Stay Together

Green (@ribbon_bear) が毎週好きな音楽ネタを語ります! Since 2011

ロン・"バンブルフット"・サール 「僕はギターを置いて、まさかのリード・シンガーになったのさ!」

この夏 Yes のオープニングを務めた Asia ツアーは成功に終わったばかりですが、この歴史あるバンドに参加し、ギターとシンガーを務めたロンさんがメディアのインタビューに応えました。

複数のバンド活動にソロ活動にと大忙しのロンさん。極力他の仕事は断っているそうですが、その割にホット・ソースやバーベキュー・ソースのプロデュースなどは続いている模様。(笑)興味深かった一部概要を和訳してみました。

==========================================

Img_0825 Asia でツアーをされていますね。これはどういう経緯で?

数年前に「プラチナ・ロック・オール・スター」という催しがあって、カール・パーマーのマネージメントのブルース・トラドがバンドを集めたんだ。カーマイン・アピスをドラムにルディ・サーゾをベースに、僕がギターで、Talas のフィル・ナロウがボーカル、Yes と Asia のジェフ・ダウンズをキーボードに。そのメンバーでいくつかライブをやったよ、2016年の終わり位まで。

それで、2017年にもプレイしないかと訊かれたんだ。でも Sons Of Apollo が進んでいてとても忙しかったし、別のバンドに参加するというのには乗り気ではなかった。(スティーヴ・ハウの後任というのは)とても重圧だしね。2018年はずっと Sons Of Apollo のツアーだったけど、また誘われて、今度はやってみてもいいかなと思ったんだ。その時点ではボーカルがいたのだけど、彼が参加できないことになった。そしたらカールが「(ボーカルも)ロンでいいじゃないか!」と言い出したんだよ。

僕は自分が考えてもみなかった事や目指したものとは違う事、自分の快適ゾーンから外れた案件なんかに出くわした時には、そういう事態には何か意味があるのかも知れないと考えて「よし、やってみよう!」と言うことにしているんだ。それで Asia のギタリスト兼シンガーになった訳さ。

2ヵ月程はジョン・ウェットンのビデオを観まくって研究したよ。でも彼の歌い方は僕とはまるで違っていたんだ。僕は昔ながらのメロウな高音のシンガーで、彼のような特徴のある声は出せない。1ヶ月程は1日8時間ギターパートの練習をして、同時に歌う訓練もした。ジョン・ウェットンはベースを弾きながら歌い、スティーヴ・ハウはギターだったから、2人の別の人間がやっていたことを一度にやらなくてはいけない。随分練習したよ。

だって、コンサートにやってきたオーディエンスは何十年も前にアルバムで聴いたものを聴きにやってくるのだから、演奏が始まっていざ歌いだしたところで全く違うものにはしたくなかった。彼らがアルバムを初めて聴いた時のように心地よいサウンドにしたかったんだ。結果的には僕が目指したものにとても近いパフォーマンスができたと思う。

もう1つの挑戦がインイヤー(モニター)だった。僕は昔人間だから、あまり使ってこなかったけれど、今回はシンガーとして使う必要がある。でも最初のショウで(モニターを使っていると)、ビデオで確認してみると、僕はずっと僅かに音程が低かったんだ。それでトニー・ハーネルやジェフ・スコット・ソートなど仲の良いシンガーに相談したんだ。ジェフによると彼も同じ問題を持っていたそうで、彼は片方のインイヤーを外しているということだった。それからは音程を正確に捉えるために、聞こえるものの若干上を狙ってヒットしていたよ。

それと、ステージには僕のペダルボードは2つある。右足でボーカル用のパッチの入ったボードを、左足でギターのボードを操る。大変な練習が必要だった。それと後からリハーサルにスティーヴ・ハウがやってきて、いくつかの曲では彼が弾くとわかって、実はちょっとがっかりしたんだ。自分で弾きたかったから。でもこれは彼のバンドでもある訳で、僕が何か言うことじゃない。それで僕はギターを置いて、まさかのリード・シンガーになったのさ!

ギターを持たずにシンガーになったのなんて20代の頃にやっていたカバーバンド以来だよ。それでマイクだけを持ち、歌詞やメロディに集中して歌ってみたら、意外にも最高の気分だったのさ!

ギタープレイについて少し言うと、アルバムでスティーヴ・ハウは "Don't Cry" のソロでスライドを使うのだけど、僕はフレットレスのネックを使ってサステインを左手の爪を使って得ているんだ。指先を強く押し付けて爪で押さえるんだ。そしてネック外の音を出すのに、高音のハーモニクスを使っている。(訳者注:動画2分12秒辺りを参照)

 

Sons Of Apollo の状況はどうですか?

1月にスタジオに入って2ndアルバムのデモを録った。それからバーバンクのスタジオでマイクがドラムを、僕とデレクはそれぞれ家のスタジオでレコーディングした。1stアルバムは皆で集まってスタジオで創ったけれど、皆がそれぞれ忙しくて今回は残念ながらそれはできなかった。でも発売の来年1月までに今年後半にもう少し時間があるから、ギターパートや歌や曲についてもう少し手を加えることができる。

1stアルバムは実に素晴らしかったですよ。

ありがとう。各メンバーの音楽的特徴をしっかり残せたことが良かったと思う。皆の受けた音楽的影響を盛り込むことができた。次作でもそのようにできればと思っているよ。前作を上回ることが目標だ。2ndでは前作よりヘヴィでクレイジーなものにしたいね。ダイナミックでスペースがあってエモーショナルな。デレクが船長のようにプロデューサーとして僕らの向かうところを示しているのさ。

あなたは多くの仕事を抱えていますが、優先事項は何にありますか?

僕らのバンド5人は常にそれぞれが多くの仕事を抱えている。それを調整するのは難しいことだけど、5人のバンドであれば1人の取り分は2割なんだよ。自分の意見を言えるのは2割分ということさ。3割取ったとしたら、それは他の人の分を取ったことになる。全て自分の我を通したいのなら、自分のソロアルバムを創ればいいということさ。

Asia は思ってもみなかったギグだったけれど、いい人たちと仕事ができたから続けられたらいいと思う。Sons Of Apollo はマイクとデレクから始まった。素晴らしい結果だからこれも続く。僕のソロの仕事はいろいろある。今はできるだけ他のオファーに「ノー」と言うように努力しているんだ。だってそうしないと他の仕事に注ぐ時間や集中力を欠いてしまうからね。

今抱えている3つの仕事のような多様性があることで、常に新鮮な気持ちになれるんだ。同じことだけをしていると燃え尽きてしまう。バンドで大きなステージに立つこともあるけれど、ギタークリニックでは15人を相手にすることもある。

大きなステージに立つことが成功やロックスターということじゃない。価値のあることをすることが大切なんだ。自分の好きなこと、価値のある本物を提供することで、誰かを感動させることができる。それはバタフライ・エフェクトになって広がるだろう。教えることによって人を良い方向に導くことができ、世界に大きな貢献ができるんだ。

=================================

今年の今後の予定も忙しそうなロンさん、来年は Sons Of Apollo で、そしていつか Asia でも観てみたいです。