Stay Together

Green (@ribbon_bear) が毎週好きな音楽ネタを語ります! Since 2011

スティーブ・ヴァイ 「時には1日に2時間半クローゼットで瞑想することもあった」

以前にブログ掲載したスティーブ・ヴァイのロングインタビューからPart2が先日公開されましたので、一部を和訳してみました。

先週掲載した Starmus での講演とセットで読むと、ヴァイ先生の思考の旅全体を理解できるような気がします。

===================================================

それではこの後は読者とファンからの質問です。あなたが最初に覚えた曲は何ですか?

アリス・クーパーの "Dead Babies" だ。シンプルなリフだし、私はアリス・クーパーの大ファンだからね。

音楽が言語のようだと、作曲は文学だと考える人が大勢いますが、あなたの作品はどう生み出されるのでしょう?

Vaistar2016芸術においてのクリエイティブなプロセスは人それぞれだ。なぜならインスピレーションは人によって違い、人は異なった審美眼に引寄せられるものだ。しかしながら全ての芸術家、そして人々に共通することが1つあると言っておこう。いかなる分野でも腕を磨いたり、優れたクリエーターになるには2つのレベルがあるということだ。

1つ目は腕を磨くために努力する期間だ。ミュージシャンであれば理論や仕組みを学び、聞いて構造を理解し、あるレベルまでテクニックを磨く練習を重ねなくてはならない。スポーツでも同様だ。ボールを1,000回打たなくてはならない。ビジネスであれば、業界の構造、仕組み、収益構造を理解する必要がある。どんな分野でもこれは当てはまる。でもやがてある時点でさらに集中力とその分野の学問的知識を自分のものにする能力が必要になる。何の分野であれ、自己のテクニックを向上させる能力は学んでいることにどれだけ真剣に向き合かによって自ずと決まる。

だがここで2つ目のレベルだ。クリエイティブな地点に到達しておきながら、学問的知識のみを使っても、新しく、新鮮で、ユニークで、刺激的で優れたことは出来ないのだ。使い古された番号を使いまわしているようなものなんだ。次なる次元にアクセスするには、創造的本能に辿り着くにはテクニックよりも深いレベルへ行かなくてはならない。

私はそうして作曲しているのだ。私には必要な音楽知識はあるが、音楽の本質においてはそれに頼らない。なぜならそれは知識ではない別のところから来なくてはならないのだ。私がこの優れたアイデアの源泉である静寂と現在の次元にアクセスする方法は、内なる自分に耳を傾けることだ。

私が曲を書くときは内なる自分からメロディを聞こうとする。どのコード上にどのスケールで弾くべきか私の指は知っているから、理論で何か作曲することはできる。ではファンも知っている私の曲 "For The Love Of God" で見てみよう。

ある日私はギターを手に取りコードを弾きながらメロディを口ずさんでいた。するとその瞬間、内なる自分からメロディが聞こえ、それを引き出したのだ。時にはメロディが浮かんでくるまで探さねばならないこともあるが、自分の内なる耳というのは適切な時が分かっているのだよ。

私がそのようなメロディを作曲する際には音楽理論は全く関係ない。私は何も考えず自分の頭に現れるメロディにただ耳を傾けるのだ。私の音楽知識は確かに有用だが、それほどではない。自分の中から聞こえるメロディと知識とは関係ないのだ。全ては内なる耳にあるのだよ。

ステージで大変な目にあったことはありますか?

DLR のライブ時、誰かが大きな花火、まるでダイナマイトみたいなものをステージに投げ、私の上方で火があがったので、背中から転んでしまったのさ。デイヴが私の上から覗き込んで「兄弟、おい!大丈夫か?」って言っていた。面白いのはそれが2回起こったからだよ。

Whitesnake でのライブパフォーマンスの時、雨が降っていて、トリプルネックのハート型ギターを持って後ろに下がっている時にモニターにつまずくいて転んだんだ。(あの重い)ギターが自分の上に落下して気を失ってしまった。気が付くと別のデイヴが私の上から覗き込んでいたのさ!この時はデヴィッド・カヴァーデイルで、彼はマイクを持っているのを忘れて「スティーヴン、ダーリン!スティーヴン、ダーリン!大丈夫か?」と言っていたんだよ。(笑)

音楽の道に進んでいなかったらどんな職業についていましたか?

分からないな、これ以外は考えたことがない。でも教えるのは好きだ。若い頃、高校の教員になろうと思ったし、それで幸せだと思った。高校時代の音楽教師はとても強力で私の人生を変えたからだ。私は建築も好きで、空間をデザインしてそれを造るのはいいね。でもギターを弾くことにはかえられないな。

ライブで曲を忘れてしまうことは?そんな時はどうするのですか?

もちろんある。まれだが、全くぼうっとしてしまうことはあるんだ。時にはそうなっているのに自分でも気付かず、バンドが(どうしようかと)私を見ていることもある。ショウの後で「スティーブ、最初のバースを抜かしてたよ」とか言われることも。でも回復できないほどのことはない。唯一、一番大変なのは弦が切れたとかの時だ。

スタッフはどれくらい早くそうした事態に対応してくれますか?

全員が私を見ているよ。モニター係は常に私を見ている。トーマスは私を周辺視野で見ているが、ギターをチューニングしたり準備したりもしなくちゃいけない。私はショウを通して何度もギターを換えるんだ、特定の曲に特定のギターを使いたいのでね。

メインギターはEVOとFLOなのだが、曲順によってEVO、FLOまたはEVOで2曲、FLOで2曲となったりする。チューニングの違う曲がいくつもあるのだよ。トーマスがずっと私を見ている必要はないが、注意している必要はある。時にはギターには関係なく何かが起こるから。

ファンの質問です。「瞑想は今もしていますか?あなたのスピリチュアルな体験を教えてください。"Dying For Your Love" は大変インパクトのある曲でした。この曲ではあなたのスピリチュアルな体験を歌詞にしたのですか?」

良い質問だ、この曲が質問に出てきたのに興奮しているよ。私の全作品の中でこの曲は最もパワフルな曲の1つだ。我々は皆人生をすごし、その意味を見出そうとしているものだ。私は20代始めの頃、とても多感な若者だった。私の20-21歳の頃は精神的にとても困難な時期だった。

しかしそのおかげで形而上学的理論に出会ったのだ。Bodhi Tree という素晴らしい本屋がハリウッドにあって、そこには信仰、霊性、ピラミッド、占星術、魔術などの魅力的な本が並んでいた。そこで私はとても安らげるものに出会ったのだ。その中には82年頃に読んだ「あるヨギの自叙伝」があって、そこから瞑想を少々学んだ。

その頃から瞑想を始め、これまでにいくつかの異なる瞑想の時期を経てきた。時には1日に2時間半クローゼットで瞑想することもあったし、今でも時々やっている。長年に渡って、何人ものインスピレーション豊かな人の著作に出会い、それによって私の知見は変容し、心に大きな平安を得ることができたが、それを話すには別の長いインタビューが必要になるだろう。

"Dying For Your Love" については、精神的なトラウマにひどく直面していた若い頃、答えが欲しくて、歌詞を聞けば分かるように、私は多くのことを試していたのだよ。断食をしていたが、それは別の理由もあった。私は異なる睡眠状況の実験もしていた。睡眠剥奪や様々な苦行をね。これらの苦行によって自分も知らなかった自分の強さを発見するためだった。

でもそれらをやってみて必要ではないと悟った。なぜなら真に精神的な次元というのは今ここにあるからだ。もがく必要はない、誰にでも手に入るのだ。我々自身が精神的な次元にいるのだよ、そのことに気が付いたのさ。あの曲を聞くとあれは懇願だと分かる。もし私が数々の苦行をやってこなければあの曲も生まれなかっただろう。