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スティーブ・ヴァイ Part 1 Hydra 演奏ビデオ解説:最難関パート

前回のインタビューですっかり Music is Win (旧 Guitar Villains)を運営するタイラーのことを気に入ったヴァイ先生、(前回のインタビューはページ下のリンクから過去記事でどうぞ)2度目のインタビューになる今回は、彼のチャンネルを半ばハイジャックして Hydra の演奏ビデオ解説を始めました!(大笑)

今週は特別なトークとなったこのインタビューの前半をまとめました。

 

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お元気ですか?

ああ。月曜からリハーサルを始めてね、しばらく籠っているんだよ。"Teeth of the Hydra" のビデオをリリースしてから君が最初のインタビューだ。君は実に良い番組を作って、ギター界に貢献してくれているね。

光栄です、ありがとうございます。"Knappsack" のビデオを観たとき、こんな凄いものは観たことない!と思いました。

あれは別に片手演奏をして皆を驚かせようとした訳じゃない。ただ弾きたくてやったら、ああなったんだ。

今回の "Teeth of the Hydra" ですが、腕が回復しても何かの制限の下で弾くというチャレンジを自らに課して生まれたのでしょうか?

ハハ、ロマンティックな考えだね。私は多ネックの楽器が好きなんだ。14歳のとき、新聞配達と皿洗いで貯めた金で初めてダブルネックギターを買った。それで随分とギターの練習を積んだよ。

その後自分のギターを制作できるようになってから、お馴染みのハート型トリプルネックギターができた。あれはDRLのビデオ用の小道具だったんだ。でも自分ではあれを十分に使っていないことに罪悪感を感じていたんだ。私にはマイケル・アンジェロのようなことはできないからね。

でもドラムや鍵盤を加えた何か包括的なものを創りたかった。ベースも含んだ楽器で、私のアイデアを星野楽器に送ったんだ。数年かかったが遂に完成したんだよ。

皆が知りたいと思うのですが、あなたが Hydra に近づくシーンで、Hydra が浮揚するように見えますが、あれは黒魔術か何かですか?(笑)

あれは腰に付けるストラップだよ。全ての重量は腰から下で支えるんだ。肩や背中にはかからないが、足にくる。大変なんだよ。あのビデオについては画面シェアしながら君に解説したいんだ。

(ビデオ再生して)この撮影場所はロスのダウンタウンにある古いチョコレート工場だ。スモークの中から現れたらクールだろう?アイコニックな登場シーンだ。

エクソシストみたいです。(笑)

(ベースのカッタウェイ部分にあるトグル・スイッチの)ドラゴナイザーはサンプル・スイッチさ。それは…

アルバム・ジャケットの目隠し姿ですね。

目隠しのアイデアが気に入っていてね、実際に目隠ししたままで弾こうとしたんだ。それができたら狂気度が増すだろう?でも無理だったよ。(笑)

目をつむって片脚で立つようなものです。(笑)

さて、これが "Brain" と呼んでいるスプリッターボックスだ。左側(VAI Ibanez ロゴ下)にイーサネット・ケーブルが見えるだろう?ここに(トリプルネックとハープの)4つのアウトプットが入り、これから更にアウトプットされるのだが、これはビデオでライブではないから、そこは映らない。

でも私はこのビデオ撮影までに全ての音符を身に付けていたよ、そうしていなければならなかった。ビデオの視聴者には私が実際に操っている姿を見せたいからね。

さすがです。

 

さて、最初の(7弦ギター)フレーズ、Eを出さなければいけないんだが、どうやろうかと思ってね、何しろベースを弾かなくてはいけないし。よく見ると気付くだろうけど、小指で弾いているんだ。

エスト・ストラップでは後ろにのけ反っても Hydra はそのままの場所にあるんだよ、クールだよね。普通のギターでもやろうかな。

一番難しかったのは、次のBセクションでピックをどう持つかだった。大量の練習を積んだよ。

それは、ベースを親指スライドで弾くからですね?

ギタリストならわかるだろうが、メロディを弾くときには手が特定のポジションにあり、ピックを特定の持ち方にしているものだ。そうしていないと良い音色を紡げないからね。

意図的に難しい方法をとる努力をしていますよね。ハンマリングオンでフレーズを始めることもできますが、メロディラインをピック弾きで始めてレガート・プレイに進むことができます。アタックとしてはピック弾きの方がハンマリングよりも良いですが、難しいです。

自分の頭の中の作曲家脳と会話しているんだよ。「すまないが、その弾き方では駄目だ」とくる。選択肢は多くないがそこから選択しなくてはならない。そしてプレイが成り立つように工夫するんだ。

これが死に物狂いのピック遣いの例だ。右手の動きを見てくれ。簡単に見えるだろうが、私には難しかった。

いえ、超難しそうです。

なんとか5回に4回はピックを持っていられるようになったよ。コーラス部には「歯」があるのさ。とても張り詰めていて「歯」がなくてはね。ギタープレイヤーには音を紡ぐためにそれぞれ特定のポジションがある。7弦ギターで(コード)音をスライドするとき、私の肩が動くんだよ。

ここで少しばかり集中力が途切れて私が少し揺れるのだが、Hydra はとても重いので、注意しないと捕まって潰されるんだ。だから、ここでギターを掴んでいる。(笑)

(ハープ上部のランプが光る)ここで何か起こってますね。

マジシャンは全てのネタを明かさないものだよ。(笑)

自分が知りたいのかどうかもわかりません。(笑)秘密のままの方がいいのかも。

私が触っている "seducer" があるだろう?これを触ると、"climax regulator" が必要なのさ。(笑)

(訳者注:先生がジョークモードに入っているので意味不明ですが、回しているダイヤルは12弦ギターの Sustainer のダイアルスイッチ)

難しかったのはミキシングだ。Hydra には弦が多く、周波数が被ってしまう。ミックスには Hydra 全てを入れたいので、それぞれを独立して聴かせるようパン(音の左右位置)を使った。

ハープは最右側、12弦は左側、ベースと7弦は中央だ。バランスが難しかったよ、特に12弦は。12弦のディレイとコーラスは反対側から出した。しかし7弦が入るとそれが失われてしまうんだ。しかし、レベルを上げると耳障りになってしまうんだよ。大変なミックスだった、これらの音のバランスを取るよう心掛けたよ。

ソロでは妥協することなく Steve Vai のギターソロをやろうと思った。十分な余白を残して他のネックプレイのパターンを作ったら、7弦で何でも思い通りのプレイが出来るとわかっていた。君がさっき言ったように、ハンマリングやトリルを使ってね。

だから、他のネックプレイのパターンを弾きながらソロを弾くには、後は自分の自然なギタリスト・テクニックに身を任すだけだ。ピックもプレイも普通に弾いているように聴こえるだろう。

難しかったのは、ピック弾きしたくなるクセがでるんだ、他のことをしなくちゃならないときにね。そこで弾いているものとは別の世界の音を弾かなければならない。

私の決めたゴールとはバンドが演奏しているように聴こえるものを創ることだ。ベースプレイヤーたちが別にいるように。可能であることはわかっていた、そう信じれば、どんなことでも実現可能だ。

ただ座って練習するんだ。練習ではフラストレーションもたまり、「他の人の方がずっと上手くできるだろう」などと思ってしまう。でもそんなときに必要なのは、小さな達成事項でもそれを喜ぶことだ。途中の1音を思い通りにヒットできたら、それを喜ぶんだよ。

わかります、私も最初に学んだブルースのリックではそうして練習していました。

素晴らしいアイデアを思い付いたとして、目標に辿り着くまでの一歩ずつの前進全てを自分で称えることで、刺激となり、やる気が継続するだろう。この時点でのフラストレーションというのは習慣のようなもので、引きずられてしまう。でもどんな小さな自分の達成事項でも、それを喜ぶ気持ちがあれば、より効果的により遠くへ進むことができるのだ。

そうやって私はこのソロをやり遂げたんだ。今までで最も難しかったことの1つだね。

(フレッテッド部分のベースプレイの箇所)別のネックの箇所もソロっぽい方法で使いたかったんだ。ベースに数小節を入れた。「やり過ぎだ」と思う人もいるだろう、それもわかる。

「やるべきでしょ?」と言ってやります。

そうだね、そう言ってやろう。(笑)

ベースでレガートのダウンプレイができたときはどれ位祝いましたか?

ビッグにね。(笑)あれの一番難しいところは、リフの最初の1音を出すところだ。

小指でヒットしていますか?

ああ、小指だ。それに音符が響いているだろう。弦が共鳴しているところで、クリーンな1音をヒットするんだ。小指で1音を弾き、他の指でミュートするんだが、タフだったよ。

それに12弦はトーンの質感が他と違って際立っていたから、それを曲の質感として活用したかった。それからネックのフレットレスのパートも使いたかった、次のリフだよ。ここで12弦に行くのがポジションの変更としては最も難しかった。7弦とベースからハープへ行って12弦に移るんだからね。

(12弦は)シタールみたいに聴こえるだろうが、フレットレスの12弦でとても速いヴィブラートのテクニックを使って、インド楽器を弾いているように弾いている。このテクニックはインドのマンダリン奏者から学んだものだ。

ネックの半分がフレットレスというアイデアはどこからきたものですか?

単にやってみようと思っただけさ。ロン・サールを知っているだろう?彼は素晴らしい。彼がフレットレスで弾くのを見るとあのイントネーションは見事だ。それに彼が弾くものときたら!

ドゥイージルもフレットレスが上手いんだ。フランクも上手い。フレットレスでのオープンコードというのは、もしネック全体がフレットレスだとしたら、私がコードを鳴らさねばならないスピードからすれば、上手くいかないだろう。

(Part 2 へ続く)

(Part 2 へ続く)

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