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スティーブ・ヴァイ&ジョー・ボナマッサ Part 1「インストゥルメンタルで叙情的な音楽というのは達成するのがとても難しい」

ヴァイ先生がジョー・ボナマッサの配信番組に登場しました。毎回ジョーがリモートでゲストと会話をする番組なのですが、大物ギタリスト2人がくつろぎながら交わす会話はなかなかに楽しいものがありました。

今週は対談の前半から概要をまとめてみました。ヴァイ先生のアドバイスやEVOの秘密など興味深い話をどうぞ。

 

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Steve Vai:君はいつも強力にツアーをしていたよね、君がもっと若かった頃にロングアイランドを周っていたとき、私の甥がロジャー・ヴァイというんだが、あの子はまだ子供だったが君の大ファンでね、「おじさん、ジョーのチケット取れない?」と頼まれたんだ。

でも私は君とは知り合いでもなくて、でもチケットは取れた。彼はライブに行って素晴らしかったと力説していたよ。ところが、1ヶ月ほどしたらまたジョーのコンサートに行くと言うんだ。そんなことが1年中続いていた。それくらい君はどんでもなくツアーをやってた訳だ。

Joe Bonamassa:彼に会ったのを覚えているよ、ロビーでのミーグリでサインをしていたら、スティーブ・ヴァイの甥っ子だと言うから、世間は狭いものだなと思った。(笑)

SV:君はツアーに出ていないときは何をしているの?

JB:エリック・ゲイルズのアルバムのプロデュースをしていたよ。僕や皆のスケジュールが合ってラッキーだった。ブルースアルバムでNo.1になったよ。

SV:おめでとう!

JB:4年前からプロデュース業を始めたのだけど、カトリックのイタリア人が人様のアルバムを台無しにする罪は背負いたくないと断っていたんだよ。誰の事かわかるよね?

SV:(爆笑)

JB:プロセスを楽しんだよ、エリックが依頼してくれて。自分の同業者のアルバムをプロデュースするというのは素晴らしい体験だった。だって自分より上手いギタープレイヤーに指示するのは難しいからね。

SV:(笑)私はネットでギタープレイヤーの演奏を見ているのだが、エリックの演奏を見る度に、毎回衝撃を受けるよ。彼は楽器と一体になっているから。君ら2人が一緒にできたというのは素晴らしいね。

JB:彼とはもう25年以上知り合いで、共に(幼少期から注目され)神童と言われていたから。インターネット時代の前だから、連絡は取っていなかったけど。僕らは彼をメンフィスの子、彼は僕をニューヨークの子と知ってた。共にジャクソンビルでスライドプレイをしたよ。

ところで、あなたのニューアルバムは素晴らしいね。『Inviolate』という言葉には馴染みがなかった。僕はいつだってヘンドリックスやあなたや誰かみたいなサウンドにならなくちゃと思っていたんだ。(自分らしさを見つけるため)頭の中のサウンドをシャットダウンしなくちゃと思っていた。

SV:それは不可能なんだ。どんなギタリストでも何がしかの影響を受けているものだ。私はどんなタイプのギタリストでもそのプレイを見るのが好きなんだ。毎回何かインスパイアされる。私たちは皆、何かに影響を受けミックスしてクリエイティブに活かしているんだ。君は多作で常に質の高い作品をリリースしているね。

『Inviolate』に話を戻すと、これは美しい言葉だと思ったのだよ。その意味は侵害されないこと、傷つけられない、変えられない、(神聖で)触れられないものということだ。

私はこの言葉を暫く考えたのだが、物質的世界には『Inviolate』なものは存在しない、なぜなら全ては変化し続け、栄え滅びるからだ。

この言葉は主に人間の精神を指して使うスピリチュアルなものだ。クリエイティブな状態にあるときに私たちの内側から湧き上がるものだよ。この湧き上がるインスピレーションが完璧に自分に合致しているときをこの言葉が表すのだと思う。

JB:あなたはインストゥルメンタル音楽をやっているのにとても叙情的で、あなたの音楽が好きなのは、ギタープレイ自体がボーカルで、シンガーが要らないところ。インスト・ギタリストの中にはひたすらソロで速弾きする人もいるけど、曲の魂が欠けている。でもあなたは常に曲が第一です。あなたのプレイを聴いていると歌詞が聴こえてきそうなんだ。

SV:ありがとう。私は常にそうなるよう努力しているよ。メロディが好きなんだ。私がどれだけ速弾きをしようが、メロディが第一だ。少なくとも私にとって自分で最大限にやったと納得するメロディでないと。

JB:何年も前にイングランドのギターマガジンで質問されたのは、「なぜジョー・サトリアーニスティーブ・ヴァイは最も成功したインストゥルメンタル・ギタープレイヤーなのか?」だった。ジェフ・ベックエリック・ジョンソンも入るだろうけど、エリックは歌ってるけど。

そこで僕の答えはこうさ、「まず、その1:2人ともイタリア系で常に一緒で助け合っている、その2,2人共が素晴らしい曲を持っている、曲こそが最も重要なんだ、誰のコンサートに行くとしても聴きたい曲があるからだ」正直に言って、インストゥルメンタルで叙情的な音楽というのは達成するのがとても難しい。

SV:そうだね。君もやったことがあると思うが、プレイしているとそれに言葉を載せて歌うことがあるんだ。これはとても役に立つよ、歌うためにはプレイの速度が落ちるし、私たちが言葉で会話しようとするとダイナミクスアーティキュレーション、コンマやカンマ、人間の声にはそれがあるんだ。

これらは良いメロディの要素になると思うんだよ。音にスペースやカンマを入れるということ。プレイしながら何かを話そうとしてみるといい。演奏力が落ちるのでイラつくかも知れないが、面白いことが起こる。言葉のフレーズに基づいてプレイしているメロディがそのフレーズに重なり、そのものになるんだ。

JB:僕もこの前スタジオで知らずに弾きながら歌ったことがある。不思議だったよ。

SV:そうだ、君がプレイと一体になっていたということだよ。プレイする上で最も幸福な瞬間だ。

ところで君に訊きたかったことがあるんだよ。私はダニー・ガットンの大ファンでね、私のギターEVOに付けてあるボリューム・ノブはダニーのギターから取ったものなんだ。君は彼からレッスンを受けていたんだってね?

JB:ああ。僕はラッキーだったんだよ、NYのブルース・フェスティバルで彼にばったり会ったんだ。ダニーはヘッドライナー2番目で、ヘッドライナーも午後4時に終わって、豚の蒸し焼きで作ったサンドイッチを売るってフェスだった。(笑)

僕はオープニング・アクトの人らと座っていて、彼が僕に声をかけてきたんだ。「よう坊主、お前はテレキャスを弾くのか?」って、それから家族ぐるみで友人になった。あちこちのクラブを一緒に周ったよ、そこで「これを教えてやろう」と教えてくれたんだ。

「ハンク・ガーランドを知ってるか?」と訊かれて「え?知らない」って具合で、「レス・ポールは?」に「それはギター」と答えると「違う、ギタリストの名前だ」とかね。彼のおかげで僕の世界は開けたんだ、モノからステレオ・サウンドに変わるみたいにね。

SV:それが君にとってのパラダイム・シフトだったのかい?

JB:ああ、そうだね。その時までの僕は純粋ブルース教徒で、クラプトンもマディ・ウォーターズもスティーヴィ・レイも聴いていなかった。それから僕の世界が開けて、自分がブルース・ロックもジャズも何も知らないことを理解したんだ。

SV:彼には具体的に何を教えられたんだい?

JB:彼にはテープを渡されて家で練習するよう言われたよ。あとピックが大きすぎるからこれを使えとか。あれは Fender のティアドロップ型ピックで彼の名前が入っていた。まだどこかに残っていると思う。今の僕は Donlop Jazz III だけど、近いものだ。あとハイブリッド・ピッキングを教えてくれた。彼はバンジョーも弾いたからその弾き方も。そうして何時間も2人で弾いていたんだ。

SV:2人の絆があったということだ。私にも同じような幸運があってね、それは子供の頃にジョー・サトリアーニが近所に住んでいたということだよ。

(Part 2 へ続く)

後半では、ギター講師サッチの話、ジャック・バトラーの深堀話などが語られます。

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