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Green (@ribbon_bear) が毎週好きな音楽ネタを語ります! Since 2011

スティーブ・ヴァイ 「誰かと競わねばならないと思うのは、自分がやっていることに自信がないときだけだ」

新年明けましておめでとうございます。今年も当ブログをよろしくお願いします。(^-^*)

昨年 Generation Axe 北米ツアーを行っていたスティーブ・ヴァイがメディアのインタビューに応えました。Generation Axe メンバー全員について語っている内容が興味深く、楽しかったので概要を和訳しました。

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Ga_alb_vy_2このツアーはG3の様ですけど、更に凄いですね。

G3ツアーをやるのは好きだけど、これは少々異なる形式なんだ。G3では各アーティストが自分のバンドを連れてきて、セッティングや、セットを引き上げる時間が3回あるんだ。そして最後にビッグなジャムがあって、これはいつも楽しい。その形式も良いのだが、Generation Axe ではもう少し統合したものにしたかった。

各自が自分のセットをプレイするが、何しろ5人いるんだ!だから全員が同じバンドをシェアするから、繋ぎ目のない流れになる。ミュージシャンはよりショウに一体化されるんだ。ステージへの登場は様々な組み合わせで行われる。オーケストレーションされ、アレンジされたパートをプレイするが、たっぷりジャムもある。とても上手く行っているよ。

1週間ほど前から "Bohemian Rhapsody" のインストゥルメンタル・カバーをプレイするようになったんだ。これが実に素晴らしくてね、全てギターでプレイする。我々5人それぞれがフレディのボーカルラインの一部をプレイするんだ。期待を上回る結果になったよ。

このツアーの凄いところは皆がそれぞれ自分のプレイをするのと同時に、皆が様々なバンドでプレイしていて、ロックギターの神を演じるのとミュージシャンとしてプレイすることの違いが分かっていることです。

我々皆が豊かで様々な経歴を持っている。若いトシンを除けば、我々はもう何十年もツアーをやってきた。私はもう40年にもなる。だから、このようなツアーというのは恵みだよ、私たちには朝飯前だ。多くの責任を伴う自分のソロツアーではないんだ。そこではショウを通して演奏し、ビジネスとも向き合わなくてはならない。自分がボスだからね。

これは全く違うんだ、バンドだよ。高校生でバンドの一員だと感じたとき以来初めての気持ちだ。私のフランク、デイヴ・リー・ロス、Whitesnake の時代はもちろん大好きさ、バンドの一部なんだから。でもこれは違うんだよ。全てを仕切るボスはいないんだ。皆が持ち寄った才能をクリエイティブに活かして力を合わせるんだ。

お互いのパフォーマンスはどれくらい見物し合うのですか?ステージを観ていて、思わず参加してしまうこともあるのでしょうか?それとも筋書きはもっときっちりしているのですか?

とんでもなくカオスになることもあるけどね(笑)。私のセットでは3曲やるのだが、全て即興プレイの入った曲だ。ザックは "War Pigs" を18分プレイする。凄い力の入れようだよ、ただ出て行って弾きまくるんだからね。そういったフリーなプレイはたっぷりあるが、我々が揃って立ち、"Hocus Pocus" や "Bohemian Rhapsody"、"Frankenstein"、"Burn" なんかをプレイするときには、全てアレンジされているんだ。そうしなければカオスだからね。

ザックが超長い "War Pigs" をプレイしたり、ザックとヌーノがリックを交換していると、突然スティーブ・ヴァイが出てくるなんて、80年代に夢に見たことですよ!

実に楽しいよ。さっき言ったように、彼らはとてもクリエイティブなんだ。ヌーノはとても創造的で、直観力がある。彼はときに大胆なアイデアを投げかける。実にオープンなアイデアを共有する状況だ。我々は互いをサポートし、互いを批評する。なぜなら、誰かがどんどん上達していけば、結果的に全員の助けになることが分かっているからだ。私たちの多くは何年にもわたって1人でツアーをやってきたのだから、何か違うことを試すときなんだ。

ステージでは何がしかの競い合う要素というのは展開していると思いますが、これはそれ以上にずっと楽しいものになっていますね。

競争というのは可笑しな言葉だ。誰かと競わねばならないと思うのは、自分がやっていることに自信がないときだけだ。重量上げの重さを競ったり、タッチダウンの数を競うスポーツとは違うんだ。

オーディエンスは多様で、時には非常に偏向している。彼らは誰かが他のアーティストよりも好きなんだよ、それで構わない。我々にはそれが分かっている。競争というならば、Generation Axe では自分と競う気持ちにさせるだろう。

ここにいる誰もが強烈な個性を持ち、自らのプレイに自信を持っている。ゆえに彼らが最高のパフォーマンスを発揮し、普段ではあり得ないことをしているのを観ることで、自分自身が刺激を受けるのだ。彼らの誰を観ていても刺激を受け、一層優れた自分を出そうとする。彼らそれぞれから異なった刺激を受け、それら全てを私のプレイに活かす。突然ハーモニックマイナー・スケールをプレイしたり、ザックのペンタトニックを弾き始めるのではなく、私は私のプレイをするのだ。彼らの力やスキル、特別のテクニックというのは実に刺激的だ。

ファンとしての質問ですが、なぜあなたがこのショウのトリを務めないのですか?

このショウは誰がヘッドライナーかという類のものではないと考えている。始めたときには、私が最後だったが、変えることにしたんだよ。なぜなら、イングヴェイのセットはとても強烈で、ショウの流れを考えたとき、私が前にプレイした方が良いと思ったのだ。イングヴェイのセットが終わるとオーディエンスはすっかり捕らわれてしまうから。もし私が彼に頼めば、例え1番手だとしても彼は気にしない。ライブでは彼のセットの後、私たち全員がステージに戻るから、私の出番は一番の場所だよ!

イングヴェイはあなたたちと"Bohemian Rhapsody" をプレイするんですよね?

最初、彼は自分自身をコントロールできないのではないかと懸念していたんだ。でも私たち4人がリハーサルを始めると、彼は私のところにきて「これは凄い!分かったよ、俺も入れてくれ」と言ったので、「良かったよ、君の分のパートもあるから」と言ったのさ。きっちり合わせるため、随分と練習したよ。素晴らしいものになった。

偉大なギタリストたちを観て欲しくて息子を連れて行ったのですが、彼だけがトシン・アバシを知っていたんです。トシンには圧倒されました。普通のギタープレイとは違います。

全くね。トシンは頭角を現してきた新スタイルのギタープレイヤーの1人だ。

エレキギターのプレイというのは現在のシーンで人気のものではありませんが、ギターの灯を次の世代につなげる不安はありますか?

私は何も心配などしていない。流行りというのは常にやってきては去るものだ。流行を追い始めれば、自分の可能性を捨て、自分自身を偽ることになる。シーンに適合してラジオで自分の音楽を掛けたいとしても、それはこの人生での私の使命ではない。私の使命は私がやってきたことを続けることで、それで私は心から幸せだし、そうできることを有難く思っている。

私のアイデアというのはトレンドや今流行っているものといった何か自分以外のものに頼ったものではない。私は自分で生み出すのだ。それでも、ある種の私に忠実なオーディエンスを得ることが出来、おかげで生活できるというのは実に幸せだと思う。

友人とあなたのようなギタリストが登場しないのはなぜだと話していたのですが、トシンのことを知っているべきでした。

実は非常に多くの優れたギタープレイヤーがいる。そしてギターという楽器の進化を見たいというのなら、トシンやガスリー・ゴーバンがいる。彼らは実に優れたことをしている。そしてアンダーグラウンドのムーブメントとしてはシュレッダーたちがいて、ただもう驚くばかりさ。

だからギタープレイヤーたちは存在していて、絶滅などしない。冒険に満ち溢れている。ギターというのは廃れてしまうには、余りにもクールな楽器なのだ。やがて変化するだろう。大衆音楽で他の時代よりも使用されるときが来る。私は全く懸念していない。

トシンについてはどう思いますか?

トシンはまるで新鮮な空気さ。彼は多面的なんだよ、多方面での技量がある。とは言え、彼の音楽はだんだんと好きになったんだ。それを発見するのはとても素晴らしい体験だ。心に響くものだよ。

ヌーノについてはどうですか?ギター・コミュニティでは高い評価がありますが、一般の世界では彼は過小評価されていますね。

その通りだ。彼は過小評価されている。彼のテクニックは完璧だ。彼のプレイはまるで高速マシンガン発射のようだが、そこで興味深いことをするんだ。彼のセットでやるメドレー(Extreme の楽曲からクールなヌーノのギタープレイをメドレーにしたもの)はロックという語彙の中で行われる類まれなギタープレイ表現だよ。ヌーノには多くの才能がある。彼は実に直感的で創造的で芸術的なんだよ。それでいて彼は面白くて、強く、彼と話すとその話題に対して情熱的だ。彼とバブルガムの話を始めると、最後にはサハラ砂漠を買わされるはめになるんだ。

ザックについてはどうですか?

ザックはずば抜けている。彼の持久力に敵うものはいない!自分の仕事に対し、献身的で集中しているんだ、皆と同様にね。彼のプレイを観るのは大好きなんだ、彼はトランス状態に入るから。彼はひたすら弾く、そして時折、彼のプレイから飛び出すものは、ある種幅広い音楽理論を理解しようとする彼の情熱の一部なのだ。

彼は驚異的で際立っているのさ、それにとても面白い男だ。彼と過ごすのは驚きで一杯だよ。とても真剣な男だが、とてつもなく愛らしい男でもある。時には彼が言うことを解読できなくちゃならないんだ、彼の表現は強烈だから。幸いなことに私もやり方を学んだよ。

ザックの話し方を覚えたんですか!それではマエストロ、イングヴェイはどうですか?長年の知合いですよね。

イングヴェイとは30年来のつきあいだ、長いんだよ。彼がシーンに登場したとき、私たちは皆、唖然となった。彼は競争基準を上げたんだよ。メディアの彼の記事を読むと、彼は気難しい男という印象を持つだろう。だが、彼と知り合うと素晴らしいのさ。彼はとても賢く、プロ意識が高い。彼がOKと了承する要求は数少ないんだ、その要求は着実に実行し、敬意を持たなくてはならない。

彼は本当に面白いのさ。何の隠し事もない、気を許した人たちとのツアーをすれば、互いを親密に知合い、お互いに大好きになるのさ。共にプレイするのも好きだ。私にとってここでの共演のハイライトの1つは "Black Star" を共演するときだ。ギタープレイヤーとしてのイングヴェイは個性的なんだ。彼のスタイルのプレイにおいて、彼は孤高の存在だ。彼は一切の言い訳をしない、一切の妥協をしない、彼は驚くほど自信に満ちている。

彼は既に成し終えた同じことをやっているという人もいる。しかし、そんなことは構わないのだ。あれは彼独自の技で、観ていて気持ち良い。なぜなら、彼がやっていることをやる者などいないのだから。あれはとてもユニークで他にない。時には彼のプレイを4インチの距離から見ながら、「いったい何をやってるんだ?」と思うよ。(笑)

我々オーディエンスは全く同じことをあなたについて思っているのですよ。スティーブ・ヴァイについてはどう思いますか?

自分を客観的に理解するのは難しいものだ。私の強みの1つは奇妙さだと言えるだろう。私は音楽を学んできたが変わり者なんだよ。私はギターでちょっとした風変りなことをするが、全ての音を大切にしている。そうせずにはいられないんだ。それは常に私が取り組んできたことで、一音一音には私の意志が込められている。単に音楽における異なる側面を私が提示したのだと思う…他の人に訊いた方がいいだろう。

レコーディングの話がありますね。何をしているのですか?

2017年のアジアツアーでは約7つのショウを録音したんだ。私が編集し、ミックスした。マスターも終わり、リリースの準備ができた。今は契約をまとめているところで、2019年の第一四半期にリリースできればと思っている。ライブアルバムは Generation Axe のそれぞれの面を捉えていて、ギタープレイヤーは楽しめるだろう。何しろ統制の取れたカオスだからね。

それに今回の Generation Axe ツアーは全てのショウを録音していて、2枚目のライブアルバムに十分な異なる素材があるから、恐らく2020年にリリースできるだろう。このツアーは楽しいんだ、隠し玉みたいなものだよ。私たちにはそれぞれ個別のバンドやソロのキャリアがあるが、それらを休んで友人と楽しむ機会なんだよ。

あなたの次の予定は何ですか?

2018年は素晴らしい年だった。いろいろとクールなことを達成できたが、1月1日がきたら、私は身を潜めてスタジオに当面籠り、私が成し得る最高のギターアルバムを制作するつもりだ。私のアルバムの多くは濃密で、構造的だが、ギターで出来る私の最高のプレイに集中するつもりだ。

どういうことですか?

進歩する方法というのは、自分がやっていることとは何か違うことを自分がやっている姿を視覚化することだ。この1年半、私は自分が特定のプレイでパフォーマンスしている姿を想像しているのだ。それは私が今やっているプレイよりも言わば一層進化しているものだ。私にはその姿が見えるのだよ、まだ今はできないけれど。音も聞こえるし、姿も見える。それを頭の中でずっと微調整しているんだ、それが実現への第一歩なんだよ。

1月がきたら、そのイメージを私の指を通じて現実世界に生み出す試みをするつもりだ。とてもワクワクするよ。これが私を前進させる推進力になるんだ。私のファンはきっと大喜びするだろう。

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Generation Axe ライブアルバム第1弾のリリース前に第2弾の制作発言が出ました。ソロアルバムの制作スケジュールを遅らせない程度にやっていただきたいですね。そう言えば、Jamason のライブ音源の編集&ミックスもあるんですけどね。先生どうか風呂敷を広げ過ぎないようにお願いします。

"Bohemian Rhapsody" の名演、最初はイングヴェイが参加していなかったのですね~。全員揃ってやってくれて良かった。ザックの言葉って意味わからないと思っていたら、先生にもそうだったんですね!(笑)