ジョー・サトリアーニのキャリアを語る上で、最も重要な役割を果たした長きにわたるビジネス面の協力者を3人挙げるなら次の3人だろう。
才能がありながら、なかなかデビューの機会を得られなかった、シャイで慎重なサッチを世界的スターに押し上げたのは本人の才能と彼らのサポートあってのことだったと思う。
3人のうちの1人、ミック・ブライデン氏が先日亡くなったので、今週はそのことについて。
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クリフ・カルトレリ氏
独立系レコードレーベル代表
スティーブ・ヴァイと『Flex-Able』の配給契約を結んで、ヴァイ先生のソロアーティストとしてのキャリアをスタートさせる。ヴァイ先生の紹介でサッチの『Not of This Earth』を聴き、即座に契約、 Relativity Records との契約をまとめるなど、キャリア初期のサッチを強力にサポートした。現在は難病により闘病中。
今もサッチはニューアルバムのリリース時のサンクスリストには彼の名前を載せています。
ジョン・カニベルチ氏
レコーディング・エンジニア、プロデュサー
サッチがデビュー前にプレイしていたバンド The Squares のライブでのサウンド・ミキシングを担当して以来、サッチのレコーディングには必須の人物。サッチにレコーディングのノウハウを教えたのは彼。キャリア確立前のサッチと最も苦楽を共にした人物。
『Surfing With The Alien』レコーディングはもちろん、近年もボックスセットの『The Complete Studio Recordings』のリミックスを手掛けたり、アルバム『Shockwave Supernova』のプロデューサーを務めた。
ミック・ブライデン氏
マネージャー
サッチがミック・ジャガーのツアー参加した頃から長年のビジネス・パートナー。サッチのマネージメントを取り仕切り、ツアーにも同行。2021年9月5日、自宅での事故により73歳で亡くなる。
サッチがジョン・カニベルチ氏以外とのレコーディングを始めるとき、アンディ・ジョーンズ氏(『The Extremist』)を紹介したり、G3のアイデアを思い付いたサッチをサポートして、他のアーティスト・マネージャーやプロモーターを説得した。
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ミックさんの訃報を受けてサッチがコメントをオフィシャルサイトに発表しました。その一部を以下に和訳します。
88年の初頭、私のソロキャリアはヒットアルバム(Surfing)によって飛び立とうとしていただけではなく、思いも寄らず、ミック・ジャガーのソロバンドでプレイすることになった。ビル・グラハムがジャガーのソロツアーを1月のNYでプロデュースしており、私は遂にミック・ブライデンその人を知るようになった。
それ以来、33年に渡るクレイジーで素晴らしいロックンロール人生だった。これ程真摯に働いたこともプレイしたことも、泣き・笑ったこともない。これ程沢山の音楽を創り、世界中を冒険したことも。その全てで常にミックは私の側にいた。
彼は究極の音楽ビジネスのメンターだ。正直で、タフで、面倒を見、勤勉で、礼儀正しく、粘り強く、洞察力があり、それ以上の才も備えていた。私はいかにして良い人間になるのかをミックから学んだ。
彼の輝かしいキャリアを通じて、彼は最も売れた最高の人物と仕事をしてきたが、常に重要なのは親切であり、敬意を持ち、クールで、物事を直ぐにやることだと知っていた。
彼とビル・グラハム・マネージメントのチーム全員が私のソロキャリアを最初から導いてくれた。ミックは常にエネルギーに満ちており、尽きることのない創造力に溢れていた。
彼はアルバム・プロジェクトを組織し、最良のミックスを選び、シングルを選び、アルバムのアートワークを手伝い、ツアーをブッキングし、ツアーを管理し、契約を見直し、笑顔で鞭を振り、必要な時にレストランのテーブルを確保する。そして数杯のワインを傾けながら、彼の心情や洞察を語り、私の話を聞き、それでいて人生を楽しむ必要性を思い出させてくれる。
こうして文章を書いていても、ミックが私の校正係だった習慣が残っている。私が何か公の文章を書かねばならないときにはいつも最初にミックに送った。彼が私の文法ミスやカンマの使い過ぎを削ってくれたのだ。彼は私の散文の優れた編集者だったんだ、だから許してほしい、私の親友のことを何と書き終えればいいのかわからないんだ。
ミック・ブライデンよ、安らかに眠れ。
ジョー・サトリアーニ
サンフランシスコ 2021年
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もしヴァイ先生がサッチの立場だったら、感動的な文章表現の凝った文章を掲載したのでしょう。サッチの言葉は平易で、素の気持ちに溢れており、最後の言葉は読んでいて泣けました。33年もあらゆる面倒をみてくれた人なのでしょうね。ご冥福をお祈りします。