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スティーブ・ヴァイが選ぶ、衝撃を受けた10人のギタリスト

スティーブ・ヴァイがメディアのインタビューに応え、衝撃を受けた10人のギタリストを挙げました。
こういう質問には答えなさそうな印象があったので意外!早速内容を和訳してまとめてみました。

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とても難しい質問だ。聞かれる度に違う返答をするだろうな。時系列に考えてみよう。

1. ある9歳の少年

ここでは名前を挙げないが、ある9歳の少年だ。その少年がプレイしたのを見て、私とこの楽器との愛が始まったのさ。

彼は9歳で、私は6歳だった。あれは衝撃で、「よし、僕はこれがやりたい!」と思ったのさ。

(訳者ひとりごと:この話は初めて聞きました。10歳の頃アコーディオンを始めたのではなかったっけ?)

2. ジミー・ペイジ

あの少年と同様に影響されたのは、姉が Led Zeppelin II を買ってきて、"Heartbreaker" を聞いたとき、全てが変わった。だからジミー・ペイジが2番目だ。彼の作品のプロダクションの一部にも影響されたが、彼の完璧な演奏には圧倒された。ジミーは常に完璧なパートを心得ていて、その場の空気を捕らえているように感じたよ。

他にも素晴らしいと感じるギタープレイヤーはいたけれども、2次元に感じるのだ、パワフルではあるけれど。ジミーは常に3次元にいた。彼の1音、サウンドやパートには深みがあった。

彼は地球上に現れた最初のギター設計士で、今でもそうだ。彼が何を演奏していようとも、たとえ粗いパフォーマンスのときでも、私には美しいと感じる。彼のサウンドは新鮮さとインスピレーションを含んでいる。彼の作品にはインスパイアされる、それが私に言えることだ。

3. ジョー・サトリアーニ

私はジョーからギターレッスンを受け始めたのだが、他のギタープレイヤーのことはあまり知らなかった。彼には驚かされたよ、信じられないほど上手かった。私は多分12歳で彼は15歳だったと思う、なのに彼は "Heartbreaker" のソロが弾けたんだ!

ジョーを見ていて気付いたのは、彼が楽器に手を触れて弾いたものは全て、スケール練習でもメロディでも、聞こえてくるものは音楽だった。彼が弾くあらゆるものには優美さがあった。

ソロデビューアルバムやデイヴ・リー・ロスやフランク・ザッパと仕事をしたことで私の名前が次第に知られるようになった頃、なぜまだ世間はジョー・サトリアーニのことを知らないのかと不思議だった。当時のインタビューで「誰もジョー・サトリアーニの名前を知らないけれど、彼が世界一だ!」と話したものさ。

優れた者は自ずと頭角を現すという通りになったのだろう、ジョーが評価されて嬉しいよ。"Cryin'" は彼の曲で私の大のお気に入りなんだ。

4. カルロス・サンタナ

カルロスは私にとって偉大な人だ。"Europa" を聞いたとき、私の世界は文字通り「止まった」のだ。初めて聞いた、ギターが曲中で一貫してリードを取っていた曲の1つで、天使のように感じた。10億ドルの涙に浮かんでいるような美しく長いメロディ、そこでは全ての1音、あらゆる1呼吸に美しい意図が込められている。

彼のトーンにはすぐ気付く。PRSギターを Boogie アンプに繋ぐと心地よく温かみのある、あの中音域が得られるのさ。

先日、妻といたときにラジオのDJがサンタナの曲をサンプリングしていたんだ。「聞いたかい?これぞカルロス・サンタナだ!彼の指、フレージング、あの美しい丸いトーン・・・」と妻に語っていたよ。

5. ブライアン・メイ

初めて Queen を聞いたときはがくぜんとなった。神よ、あれはまるで空が開けたようだった。彼らの個性が群を抜いていたこと、Queen のようにエキゾチックで丹念な作品にほんの僅かでも近いものを誰も作れないというのは注目すべきだ。

ブライアンのトーンは直ぐにそれと分かる。彼はロックギター製作において、特別のマスターだ。だからこそ、彼の美しいハーモニーは絶品なんだ!

私はずっとギターサウンドブレンドしてきた、音楽的に、それだけをやってきた。しかし誰も彼に近づくことも出来ない。彼のタッチ、音の選択、音楽性、トーン、その全てにおいて。

ブライアンと知合うようになり、彼のパーソナリティがあの音楽には強く注ぎ込まれているのだと分かった。彼の演奏には気品すら感じられる。

6. アル・ディ・メオラ

若い頃、沢山のフュージョン プレイヤーの演奏を聴いたのだが、恐らく一番大きな影響を受けたのはアル・ディ・メオラだろう。

彼の音楽に出会った頃の私は若くて、驚異的な名手たちの演奏を聞いたら、もう圧倒されてしまった。不可能だと思っていたことを彼らはやってのけたのだ!アルのトーン、スピード、技術は信じがたいものだったよ。

1981年にNYのプラザホテルでザッパのショウをやっていたのだが、フランクが私たちとジャムろうとアルを招いたんだ。彼はやってくると、ギターケースを開き、黒い Les Paul を取り出すと Marshall ヘッドに繋ぎ、演奏を始めた。私たちは皆大きなショックを受けたよ。まるで高速のマシンガンのようで、弾丸は全てゴールドだったのさ、ハハ!

Friday Night In San Francisco の彼とジョン・マクラフリンパコ・デ・ルシアを聞くと、彼らは完全なモンスターだよ。私たちは皆、あんな風にピッキングできたらと思うだろう?

7. アラン・ホールズワース

私は「最高のギタープレイヤー」という言葉にはめったに同意しない。あまりに主観的なものを最高というカテゴリーに入れるのは節度がない。しかし、もし誰か1人を選ばねばならないとしたら、アラン・ホールズワースを選ぶ。

彼は今だ判明していない点においてユニークだ。多くのミュージシャンは彼らの時代よりも進んでいると考えられるが、多くの場合そうではないのだ。その時代において彼らの多くは他者から抜きん出ているのだ。

例えば、ジミ・ヘンドリックスは彼の時代よりも進んではいなかった。彼は彼の時代に完璧で、同時代の誰よりも抜きん出ていた。アラン・ホールズワースは明らかに彼の時代よりも進んでいた。なぜなら、彼がいかに優れているのかを理解するのは難しく、実際に理解できる人は多くない。時代よりも進んでいる人に追いつくには時間がかかるのだ。

これから100年経って、人々がまだギターを聞いていたとして-私はそれを疑っているのだが、彼がいわゆる「選ばれし者」として選定されていても、私は驚かないだろう。

彼がトーンスケールの全てを使う様はまるで赤子の手を捻るようだ。彼にとってはとても簡単なことなのだ。彼の思考プロセスは驚異的だ。どのようなギタープレイヤーの演奏を聞いても私には彼らが何をしているのかは分かる-私にプレイできないとしても、私の心の目で見ることができるのだ。しかし、私にはホールズワースが何をしていたのか全く分からないのだよ。

8. エドワード・ヴァン・ヘイレン

次にシーンに登場したのがエドワードだ。誰もが彼に圧倒された。彼のプレイは単純明快だが、ブライアン・メイと同様に多くのパーソナリティが込められている。彼は他の誰とも異なる耳を持っている。彼のトーンは彼の頭で起こっていることの反映なのだ。

私には分かっていた。なぜなら私がレコーディングしているところに彼が一度やってきたからだ。彼は私のギターを私のエフェクトを通し、私のアンプで私のスタジオで弾いたのだが、それは紛れも無いエドワードの音だった。私にとって、それは飾らない曲、彼の美しいリズムプレイだ。アティテュード、クランチ、インテグリティ、凄腕の完璧なバランスだ。

もし、エレキギターに最大のインパクトを与えたミュージシャンが2人いるとしたら、彼とヘンドリックスだろう。彼らは大変革をもたらした稀な人物だ。楽器への異なるアプローチをしつつも、人々に取り入れやすく、刺激を与え、効果的だった。私たちに浸透したのさ、簡単に言えばそれがエドワードだ。

9. イングヴェイ・マルムスティーン

彼が登場したとき、誰も可能だと思わなかったことを彼はやってのけた。彼はそうやって競争のレベルを高めたのだ、君が速弾きを好む好まないに関わらず、あれは目を見張るものがあった。究極の衝撃だよ。

私がイングヴェイの好きなところは、彼の断固とした自信とスタイルを発展させたところだ。クラシカルな作曲家たちは、ウリ・ジョン・ロートやリッチー・ブラックモアも同様で、新たな音楽スタイルのジャンルを作った。私は必ずしもああいったルネッサンスバロック・クラシック スタイルのファンではないけれど、イングヴェイがシーンに登場し、彼がギターにもたらした息をのむ素晴らしさを否定することはできない。

彼とはもう30年も良い友人で、Generation Axe では一緒にツアーをした。彼がとても神経を使うのはサウンドチェックなのだが、そこでは時折彼が違うプレイをするんだ。いくつものブルースを弾いて私に衝撃を与えるんだ。「ワォ、聞いたこともないようなことをブルースでやれるんだな!」となるよ。

(彼のブルースは)徐々に習得したのだろうが、スティーヴィ・レイ・ヴォーンでさえ人によっては習得したプレイと思われるのだ。イングヴェイのブルースは他の誰とも違うものだ。彼の美しく、スローでメロディックなプレイにゴージャスなビブラートが加わると驚異的なのさ。私たちは Black Star を共にプレイしたけれど、あれは毎晩のお楽しみだったよ。

10. トシン・アバシ

今現在、大きな価値あるものを創造しているのは Animals As Leaders のトシン・アバシだと思う。Generation Axe でも一緒だった。私が本当に好きな様々な音楽的要素を融合したプレイをする稀なプレイヤーの1人だ。

今だ驚異的な速弾きに魅力を感じているギタリストの地下ムーブメントというのがあって、そのレベルは私の理解を超えるほどなのだよ。聞いてみると、魅力的ではあるのだが、私が聞きたいと思うほど音楽的ではない。私は意外性のあることが好きで、それはトシンが素晴らしく上手いのだが、過去に聞いたことが無いと思わせるグルーヴを創りだし、巧みな技と通常は耳にしない美しいビッグなコードを聞かせるんだ。

それに彼はこういったコードを8弦ギターで鳴らすので、さらに型破りだ。その音楽はコードにメロディがあり、極上としか言いようが無い。

彼のリズム感覚はユニークで、普通の4拍子や変拍子がベースではないのだ。互いの中に多拍子システムが動いている。見つけるのは難しいが、それらが非常にユニークな感覚を作っているのだ。

彼は希少な才能だ、それに彼のプレイときたら、最高だよ!

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この10人にトシン、イングヴェイが入っていて、ザッパが入っていないのには驚きました。始めに言っていたように、聞かれるたびに違う答えになるのかも知れませんね。そしてヴァイ先生のアラン・ホールズワース評は深い。さすがのコメントです。また先生は100年後にはギター音楽がなくなっていると思っているようですね。むむむ・・・