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ニール・ショーン 「真に人々の心を掴むのはメロディと曲なんだ」

Journey のニール・ショーンが今年の1月にエディ・トランクのインタビューに応えました。少し前のインタビューでしたが、2020年12月に発売されたインスト・ソロアルバム『Universeが素晴らしい作品だったので、それに関する部分をまとめて和訳してみました。

終盤にニールが Journey のニューアルバムについても自信たっぷりに話していましたが、当ブログではニールのソロアルバム関連の興味深い話にフォーカスしました。また、ニューアルバムについて言葉を寄せたヴァイ先生のコメントも紹介します。

彼のニューアルバムは現在オフィシャルサイトでダウンロードとCD及びLPが販売されています。ニールによると、CD及びLPがやがてどこでも買えるようになるそうなので、後日輸入盤が日本でも買えるようになるといいですね。

 

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君とは最近何度も話したのに、ソロアルバムの話をしてくれなかったね!アルバムについて教えてよ。

ハハ、話すのを忘れていたんだよ、あれは3年前に完成していたからさ。いつリリースするべきかわからず、棚に上げたまま、他の仕事に入ってしまっていたんだ。ナラダ・マイケル・ウォルデンとの Journey の新作の制作に。

いつ出すべきか皆にいろいろ言われたんだけど、去年は皆にとって厳しい年だったろう、だからこのソロアルバムは良い癒しの音楽になると思ったんだ。聴いて気持ちよくて、私にとってもスピリチュアルなものだ。それで今だと思ったんだ、PRにしてもレーベルにしても準備は何もできていなかったけれど、セルフリリースでデジタル・リリースしたんだ。間もなくCDと2枚組のLPでも出す予定だ。

僕はCDがいいよ、このアルバムをいいステレオで聴いたら素晴らしいだろうね。
君に質問があるんだが、ナラダは今や Journey に加わったけれど、このアルバムは2~3年前に制作していて、君は既に彼と作業していたんだよね。君たちには長い歴史があったと思うけど、彼が適任だと思ったのかい?それで彼は Journey にも参加したのかな?

(Journeyの)アルバム制作自体は順調だったんだ、だから考え直そうとは思わなかったのだけど、物事が悪い方に行って、今もなんとかしようと頑張っているのだけれど、とにかくアルバムは出す予定で、2月にはシングルをリリースしたい。

ランディ・ジャクソンに誰とプレイしたいかと訊いたら、ナラダと言う。彼らは素晴らしいキャリアを重ねたミュージシャンだから、2人のプレイは素晴らしいサウンドさ。実際に再びライブをするのが待ち遠しいよ。4月にロラパルーザ(イリノイ州シカゴ)のフェスでヘッドライナーを務める予定なんだ。延期されずに開催されるといいね、やっとワクチン接種が始まって、皆が音楽を聴いて癒しになるといい。

(訳者注:フェスは7月末に延期されました)

あのフェスはオルタナ系で、ヒップホップとかそんなエレクトリックなラインナップだろうね。

私たちのバンドもメンバーチェンジがあって、「オルタナ」バンドになっているからいいんじゃないか?(笑)

以前、欧州でメタル系のフェスに出たことがあるんだ。マリリン・マンソンも出てるフェスで、何を演奏するか悩んだよ。それで出番の前にオーディエンスを見渡したら、真っ黒のTシャツの群衆で多くは顔にメイクをしてた。それでバンドに今日はバラードを封印してヘヴィなセットリストにしようと言った。オーディエンスが私たちを観るのは初めてだったろうけど、バンドは見事にパフォーマンスをキメたよ。

はは、KISSのジーン・シモンズも以前話していたけれど、欧州のメタルフェスに出たとき、"I Was Mde For Loving You" をやるべきか悩んだそうだ。でもセトリに入れて演奏すると、視界一帯の黒いメタルバンドのロゴTシャツを着たオーディエンスが拳を振り上げながら一緒に歌っていたそうだよ。(笑)

ソロアルバムに話を戻すけど、3年前には出来ていたということは、君は日々アイデアをレコーディングしていて、それが積み上がり、自分で時が来たというところでリリースということかい?

私はギターと音楽が好きで毎日弾いているんだ。完璧なものでなくても気にせずにSNSに上げている。するとファンが「今日は辛い日だったのが救われました」といったコメントを寄せてくれるんだ。とても元気を貰える。

音楽のアイデアはとても沢山ある。音質は気にせずiPhoneに録音しているんだ。それらは私の脳に保存され、その多くがいい曲になりそうな予感がしている。

このアルバムはインストゥルメンタルで、オリジナル曲もカバーもあり、音楽的に幅広い。素晴らしいトーンで曲のメロディをギターが奏でている。インストをやる上での苦労やアプローチ方法は何だい?

これは私の初ソロインストアルバムじゃない。何枚もあって、その多くはセルフプロデュースだ。プロデューサーとソングライターが必要なんだが、ナラダとは過去に素晴らしいライブの経験がある。それで彼に曲を書いてくれと頼んだんだ。

彼は私のサウンドを知っているから、シンフォニックなブルースにファンクやフュージョンやロックをミックスしたアルバムだ。彼は了承して、5日後にスタジオまで来てくれと言う。6つ程アイデアがあるからチェックしてくれと。どうしてこんなに早くできるんだと思ったね。

ドラムトラックが録音されてて、彼はキーボードも弾くし、彼はアレンジャーでライターだ。彼が書いたメロディはほぼこのアルバムの完成形に近い。彼は歌っていたんだ。これはジェフ・ベックにとっておけよと言ったら、彼は「突然これが閃いたんだ」と言う。彼は多作なんだよ。彼に言われたとおりに、家で何度も聴いてまた彼を尋ねた。

トラックを決めて彼に思うままに弾いてくれと言われたのでそうすると、「いやそうじゃない、メロディを弾かなくちゃだめだ」と言われた。とまどったけれど、ボーカルメロディをギターで弾くのはとても簡単だった。というか、彼がしたいことを理解して、楽曲に入り込んで少ない音数で表現した。

プレイは難しかったよ、ボーカルのように少ない音数でソウルフルに弾くんだから。単なる速弾きは簡単だ、今や数えきれない程の腕利きの速弾きが男女にいる。けれど、真に人々の心を掴むのはメロディと曲なんだと信じている。それで彼との制作はとてもウマが合った。ツアーの合間に制作していて、実際には3週間から1ヶ月くらいで全て仕上げた。

このアルバムには全てが詰まっていて好きなんだ。メロディ、トーン、テイスト、ソウル全てがある。

私はスケールも理論も本格的に学んだことは無い。シンガーとホーンプレイヤーから学んだんだ。アレサ・フランクリンが大好きで、彼女のヴィブラートを研究した。ソウルとブルースさ。今のギタープレイヤーは誰もがスピードを競っているけれど、70年代始めは私も速弾きと見られたが、エディ・ヴァン・ヘイレンが現れて、どうなってるんだ?となった。

ゲイリー・ムーアは好きかい?

彼は大好きな友人だよ。何度も一緒に仕事をした。Journey が初めてイギリスで公演したときに、彼はバックステージに来て、1stアルバムのファンだと言った。サンフランシスコに彼が来ると Cow Palace ってアリーナでジャムしたものさ。Journey と Thin Lizzy でツアーもした。

素晴らしい "Purple Rain" のインストゥルメンタルが収録されているね。

あの頃プリンスがマネージメントに連絡してきて、彼のニューアルバムの曲が似ているので、訴えられないかと言っていた。作曲者のジョナサン・ケインが良い曲になりそうだな、と了承したんだ。何年もしてから共通の知人から聞いたのだけど、プリンスは私とサンタナが最も好きなギタリストの2人だと言っていたそうだ。

プリンスが亡くなる直前に彼の街(ミネアポリス)でプレイしたときに、ライブのギターソロのスポットでは私が即興で好きなものを弾くんだが、プリンスにトリビュートを弾いたらとても反応が良くて、この曲を弾きたいと思った。これはナラダが参加する前にレコーディングしたんだ。その後ナラダが曲を追加したいと言って、名曲のカバーを追加することにしたんだ。

これまでに多くのギタリストが "Purple Rain" をカバーしている。クラプトンもジェフ・ベックも。でも私にはプリンスが私に頷いているような気がするんだ。特別な曲だから。

そうだった、ジョナサン・ケインの自伝で読んだ話だった。プリンスから電話があって、"Faithfully" をパクッて曲を書いていいかと訊かれたんだよね。ジョナサンがいい曲にしてくれよ、と答えたらあの名曲ができたという。あの本を読んで "Faithfully" のソロと"Purple Rain" のソロが似ていることに気付いたよ。

 

(訳者ひとりごと:言われてみれば!)

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今年のニールの誕生日(2月27日)には多数のレジェンド・ミュージシャンからお祝いのビデオが寄せられていました。サミー・ヘイガー、ジョー・サトリアーニスティーブ・ヴァイ、スティーブ・ルカサー、エリック・ジョンソン、ジョー・ボナマッサ、ザック・ワイルドなど豪華!

 

 

その中からヴァイ先生の素敵なメッセージ部分を以下和訳しました。

「ブラザー・ニール!ヴァイだ。誕生日おめでとう!君は今も完璧に熟練した見事なギタープレイヤーの代表だ。君が送ってくれたナラダとの最新作はまだ私のプレイリストにあってよく聞いている。

 

クールで興味深く美しい曲の数々、君はいつもそうだ、エネルギッシュで。例えば "Hey Jude" での君はあの歴史的メロディを取り上げ、見事にギターに語らせている。

"Voodoo Child" のようなカバーソングでは本能的かつ情熱的で、"Third Stone From The Sun" はこれまでに聴いたどのバージョンよりも断トツに好きだ。ジミには申し訳ないけど、そうなんだよ。君は実に見事だった。

でも私のあのアルバムでの大のお気に入りは "She's For Real" だ。

 

どうかこれからもボスとして素晴らしいプレイを見せてくれ。君はインスピレーションだよ、誕生日おめでとう」

 Happy Birthday をサッチらしく演奏した録音をバックにお絵描きしてメッセージを寄せるサッチのビデオも可愛いのでぜひ観てね。

 

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