コロナ禍で厳しい状況に置かれた音楽業界ですが、音楽ファンとしてはアーティストのクリエイティビティを見せてもらえたのが Quarantine music video かなと今年を振り返って思います。
物理的に人が集うことが難しい状況で人類に残された感染リスクフリーの空間がサイバー空間でした。そこで、自宅での演奏動画を編集して創られた音楽ビデオが数多く公開されました。逆境の中で生まれたアートというか、環境に適応して生き残るたくましい創造性に元気付けられました。
これは海外の大都市がロックダウンとなった今年3月頃から徐々に始まったように記憶しています。ブライアン・メイが Queen の名曲数々の演奏動画を投稿しているビデオに他のミュージシャンが自分の演奏パートを加えてビデオを公開し始めた頃がこのムーブメントの初期ではないでしょうか。
今週は今年を振り返りつつ、個人的お気に入りの Quarantine music video を紹介します。
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オールスター編
"Bohemian Rhapsody" by Generation Axe with Brian May
昨年の Generation Axe 来日公演でも目玉として演奏された5人のギター神による Queen 名曲のギター・インストゥルメンタル・アレンジが、ヌーノの企画で Quarantine music video に制作され、AXSの特別チャリティ番組でオンエアされました。
何が凄いかといえば、ブライアン・メイご本人がこのビデオに参加しているところ。こんな豪華なビデオはないでしょう!それに誰がどのパートを弾いているのかもビデオで分かりやすくなっているのが嬉しい。
ビデオの編集はヌーノがしたそうなのですが、テレビ放送時のバージョンは編集の時間切れで納得いっていなかったようで(実際にトシン・アバシを写したカットが殆どなかった)、こちらのヌーノによる Instagram 投稿バージョンが完全版といえます。
"Better Days Comin'" by Winger and friends
Winger が多数のお仲間ミュージシャンとファンの参加で再レコーディングした "Better Days Comin'" は多彩で豪華なゲストの顔ぶれで話題になりました。
アリス・クーパーやクラウス・マイネらビッグネームに加えて、仲間のミュージシャン:JSS、リッチー・コッツェン、トニー・ハーネル、マイケル・スターら多数。
ポジティブな歌詞もあって、今こそ必要なビデオでした。
インストギター新曲編
"Candle Power" by Steve Vai
自宅スタジオから出られない状況の中、多くのギタリストが新曲を発表しました。ヴァイ先生もその1人。60歳の誕生日に公開された新曲ビデオはファンを驚かせ、尊敬を集めるものでした。詳細は過去記事でどうぞ。
"Planetary Lockdown" by Bumblefoot
ロンさんがインストギターの新曲を公開し、曲の一部を演奏するビデオで世界のギタリストをジャムに誘ったところ、ギタリストだけでなく、様々な楽器のプレイヤーも参加しました。ミュージシャンの創造性がポジティブに拡大していく様は見ていて楽しかった。
こちらのビデオは才能に溢れる若手シンガー、ディノ・イェルシッチがこの曲にメロディと歌詞を付けて制作したもの。出来が素晴らしく、参加ミュージシャンも実力派揃いで、ロンさん本人もこのビデオ用に演奏ビデオを提供しています。
カバー曲編
"Stormbringer" by Joel Hoekstra
名曲のカバーの中でこちらは斬新なプログレッシブ・アレンジが秀逸でした。ミュージシャンシップ溢れるこのビデオは大のお気に入り。詳細は過去記事でどうぞ。
ディノ・イェルシッチがここでも歌っています。彼は何本もの Quarantine music video を公開しているので、彼のYouTubeチャンネルもお勧めです。
"Nowhere Man" by Voices Of Apollo
Sons Of Apollo のボーカル&コーラス担当3人、ジェフ・スコット・ソートとロン・"バンブルフット"・サールとマイク・ポートノイが Voices Of Apollo の名前で公開したビデオはボーカルハーモニーが美しいです。