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Green (@ribbon_bear) が毎週好きな音楽ネタを語ります! Since 2011

コンサートは一体いつになったら再開されるのか?

コロナ自粛の日々にも慣れてきましたが、ライブ・ミュージックのファンとしてはライブの再開がいったいいつになるのか、かつてのような日々は戻ってくるのか、不安と共に気になります。

国内でもこの2~3ヶ月でありとあらゆるコンサートが中止され、私が持っていた何枚かのライブチケットも延期や中止で払戻となりました。国内の会場で今後どのような形式ならライブ再開が可能なのか、まだ何も分かりません。

その上、海外のアーティストの場合、日本の入国制限が解かれなければ難しいですし、彼らの国の渡航制限が解除されなければ来日自体が難しいでしょう。4月に予定していた米国のハードロック・バンド Angel の振替公演が9月に決まったという情報を見かけましたが、9月に日本でスタンディングのライブが可能なのだろうかと疑問です。

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少しずつ経済の再開が始まっているアメリカですが、コンサートの再開はまだまだ遠い道のりのようです。世界最大のコンサート・プロモーターである Live Nation のCEO、マイケル・ラピーノ氏が今月初めの投資家との四半期決算会議の席で語った話が話題を呼んでいました。

それによると、2021年に全てのサイズの会場で通常のスケールでコンサートを行うことを目指すが、それまでは地方の小型のイベントで客数を限定したり、無観客の配信ライブを行ったりと安全運転を試すよう。秋までに感染の第2派がなければ、徐々に世界中でより大型の劇場での興行を開始するだろう、とのこと。(関連記事はこちら

そんな中で、こちらに掲載されていた、ニュージャージー州で長年コンサート・プロモート会社を経営しているジョン・シェール氏のインタビューが大変興味深かったので一部を紹介します。

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コンサートは一体いつ再開されるのでしょうか?

毎日状況は変わっているんだ。数ヶ月前は業界の皆が「夏までには終わって、いつも通りの夏興行だ」と思っていた。ところが状況はどんどん悪くなって、数週間前にはほとんどのエージェントもマネージャーもバンドも夏を諦めたようで「8月か9月にはオープンエアのショウならできるかも」と言い始めていた。でもここ数日は、11月や12月に望みをつなぐ人もいるものの、おおかたが諦めたようだ。つまり、2021年まではライブはないということだ。私に言わせれば、ワクチンでもない限り、2021年までは全国ツアーが実施されるとは思えない。

ライブ・ミュージックそしてレコード・ビジネスの全ては砕け散った。多くの人が自宅待機または解雇になった。この影響はエージェンシーにも、プロモーターにも、興行自体にも何年も残るだろう。

小ぶりの会場なら十分にソーシャル・ディスタンスを取る注意を行えば早期に再開できるのではという話もありますが、どうでしょう?

永遠とは言わないが、かなり長い期間にわたって、スタンディングのライブは再開されないだろう。もう2度と行われないかも知れない。

ライブは大小にしろ劇場で行われるだろう。指定席制であれば、十分にソーシャル・ディスタンスを取った座席配置ができる。でもこれは昔の慣行ならできるということだ。この産業は完全に1から再検証しなくてはならなくなった。この災難を人々は明日忘れることはないんだ。人々の心にずっとずっと長い間残り続ける、もしかしたら1世代にわたって。多数の潜在顧客、あらゆるジャンルの音楽、エンターテイメント、スポーツの観客が戻らないかも知れない。少なくとも1年は。「危険を冒したくない」と言うのではないか。

平均的な音楽ファンがコロナウィルスの音楽産業への影響について誤解していることは何でしょう?

平均的なファンは殆どのバンドがワーキング・ミュージシャンだとわかっていないのだと思う。ある程度の成功を収めたとしても、恐らく1年かそれ以上そのライフスタイルを維持できる預金はないだろう。だから彼らは金を稼がなくちゃならないんだ。

それにこれで Live Nation の世界に残された(僅かな)独立系プロモーターの8割や小規模クラブが消滅するだろう。このパンデミックの前でさえ、彼らは十分な規模のショウを良い時期にできなかった。かつて、10年前のようなビジネスを維持するためには。この話を半年前にしていたとしたら、一般的に大方の大都市では会場やクラブが多すぎると私は言ったと思うが、残念ながら今回の状況はこれらの会場を一掃するだろう。

今回、 Ticketmaster が延期された何千ものコンサートについて即時の払い戻しに応じなかったことについてはどう思いますか?

恥だ。 Ticketmaster のブランドを傷つけたと思う。負け惜しみかも知れないが正直に言うと、 2010年の Ticketmaster と Live Nation の合併に遡ると思う。世界最大のチケットサービスと世界最大のコンサートプロモーターの合併を許したんだ。その結果を理解せずに合併を許可した政治家は罪深い。

今や彼らは余りにも巨大で効率がいい。プロモーターとしては彼らのサービスを使うしかないんだ。それに彼らは会場と直で契約する。するとその会場を使おうとすると、チケットに関しては全く裁量を奪われてしまう。その結果、競争はもはや存在しない

4月にデンマークで行われたドライブイン・コンサートについてはどう思いますか?

ある程度は素晴らしいアイデアだと思う。かつてのようなオーディエンスの一体感は得られないだろうけれど、オンライン・ストリーミングでコンサートを観るよりは良い体験が出来ると思う。オーディエンスに加わる気分が味わえるし、バンドは実際にライブで演奏する。実験としてやってみる価値はあると思う。

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ジョン・シェール氏の話にありましたが、コロナの影響で独立系のプロモーターや小規模クラブが大方無くなってしまい、業界の巨人がさらに市場を支配するようになるとチケット価格や手数料に跳ね返ってきそうです。ただでさえ、「チケット・バスタード」と揶揄される Ticketmaster がさらに市場を独占したらどうなるのか。

実際のライブ再開については、米イベント安全連盟(Event Safety Alliance)が5月11日に公表したイベント再開に向けてのガイドラインが今後の標準になりそう。(全文はこちら

従業員の検温やマスクや手袋による防御、1時間おきの手洗いや消毒、ソーシャル・ディスタンスの徹底から始まり、会場全ての消毒に観客の検温・持ち物検査・金属探知チェックにソーシャル・ディスタンスの徹底。モッシュなどとんでもない!スタンディング・エリアに印を付けたりロープを張ったりというのは現実的なのでしょうか?ミュージシャン同士、また彼らと観客とのソーシャル・ディスタンスの徹底も書かれていて、以前のようにステージの最前列に観客が並ぶようなことは起こらなさそう。

コロナ後のライブはどんな形になるのか、これからの半年で大きな変化が起きそうです。