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Green (@ribbon_bear) が毎週好きな音楽ネタを語ります! Since 2011

ビリー・シーン 「クレジットはエディ・ヴァン・ヘイレンだが、起源はビリー・ギボンズにある」

ビリー・シーンがインタビューに応えました。スタジオで興奮ぎみのミュージシャン2人との会話に盛り上がってご機嫌でいろいろと語っていましたので、興味深かった一部を要約してみました。

 

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自分がレコーディングした中で最も強力に思うアルバムは?

DLRの『Eat 'Em And Smile』と Mr.Big の『Lean Into It』と The Winery Dogs の1stアルバムだ。これらのアルバムは友達に会うとまず聴かせたアルバムさ。アルバムの制作には全力を注いでも完成品が自分にしっくりこない時というのはあるんだ。この3枚は強力だった。

The Winery Dogs で達成したことの1つはリッチー・コッツェンを世界に知らしめたことだと思うね。多くの人は彼のことを「しばらく Poison にいた奴」くらいにしか認識していないが、一方で彼はスタンリー・クラークのバンド Vertu でアラン・ホールズワースの代わりに入ってプレイしたんだ。

そうですね、リッチーはグレッグ・ハウとも超絶のフュージョン・アルバム(『Tilt』)を出しています。

ああ、彼のプレイもボーカルも作曲も素晴らしいよ。リッチーは The Winery Dogs で超重要な要素だった。

最もクレイジーなツアー中の出来事を教えてください。

沢山あって数冊の辞典くらいになるな。『Eat 'Em And Smile』のツアーは当時の世界一ビッグなロックスターだったデイヴとで、スティーブやグレッグと一緒だった。驚異的なツアーだったよ。あるとき、雑誌の Time か Life からカメラマンがやってきて、写真を撮ったんだ。ライブの最後に俺たちが歓声をあげるオーディエンスに背中を向けてカメラを向いたもので、とても楽しみだった。でも彼らはその写真を使わなかったんだ。何が起こったかだって?何人もの女の子が胸を見せていたんだ。胸が見えたらまずいから、彼らは写真を使わなかったのさ。(笑)

付け加えておくけど、俺たちのツアーバスにはドラッグはなかった。俺なんて71年からアスピリンも使ってない位だ。ドラッグもコカインも全くやらない、酒を少々楽しむくらいさ。スティーブもグレッグもブラッドも俺も真面目な人間で、デイヴは俺たちにとても親切だった。デイヴは別のバスに乗っていたから、そこで何があったかは知らないけどね。

プレイに役立った好きなリック又はテクニックは何ですか?

74年にビリー・ギボンズがプレイするのを見に行ったんだ。彼がアリス・クーパーのオープニングでバッファロー公演があった。そこで彼がこう弾いたんだ。(ベースでプレイしてみせる)そんなのは見たことなかった。彼は右手で弦をフレットにハンマリングしてたんだ。これはギタープレイヤーがこぞってタッピングプレイをする前の時代の話だ。家に帰って直ぐにやってみたよ。右手で弦を押さえると音がするじゃないか!それでいろいろ試した。それが俺のタッピングを使ったベースプレイの始まりになったんだ。

そして78年に Van Halen が登場した。もちろんショックだったよ、タッピングをやっているのは俺だけかと思っていたから。だが実際のところ、クレジットは全てエディ・ヴァン・ヘイレンに相応しい。一般に浸透させただけでなく、彼のタッピングは素晴らしかったし、俺が思いも寄らないやり方であれをやっていた。だからタッピングのクレジットはエディにあるが、その起源としてはビリー・ギボンズにあると思う。

ある日、LAでスタジオ・レコーディングに行ったんだ。親しい友人のリタ・フォードのところに。俺は知らなかったがサプライズでそこにはビリー・ギボンズもいたんだ。スタジオに入ってびっくりしたよ。そこではリタとビリーと俺とでレコーディングしたんだ。休憩時間に彼と話をしたよ。彼はあらゆることに博学で素晴らしいんだ。お礼を言って帰ろうとしたら、ビリーがちょっと待てと言う。彼はバッグから彼の写真を取り出してサインしてくれたんだ。(額に入れたビリー・ギボンズのサイン写真をみせるビリー)彼は俺のことなんて知らないと思っていたのに。インタビューで俺のタッピングはどこから来ているのか訊かれる度にビリー・ギボンズと答えていた。彼はそれを読んだと言って、「その調子でな」と言ったのさ。

実は彼は俺のソロアルバム『Holy Cow!』に参加している。スタジオにやってきた彼はテレキャスを持っていたのだが、持ってくるギターを間違えたようだった。部屋には俺が誰かにジョークでもらった100ドルの中国製ストラトがあって、それはローBにダウンチューニングしてあったから弦がゆるゆるだった。このギターしかないけど、使ってみるかと彼に訊くとやってみると言う。結果、100ドルのストラトと Line 6 Pod で彼のギターはレコーディングされた。それでも素晴らしい出来だったよ。友達に聴かせてギタープレイヤーを当てさせたら、「ビリー・ギボンズ?」って答えていた。直ぐに彼だってわかるのさ。

わぉ!音は手に宿るって言いますね!ミュージシャンへのアドバイスはありますか?

スティーブ・ヴァイの(ツアーバンドで)リズム・ギターを弾いているデイヴ・ウェイナーの話をしよう。彼は素晴らしい奴なんだが、最初はスティーブのオフィスでインターンをしていたんだ。彼はMI(Musicians Institute)にいたんだが、スティーブは知らなかった。デイヴの家にはスティーブのポスターが貼ってあって、スティーブ・ヴァイの大ファンだったのさ。

彼がスティーブのところで働くようになって、スティーブは彼がギターを弾くことを知ったのさ。「どれぐらい弾けるんだ?」と訊かれてこれぐらいですと答えた。それで「ホテルの予約を任せていいか、フライトの手配もできるか」と言われているうちに「ツアーマネージャーとしてついてこないか、それにリズムギターも弾いてくれ」と言われたんだ。そうして今では彼はスティーブの右腕だ。

これは誰にでも起こり得るんだ、心から望んで努力していれば。そういう希望と楽観主義を皆に持ってもらいたい。それと同時にそこには何の保証もなく何でも起こり得るということも理解して欲しい。生涯を通じて頑張って良いミュージシャンになっても成功が起こらないかも知れない。どこかに理由が隠れているのだろう。人に礼儀を持って親切にすること。俺も時には失敗するけれど。早く行って、(会場に)残り(タスク以上の)仕事をすること。そうすれば実現できる。

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ビリーのタッピングの起源の話が興味深かったです。以前、ヴァイ先生がビリーのことをこう語っていました。

「シュレッダーという言葉があるが、ビリーは最初のシュレッダーなんだ。その言葉が使われ始めるずっと前からシュレッドしている。彼はエディ・ヴァン・ヘイレンよりも前からシュレッドしているんだ。彼は非常にユニークで、シュレッドの権威なんだよ。私は彼の技術から随分と盗ませてもらった。(笑)」

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