誰か1人が指示を出すのでしょうか?

いや。デヴィッドはバンド設立者でリーダーだけど、彼は提案はするけど、皆の意見を聞いてくれる。俺たちが雇ったプロデューサーのマーティ・フレデリクソンが最終決定をするわけだけど「生々しく、ライブで録音するんだ」と言っていた。僕らはただ事前の計画なしに曲を作ったんだ、皆が参加してね。それからジョン・コラビは素晴らしいギタープレイヤーなんだよ。

いつ自分はミュージシャンになると思ったのですか?

いいや。ただそうなったというだけなんだ。ギターも音楽も好きだった。子供の頃は今と違ってビデオゲームやなんかの遊びがなかったから、スポーツをするか音楽を習うかだった。

家には姉のギターがあったから、それを手にとって本でコードを覚えて、最初はレッスンを受けたんだ。エレキギターではいつも友達と学びあって、レコードを聞いては少しずつどうやってプレイしているのかを見つけていった。たいてい間違って覚えてたけれど、間違いから学んでいくものだろ?

ミュージシャンになろうって決めたことは一度もないんだ。ただ自然にそうなったんだ。そしてまだ学ぶことが沢山あるのさ。

あなたはDioではギタリストが1人、Whitesnakeでは2人でしたが、どちらが好きですか?

1人なのか2人なのかは音楽による。Dioはギタリストが1人のバンドだった。例えばBurning Rain はギタリストが2人のバンドで(訳者注:原文ままですが1人のタイプミスか)、僕はそれを頭において曲を書いたよ。

Whitesnakeではデヴィッドがそのアイデアを持っていたんだ。曲のメインパートを書き上げると、彼がそこにハーモニーを付け加えたらどうだろうかと言うんだ。ギターが2人のバンドなんだからその前提で作るのさ、とても好きだよ。

僕は他のギタリストとプレイするのがとても好きなんだ、なぜなら皆それぞれ違うプレイをするからね。Whitesnakeに入った最初の頃は、僕にとってギタリストが2人いるバンドは初めての経験で、デヴィッドは2人のリードギターが弾き合うのが好きだ。最初、レブと僕はどちらが何を弾くのかを決めるまでしばらく時間がかかった。僕らは一緒にリズムギターを弾いたりもした。僕らは決まった弾き方をするから、そうなるのさ。

Whitesnakeで5~6年弾いてやっとサウンドに利く違いがあるってことに気付き始めたんだ。"Fool For Your Loving" は例えばちょっと違っているんだ。僕かレブのトラックを抜き出して聞いてみると、ちょっとした違いがあるのが分かる。でも一緒に再生するとクールなサウンドになるんだ。

完璧にタイトな演奏じゃないけど、そこが最高なんだ。毎回完璧に同じプレイをする必要なんてないんだ。お互いにそれぞれ自分らしい弾き方をするのがいいのさ。

だからそこがデヴィッド・ロウイーとプレイするいいところなんだ。彼のスタイルは僕とは全く違う。彼はとても無垢でシンプルなスタイルだ。僕のスタイルはもうちょっと加工されてる感じかな。このバンドのサウンドは彼と僕の音がそれぞれ加わって、一緒になって上手くいっているんだ。

まだ音楽の上でやってみたいことはありますか?

いいソングライターになりたい。少しずつたけど、作曲で取り入れられる技を学んでいるんだ。Make Some Noise の曲にはちょっと大げさに書いた曲があって、いくつかのパートを加えていたんだ。

でもマーティと仕事を始めたら、そのパートは要らない、って言われたんだ。彼は他にも僕の気に入っていたパートをボツにしたんだ。でも彼の判断は正しくて、そのおかげで曲はもっと強力でサビが早くくる。僕らは時々やたらと長ったらしくしてしまっていたんだ。プロデューサーがミュージシャンのプレッシャーを取り除いてくれた。僕はそこから学ばないとね。

ツアーに持っていく何か特別なモノはありますか?

実用的なモノを沢山。幸運のお守りも。息子がまだ赤ん坊だった頃の靴下を少しと彼からもらったちょっとしたギフトも。小さな車のおもちゃとかは息子とフェイスタイムで話すときに一緒に遊べるからね。もう大きくなったから車のおもちゃは卒業して、今はポケモンに夢中なんだ。だから彼とのフェイスタイムで楽しませるには、ポケモンカードを買ってきて見せるんだ。

魔よけってことだと、僕が身に付けているものは殆どが誰かからもらったものなんだ。時計の下のラバーバンドまで、僕が腕に付けているものは全部そうさ。息子がこれらを付けてくれて、これは幸運を呼ぶって言うんだ。だからブレスレットが壊れたら、それがずっと集めた幸運が得られるんだ。信心深い訳ではないけど、誰かがくれたものにはそれなりの理由があると信じてるんだ。

ステージで究極に興奮することは何ですか?

オーディエンスから即座に反応があって、パートを完璧に弾くこと。苦労していたパートを上手く弾けた時にさ。椅子に座って演奏するときは決まった弾き方ができる。でもステージでバンドとプレイするときには、気を配ることが沢山あるんだ。1人では何度でも練習することができるけれど、実際にステージで弾くまでは完璧に弾けたとは言えないんだ。

僕は1つのライブを通して完璧に弾けたことは一度もないんだ。でもいくつかのパートでいい演奏ができたと思えることはある。難しいのはそれを毎日再現することなんだ。完璧にできたと思える瞬間は最高だけれど、ずっとそれを考えてはいられないんだ。次のパートでミスをしてしまうからね。

The Dead Daisies に加入して、思ったとおり上手くいってますか?

思った以上だよ。実際、これも単なるギグの1つだと思っていたんだ。友達と楽しくやってジャムするんだって。彼らは僕がどんなか知っていた。僕の人間性も旅先ではどんなかも。

僕はジョン・コラビがフロントマンとしてこんなに優れているとは知らなかったんだ。僕は彼を友達としてだけ知ってたから。彼のステージを見て聞くのは楽しいよ。彼は誰とでもすぐに友達になるし、誰かが意地悪なことを彼に言っても怒らないんだ。どうでもいい、って感じでさ。そういうところが好きだし、僕にもそうできればと思うよ。

マルコとブライアンのことは良くわかってる。デヴィッドについては、彼がバンドのコンセプトでリーダーであり、ビジネス面でも彼は素晴らしいリーダーだ。

例えば、僕らはライブの前に毎回打合せをするんだ、ビジネスミーティングみたいにさ。デヴィッドが「これが今夜のセットリストだ。今夜は少し変える」と言ってそれについて僕らの意見を聞くんだ。

そして僕らは1曲ずつ目をとおして、曲の一部をそれぞれプレイするんだ。僕にとっては大きな進歩なんだ。素晴らしいよ、こういうのは以前にやったことがなかった。自分で練習するだけだったんだ。Whitesnakeではセットリストを変更しないから慣れていくだけだった。

それからもう1つ、思った以上だったのは仲間意識だ。僕らはいつも一緒で、食事も出かけるのも一緒だ。クールだよ。僕らは友人同士で互いに尊重しあっているんだ。多くのバンドは道を別つけれど、僕らは一緒にいて楽しんでいるんだ。