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Green (@ribbon_bear) が毎週好きな音楽ネタを語ります! Since 2011

スティーブ・ヴァイ 「アコースティック・アルバムはひとまず中断することにした」

ヴァイ先生が今年も6月6日の誕生日に動画でコメントと演奏を届けてくれました!

61歳の誕生日ということで年齢を重ねることに関する深いお話もされていますが、ファンにとって最大のプレゼントは来年のツアーに向けて、ニューアルバムの制作に取り掛かっているという近況報告ではないでしょうか!どうか順調に進みますように!(心底祈願)

動画でのお話を和訳してみました。

 

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やあ、皆。今日は6月6日、私の61歳の誕生日だ。私は1960年6月6日生まれなんだ。だから1966年6月6日に6歳になったのさ、午後3時に。でも世界のどこかでは6時だったろう。(笑)

ここで私の近況を投稿しよう。私はとても元気だ。肩は回復していて、少々固さを感じるけれど元に戻るだろう。私はしばらく、Knappsack を肩に付けていたのだが、それを外してしばらくは全く演奏できなかったんだ。

ギターを弾こうと手に取ってみると、一度も感じたことのない感覚を味わった。右手のストロークやピック弾きをしてみても空振りしてしまうんだ、とても変だった。「そうか、行きつく先はこういうものか」と思った。しかし長くは続かなかった。もちろん、私は何をすべきか心得ていたからね、だから問題なくプレイは戻った。

その期間、いろいろなことをやったのだが、その1つが Patreon で、多くの時間を注いだ。私のスタッフが私にとって最善のフォーマットが何かを調べてくれたんだ。Patreon が私のやろうとしていることにフォーマットとして合っていたんだ。様々なコンテンツを整理するフォルダーもあった。

実際、そこはワイルドでクリエイティブな様々なモノのはきだめのようなもので、私が夢見ていたものだったのさ。音楽だけではなく、人々の役に立つコンテンツも追加できるとわかった。互いに提供しあって我々は学んでいくのだよ。そんな訳でとても上手くいっている。更に嬉しいことにチャリティの要素も加えることができた。

私はソロのアコースティックでボーカル入りのアルバムを制作していた、高度なギターテクニックを要するものではない。1曲では全体で強烈なかき鳴らすストロークを使うもので、プレイするのに8日を要した。ずっと練習していて、ようやく出来そうになったとき、手術しなくてはならなくなった。(訳者注:左手のバネ指のこと)また1からやり直しになってしまったんだ。

それで、アコースティック・アルバムはひとまず中断することにした。私はツアーに出たいんだ。そのためにはアルバムが必要だ。レコーディングしたい関心事が沢山あるので、それは良いことなんだ。今取り組んでいる曲は7弦で弾く曲だ。7弦ドロップAチューニングしたもので、リッチなディストーションのかかったコードが持ち味だ。"Story of Light" や "Under It All" の感じに近い。こんな風に曲の輪郭や奇妙なコードを紙にメモしている。(ノートを見せる)"Zeus In Chains" という曲だ。それからもう1つは "Apollo In Collar" だ。

(訳者注:発音が判別できず 「color 色」か「collar 襟」か分かりません。In Collar なら「首輪で拘束されたアポロ」で「鎖に繋がれたゼウス」という曲と類似シリーズな感じ)

ツアーに戻るのが楽しみで仕方ないよ。61歳になるというのはおかしなことだが、最近私が髭を伸ばしていたのを見ただろう、鏡を見る度に、「こいつは誰だ?」という感じだった。ある日じっくりと鏡を覗いてみたんだ。自分の顔の変化に気付いたよ。変なシミは出てくるし、顔が溶け出したみたいだ。他にもあるが、気分はとても良い。

そして別に湧いてきたことは、過去を少しばかり振り返るということだ。

やってみると、10代の頃というのは多くの不安を抱え、エネルギーに溢れ、激しさがあった。その時期というのは、独立心を発見していく開始点だったように思う。自分にとって重要なこと、関心のあること、やりたいこと。そこでは自分がしたいことが重要だ。そして時には、自分に他のことをするべきだと言う声に対して、反論し闘わなければならない。もう分かっているだろうが、そういう声の言うことは決して上手くいかない。自分は自分らしくあることによってのみ幸せになれるのだ。

それは20代になってわかることかも知れない。20代は素晴らしい、燃え盛るように。創造的アイデアに溢れ、外に出て世界を足元に組み伏せたいというようにね。私にとって20代はとてもエネルギーに溢れた状態だったよ。

そして30代、40代は私にとって実に素晴らしい時期だった。エネルギーに溢れつつ、思考の上ではより秩序だって、より物事を効率的に達成できるようになる。この年代には時として荒波ともいえることが起こるのだが、私にもそれなりの試練があったよ。しかし年齢を重ねるに従って、さほどそれらを深刻にとらえなくなる。

思うに、多くのことが年齢を重ねて熟練するのだ。50代は最良の時期だ。自分のコントロールできない事柄について心配するのをやめるようになる。世界を修復する必要はない、世界はそのままで順調だ。ここでそれを説明してくれとは言わないでくれ、まあ今後の Under It All で話すかも。

とにかく、物事をさほど深刻にとらえないようになる。それは何も、すべきことをしなくなるということではなく、むしろより上手く効率的に処理できるようになる。より明瞭に見通せるようになるからだ。これは良いことだよ。

60代は一層良くなると思う。実際、私はとても気分が良いしね。60代について私が発見したことは、自分の人生の全てが今の環境に表れているということだ。今の環境に常に取り巻かれている。それは家族や友人や職場の同僚との交流だったり、例えば、どこかに出かけたとして、そこでも今の環境にあるだけなのだ。非難したり、批判することなく、今の環境とは実のところとても良いのだ。平穏でね。

これは私のかつての暮らし、今でも時折ある頭の中での暮らしとは対照的だ。頭の中の暮らしとは、頭の中の思考を認識できるだろうか。多くの場合、過去に関する思考だ。その多くは後悔していることや悲しいことについてだ。そして自分に起こったことによって作った自分のアイデンティティや自分がした事について。

そういうことはもう起こらない。人生とは今にあるのだ。これが私にとって重要性を増してきていることの1つなんだ。(かつてのような思考を)手放すのは難しいが、人生を楽しむためには不可欠だ。

私たちは思考の中に閉じこもってしまいがちだ。新聞やニュースにふれることで私たちが世界で起こっていると思っている悲惨な様々なこと、これらは全てある視点や意見でしかない。それほど深刻にその意見に流されず、もちろん自分の意見を持つことはできる。そうすることで自由と心の平穏を見つけられる。そして自分を取り巻く環境が実はとても良いことに気付くだろう、自分の居るべきところなんだ。頭の中の思考ではなくてね。

そうして85歳の誕生日を迎えて鏡を覗けば、「どういうことだ?私の人生はどこに?あれらはどうなった?」ということがない。そんな必要はないんだ。今の環境に生きること、それが人生を生きるということだ。私が発見しつつあることはそういうことだ。とても為になるよ。70歳になったらどうなっているか実に楽しみだ。

それで、私は Patreon で Alien Guitar Secrets というマスタークラス的なものをやっているのだが、エピソード11が今公開されているよ。キャビネットにマイキングする方法を取り上げた、とても詳細な内容だ。私は優れた人々から多くを学んだ、それら全てを取り上げている。

エピソード13ではアナログとデジタルのディレイを取り上げた。これらに私は魅了されているんだよ。かなり深堀した内容になっている。あらゆるパラメーターやディレイについての現在の技術的に可能なこと全て。それらに関心があれば、エピソード13は興味深いものになるだろう。(訳者注:エピソード12の言い間違いと思われます)

そこで私はちょっとしたループを使ってジャムをした。ただその上でずっとプレイしたんだ。20分ほどプレイして編集した。失敗を見せないようにね。(笑)今からそれを見せよう。楽しんでくれ。

それから、沢山の誕生祝いのメッセージをありがとう。それだけでなく、長年にわたってのサポートをありがとう。私は運に恵まれた人生をおくっている。ツアーで会おう。

(訳者注:最後に仕草で "I see you." 君が見えるよ、と言っています)

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気になるヴァイ先生のニューアルバムですが、以前のお話では Real Illusions の続編第3部か、インストのトリプルアルバムの構想がありました。

Real Illusions の方はボーカル入りの構想だったので、短い制作期間を考えると、インストのトリプルアルバム構想を簡略化して1枚のアルバムもしくはEPにしたものではないかと想像しています。とにかく早くニューアルバムの制作が進みますように!

 

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