Stay Together

Green (@ribbon_bear) が毎週好きな音楽ネタを語ります! Since 2011

サトリアーニ+ヴァイ+ペトルーシ G3 トーク・セッション 「自分も最高の自分になろうと奮い立つ」

6月6日はスティーブ・ヴァイの誕生日です。ヴァイ先生、誕生日おめでとうございます!明日7日の朝4時(日本時間)には先生のFacebookで誕生日スペシャルのストリーミングが予定されており、新曲とビデオが公開されます!

さて、6月2日の早朝にサトリアーニ+ヴァイ+ペトルーシのG3が揃ってトーク・セッションが行われました。サッチの Club Joe Streaming Sessions は今回が3回目ですが、ゲストがライブ参加してのトーク・セッションは初めてです。この3人が一堂に揃うのはギターファンとしてワクワクしますね!

3人のリラックスした楽しそうなトークの概要を和訳してみました。

以下、JS:サッチ、SV:ヴァイ先生、JP:ペトルーシ です。

 

===============================

懐かしい最初のG3映像を観てみましょう。振り返ってどうですか?

SV:ジョーと私は同じ町で育って、同じ学校に行き、皆が知っているようにジョーは私のギター教師だった。私にとってジョーとプレイするのは、クリスマスみたいなものさ。私にとってギターは全てで、ジョーは教師であり、メンターでもあり、本当にギターが上手かったから常に刺激された。自分の部屋でギターを弾き続けるのはいくらでもできるけれど、誰かと一緒にプレイするというのは私にとって強力な進化だったよ。

最初にジョーからG3の件で電話をもらったとき、私のことを思ってくれて感激したよ。もちろんジョーが言ったように、プロモーターを説得したり、乗り越えなくてはならないことはあったけれど、コンセプトが素晴らしかった。私たちは皆ギターが大好きなんだ。ジョーが言ったように、もし私たちのギターヒーローたち(ジミー・ペイジジェフ・ベック)が一緒にショウをやったらと想像したら興奮した。

私のキャリアでは Alcatrazz でイングヴェイと比べられたり、DLRバンドでエディと比べられたり、Whitesnake でも同じことがあった。でもそれらの経験はとても強力で私自身の目標を上げることになった。その感覚をG3では毎回味わっている。彼らは人生の全てをギターに捧げたプレイヤーたちだ。彼らはギター界のトップにいて、それぞれユニークな個性を持っている。そんな巨人たちに囲まれて競うなんてありえない、そもそもできないのだから。

G3では他の状況では得られないような何か推進力を感じるんだ。自分も最高の自分になろうと奮い立つんだ。それに私たちが体験した様々な冒険はたまらない!ツアー自体が楽しくて、全部ジョーが用意してくれるんだ。「サウンドチェックも、フルセットもやらなくていい、一緒にジャムするんだ、クルーのことや何かも心配しなくていい、このツアーやらないかい?」って銀の皿にのせて差し出されるんだ、もちろんイエス!だよ。

ではここでファンの質問から。各人の機材の好み、モニターなど全てを用意するのは簡単でしたか?仲間意識でシェアしたり、うまく行きましたか?

JS:全てが完璧に行くなんてことはめったに起きないんだよ。これにはスティーブに答えてもらいたいな。自分のセットを強烈にプレイして楽屋に戻り、その熱気が冷えた後でまたジャムの時にステージに立たなくてはならないだろう?

SV:そうだね、サウンドチェックでは全てが順調だったのに、ステージに出てプラグインしてちょっと音出ししてみると、あれ?ということになっていたり。立ち位置の数インチで聴こえる音が違ったり、突如自分がとんでもなくデカイ音になったりする。大抵なんとか対応するものさ。

JS:そうだ。ステージの端まで行くと自分の音が聴こえるけど、ビジュアルを考えると立ち位置はそこにできない、とかあるよ。

SV:ある夜なんて自分が弾いてる音が全く聴こえないなんてこともあった。勘で弾いて、何とかなってるよね、って。(笑)

JS:そうそう、自分の指板上の指を見て、(音は聴こえないけど)多分いいんじゃない?とか。(笑)確かにデカイ音を要求する人とか、皆の音が聴こえないという人とかいたよ。ゲストにはステージに立ってアンプやセッティング全てが快適であるように時間を取ってもらった。だってそうじゃない状況がすぐに起こるんだから。(笑)

SV:ジョーは覚えているかな?いつかのG3でレコーディングしているとき、これからジャムってときに舞台袖で君が「アンプがダウンした」って言ったとき。音が出たり出なかったりしてただろう?

JS:ああ、それ!それは東京だよ!

SV:それで私が言ったのは「弾いてるフリしろ、後で直せばいい」だった。(笑)

JS:あれは辛かったよ。JSXをコントロールするMIDIペダルの問題だった。あの頃はMIDIのチャンネルスイッチコントローラーがクールだった頃で実はいい考えじゃなかった。"Smoke on the Water" のソロをプレイする直前にダウンしたんだよ。リッチー・ブラックモアに誇らしく思ってもらいたかったというのに、ペダルを踏んだ瞬間に切れてしまったんだ。「こうなるのか。何て情けない。今夜私のギアに悲運が訪れるなんて」と思ったよ。有難いことに、エリックが音を何とかしてくれた。

(2004年のG3ポスター、サトリアーニ+ヴァイ+ロバート・フリップ を見せて)このロバートの脚には秘密があるそうですね?

JS:そう、ロバートは座って弾くだろう?だから彼がG3に参加するとき、彼がギターを持って立っている写真がなかったんだよ。それで彼の脚を探さなくちゃならなくて、実はポスターのは私の脚なんだよ。(笑)これはスティーブとイングヴェイとのフォトセッションのものなんだが、あの時はなぜかカントリー・プレイヤーみたいにギターを上の方で持って写真を撮っていたんだ。そのお陰で別のショットで「使える」脚があったという訳なんだ。ロバートも気に入ってくれたよ。

ここでジョン・ペトルーシを迎えましょう。皆が揃ったところでファンからの質問です。自分があの曲を書いていたら良かった!と思う他のG3メンバーの曲は何ですか?

JP:僕から。この2人には本当に多くの素晴らしい曲があって、何度も盗ませてもらったし、インスパイアされた。ジョーの曲では "Always With Me, Always With You" が大好きな曲の1つで、妻との結婚式でも使った。とても美しいよ。スティーブの曲では "For the Love of God" を聴くと感動して涙が出るし、同時に自分のギターを(自分にはとてもあんなプレイはできないと)燃やしたくなる。

JS:私が2人のプレイを見ていて学んだことは、私にはとても2人の曲はプレイできないということ。どの曲も盗むなんて無理だよ、私には弾けないんだから。だからこの質問の答えはないなぁ。G3ではいつも2人のプレイに圧倒されて楽屋で練習しなきゃ!と思っていたんだ。

SV:私も同じだよ

G3の経験がキャリアに何か刺激をもたらしたことはありますか?

JP:実はG3が僕のソロキャリアの出発点になった。僕はバンドをやっているだけだったんだ。"Six Degrees Of Inner Turbulence" のレコーディング時だったよ、電話をもらったのは。G3は正に象徴的なイベントで、トップリーグの人しか参加していない。だから本当に僕が?と思った。夢じゃないかと。だからこの話は「ノー」と答える話ではなくて、「どうやろう?」というのが問題だった。カラオケで Dream Theater をプレイするのか?ソロ曲なんてない。それでツアーの為に曲を書いたんだ。それが初ソロアルバムになった。

それにG3ツアーで多くを学んだ。2人はソロアーティストだから全て知っているだろうけど。「オーストラリアへのギアの輸送費はいくら?」とか「それ自分で払うのか?ドラマーのギャラも僕が?」とか。それにジャムでプレイするのに、2人から頂戴したリックが沢山あるのに、何をやめておくべきかって緊張してたよ。(笑)

JS:G3ではジャムで並んだ時、舞台上手からソロを始めるってルールがあるだろう?すると私は3番目なんだ。1人目が弾いて「それやろうと思ってたのに、ちぇ!」と思って、2人目がプレイして「まただ!ちぇ!」となって、もう舌で弾こうかなって。(笑)特別ゲストが参加したときなんて、ギタリストが6人もいる。そうなると私の番になる頃には(弾くことがなくなって)コードを弾いて腕を上げておくだけにしたくなる。(笑)

SV:私がG3ジャムで一番好きなところは、2人の強烈なプレイにインスパイアされて、最高の自分を出そうと、自分が引き上げられるところだ。

ジャムはどれくらい事前に計画されているのですか?

SV:ジャム自体は全て即興だよ。いつもはジョーがメールで事前に聞いてくれるんだ。ジャムはどうしたいか、アイデアがあれば出してくれと。フリーのジャム部分はあるけれど、その他はオーガナイズされているんだ。

JP:G3で一番好きなところは、毎晩ジャムが終わってから、互いに感想をシェアしてプレイを教え合うところなんだ。ステージでどんな面白いことがあったとか。それに憧れていた人たちが人間的にも寛大で素晴らしく、友人になれたことに感激したよ。

それから、南米ツアーの初日、あれはエリック・ジョンソンもいたときだ。僕のアンプが壊れてしまい、真空管もダメになっていたんだ。僕はまだエリックに会ったことがなかったのだけど、エリックがアンプをチェックして「ああこれ、多分直せるよ」と言って直してくれた。そこでやっと自己紹介したんだよ。このツアーで得られる仲間意識や連帯感は素晴らしいね。

SV:私は随分前に学んだのだが、ツアーというのは人生の一部なんだ。だから規模や金じゃない。人柄に問題のある人とのツアーは惨めなものになってしまう。共にすごして楽しい人たちとの絆が本当の価値なんだ。それにG3の裏側のプロダクションについて言うと、実に完璧だ。全てがスムーズで見事に準備されている。

JS:ファンには「次のG3はどんな顔ぶれ?」って訊かれるけど、こっちが誰が観たいかを教えて欲しいと思っている。誰ならG3を発展させられるか?2020年のファンのムードはどうなっているのか。ユニークなG3にしてくれるのは誰か。

丁度いい。ファンから入ってきたG3で観たいギタリストのフィードを読み上げます。バケットヘッド、ニタ・ストラウス、ビリー・ギボンズ、カーク・ハメット等々続く。プリニ(Plini)は一番多い回答ですね。

(プリニにJPもSVも頷く)

JP:プリニの問題はロングアイランド出身のイタリア人じゃないところくらいだね。(笑)彼は素晴らしいよ。

このビデオを観せよう。G3 Live in Tokyo のコメディビデオ(1:07:05から)

(訳者注:ヴァイ先生とサッチが本当は互いの指のタコを見せあっている映像に声が載せてあり、「近くにネイルサロンある?もう剥がれてきちゃって」「キラキラの紫いいね!」…と2人がネイルカラーを見せあう設定になっている)

SV:(爆笑)これ初めて観たよ!

JS:そうなの?誰かがこの映像を面白いコメディにしたんだ。この動画を使いたいと思って連絡を取ったのだけど、向こうから返答がなくてね。でもいつ観ても面白いよ!

(訳者注:このあと暫くG3で起こったハプニングの話で盛り上がります。フィラデルフィアの楽屋でジョンの天井から人が落ちてきたこと、欧州G3のJS+SV+スティーブ・モース+ゲスト:アル・ディメオラ時にサッチの左手親指が貼れて9本指でプレイした話、クアラルンプールのフェスにG3出演した時、時間が押してサッチがプレイしたのが午前4時で、フェス運営の不手際で機関銃を持った警官にショウを強制終了させられたこと等)

ファンからの質問を取り上げます。指板を視覚的に記憶する方法は?アルペジオやトライアドなどで。

SV:うーん、それらはバックグラウンド情報に過ぎない。そういう情報からのアプローチは意識してはしない。そういう内容が必要なときはプレイ中に自然に頭の後ろから引っ張ってくる。普段は耳に導かれて弾く感覚だ。

タイム感を鍛える方法は?

JS:メトロノームとプレイする。

SV:ああ、それからドラムマシーンを掛けたり、誰かとプレイする。

G3が変えたことは?

JP:それまでは Dream Theater のジョンでしかなかったけど、ジョーやスティーブとプレイして自分のレベルも上がったし、自信もついた。

最近聴いたアルバムでお気に入りは?

JS:うーん、実は毎朝インスタグラムを開いて凄いギタリストを見ては震えているんだよ。そして練習しなくちゃと思うんだ。自分が別の世紀の遺物みたいに感じる。20代の若者みたいだけど、彼らを見れて嬉しいよ。彼らは本当にギターが好きで、音楽に身を捧げている。とても刺激を受けるよ。

SV:マッテオ・マンクーゾ(Matteo Mancuso 動画リンク)やダニエレ・ゴッタルドを知ってるかい?彼らは驚異的だ。

JS:ジェイソン・リチャードソンは知ってるよね?友達かい?彼には肝を冷やされるよ。

JP:もちろん!

JS:それからもう1人は日本人だ。ヨー???読めないなぁ。皆の方が名前わかると思うよ、正にびっくり仰天のプレイなんだ。

(訳者注:サッチが発音に苦心して名前がわからないと思っていましたが、後日 Yo onityan のことだと判明しました。YG誌の試奏動画はこちら。ここでヴァイ先生が日本人でもう1人、ギタリストの名前を口にしていますが、聞き取れません。わかった人は教えてください!1:26:52のところ)

ベーシストのブライアン・ベラー(サッチのツアー・ベーシスト)からの質問です。自分でベースを弾いたお気に入りの曲といつもデモで弾く愛器を教えてください。

JSとSV:ブライアン!(笑)

JS:(Fender Precision bass を見せて)これだ。ネックが細くていいんだよ。72年製。5弦が欲しい時はあっちの部屋にある Ibanez を使う。"If There Is No Heaven" (『Shockwave Supernova』収録)のベースはギタープレイヤーが弾いたってベースかな。ジョンはどう?

JP:ベースもときどき弾くけど、あとプログラムのベースも使う。でもベースプレイヤーに全て差し替えるよ。

SV:私もデモでベースを弾くけど、やはり私が弾くとギタリストっぽさが出るから、本当のベースプレイヤーに弾いてもらわないと。ジョーはこの72年製の Precision bass 覚えてる?これは妻のピアが VIXEN で弾いていたものだ。

JS:わお!このベースはギタリストが弾くのにネックサイズもいいし、サウンドもいいよね。

f:id:ribbon_bear:20200605180137j:plain

===============================

G3 Live in Tokyo のDVDを見直しましたが、最後のジャムでサッチのギアにハプニングが起きていたとは思えないのですが、本当にこのときのハプニングだったのかな?あと、特典映像の面白動画ですが、サッチの反応からして有名な動画みたいですね。面白いので全部観たいのですが、YouTube からは見つからず。知っている人がいたらぜひ教えてください。

セッション中の会話で、ヴァイ先生誕生日のストリーミングで公開する新曲の話が出たのですが、ヴァイ先生がサッチに送って聴いてもらったようでした。今も2人は新曲を聴かせ合ったりしているのだなと、ほっこりしました。