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スティーブ・ヴァイ&ジョー・ボナマッサ Part 2 「ジョーとのレッスンの記録が全て入っていた」

ヴァイ先生とジョー・ボナマッサの対談 Part 2 です。

サッチから受けたレッスンの全てが記されたノートが存在するようで、何が書いてあるのかとても気になります。また『クロスロード』の撮影裏話など今週も興味深いこの2人の対談後半をまとめてみました。

 

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JB:訊きたかったことがあるんだ。ジョー・サトリアーニをギター講師として評価するとどうなんだろう?

SV:私には複数の人からギターを習った時期があるんだ。ジャズやクラシック・ギターの講師からね。ジョーは日本へ6~7ヶ月行ってしまったんだ。帰国すると彼はカリフォルニアに行った。

彼がいない間は他の人のレッスンを受けたのだが、ジョーのレッスンについてはその当時よりも後になって、彼がいかに突出したギター講師だったかがわかったよ。彼は全てを私にシェアしてくれた。彼はとても厳しい教師だったよ。

(訳者注:ここで指板の音を全て覚える話につき割愛。過去記事をご参照ください)

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最近私は Julien's Auctions というオークション・ハウスから大きなオークションをすると声を掛けられたのだが、物があふれているので丁度良い機会だと思ったんだ。それにチャリティだからね。

(訳者注: Julien's Auctions については、記事末尾の情報を参照ください。ヴァイ先生がなかなかに大がかりなオークションに参加したようです)

それで物をチェックしていたら、私が17歳で初めて手にしたストラトのギターケースを発見したんだ。それに倉庫全部の段ボールをさらったら、いろいろ出てきてね。オリジナルの3ポジション・スイッチとか、スプリングとか、アームとか、それらをそのケースに入れようとしたら、そこにはジョーとのレッスンの記録が全て入っていたんだ。それは大量でね、ノートを開いて読んでみたよ。素晴らしい記録だったけど、まだいくつかは習得していないものがあった。(笑)

JB:僕の世代のギタリストはMTVとか映像を見てきたんだけど、『クロスロード』って映画を見たときは衝撃だった。ジャック・バトラーを演じた人と話してるなんて現実とは思えないよ。それで昨夜は映画を見直したんだけど、気付いたよ。最も難しいパートはジャックがユージーンに負かされる演奏だって。

SV:(笑)あれか。あの対決シーンは脚本を読んでその通りに曲を書いたんだ。ユージーンとジャックの対決が進むと、両者ブルース・プレイヤーの設定なんだが、まぁ、私は自分のベストを尽くしたよ。(笑)ユージーンが彼のクラシックの素養をプレイに入れてくるんだ、でもジャックにはそれがないから弾けないんだよ。音は全て事前に録音しておいた。

あのシーンはカナダのバーバンクにある巨大な教会で撮ったのだが、1日14~18時間の撮影で、12日かかった。撮影から1ヶ月ほど経ってから監督から連絡があって、「負け方がもの足りない」と言うんだ。ジャックが負けているのは明らかだと思うのだが、「いや、君はまだ弾いている」と言われたよ。

そして彼らは「悪魔の教会」を完全に再現して役者に同じ衣装を着せてセットに入れて、私も再撮影に臨んだ。もう一度ギターパートを録音して、完全に打ち負かされるシーンをもう一度撮ったんだよ。

JB:あなたは何でも弾けるのに、うまく弾けないフリをするのは難しかったのでは?

SV:ああ、そうだね。フェイクに見えてしまうから、わざとらしいと思われてしまう。

JB:特に注目したのは、あなたがクリーンとディストーションの両方でプレイしたことだよ。ワオ!と思った。僕の時代のギタープレイヤーは皆あれでそれを覚えたんだ。あなたはキングだよ。

SV:ハハ!(笑)クリーンで弾いたユージーンのパートはトリプルにしたんだ。ビッグなサウンドにしたかったからね。

JB:あれはストラトで弾いた音に聴こえたけど、そう?

SV:ああ、そうだったと思う。自分のギターで弾くとサウンドが似てしまうから使えなかった。当時の私が別のギターを選ぶ場合はまずストラトだった。君はライ・クーダー(『クロスロード』のスコア作曲者)と仕事したことはあるかい?

JB:ああ一度、確かトム・ウェイツと会ったときだった。

SV:トム・ウェイツに会ったのかい?(目を丸くして驚く)

JB:僕は誰とも話すんだ。「レオ・フェンダーがポール・ビグスビーからどれだけ(ソリッドボディ・ギターの)アイデアを盗んだか?」って話をしてたよ。彼の話には「その通りです」って相槌を打つばかりだった。

(訳者注:テレキャス誕生の陰にそういう話があります。参考図書『Play It Loud』ブラッド・トリンスキー著)

SV:トムは私が最も好きな存命のアーティストなんだよ。私も彼に何度か会う機会があった。彼が存在する空間の雰囲気、あの歌詞、素晴らしいよ。

それで『クロスロード』に戻ると、当時は今みたいにギタリストが弾いているところを動画で見ることなんてなかった。MTVにしろ映画にしろ、公開されるまで待たなくちゃいけなかったから、あれは良い時代に公開されたんだよ。

JB:映画の公開時、僕は10歳くらいで、映画はPG-13だったんだ。ブルースの映画だっていうんで、父に連れて行ってもらったよ。

SV:君の今後の予定は?

JB:国内ツアーをやって欧州ツアーの予定だ。久しぶりだから成功を願うよ。戻ったらロスだけど、NY出身のイタリア人は皆最後は故郷に戻るんだ。

SV:君はどこで育ったの?

JB:NY州のユーディカって町だ。

SV:そこか!私の伯父がオブセンバーグにいるよ。あの辺りは美しいところだ。

JB:僕は故郷を脱出したクチだから戻らないんだけどね。僕はただNY出身のイタリア系ギタリストとして、いい評判を繋げたいんだ。

SV:ああ、仲間が何人もいるからサポートはばっちりさ。サトリアーニもペトルーシもいるし、アル・ディ・メオラもいる。

JB:アルは大金を払うとディナーを料理してくれるよ!

(訳者注:ディメオラさんはコロナ禍の時期から、ご自宅にゲストを迎えてディナーとプライベート・コンサートとQ&AなどのゴージャスなVIP体験を提供しており、高額($7,500~$16,500)ですがファンには夢の体験が手に入ります。収益の一部は慈善活動に使われています)

SV:彼は来月私にディナーを作ってくれるんだ、お宅に滞在する予定なんだよ。(笑)

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ヴァイ先生とディメオラさんの写真がSNSに投稿されるのが待ち遠しくなりますね。

会話に登場した Julien's Auctions ですが、今年の5月20日から22日までNYCの Hard Rock Cafe で開催される Music Icons のオークションを開催します。恐らくヴァイ先生はこれに出品すると思われます。EVHの Charvel ストライプの本人ペイント&演奏ギターや Beatles の超レアなLPなど、レジェンドたちのお宝が出品される模様。カタログなら$100で買えるようです。

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