先週に続いて、3月に来日公演を行ったキップ・ウィンガーの FOLLOW-UP 4月号掲載インタビュー完全版 Part 2 です。後半ではバンド音楽への熱い想いをキップが語ってくれました。限られた取材時間はあっという間に終わってしまったのですが、キップは後日メールでも質問への回答をくれました!
Follow-Up 4月号を入手していない方はデジタル版がこちらにアップされています。お近くの配布設置場所でまだ手に入れば紙ベースでもぜひ入手してください。
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数年前にロッドがインタビューで話しているのを聞いたのですが、彼は「Wingerは実のところフュージョンバンドなんだ」と言っていました。あなたはどう思いますか?そしてあなた自身は Wingerというバンドをどう定義しますか?
ロッドはフュージョン・プレイヤーだし、レブもそうだ。彼は今ソロアルバムを作っていて、それはもう殆ど仕上がっているんだけど、それを聴けば彼が基本的にはフュージョン野郎だってことがわかるよ。だから俺たちが集まると普通のロックバンド以上のものになるんだろうね。
俺が書く曲というのは複雑なんだよ。Dixie Dregs程ではないけれど、L.A. Gunsよりは複雑だ。そのどこか中間なんだろうな。Queensrycheみたいな感じかな。でも実際には俺たちの音楽は彼らよりずっと難しいことをやっていたりするんだ。俺は彼らが好きだから悪い意味はないからね。
Wingerの音楽というのは表面上に聴こえるサウンドの裏で、実はとても難しいことをやっているんだ。フュージョンってのはいろんな要素が合わさってできているものだから、俺たちの音楽はそういうものだと思うね。確かに俺たちは80年代のバンドがやっていないような音楽をやっている。俺たちの音楽をプレイできるバンドはそう多くはないんだ。もちろんそれが良いとか悪いとかいうことではない。ただ俺たちはそういうことをやっているということさ。
『Better Days Comin’』は半分レブ、半分あなたのアルバム、『Karma』はレブ・ビーチアルバム、『IV』はあなたのアルバムという印象を受けます。私が一番好きなアルバムは『IV』で、全てのWingerの曲の中で一番好きな曲は“M16”です。
“M16”は俺が夢で見て書いた曲だ。(イントロのリフを歌い始めるキップ、この後も曲の説明をしながらリフを沢山歌ってくれました) あのリフを夢で聴いて、朝、目が覚めてから一気に書き上げたんだ。
あのリフはレブのアイデアかと思っていました。
あれは俺なんだよ。皆はあれを俺が書いたとは知らないけど。俺たちが曲を作る時はこうなんだ。俺とレブが座って、俺がドラムビートをかけて、レブがリフを弾いて、俺はコードチェンジやリフを書く。いい例が“Seventeen”だな。冒頭のリフはレブだ。ギターソロの後にくるリフは俺が書いた。俺は兄貴たちとやっていたロックバンドでずっとリフを書いて育ってきたんだよ。
まさに “Seventeen”はレブとのコラボレーションなんだ。でも 『IV』の曲は殆ど全てが俺の頭の中に聴こえていたサウンドなんだ。もちろんレブはいつも通り彼のやる仕事をしているけどね。『Karma』も同様さ。“Pull Me Under”がいい例だ。これは俺が全てのコードチェンジを書いた。レブがリフを書いていたんだけど、それが酷くて「レブ!これはクソだ!俺たちにはもっとクールなリフが要るんだぞ!」って言ってやったら、レブは「クソだよな、分かってる!こんなのが要るんだろ?」ってあれを弾いたんだ。そして俺がコード進行を書いたのさ。
“Better Days Comin”も同様だ。“Be Who You Are Now” なんかは違う。ジョンとも何曲か作った。俺とレブではないライティングでどんな曲ができるかと思ったのさ。その結果、俺のソロ曲に近いサウンドになったと思う。“Ever Wonder”も俺が書いた。ソロ曲になってもいいような曲だ。『Karma』 の “Always Within Me”(曲名を思い出すためにキップ歌いだす)あれも俺のソロ曲でもおかしくない。
まあ、全ての曲はさっき話したような方法で書いているんだよ。そこからいい曲を選んでいくのさ、レブの曲っぽく聴こえるのもあれば、俺っぽい曲もある。大切なのは高いクオリティを保つことさ。でも 『IV』は違うんだ。あの時の俺は、このバンドの将来はプログレッシヴ路線だと思った。だからああいうダークでヘヴィな音楽になったのさ。でも殆ど誰も気に入ってくれなかったんだよ…
私は大好きですよ!では、あなたの一番好きなWingerのアルバムはどれですか?
『Pull』を脇に置いておくけど、俺がどういうミュージシャンなのかを最も表しているのは やっぱり『IV』だと思う。そしてWingerというバンドを最も表現するアルバムを選ぶとしたら、それも『IV』だ。ロッドが言うWingerがフュージョンバンドだと言うのも、まさにこのアルバムに表れている。これにはとても複雑な音楽が詰まっているんだ。
そしてこれを聞かなくてはなりません。2014年11月のクラブチッタでのライブを録音、録画しましたよね。ずっと作品化を待っているのですけど、いつリリースしてくれるのでしょうか?
あ~、…ずっとやろうとは思っているんだけど、忙しくてね。それに録音していたレコーダーが途中で止まってしまって、7曲も録音できなかったんだ。それで前日の録音をあたったりして、何とか繋げようとしてはみたんだけど、時間がなくてね…。いつかやるから。
もしDVDやCDでリリースしないのであれば、バンドオフィシャルのYouTubeに動画か音源を上げて下さい!日本のファンはあれが観たいんです!
わかった。どうにかしよう。あの夜は良かったよな。2ndアルバムを全曲プレイしたし。
次回はいつWingerで日本に戻って来てくれますか?
わからない。俺のプランではニューアルバムを2019年に出そうと思っている。でもデヴィッド・カヴァーデイルの予定を確認しなくちゃいけない。Whitesnakeがどんな予定なのかわからないから。俺たちはできるだけ早く戻って来たいけれど。
最後に。もしWingerがBon Joviのような成功を収めていたら、それでもあなたはクラシック作曲の道を進みましたか?
もちろんさ。俺は自分が何をしたいのか16歳の時からわかっていたから、自分が選択してきた音楽の道は変わりようがない。もっと金持ちになっていたかどうかの違いだけだ。オーケストラが俺の曲を演奏するのに金を払うとは思ってもいなかった。
うーん…何て言ったらいいだろう… 俺は根っからの忠実な音楽学習者なんだ。それが俺にとって一番重要なことなんだよ。音楽の仕組みを解明すること。俺は音楽を勉強して優れた音楽家になりたいんだ。
最後に適切な言葉を選ぼうとしばし考えたキップが静かに発した「俺は根っからの忠実な音楽学習者なんだ」の言葉に、彼という音楽家の本質を見た気がしました。80年代の華やかなロックシーンに登場してからの浮き沈みを経て、歳を重ねるにつれて才能を昇華させ、進化しているキップの新作が楽しみです。(FOLLOW-UP 掲載記事はここまで)
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興奮冷めやらぬ中、あっという間に終わってしまったインタビュー。もっと訊きたいことがあるのに…と焦っていた私を見て、「メールしてくれれば答えるよ」と丁寧に連絡先までメモしてくれたキップには感涙です。
その厚意に甘えて、後日メールで追加質問をしたところ、回答をくれました。忙しい時間を割いての1問1答の短い回答は以下のとおりです。
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グラミー賞にノミノートされましたが、受賞すること以外に何か次の目標はありますか?
俺は自分の音楽ついて、結果に何かを期待したりはしないんだ。そういうことを考えると作曲の自然なインスピレーションの妨げになってしまうから。
ミュージカル Get Jack がワークショップの段階に進むそうですね。あなたは作曲で益々忙しくなるのでしょうか?(Get Jack は既にワークショップの段階に入りましたが、回答をもらったのはその前段階でした)
まだワークショップの段階ではないんだ。60時間の台本読み合わせをやって、うまくいけばワークショップだ。曲の手直しなどで大変な作業量になるけれど、大好きな仕事さ。
あなたの音楽キャリアを変えたメンターはいますか?あなたはどんな影響を受けましたか?
何人かいる。俺は自分よりも知識があって、俺の人生の困難な目標を達成するために導いてくれるメンターを探すようにしているんだ。彼らは皆、自らの経験に対する見識を授けてくれた。彼らの経験から学び、それを俺の人生に活かす方法を学んだよ。
あなたの美しい12弦の Alvarez-Yairi ギターが好きです。なぜこれを選んだのですか?ポール・マッカートニーが使っていたからですか?このギターについて教えてください。
マッカートニーが Yairi を使っていたとは知らなかったよ、素晴らしいね!これはもう25年使っていて、俺の分身だよ。サンタフェの知人にペイントをしてもらって、95年からずっと俺のメインギターなんだ。
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私のキップ・ウィンガーへの初インタビューは以上で終了です。2週続けて読んでくださった方、 FOLLOW-UP 4月号を入手して読んでくださった方、FOLLOW-UP 編集部さま、ありがとうございました。