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Green (@ribbon_bear) が毎週好きな音楽ネタを語ります! Since 2011

スティーブ・ヴァイ Part 1 「君の意志に反して起こることが、結果的には君にとって最善の結果をもたらす」

スティーブ・ヴァイが昨年末に次世代ギタリストたちの運営するポッドキャストに登場しました。

David Beebee, Tom Quayle, Dan Smith & Jake Willson による The Guitar Hour Podcastでは75分ほどに渡ってヴァイ先生のトークが聞けます。彼らの Patreon(有料会員制サービス)に登録すると、公開ポッドキャストに含まれないトークも聞けるようです。

ヴァイ先生のお話の一部をざっくりまとめて和訳しました。今週はPart 1 です。

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2020年という変わった年はあなたにとってどうでしたか?

確かに変わった年だったね、だが私にとっては通常とあまり変わらなかった。私は基本的に自宅スタジオで暮らしているからね。ミュージシャン同士が集うようなものはできなかったけれど。でもロックダウンの中でも技術の伸長により、人々はコミュニケーションをとり、何とかして他者とクリエイティブな活動を可能にした。

20年5月~6月には2つのオーケストラで4時間分のオーケストラ曲のレコーディングの予定があったが2度延期になったよ。21年8月にはツアー開始の予定があるが、どうなるかはわからない。ブッキングエージェントと連絡を取り続けているよ。

20年はツアーミュージシャンにとっては厳しいというか、もはや不可能な年だったね。だが、私はこう考えることにしている:

君が自分の人生を振り返ってみると、「こうなるはずだった」と思うことがあるだろう。「こうでなくては」と強く要求するようなことだ。しかし、そうはならなかった。状況は変わるものなんだ。これらの変化は避けられないものであり、君の人生に新たな側面を追加するんだ。それは君の意志に反して起こることだが、結果的には君にとって最善の結果をもたらす。これは常に起こっていることで、理解することが重要だ。

過去にもあっただろう。どのような状況が目の前にあっても私たちは変化に対し、いかに弾力的に再起して前進してきたか思い起こそう。これまでも、今もそうなのだ。

だから、私は今回のロックダウンでも同様にした。全ての予定や見込みは変わったんだ。そこで状況や政治を嘆いても仕方がない。多くのミュージシャンはワーキングミュージシャンでツアー演奏で生活をたてている。しかし今、この状況下で何とかする力が試されているんだ。そして何とかしてきたのではないかな?ツアーの代わりに、様々なツールが役に立ち、創作活動が進んだのではないか。

"Candle Power" のアイデアについて教えてください。

私の記憶の限りで常に私には、自分の普段の快適範囲を超えた何かをプレイすることに関心があった。何か新しいもの。13歳でギターを手に取って以来ずっとだ。何かをプレイする能力、これはとても魅力的だ。何度も何度も練習してやがて突然弾けるようになる。これが私のキャリア全ての原動力なんだ。それが最も重要なことで、それ以外のことはその結果起こったことだ。

今でもそうで、私はアイデアが湧くと興奮する。わかるだろう?この興奮が君の成功へのロードマップだ。魅力的なアイデアに従うこと。何か別のものが必要だと思っている人が多いけれど、例えば「運」など。そうではない。必要なものは情熱だ、鍛錬でさえ必要ではない。鍛錬とは情熱ほど純粋ではない。わかるかな?鍛錬は自己を強制して何かしなければならないが、情熱はただそれに従ってやるだけだ。

私には自分にとって魅力的なアイデアがいくつもある。それは自分にとってであり、必ずしもオーディエンスにとってではない。自分にとって魅力的な創造的アイデアを追求するのだ。それが勝利チケットなんだ。

なぜなら、その1:創造の域において自己満足が得られる。それ程に満足できるものはない、歓びだ。自分の潜在能力を発揮し、自己の目的を実行しているのだからね。

その2:自分が心から楽しんですることはそれが対象に注がれる。成果物にはいわばその周波数が備わるのさ。それが特定の人々を惹きつけるのだよ。全ての人ではない。

私は幸運にも自分にとってクレイジーで面白いアイデアを追求すると私に適したオーディエンスを得られた。"Candle Power"についても同様だった。その辺りは君たちはもう知っているだろう。

staytogether.hateblo.jp

創造的アイデアを抱くと直ぐにそれを実行するのですか、それとも後にとっておくのでしょうか?

いい質問だ。創造におけるストレスがあるとしたら、私の生涯で実行できないアイデアが大量にあることだ。また、アイデアには即座に形にならず、後になって別の物へ発展するものがある。

これは私が悟ったことなのだが、君の生涯は今にあるのだ。「今」だけが君にある。私が今、何か創造的で満足感のあることをするとしたら、それで十分なんだ。全てを実行することはできないのだよ。できないことに気をもむことなどないのだ。今、魅力的で創造的なアイデアを追求することが重要なんだ。未来に対する妄想は失敗を招く。私はそれに気付いたのだ。

 (Part 2 へ続く)

 

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