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スティーブ・ヴァイ 「正しい姿勢をしていれば、全てが上手く流れる動作ができる」

3月13日にスティーブ・ヴァイが久しぶりにライブ・ストリーミングの Alien Guitar Secrets - Episode 9: Hand Health で登場しました。

 

両手の状態について、自身の病歴からギタリストへの健康アドバイスなどが聞けます。そして最後に左手で弾いた新曲 "Knappsack" が演奏されます!新曲の名前の由来も以下を読むと明かされています。(笑)

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さて、私がこれまでに手に問題を抱えたことがあるか?についてだが、過去45年に渡って、私の手は実に順調だったよ。特に問題はなかった。
しかし、私に起きたことで、君が避けることができること、またこうした問題が起きたときの対処について話してみよう。

ミュージシャンであれば、自分の手に特別な注意を払わなくてはならない。様々な痛みがあるんだ。筋肉痛なら疲労や筋肉の使い過ぎが原因だろう。しかし別の種類の痛みというのがある。もっと鋭い痛みで、いわば衰弱させるもの、弱った筋肉とは全く関係がなく、むしろ構造的問題と関係がある。

その1つが手根管症候群だ。手根管とは身体全体に巡らされたトンネルのようなもので、そこを通るケーブルが我々の身体のあちこちを動かしている。このケーブルが擦り切れたり、炎症を起こすと、トンネルをうまく通過できないんだ。詰まって痛みを伴う。

そしてこれは、さほど複雑な手術ではないんだ。トンネルを切り開いてケーブルが上手く動くようにするものだ。私は過去にある程度の手根管症候群を経験したことがある。

それは野平一郎作曲の「炎の弦」を練習していたときだ。エレクトリック・ギターと管弦楽のための協奏曲だ。あれは死に挑むようなものだったよ、私がこれまでに練習した中で最も複雑で強烈で難しい楽曲だった。1週間じっと腰かけて全ての接触を断ち1日中この曲を練習していた。終いには指を動かせなくなったよ、恐ろしかった。そして少々調べ物をして対処し、手術をする必要はなかった。代わりに腕を冷やして手を休めた。

ここで私が学んだことの1つは、自分のプレイに力が入り過ぎていたことだ。多くの場合、必要以上に力が入っているものなんだ。指に強い力を入れ過ぎて、結果動きが遅くなっているのだ。これは指が優美に動作する能力を低下させているようなものだ。わかるだろう、勢いよく強く弾こうとするとかえって動きを台無しにするのだ。

だから、今後はプレイするときにリラックスしてみるのが良いだろう。長年の中で私は時折腕に違和感を感じることがあるが、その程度で大したものではない。しかし、今回はこれが起こったんだ。

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あるとき、私はアコースティックギターを持って座っていてね、ある曲の実に奇妙なパートに取り組んでいたんだ。指をこうして鈍角のポジションにして、親指は変わったポジションに置いていた。座ってプレイし、聴きながら瞑想をしていた。そしてコードの響きに深く意識を集中して20分程してから手を(ギターから)離すと痛みがした。

どうしたものかと思っていたら、数日後にはバネ指になった。これは珍しいものではなくて、手を通るトンネルのケーブルが擦れて一部切れた状態だ。とても奇妙でまさにバネのようだ。そして固まって動かなくなり、とても痛いんだ。プレイできなくなったので、治療してもらった。手術は簡単なものだったよ。ここを切開してトンネルを切るんだ。ほら、もう今は全く問題ない。まだ時々痛むことがあるけどね、回復途中だ。ここに傷跡があるからこれ(サポーター)をしているんだよ。

だから、君たちは自分の身体の声に耳を傾けているべきだ。演奏できなくなるという結果は望まないだろう。だからそれが一番なんだよ。倦怠感を感じたなら休養すること。そして私の様に構造的な問題があったなら、練習を止めて、医者にみせることだ。

では私が(右肩に)付けているものは何か。50年近く私はこうして肩をすぼめた姿勢で弾いてきた。その結果、右肩の内部に障害が生まれていたんだ。自分でなんとかできると思っていたのだが、1年程前、ロックダウンの始まる前に痛みが出始めた。検査をして、身体療法を試していたけれど悪化したので、コルチゾン注射をしたんだ。それで治まることもあったのだが、私の理解ではコルチゾン注射は緊急時には良いけれど、腱の働きの障害になる。暫くは手っ取り早い治療になるが、私の場合は1度注射したがまた悪化したので、医者に行きMRIなどをやって調べると腱板処置が必要だということだった。

そこで実に素晴らしい医者をみつけたんだ。ナップ(Knapp)医師といって腱板外科医の権威20人に入るような人だ。彼はこの吊り包帯も作った人でナップサック (Knappsack) と名前がついている。もうすぐこの吊り包帯も取れるだろう。

私は初め、痛みを緩和することに集中していて、この姿勢のことは考えなかった。ギターを抱えて右肩を上げた姿勢だ。でも今は左足を掛けた状態、クラシックのギタリストがとる姿勢で右肩は下がった姿勢でギターを抱えやすい。このナップサックを付ける前のことだ。

他に私が言えることは姿勢だ。私は若い頃から姿勢に殆ど注意を払ってこなかったのだが、その代償として頸部と腰に椎間板ヘルニアを発症したんだ。それで手術したのだが、当時は20代と若くデイヴと働いていた頃だ。頸部と腰から椎間板を取り出す手術をしたよ、執刀医はデイヴ・ロス医師だった。そう、デイヴの伯父さんだよ。素晴らしい人で、私に新たな人生の時間をくれたのさ。

けれど年月が経つうちに、自分の姿勢を意識するのが難しくなった。でもこれは大切なことだ。正しい姿勢をしていれば、全てが上手く流れる動作ができる。身体を巡るエネルギーの詰まりも少なくなる。先ほど話した姿勢は役に立つだろう。

他に私がやったのは、この椅子を作る会社を見つけたんだ。見てくれ、素晴らしい椅子だ。Sonus という会社で、顧客の身体を測定して椅子を作ってくれるんだ。素晴らしい座り心地だ。メラニーとブライアン夫妻がやっている会社でね、まるで自分の尻が木製のバターに載っているような感じなんだ。とても心地よく、背中を真っ直ぐに保ってくれる。すっかり私のお気に入りで、今ではギタープレイに欠かせない椅子となったよ。とてもお勧めだ。どの椅子に座るにしても、背中を真っ直ぐに伸ばして快適な姿勢をとること。私のようなことにはなりたくないだろう?

これが私の経験から学んだことだ。君にとって価値ある情報になることを祈っている。これが役に立ち良い習慣を身に付けられるように。自分の身体が発する声に耳を傾けること、何かあれば直ぐに対処すること。それが良い習慣だ。

さて、ここでとてもクールものを見せよう。新しい Onyx black PIA だ。このギターが届いても私は右手が使えなかったのだが、何とかして弾かずにはいられなかったのだよ。片手は使えるからレガートで弾けるからね、それで曲を書いた。曲名はナップサック (Knappsack) にすることにした。(笑)

 

 

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Sonus という会社のヴァイ先生が絶賛する椅子はフィル・コリンも愛用しているようですね。もしかして、サッチを通じて悩むヴァイ先生に椅子を紹介したのがフィルだったりして…