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PledgeMusic の破綻に思う

買収交渉が決裂したクラウドファウンディング企業の PledgeMusic が7月末に英国の高等法院から精算命令を受け、破産管財人による会社清算が行われるというニュースが複数のメディアから伝わってきました。(参考サイトはこちらこちら

やはり、という感じ。会社に現金化できる資産がどれほどあるのか不明だけれど、債権者が回収できる金額は少ないだろう。会社が営業資金とプレッジで集めた資金を分別せずに、債務の返済に新たなプレッジ資金を使っていたというレポートもあるようで、全くお粗末な運営だったようだ。

今回の件でアルバムに出資し、アーティストをサポートしたのにアルバムを受け取れなかったファンは数多い。

私は PledgeMusic に2回プレッジしている。1つはポール・ギルバートのニューアルバム『 Behold Electric Guitar 』で、もう1つはスティーブ・ヴァイの Big Mama-Jama Jamathon ライブレコーディングだ。

ポール・ギルバートのニューアルバムは昨年の9月にニューアルバムが届けられたので、セーフだった。一方、Big Mama-Jama Jamathon ライブレコーディングの方はだめだろう。

ヴァイ先生は6月に発売された Generation Axe のライブアルバムの制作時点から PledgeMusic を使い始めており、大変気に入った様子で、Big Mama-Jama Jamathon のチャリティオークション等でも使っていた。

自分のアルバムとは区別して、プロジェクトの音源制作の費用をカバーしつつ、話題づくりするのに最適の方法だと思ったのではないだろうか。Pledge ではなかったが、ジョー・サトリアーニも先ごろ発売された The Squares の80年代デモ音源制作をクラウドファンディングでスタートしていた。

5月24日にヴァイ先生はSNS及びオフィシャルサイトでファンに表明している。(以下和訳)

 

やあ、みんな、スティーブだ。

Generation Axe の PledgeMusic キャンペーンについて、GAのマネージメントはプレッジャー各人の注文内容、これまでに対応済みの注文、まだ対応しなければならない注文の詳細記録を先方から取得しようと努力している。これはGAと Big Mama-Jama Jamathon の双方についてだ。

PledgeMusic はGAに支払うべき巨額の未払い金があり、それは恐らく今後支払われないだろう。つまり、多くのアーティストとそのファンと君たちが直面しているこの問題の状況と同様、私たちも金を奪われたと感じている。

君たちの払った金は残念ながら未だ Pledge の元にあり、君たちの注文に応えるために私たちに届くことはなかったのだ。現時点では、寛大にもこの悲運な Pledge キャンペーンに賛同してくれた人たちには一部にしろ何がしかの解決法を届けられるよう、GAマネージメントは努力している。

Big Mama-Jama Jamathon の Pledge キャンペーンに賛同してくれた人たちについては、会計処理とアルバムのミックスを私が終え次第、私の私費をもって全ての注文を全うすると約束しよう。

これら2つのキャンペーンに賛同してくれて本当に感謝している。辛抱強く待ってくれてありがとう。本件の更なる情報については続報を待って欲しい。今は完成したばかりの Generation Axe ライブアルバムを皆が聴いてくれるのが待ちきれないよ。ありがとう。

 

ヴァイ先生が Big Mama-Jama Jamathon ライブレコーディングを私費でリリースしてくれるそうなので、私のプレッジは実害無く終わりそうだ。

それでも今回、PledgeMusic の精算が音楽のクラウドファンディングに与えたダメージは深い。クラウドファンディングの会社は他にもいくつかあり、今も多くのアーティストが利用している。私も Kickstarter や Indiegogo を使ってアーティストのサポートをしたことがある。それらは今後大丈夫なのだろうか?

そもそもクラウドファンディングがなぜ必要なのか?音楽業界の構造変化により、レーベルが制作費を負担する余裕がないのかも知れない。レーベル契約の無いアーティストには制作費をクラウドファンディングで集めて制作し、完成近い音源を持ってレーベル各社と交渉することができることは朗報だったと思うのだが。

 

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