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スティーブ・ヴァイ&ジョー・サトリアーニ 2人の恩人 クリフ・カルトレリ氏への寄付呼びかけ

スティーブ・ヴァイがかつての恩人であり、重篤な疾患を持つクリフ・カルトレリ氏への寄付を訴えました。本件では既に12日にもジョー・サトリアーニツイッターで呼びかけ、11日にはデヴィン・タウンゼントが呼び掛けています。サッチは20日にも再度呼びかけました。

2人をこの世に送り出したクリフさんはヴァイ先生にもサッチにとっても特別な人。そこで、ヴァイ先生の19日の投稿を以下和訳してみました。

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クリフ・カルトレリ無しでは私のキャリアがどうなっていたか、考えるのは困難だ。私が 『Flex-Able』をリリースしたとき、一般的だったレコード契約ではなく、独自配給の道を選んだのだが、クリフは「Important Record Distribution」のトップで、私に配給契約をオファーしてくれた。当時の音楽ビジネス界でほとんど聞いたことがない契約だった。彼らはアルバム1枚でアーティストと契約はしなかったのだ。しかし、クリフが契約してくれたおかげで、私は自分のアルバムの権利を全て保持し、アルバムからの収入殆どを回収することができた。

Important Records はその後レーベルを設立し、Relativity Records となった。私がクリフに私の好きな無名ギタリストであったジョー・サトリアーニのCDを送ると、彼らはジョーと契約し、彼の初期のアルバムでは素晴らしい仕事を成し遂げた。そして私もクリフと Relativity で契約し、『Passion and Warfare』を出した。レーベルは最終的に Sony に買収され、私たちはそこに移籍した。

これら全てのことはクリフの献身と助力と信念が無ければ実現しなかっただろう。彼はデヴィン・タウンゼントとも契約した。実のところ、私が『Sex And Religion』のシンガーを探していたとき、私にデヴィンを紹介してくれたのはクリフだった。このアルバムもまた Relativity からリリースされた。

クリフは恐らく、私が知る限りあらゆるレベルでアーティストと共感し、彼らのために発信してくれた最大の擁護者だろう。彼はただ素晴らしい人間で、友人のために全力を尽くす人なのだ。彼の導き、機知にとんだ提案と不滅の助力は私たちのキャリアの触媒だった。

そして今、クリフは助けを必要としている。彼はこの16年間想像も絶するような病に苦しめられている。過去に(2006年)ジョーと私は3回のチャリティ・コンサートで資金集めを行い、莫大なクリフの医療費や彼と家族が継続的に医療を受けられる環境へ移る手助けをした。それは上手くいき、この10年程のクリフを支えることができた。

しかし今、クリフを苦しめている病の1つは膵臓がんで、彼の家族が将来安心して暮らせるよう、彼の簡素な自宅を買い取ろうとしている。(訳者注:募金サイトの文面によると、2006年にクリフさんは自宅や家財を売って医療費に充てています)

どうかリンク先に行って、彼が目標額を達成できるよう彼への募金を考えて欲しい。

これは本当のことで緊急なんだ。サポートをありがとう。

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クリフさんがヴァイ先生とサッチのキャリアにどう関係していたか、サッチの自伝『Strange Beautiful Music』にはクリフさん自身の言葉で語られています。

フランク・ザッパと仕事をするなかで、自分を安売りしてはならないと学んだヴァイ先生は自分でレーベルを創り、直接配給先と契約しようとしましたが、なかなか契約先が見つからず、フランクとヴァイ先生の仕事を知っていたクリフさんだけが契約してくれたのです。

ヴァイ先生は上記でサッチのCDをクリフさんに送ったと言っていますが、クリフさんの話によると、ヴァイ先生がカセットをもじもじしながらクリフさんに手渡したそうです。ほんの1、2分テープを聴いただけで、クリフさんはもっと早く持ってこなかったヴァイ先生に喝を入れ、翌日サッチに電話したそう。『Not of This Earth』が当時のメインストリーム音楽でないことを自覚していたサッチにとって、その音楽を認めてくれたクリフさんの存在が大きな支えになったとサッチは言っています。

 

「私が確信していたことは、インストゥルメンタル・ロックギター音楽がその時代に成功するだろうということだ。リードボーカリストのパートを取らなくてはならないので、叙情的でなくてはならない。ギターリフとラインはリスナーを彼ら自身が音楽に言葉を補う所へ誘わなければならない。ジョーの音楽は正にそれだった。全ての曲が始めから終わりまで驚くほどに詩的で記憶に残り、リスナーはただ心を音楽と共に解き放てばいい。もし誰かがインストゥルメンタル・アーティストとして成功するのだとしたら、それは彼だ」 ―クリフ・カルトレリ

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クリフさんはサッチと Relativity Records との契約をまとめるまでに時間がかかることを見越し、当時 Greg Kihn Band でのツアーの仕事が終わったサッチに北欧でのツアーギグを紹介したりと、アーティストのサポートをしてくれていたそう。

『Surfing with the Alien』のプロモーションで大きなターニングポイントを作ったのもクリフさん。冬季オリンピック委員会から音楽の使用ライセンスのオファーがあったとき、楽曲使用料よりもアーティスト名とアルバムタイトルを楽曲使用時の画面に掲載する契約を取り付けたことで、オリンピック中にサッチの曲が大量に流れ、ラジオ局が追随してきたのだそう。

サッチの自伝からはおよそ『The Extremist』までクリフさんの厚いサポートを受けていたことが読み取れます。

クリフさんは複数の重い病を抱えており、その壮絶な闘病生活の苦しみや金銭的負担は計り知れません。募金が集まることを祈ります。

以下がサッチからの最新投稿です。クリフさんが元気な頃のツーショット写真がいいですね。

「私の良き友人、クリフ・カルトレリが私を見出したのは、85年にスティーブ・ヴァイが私の初LP『Not of This Earth』のコピーを送ったからだった。そのとき以来、彼は私の全ての音楽活動においてメンターであり、サポーターだ。彼は今、とてつもない病気を抱えていて、私たちの助けを必要としている。できればサイトに行って彼を助けて欲しい。ありがとう、ジョー」