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アンディ・ティモンズ 「どうしたらメロディが書けるのか?答えは単純さ、もっとメロディを学ぶんだ」

アンディ・ティモンズがオンラインイベントに参加しました。イタリアの音楽チャンネルのイベントで特別ゲストの参加を挟みながら、インタビューとライブパフォーマンスは2時間半にも及びました。その中から興味深かった一部分をまとめてみました。

アンディの作曲を支えている無意識の習慣についてのお話が興味深かったです。

 

 

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メロディやハーモニーなどあなたの曲はどう作曲しているのですか?

一度に浮かんでくるんだ。最近ではエディ・ヴァン・ヘイレンが亡くなったときに彼の家族を想って曲を書いたのだけど、僕はギターを手にして心のままにつま弾いていた、そしてメロディが浮かんだんだ。最近は多くの場合ハーモニーで頭の中に聴こえてくるんだ。

アルバム『Resolution』で新たなアプローチを始めたとき、こんな(ギタープレイしてみせる)コード・メロディの形で結実したんだ。時にはバンドとジャムしているときに閃くこともあるし、ドラム・ループを掛けて練習しているときに閃くこともある。リフだったり、探求するに足るアイデアだったり。そのときにはできるだけ記録するようにしている。今は皆がボイスメモに100個ものリフを録音していたりするよね。僕は16歳のころから山ほどのカセットテープに録ってきたよ。一聴して特徴があり、そこに何か魅力のあるもの、そんなアイデアを発展させている。メロディが先に浮かぶこともある。

1日中メロディが頭の中にあるんだ。僕が人生を通じてその重要性や価値に気付かずにしていることなのだけど、音楽を聴いているときでもそうでないときでも、グルーヴが浮かんで、頭の中だけ、もしくは身体を動かしていたりするんだ。それと同時にメロディも浮かぶ。これらは全くの無意識下で起こっていて、どれだけ役に立っているのか考えることもなかった。妻と行く服飾店の音楽がお気に入りなんだけど(笑)ムーディなキーボードとコード進行で、それがメロディを創る絵具なんだ。良く知られている曲でも僕はカウンターメロディを歌ったりハミングしていたりする。

こうして僕はずっとメロディを即興していたり、曲のタイムに合わせているんだ。楽器が手元になくても、自分の頭の中のグルーヴやメロディの記憶庫に入るんだ。そこにはこれまでに聴いてきた音楽が蓄積されている。そうすると、自分の音楽を書いたり楽器を演奏するときがきたら、自分の音楽脳は強化されているので、見つけたいアイデアやフィールを引き出せる、後はそれらを楽器に当てはめていくんだ。これは誰に言われた訳でもなくて自然とやらずにはいられなかったことなんだ。本能的な無意識の行動だった。

すなわち作曲というのはあなた自身の全てを表現するものでもあるのですね。

そうだね。別のギターレクチャーの機会にメロディや曲のインスピレーションについて話したのだけれど、僕が思うに、僕たちが聴いたり、プレイした音楽は記憶に刻まれていくものだ。即興でソロを弾くときや作曲のときには過去の感動した記憶に従っているのさ。記憶の曲を複製したり、一部を頂くのではなくて。時としてそうなってしまうこともあるし、正直な人は意図的だったと言うけどね。(笑)

例えばジョージ・ハリソンが The Chiffons の "He's So Fine" をパクってしまい、メロディが酷似していた。彼の頭の奥にあの曲があったのだろうけれど、彼は意識になかったんだ。(訳者注:63年の The Chiffons のヒット曲 "He's So Fine" に対して70年のジョージの "My Sweet Lord" が酷似しているとして著作権侵害で訴えられ76年にジョージが敗訴した)

音楽というのは同じような頭の中からくるものだから、僕にとっては導かれるようなものなんだ。これまでに聴いた音楽やコードや多くのものから同様の質のものを引き出そうとする。だから、よくどうしたらメロディが書けるのかって聞かれるけれど、答えは単純さ、もっとメロディを学ぶんだよ。1日中速弾きの練習をするのではなくて。それは自分の持つ絵具の1つで、僕もそういうエネルギーがプレイヤーから伝わってくるのは好きだよ、でもメロディも聴きたいだろう。印象に残って何か君の心を動かすものだ。そういういくつもの絵具が集まったもの、それが聴いて楽しいものだ。

曲だけでなくあなたの即興のソロでも多くが感じられます。常に新たな試みをしていますね。

色々なものを吸収することだよ。僕はこの数週間、エルビス・コステロトム・ペティブルース・スプリングスティーンの新譜などを聴いていた。素晴らしい歌詞とシンプルな曲がとてもパワフルで大好きさ。トム・ペティの作曲はとても深い、彼は最小で多くを語るんだ、曲にも歌詞にも余分なものは無い。僕の音楽もそうでありたいね。もちろん他のギタープレイヤーもチェックしているよ、インスタグラムを見ながら何だこれ!って驚愕しているんだ。腕の立つプレイヤーが沢山いる。互いに刺激しあって高めあうんだ。

今練習していることは何ですか?

毎朝コーヒーを味わってから、僕のルーティンではバッキングトラックを掛けながらジャズをインプロバイズするよ。あと曲を学ぶのも好きで、最近やったのはエルビス・コステロとパート・バカラックのコラボレーションで、キャロル・キングの人生を反映した映画『グレイス・オブ・マイ・ハート』のサウンドトラックだ。その中の曲がゴージャスでね、"God Give Me Strength" は素晴らしいメロディだよ。こういうシンプルな曲を学ぶことで僕の中のライブラリーにまた違う音楽が刻まれるんだ。常に音楽を聴いて、メロディや歌詞の美しさを見つけている。

テクニックの面では何かありますか?

エディが亡くなったときにはタッピングだったり、別の時にはハイブリッドピッキングだったり。僕はそれをあまり練習してこなかったけれど、今の若いプレイヤーはとても高いレベルで使っているよね。練習したいテクニックをリストにしたりするけど、僕は昔からあまり練習に長けていなかった。先生がいればモードとかいろいろ練習してそれは良かったのだけど、練習はただプレイしたり作曲する時間になりがちだった。スティーブ・ヴァイのように1日10時間練習メニューみたいな厳しい鍛錬ができたら良かったのだけど。

いつも言っているのだけど、皆それぞれ自分に合う練習法を見つけることだ。厳しくて気分がのらなければインスパイアされないし、逆に楽しければどのような練習でも楽器に集中でき、ヤル気につながるだろう。僕は様々な曲をプレイすることで成長し、楽器との繋がりも強化できたよ。時間をとって根気強く続けることだ。

(アンディが語ったギター練習についてはこちらでも読めます)

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ティーブ・ルカサーとラリー・カールトンのショウがあったときに、ラリーのペダルに質問が集まったことがありました。ラリーが彼のセッティングで何人かに弾かせてくれたのですが、誰も同じトーンを出せませんでした。ラリーは冗談で(君たちのトーンを)リモコンで操作したのだと言っていたエピソードがあります。(笑)

ラリーとスティーブのショウはダラスであったときに観に行ったよ。スティーブの演奏はもちろん素晴らしかったのだけど、その夜のラリーのペダルはボリュームペダルだけだったのさ!彼の Gibson ES-335 とボリュームペダル、それだけなんだ。その夜は彼らをタコスを食べに連れ出したよ、最高の夜だった。彼らと同じ部屋にいるだなんて圧倒されたよ、僕の最大のヒーローの2人だからね。

ティーブは全般的に僕に影響を与えたプレイヤーだけど、ラリーにも多くの影響を受けた。彼のファースト・ソロアルバムはトーンも素晴らしかったけれど、1音1音の扱いが完璧にコントロールされていてエレガントだ。ベンドもプリベンドもコントロールされている。彼のアルバムを聴き直したら、僕が無意識に捉えて自分のものにしたところがわかると思う。何度も繰り返し聴いたので、自分の一部になったんだ。

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来月にはスティーブ・ルカサーをこの番組のゲストに迎えようと今調整しているんですよ。

素晴らしいね、僕をその回のスペシャル・ゲストに呼んで欲しいな!

もちろんですよ。シークレット・ゲストとしてお呼びします。
ところで、コロナ禍で音楽産業は変化を余儀なくされましたが、これは新たな時代の始まりなのでしょうか?

そうだね。僕が StageIt で毎週オンラインライブを始めたのは必要からだった。ツアーができなくなってしまったから。これを使ってライブをしていた友人に教えてもらって僕も始めたんだ。これなら家のスタジオから配信して幾らかの収入を得られる。もちろんバンドと一緒にプレイしてオーディエンスがいる方がいいけれど、生活を変えなくてはならない中で、このテクノロジーがあって感謝しているよ。

パンデミックで出かけられなくても人々はオンラインで集い、子供はオンラインゲームで友達と集まったりしている。こうしてミュージシャンがアートをオンラインで提供できる形式というのは良いことで、僕たちが以前の生活に戻れたとしてもこれまでの形式に加わる形で続くのだと思う。

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