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スティーブ・ヴァイ 「誰か次のようなギターのトレモロシステムを開発してくれ」

スティーブ・ヴァイが自身のスタジオでメディアのインタビューに応えましたので、概要を和訳しました。

ギターやギアについて、次のアルバムの構想など大変興味深い話をされていて、大興奮です。ギターの技術工学者の方はヴァイ先生からお題が出ていますので、ぜひチャレンジしてみてください!

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あなたは昔ながらのエフェクターペダルから(ラックタイプの) Fractal Axe FX へ移行したんですね。なぜですか?自分のサウンドを見つけるのには時間がかかりましたか?

私はいつもラックギアとペダルの組合せで使っているんだ。私はずっとペダルのファンでね、独特の魅力があるんだよ、ロマンスと言ってもいい。とてもカラフルだし、中にはマルチのFXモジュールでは出せないサウンドもある。

私はマルチFXモジュールの誕生からずっと使っているし、私の初期のキャリアで最初に使ったラックギアというのはRoland SD 2000なんだよ。ディレイやコーラスに使ったんだが、本当に素晴らしくてね、でも私は常にペダルと両方を使っていた。

80年代にマルチFXモジュールが出始める前には、ラックのギアというのは全て別々だったんだ。だから David Lee Roth Band の時代には山ほどギアの入ったラックを沢山持っていた。

でも私は常にペダルも愛用していた。ディストーションのようなものはデジタルの領域では上手く行かないんだ。それにコーラスやピッチシフトのようなアナログなものはラックギアでは使わないようにしている。なぜならペダルのような音の温かみがラックギアにはないからだ。

ギアの中で手に入れたけれども使っていないものは多いですか?

私のギターテクのトーマスが山ほど持って来るんだよ。まだ使っていないギアが沢山ある。でも私はデジタルのプリアンプやモデリングは使わないのだよ。いつかは使うかも知れないが、私のLegacyにつないでしっくりくるものがないんだ。

全くお粗末さ。指と耳に触れる音が美しく圧縮され、ユーザー本意であり、私のLegacyが持つアナログサウンドのようであること、それがこういったデジタルプリアンプでは小さく聞こえるんだ。

本当のテストはこれらを戦場に持ち出した時だ。自室内ではこういったアンプ、キャビネットやマイクで拾う音の組合せで様々なことが出来る。部屋では良く聞こえるかも知れないが、ひとたびステージに立てば、ドラム、モニター、ベース、キーボードと音で争わなくてはいけない。

これらから抜けだせないのさ。抜くということはハイエンドということではない、音の温かさ、厚みのことだ。プリアンプではそれが出せない、狂った蚊のような音さ。でもLegacyでなら、私の音が出せる。

ギアは発展していますが、10年、20年後にはどうなっていると思いますか?こういったマルチFXの機材はチューブアンプを凌駕するようになるのでしょうか?

人類について、また強力な技術の発展について言えることは、我々が常に求めている2つのものがあるという事だ。1つは利便性、もう1つは品質だ。そして我々は決してこの追及を止めることはない。今までも決して止めなかったのだから。革新的な進化が起こるだろう。

私が想像するに、3つのうちの1つが恐らく実現するのではないかと思う。アナログの豊かな音が耳の保養として暫くは好まれるだろう。一方で、その利便性からデジタルへのミックスは行われるだろう。従って、デジタルサウンドがチューブアンプの温かみや完成度に近づくよう技術開発が続くだろう。もしくは、私たちの全く知らない何かが登場するのかも知れない。

何かエイリアンの技術のようなものでしょうか?

ああ、それはデジタルでもアナログでもないかも知れない。地球の引力と月のそれとの対立から起こる音波かも知れない!

ギターについてですが、あなたはIbanezにとんでもないデザインを依頼したことはありますか?彼らが「いや、それは無理」と言うような?

いや、彼らはいつだって私が欲しいものを創ってくれる。時にはもっとクレイジーなものを思いつくよう求められるんだ!でも、大きなことというのは時として容易に実現できて、些細なことが困難だと驚くよ。

例えば、次のアルバムで使おうと思っているギターをIbanezとデザインしたんだ。次のアルバムで私が考えているのは全曲をトリオで演奏するということだ。アルバムは3枚になる。1枚目はクリーントーン、2枚目は私の通常のディストーションサウンド。そして3枚目はとてつもなくヘヴィで、チューンダウンした、ハードで、とにかく私がやれる限りヘヴィなものになる。なぜなら私はそういうのが好きなのさ!

私がデザインしたそのギターのことを、彼らは今のところ Steampunkギターと呼んでいるんだが、信じられないくらいクレイジーなんだ!

公開されているコンセプトモデルはあるのですか?我々が入手できるものでしょうか?

いいや。1体のみだ。トリプルネックで共鳴弦が張ってあって、凄いんだ!スモークの噴射口もあって、とにかくクレイジーなんだよ!

凄い!もう手元にはあるのですか?

いや、だから君には見せられないんだよ。でもIbanezは喜んでこれを創ってくれている。でも1つだけ、彼らにやってもらえない革新的なことがあるんだ。弦を変えたり、チューニングを変えるのになぜ道具が要るのか私には理解できない。弦交換なんて20秒で出来るべきなのに、それが出来ない。

それで私はIbanezに頼んで、ネックに止め具を付けようとしたんだ、とても単純で道具も要らないもので、ブリッジにも。でもそういうことをやるのは非常に難しい、多大なエンジニアリングを必要とするからだ。これまでに誰も思いつかなかったことを開発して成功させようとしているのだから当然だ。私にはアイデアと図面がある、でもそれを実現できないんだ、しかもそれだけじゃない。

チューニングにはそういう問題があるというのは想像できます。

誰か発明してくれ!これを読んでいる誰か、私のリクエストがある。誰か次のようなギターのトレモロシステムを開発してくれ。JEMと同様のアームダウン・アップができるが、道具不要で完璧に決してチューニングがずれず、デジタル部品は一切使用しないもの。

何人かが創って持ってきてくれたんだが、ギターのチューニングはずれないものの、使い物にならなかったんだ。何しろ、デジタルモデリングにつないで、「Legacyを通したEVOのサウンドが欲しいときはこのボタンを押す」と言ったが、それはLegacyともEVOとも関係ない、ただ待ち時間があってデジタルの音がするだけだ。でも確かにチューニングは狂わなかった。

だから、弦が切れてもチューニングが狂わず、アームダウンしても均一に下がるギターがあったら素晴らしい。まだ誰もそれを実現していないのだが、これは実現可能なのだよ。ただ怖気づいてトライしていないか、思いつきもしていないだけなのだ。

現在はCarvinと何か開発していますか?Legacy 3の改良とか?

最近Carvinとやった事でエキサイティングだったのはLegacyのドライブペダルの開発だ、とても気に入っているよ。全てのトーン、ディストーション、EQが揃っているんだ。この開発には1年半から2年くらいかかった。私には何が欲しいのかは分かっていたが、アンプのこともその構造も何一つ知らないからね、彼らはいくつもの違うバージョンを作っては私に送り続けたのさ。気の毒なCarvin!

問題は、私が多くのツアーに出る度にアンプを持ち運ぶのはとても費用がかかるということなんだ。それで、私はアンプなしでLegacyのサウンドが欲しかったのだよ!Carvinはこの素晴らしい小さなLegacyドライブペダルを作ってくれた。Legacyと同じ音がするんだ!チューブを使っていて、小さくて、でもパワーアンプはないのさ。でも私にとっては簡単な調整で済む、いいクリーン パワーアンプならどれでも事足りるから。これなら、私がシベリアにいて、パワーアンプが必要でもLegacyよりもずっと簡単に見つけられる。

小さなペダルがアンプの音を再現できるのですか?

私に違いが分からない程にね。Legacyドライブペダルをあるパワーアンプから別のLegacyでないパワーアンプに接続すると、少々のサウンドカラー変化はするけれど、さほど大きな変化ではない。

もしエフェクターペダルのうち1種類しかキープできないとしたら、何にしますか?

恐らくステレオ ディレイだな。私はディレイが好きなんだよ!ディレイは余白を埋めてくれるし、すぐそばに友がいるみたいに感じさせてくれる。それに私の沢山のミスを隠してくれるからね!(笑)

好みではないエフェクターはありますか?あなたが決して使わないものとか?

コンプレッサーは正しいセッティングであれば好きだが、私はライブで私の音を落とさないからね。それから私が決して使おうとしないものがある、デジタル ディストーションやアナログ リバーブだ。それ以外なら、フェイザーなどなら使うこともあるかも知れない。

私は何でも使うのだが、ディストーションとディレイペダルさえあれば、スティーブ・ヴァイはとてもハッピーなのさ。

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上のLegacy ドライブペダルを紹介する動画では先生がCarvinとの出会いからその後の開発に至るまでを楽しげに話してらっしゃいます。Legacy ドライブペダルに関しては上記のインタビューとほぼ同じ話です。

さて、ヴァイ先生の求めるギタートレモロシステムをおさらいしますと、

JEMと同様のアームダウン・アップができるが、たとえ弦が切れても、完璧に決してチューニングがずれず、弦交換やチューニング変更は道具不要で20秒で可能で、デジタル部品は一切使用しないもの。

となります。これを創ったら、きっと先生が使ってくれます。

さらにIbenezと開発中というギターはどこまでが本当でどこから冗談なんでしょうか?

トリプルネックで共鳴弦が張ってあって、スモークの噴射口もある

次のアルバム構想からするとトリプルネックはありそう。共鳴弦?スモークの噴射口?(汗)