アンディ・ティモンズがジェイソン・グリーンのインタビュー番組に登場しました。多くのミュージシャンをインタビューしているジェイソンですが、パンクロック系の方とアンディの相性ってどうなのだろうと見ていたら、ジェイソンは下調べ上手で実に興味深い話を引き出していました。
あっと驚くギグのオファーなど、1時間ほどのインタビューから一部概要を和訳してみました。
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マイアミ大学でジャズを勉強した人が "Naughty Naughty" とかやるようになるとは意外だね。(笑)
ハハ、でも僕には兄たちがいて60年代の音楽を聴き、The Beatles を聴き、僕が12歳頃に初めて自分で『KISS Alive』を買って、それでギターを覚えたんだからね。ロックが僕の基礎だよ。ロックバンドでプレイしながら、16歳からジャズのギター教師に教わって、大学の最初の2年はクラシックギター専攻で、それからマイアミ大学に編入したんだ。
そうして僕は様々な音楽をプレイしてきたけど、Danger Danger のギグがやってきたときには、自分のルーツのロックをやることにしたんだ。おかげで KISSとツアーできたのは、初めて観たコンサートが1976年の Destroyer ツアーだった者にとっては夢が叶ったようなものさ。彼らとは Hot In The Shades ツアーと数年後にUKでの Revenge ツアーのサポートをやったよ。
彼らは最高だった。僕は違うけど、Danger Danger のメンバーはNY出身だし、KISSはもちろんNY出身のバンドだからね、NY同郷の仲間意識があって、それは良くしてもらえた、最高の楽しい思い出だよ。
Danger Danger について質問だけど、最初のギタリストのアル・ペトレリ、それからトニー・レイが多くのギターをアルバムで弾いていたよね。
理由はわからないけれど、契約時に在籍していたアルは別の道を選んだんだ。トニー・レイの本名はトニー・ブルーノなんだけど、彼は当時自分のバンド Saraya があったんだ。とても良いバンドでいいアルバムを出しているよ。彼はスタジオ・ミュージシャンとしてアルバムで演奏することに同意したんだ。それからバンドはツアーとビデオをやるギタリストを探したんだ。
これは初期の Danger Danger の写真だけど、君たちはジェリー・ミラーのお気に入りで Metal Edge 誌のポスターになってたよね。当時あれに載るのはビッグなことだった。雑誌にはアンディのピザの好みやボクサー派かブリーフ派かってことまで載ってたよ。
確かにジェリーと Metal Edge 誌のおかげで沢山の露出ができたよ。理由はわからないけど、彼女は僕らを掘り下げて取材してくれた。パンデミックで家にいるから、先日倉庫の整理をしたのだけど、NY時代の雑誌が沢山でてきて、懐かしく見ていたんだ。
(訳者注:先月、アンディが癌で亡くなったジェリーのニュースにコメントしていました。「このニュースに心を痛めている!ジェリーは Danger Danger 時代を通して信じられない程僕に親切だった。パンデミックの始まりの頃に彼女と連絡をとって良かった。彼女は病気だなんて口にもしなかった。ジェリーどうか安らかに、ありがとう」)
Heartbroken at this news! Gerri was unbelievably kind to me during the Danger Danger years. I’m so glad I contacted her at the beginning g of the pandemic. She didn’t let on that she was ill. RIP Gerri... and thank you https://t.co/2OSvZNGG3D
— Andy Timmons (@AndyTimmonsBand) 2021年3月16日
これはずっと疑問に思っていたことだけど、君は優れたプレイヤーで、Danger Danger ではプレイヤーとしての君を全て表現することはできなかった。ずっと昔のNYで確かチャイナ・クラブだったと思うけど、君とレブ・ビーチがギタークリニックをやっていたのを見たんだ。ミュージシャンは君がプレイヤーとしてずっと多くのものを持っていると知っていた。だからいつも不思議に思っていたのだけど、他のバンドが君に声をかけなかったのかい?デイヴ・リー・ロスとかアリス・クーパーみたいな人が声を掛けないなんて不思議だよ。
そういうことは時折あった。ずっと後だけど、Winger から誘いがあった。ポール・テイラーがバンドを辞めることになったから。僕はレブとはずっと友達だったし、彼は素晴らしいプレイヤーだから一緒に居るのが楽しくてね。
キップは僕を知って、その後彼のソロアルバムでプレイしたよ。彼の1stアルバム『This Conversation Seems Like A Dream』は20年か25周年を迎えたんだけど、僕が参加したアルバムの中で最もお気に入りのアルバムの1つだよ。とてもオーガニックで深みのあるアルバムだ。
バンドとしての Winger の後、アニメや Metallica の攻撃の後で、あれは素晴らしいステートメントになると思ったよ。あのジャンルにあれだけ多くのバンドがあったというのに、Winger が攻撃の対象に選ばれたというのは余りに不運だ。実際のところ、Winger は全員がモンスタープレイヤーで、素晴らしい人たちさ。スケープゴードとしてポスターボーイに誰かが必要だったのだろうけれど…
(写真上)Winger のライブに飛び入りしたアンディ。2016年マイアミ
なぜ Winger には参加しなかったんだい?
僕はまだDanger Danger にいて、バンドに忠実だったからさ。でもキップのソロアルバムでは僕とロッドがプレイしているから、もし僕が彼らとプレイしていたら、というのは実現しているんだよ。
とにかく、僕は何かチャンスがあったからと言ってバンドからバンドに移るようなことはしたくなかった。3rd アルバムでDanger Danger はアルバムリリースができず、テッドとバンドがもめたり、新ボーカルが入ったりとなったときに、ブルーノが僕に、バンドにいてもいいし、テキサスに戻ってもいいと言ったんだ。彼は僕が悩んでいるのを見てそう言ってくれた。それで僕は決断ができたんだ、自分にとってもテキサスに戻るのが1番いいと思った。そして自分の表現として、心にあった曲をレコーディングしてセルフリリースしたんだ。商業的な物を追うことはなく。
なるほど、最近インタビューしたギタリストたちも同じようなことを言っていたよ。Autograph のスティーブ・リンチとか、ロン・サールとか。誰かの音楽をプレイし続けるのではなく、自分の音楽をやりたかったと。
僕の場合はプレイする相手の人柄や音楽によると思う。オリビア・ニュートンジョンにプレイしたのは彼女がとても素晴らしい人だからだよ。彼女のギグは15年とはいえ間欠的に続くものだったし、彼女は僕自身のキャリア活動への理解もあった。
その年月の間にはバンドからのオファーもあったし、それをやればロック界で僕の名前が認識されたかも知れない。でも誰かの後任をやるというのはできても、一緒にやる人の人柄と合うかという疑問はあった。
君がどんなバンドのオファーを断ったのか興味あるな。
余り言いたくないんだ、誰かの心情を傷つけたくはないからね。息子が生まれてからは特に家を空けてツアーに出るなら、愛する人たちと一緒にやるか、又は自分のバンドでにしようと思った。さっき君がロン・サールの名前を口にしたけど、彼が Guns N' Roses で感じていたことというのはそういうことじゃないかな。
実際、それがオファーの1つだったよ。ロンからあるとき電話があったんだ。彼らがロンと共にプレイするバンドメンバーを探しているときに。(訳者注:それはつまり、DJ Ashba が加入する前段階の人選動向と思われる)でも当時のアクセルの評判などを耳にすると乗り気になれなかった。でもロンが僕の名前を考えてくれたことは光栄に思っているよ。
GNRのリユニオンを観ることができたのだけど、アクセルはキャリア最高のパフォーマンスだったし、バンド全てが、スラッシュも過去最高のサウンドだった。皆がシラフだったのが最大の要因じゃないかと思ったよ。
君のビデオをYouTubeで見ていて、スティーブ・ヴァイのショウで君がギターを受け取って完璧に弾きこなしていたのも見事だったし、エリック・ゲイルと共演していたのも素晴らしかったよ。
はは、地元でライブを観に行くときには何が起こるかわからないからね、僕は必ずポケットにピックを持って行くのさ。(だからスティーブからギターを渡されたときにすぐピックを出して弾いた)エリックは僕の好きなギタリストのトップ5に入るよ。
彼は左利きだよね、ビデオを見ていて不思議に思ったんだけど…
彼は左利きのポジションでプレイするのだけど、右利き用のギターを上下逆にして使うんだ、アルバート・キングみたいに。高音E弦が上にあるんだよ。僕がプレイしてて高音弦をベンドアップしていると、彼は(高音弦が上にあるから)ベンドダウンして弾いているんだ。彼は最も大きなソウルをギターから表現できるプレイヤーだ。
君はビゾネット兄弟と共演しているね。
ああ。Reddcoats というプロジェクトで、マット・ビゾネット(B)から始まった。彼は素晴らしいシンガーでありソングライターだ。彼の兄のグレッグ・ビゾネット(Dr)が僕を誘って、パーカッションにはマイク・メディーナ、ウォーリー・ミンコウがkeyだ。
バンドは何でもプレイできる、正にミュージシャンのアルバムで、ポップの繊細さがありながら、10分ものドラムソロがあったり、フュージョンでファンクでラテンでロックで全てが入っているんだ。事前に方向性を決めていたのではなかった。レコーディングは全てリモートでやったよ。
マットとグレッグは最高のギタリスト全員とプレイしているからね、一緒にプレイできて光栄だよ。僕には少し早すぎると思えるけど、7月にイタリアでライブをやろうとしているんだ。彼らとはぜひギグをやってみたい、安全が大切だから状況を見守るよ。
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驚きました。アンディが Guns N' Roses に誘われていたとは!ロンさんは内部の人間関係に多少の負担感を持っていたでしょうから、人柄が信頼できるアンディとプレイしたいと思ったのでしょうか。
レブはアンディが大好きだから、一緒にプレイしたかったのでしょうね。ポール脱退後の Winger に誘い、ダグ・アルドリッチ脱退後の Whitesnake にもアンディを誘って。Winger 入りしたアンディを観てみたかった気もします。
アンディ最新のプロジェクトの Reddcoats ですが、ツアーも計画されているとは驚きました。ぜひ日本にも来て欲しいです!
昨日のデヴィン・タウンゼントが登場したハーマン・リーのTwitchで、デヴィンの新アルバムにアンディが参加したという話を聞きました。デヴィンとアンディという組み合わせも意外で驚いています。両者ともヴァイ先生と親しいのでそこからでしょうか…