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ジョー・サトリアーニ 「インスト音楽というのは歌詞の入った音楽を超えなくてはならない」

ニューアルバム What Happens Next を来年1月にリリースするジョー・サトリアーニが去る10月6日(現地時間)にFBでライブチャットを行いました。本当は恥ずかしがりと公言するサッチは部屋の中なのにサングラス&フード姿で登場。パソコンの前でギターを弾いたり、1人でFB上のファンの質問に1時間に渡り答えました。

その中から興味深い内容を取り出して概要を和訳してみました。

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ニューアルバムのバンドになぜグレン・ヒューズとチャド・スミスを選んだのですか?

グレンは素晴らしいんだ。彼は常に100%ミュージック脳をしていて、最高のソングライターでシンガーだ。彼は素晴らしいバンドでプレイしたキャリアがあるけれど、彼のベースプレイはとても過小評価されていると思うんだ。実はベースプレイヤーとしても素晴らしい。

いつも彼と仕事をしてみたいと思っていたのだけど、1度だけそのチャンスがあった。Marshall の50周年記念ライブで "Smoke On The Water" をやった時にステージで一緒になったんだ。素晴らしかったよ。

今回のアルバムにチャドの参加が決まってからグレンに参加してもらえないかと思ったんだよ。チャドとグレンは何枚かアルバムで共演しているからね。そういうスタジオとステージでの共演歴がある2人がリズムセクションになってくれたらクールだと思ったんだ。

それでメールを送ったら、直ぐに了承してくれたよ。面白いのは、これがグレンにとって初めて歌わない参加アルバムになるってことさ。初めてのインストアルバムなんだ。

スタジオで演奏していたら、グレンは私の書いたメロディの上でスキャットで歌っていたんだ。思わずグレンが何を歌っているのかメモに書き残したよ!それでレコーディングの間に「さっきのスキャット良かったよ!それをベースでプレイしてもらえる?」と言うと、彼は直ぐにベースで弾いてくれた、まるで彼がベースで歌っているみたいなんだ。素晴らしいよ!一緒に仕事ができてとても楽しかった。

ライブ用のセッティングについて大切なことは何ですか?

自分のプレイをインスパイアするようなセッティングをすることだ。会場にいるオーディエンスはその場所によってそれぞれ違うミックスに聞こえるから、全員を納得させられるようなセッティングにはできない。だから、自分がプレイしてゾーンに入れるようなセッティングにするんだ。オーディエンスにはこちらのプレイの質が伝わるんだよ。

カルロス・サンタナとのG3の可能性は?

彼のことは何度も誘っているんだよ。参加してくれたらいいのだけど。今度のアルバムにも彼の影響が現れているからぜひ聞いてみてくれ。

今のプレイスタイルを選んだ理由は?

選ぶも何もこれが私なんだ。私は元々はバンドでプレイしていたけれど、偶然インストのアルバムを出して、Surfing アルバムのヒットでこうしてやっている。でも一発大ヒットを出した曲がそのミュージシャンの本来の姿とは違う音楽でそれにキャリアが食われてしまうのとは違って、あのアルバムは私自身を映し出した完璧なアルバムで今でもプレイしていて楽しいんだ。

80年代後半、Surfing アルバムを作るなんて最悪の類の話だった。流行の音楽とは違っていたから。でもだからこそ人の話を聞かずに、自分の夢を追い、自分のビジョンを貫くことが大切なんだ。

ギターテクニックについて最高のアドバイスは何ですか?

ウォームアップは大切だ。それから最高なのは偉大なるトニー・レニスターノからのアドバイス「自分が弾きたいと思う音だけをプレイしろ」だ。これは人生を通じて追求する教えだな。(訳者注:この当時の詳しいお話はこちらで)

あなたの曲のバッキングトラックをリリースする予定はありませんか?

ないよ!よく聞かれるんだ。でもそれは私のお気に入りだから自分だけにとっておくよ。

スティーブ・ヴァイはリリースしたよね。あの時、彼におかしな匿名メールを送ったんだ。「親愛なるミスター・ヴァイ、ネイキッド・トラックスをリリースしてくれてありがとうございます。メロディとソロをずっと上手くレコーディングしました。これを私の次のソロアルバムとしてリリースしようと思います。ありがとうございました。サッチモより」とか何とかってね。ただのジョークだけど、この件では彼と大笑いしたんだ。こういうのを出したら、上から録音されてリリースされるんじゃないかって。

曲に対するアイデアは作曲時とライブ時では変わりますか?

ライブの時は作曲時の元々のイメージを呼び込もうとするんだ。そうして元のインスピレーションを身体に満たしてプレイしようとする。全ての感覚は指と心だけになってしまうから、弾き終わると知覚が抜けてしまって、自分がどこにいるのか次は何なのかも分からなくなったりする。プロらしくそういう感覚に頼らないようにしようとは思うけど、なかなかできないね。

プレイするのが一番難しいのはどのソロですか?

難しいのはソロがということではなくて、ライブで2時間半、曲を次々とプレイすることが大変なんだよ。レコーディングではソロを録音するのは他のパートをやってから何ヶ月も経っていたりして、十分に考える時間があるし、完璧なギターやアンプも揃ってる。しっかり練習できるし、何度でもやり直しができる。

弾くという意味ではバラードが難しいな。"Crying" のような曲ではオーディエンスの頭の中にレコーディングのバージョンのイメージがあってそれに感情的に結びついているから、それを壊さないようにしなくてはいけないところもあるから難しいよ。

弦のゲージは何を使っていますか?

ずっと 9-42 だったけれど、Chickenfoot で半音下げチューニングをするので 10-46 にした。

いいメロディの作り方は?

音を減らすんだ。私はリズムトラックをレコーディングする時は、自分でメロディを口ずさむようにしている。自分で歌えるくらいのギターにするんだよ。少し空間をあけて、ライブで何か出来るようにするのもいいね。

キャリアを振り返って何か変えたいことはありますか?

あまり心配しないことだよ。起こっていないことを心配するよりも、自分がコントロールできるものに集中するんだ。

2018年のツアーバンドはどうなりますか?

まだ分からないよ。来週に今のバンド、マイク、マルコ、ブライアンとショウをやるのだけど、それが終わったら来年のバンドについて考えるよ。決めたら皆に知らせるから。

メロディが素晴らしいです、頭の中に歌詞があったりするのですか?

いい質問だね。誰かが歌っているように聞こえるものもあるだろう。でも私のつたない歌詞でリスナーの感情を害したくないからね。私の中に特定の歌詞はないけれど、誰かが歌っているようなメロディを書いている。

けれど1つのボーカルラインに捕らわれると残りのメロディの作曲に影響が出てしまう。あまりに美しい歌詞が浮かんだのならシンガーを雇うべきだ。インスト音楽というのは究極的には歌詞の入った音楽を超えなくてはならないと思うんだ。何かそれ以上のものを持っていなくてはいけない。

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どれくらい練習すれば良いですか?

毎日だよ!10分でもいいから毎日練習するんだ!そうやって筋肉に記憶させるんだよ。

ネットにはスケールやらモードのあらゆる情報があふれている。15~20くらいを学んで弾いてみて、自分の意見を持つといい。そしてそこから選べばいい、それが自分のスタイルになるんだ。それがフリジアンドミナントでもいいし、フリジアンでもいい。そういうのではなくてマイナーペンタトニックがいいと思うかも知れないし、それよりももっと音数が少なくたっていいんだ。

Chickenfoot の新曲は期待できますか?

サミーが歌詞を私に送り始めてくれたんだ。だから来年にはいい感触を持っているよ。ライブは分からないけれど。

(訳者注:先日サミー・ヘイガーが語っていましたが、来年の6月にサッチがツアーを終えて、Chickenfoot の皆が揃えばニューアルバムのレコーディングをするそうです。サッチのG3ツアーは来年4月まで告知されていますので、6月までというともしやアジアツアーがある?サッチのニューアルバムのツアーはいつから?)

Deep Purple でもっとプレイしたかったですか?

もし可能ならしたと思う。彼らは特定の状況下で私のソロキャリアをレンタルしたようなものだから。彼らはリッチー・ブラックモアの代わりにバンドに100%貢献できる人を求めていたから、私にはそれが難しかった。ティーヴ・モースがいてくれて良かったよ。彼は天才だから。