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ジョー・サトリアーニ Part 1「君の手:ピッキングの仕方、弦の押さえ方、それがトーンの最も重要な決定要素だ」

ジョー・サトリアーニがギタートーンについて語った記事が Guitar Player にて掲載されていました。サッチがここまで細かく機材について話しているのは珍しい気がしますので、以下和訳しました。

以前読んだ本で、サッチにとってリードギターのトーンとは、歌手の声と同じだから、曲で表現したい内容によって最良の音作りをするという話がありました。興味深いインタビューでしたので2週に分けて掲載します。

www.guitarplayer.com

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ギタートーンについての考えを聞かせてください。

トーンは終わることのない魅力的なコンセプトだ。まず第一に、トーンについて興味深いと思うことは、それがいかに主観的なことかということだ。何が良いトーンで、何が悪いトーンなんだ?そこには良いも悪いも無いのかも知れない。なぜなら、あらゆる音楽芸術においてコンテクスト(文脈)こそが全てだからだ。

ギターサウンドを曲に適応させようと考えるとき常に、最初に自問しなくてはならないことは、「この楽器で何が言いたいのか」ということ。自分の意図を考慮すること、それがコンテクストになる。最終的には自分が繰り広げようとするものに対してそのトーンが適切で良いものかをコンテクストが定義するだろう。

例として1958年のリンク・レイのインストゥルメンタル"Rumble" がある。当時誰もこんなものを聴いたことはなかっただろう、親世代はもちろん。コードのシンプルさは完璧で、それによって唸るような不埒なギタートーンを印象付けている。クラブかダンスホールで喧嘩か何か邪悪なことが起きているように聴こえる。今聴いても、違う時代、違う場所に連れ出されるようだ。つまり、あの突出したサウンドにはコンテクストが見事に包まれているんだ。リンク・レイの意図が伝わるよ、彼は何をやりたかったか明確だったんだ。

ギターサウンドで最初に衝撃を受けた曲は何でしたか?

ギターを弾く前からエレキギターに魅了された。でもギターを手に取る前には全ては魔法のようだった。ギターのこともアンプのことも全く知らず、全てが謎だった。ただロックのサウンドが好きだった。

The Who の "I Can't Explain" のオープニングのコードは、正に魔法のサウンドに感じた。シンプルでありながら、同時に「どうやってあれを捕らえたのだろう?」と思わずにいられない。一連のコードが押し寄せ、動くことができないんだ。ああいうものに感じ入る。

何年も後に、Bigsby トレモロユニットを付けた68年製の Fender Telecaster を手に入れた。そしてこれは私が聴いてきたレコードのようなサウンドが出せると思った。やがてネック側PUを活用する方法を考えるようになり、ラリー・ディマジオのPUを見つけたんだ。ニューヨークにいるこの男がハムバッカーPUを作っていて、ノイズの心配なくビッグなギターサウンドにしてくれるという話を聞いた。

あの初期の DiMarzio PUを私のギターに載せることで、トーンに対する私の耳が開かれたし、それで私に何ができるのかという意識も変革した。

それがギターやギアの重要なところだ。それら道具が一連の新たな扉となること。自分が思い描くこと、そして実際に創造するものの間に障害など欲しくはないはずだ。楽器によって励まされ、新たな方向性に導かれることを望むだろう。私にとってはあの68年製 Telecaster によって様々な小さな変化が起こり始めた。

ギターを購入する際、トーンに関してはどんなことを知っているべきでしょうか?

ギタリストは常にある特定のサウンドを得る方法を探すだろう、しかしまず最初に自問すべきことは、「自分はこのギターで何が言いたいのか」だ。そしてそれに対する回答に従うことで、結果として適切なギターを見つけることができるだろう。手に取って心地よいギターを見つけたのなら、手を離すなんて不可能だ。

ギターには何かがあるんだ、しっくりとくるとき、だたプレイしたいと刺激される。自分が気付く前にそのギターで曲を書き、常にジャムしている。それが自分のプレイに影響し、究極のところ自分のトーンに影響するんだ。

ピックアップやアームや、アンプやその他のものよりも何より、ギターを弾く君の手:ピッキングの仕方、弦の押さえ方、それがトーンの最も重要な決定要素だ。だから、真に自分を刺激するギターを持つことの重要性は言い尽くせない。

トーンに関して、アンプ選びで考えるべきことは何でしょう?

購入に際しては注意深く自分のニーズに合っているかを考えねばならない。もし君が多彩な用途を求めるのなら、恐らくそうだろうが、単機能でないアンプを選ぶことだ。あるタイプのサウンドを要するギグがあるかも知れないが、設定の面倒なしで大音響にしたいこともあるだろう。

そして翌日には全く異なるサウンドを要する状況に会うかも知れない。だから素早くそのトーンを出したいだろう。長年にわたるカバーソングの演奏やギターレッスンを経て私はその結論に達した。必要なアンプは柔軟性があり、信頼でき、大きすぎず、複雑でないものだ。

スペースは多くの人にとって問題で、近年のデジタルアンプはキャビネット真空管や変圧器やスピーカー付の伝統的なアンプに対する確実な選択肢だ。

例えば、Fractal Audio の Axe-Fx (プリアンプ/エフェクト)はコンパクトで使い易い。それに直接PAに繋ぐこともできる。今日では多くの人がデジタルアンプを選んでいて、それは彼らがやろうとしていることに合っているからだ。

ペダル・エフェクターと Axe-Fx のような(ラック式)エフェクターの比較についてはどうですか?

私にとっては二者択一ということではない。ペダルは動かせるから、どのようにも設置できる。リヴァーブをディレイするか、ディレイをリヴァーブする?もちろん、それはどんなラック機材でも可能だ。

今の私のスタジオでは Big Bad Wah (ワウペダル)、Shanks のゲルマニウムディストーション・ペダルと小さなチューナーが Marshall JVMプラグインされている。ここで、ワウペダルの前にディストーションを繋いだらどんなサウンドになるかみてみようと思うかも知れない。ちょっとばかり粗雑だが、同時にプレイし易く、時間もかからないだろう。

Axe-Fx はエフェクトをどのようにも再アレンジできるが、少しばかり時間がかかる。基本的にはコンピューターを扱っているのだから、タイプしたり、マウスやパッドを使うことになる。足元に並べたペダルを扱うのとは随分と違うんだ。

そのような違いは脇に置いて、重要なのはサウンドだ。私の最後のツアーでは、ディレイとリヴァーブを扱うのに Axe-Fx を最もシンプルな方法で使うに至った。これの最大のメリットは他のどのデバイスで同じエフェクトをループさせるよりもシグナル処理が優れていたことだ。

私のギターサウンドはまるでエフェクト・ループに繋がっていないように聴こえたよ。つまり、それがシグナル処理の質だ、もしくはユニット自体の質と言おうか。透過性の高さで、システムに入れてもそれに気付かないほどさ。 

(Part 2 に続く)

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