北米のコンサート・プロモーター最大手 Live Nation がタレント・エージェンシーに送ったメモが音楽系メディアに掲載され、アーティストの反感を買っているようです。
今年中のコンサートは諦めムードが漂い、来年には再開されるのかと気になるところなので、どんなメモが送られたのか内容を確認してみました。
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Live Nation Memo to Talent Agencies 概要
前例の無い状況に直面しているため、2021年におけるアーティストとの契約には以下の変更を加える。
アーティストのギャラ:2020年レベルから20%減額
チケット料金:価格の決定権はプロモーターにあり、変更することがある。
支払い条件:アーティストはフェスティバルの1ヶ月前に10%の前払いを受ける。契約内容を完全に満たすことを条件に残金はフェスティバル後に税金とプロダクション費用を差し引いて支払われる。
ストリーミング:フェスティバルでのパフォーマンスが収録され、TV放送・ライブ配信・オンデマンド配信・ラジオライブ配信されることをアーティストは許諾すること。
グッズ販売:フェスティバル後2週間以内にアーティストは売上高の7割を受け取る。
渡航費及び宿泊費:アーティスト負担
スポンサー:フェスティバルでのスポンサー契約は制約なしにプロモーターが取り仕切る。アーティストはステージ上で又は舞台セット上でブランドの宣伝はしない。
非競争条項:(フェスティバル開催地から特定の半径内で出演者がコンサートを開催してはならない規定)事前の書面による許可を得ず違反した場合にはアーティスト料金の減額やイベントから除外し、前払い金の返金を求める。
保険:天候や不可抗力によるフェスティバルの中止に備え、アーティストは自己のキャンセル保険を備える。プロモーターは責任を負わない。
アーティストによるキャンセル:契約に反してキャンセルする場合、プロモーターにアーティスト報酬の2倍の額を払う。
売上過小によるキャンセル:アーティストのギャラは25%
不可抗力:COVID19 やこれに近いパンデミックを含む不可抗力によりアーティストがパフォーマンスをキャンセルする場合、プロモーターは料金を支払わない。アーティストは自己でキャンセル保険を備えること。
会場の収容能力が抑えられる場合:会場又は政府等の指導により、会場の収容能力が抑えられる場合、プロモーターは契約を終了することがある。この場合、アーティストは事前に受け取った料金を返金する。
我々はこのような変更の重大性を十分に認識しており、慎重な検討の結果です。フェスティバル・ビジネスを継続させるためにこれらの変更が必要であることをご理解ください。これはアーティストとプロデューサーだけでなくファンのためなのです。
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2020年以前の契約がどういうものか知らないので何がどう変わったのか分かりませんが、とりあえずアーティストには相当厳しい内容になっていそう。
コロナで大打撃を受けた Live Nation が不確定要素の多い来年のコンサートをどうするかということで、必要に迫られて出してきたのでしょうね。今年6月のアリーナツアーのキャンセルが遅れに遅れていたのはチケットの返金を避けるために延期した予定をアナウンスするため、アーティスト側と交渉していたのだと推察します。
プロモーター最大手だからこれだけ自分の条件言えるのでしょうけど、今年の収入が吹っ飛んでしまったアーティストには相当に厳しい。プロモーターが負うリスクを大幅に軽減した感じ。来年のコンサートはどうなるのだろう?
Live Nation は大規模なコストカットをすると言っていたし、収益回復圧力は大きいのだろう。でも自分だけ強欲なことを言っても、アーティスト他の共業者利益も守らないと産業全体の未来は明るくならないと思うな。