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スティーブ・ヴァイ キャリア最重要の5曲 

少し前ですが、ヴァイ先生が Guitar Player 誌による10月末のインタビューで「キャリア最重要の5曲」について語りました。

ファンが容易に想像するとおりの選曲もある一方で、意外な選曲もありました。

www.guitarplayer.com

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1. "The Attitude Song" 『Flex-Able』 (1984)

これは私にとって、とても重要な曲だ。レコーディング時にはこれで何が起こるのか、全く期待もしていなかったし、聴く人がいるのかさえわからなかった。ただ書いていて楽しかった、沢山のアイデアに溢れていたんだ。

"The Attitude Song" は私にとって、当時ギターで取り組んでいた意欲的事柄の達成項目でもあった。

当時私がやっていた事柄のいくつかは独創的だったよ。アーミングでメロディを奏でたり、奇妙なハーモニー、それに曲の構成も。何十年も経ってからだよ、こうしたことが実に独創的だったと気付いたのは。

革新的だったが、当時はそのことに余り気付いていなかった。プレイするのは実にトリッキーな曲だ、4/4拍子上で7/8拍子が重複して演奏されるポリミーターだからね。

Guitar Player誌のサウンドシート(ソノシート)付録となり、それが私にとってギターファンへ初の大規模な露出となった。とても良い評判となったよ。

 

2. "For the Love of God"『Passion and Warfare』1990

疑いなく、これが私の曲で最も知られているだろうね。この曲をコンサートで弾かないと大抵は後から批判されるんだ。決して弾き飽きたりしない曲だが、この曲の1音を弾くだけで、深遠の中、我を失ってしまうんだ。

この曲も実に無邪気なアプローチから生まれた。『Passion and Warfare』の制作時、私は意図的にロックスターの世界に背を向けていたんだ。

私はデイヴ・リーロス及び Whitesnake で世界ツアーを何度もしており、大規模で利益も大きかった。ロックスターとしてプレイすることは素晴らしいのだが、私の求めるもの全てではなかった。

私はずっと私の中にある音楽を生み出さねばと思っていたが、そうすればキャリアの終わりだとも思っていた。ビッグなロックスターを演じるのは楽しかったが、私は自分の音楽をやらねばならなかった。

"For the Love of God" をレコーディングしたとき、このアルバムには聴き手がないと思われていた。当時こういうものはなかったのだ。ギター・コミュニティでどう受け止められようとも、これは私の中にあって生み出さねばならないものだった。

この曲を聴いた誰かがこう言ったのを覚えている。「いい曲だけど、長くてヘンテコだ」そうかも知れないが、構わないさ、美しい曲だ。レコーディング時には曲と親密な関係を築いたんだ、多分人々が感じているものはそれだと思う。

Capitol Records にアルバムを渡すと、彼らはエリック・ジョンソンの『Ah Via Musicom』をリリースしていたのに、こう言われたよ。「これは理解できない。プロモーションはしないし、前金については以前の話の半額にする」

「だったらいい。契約違反だから、これを Capitol でリリースする必要はないから渡さない」と私は言って、その後 Relativity がリリースしたんだ。

 

3. "Tender Surrender"『Alien Love Secrets』(1995)

この曲は私の激しい面とソフトな面の完璧な融合体だと思う。オクターブ奏法で始まるのがいいよ。とても甘美で、ダイナミクスアーティキュレーションもたっぷりだ。これらがメロディを引き立てているのだ。

オーガニックな組み立てを目指していた。全ての音符は曲のメロディの一部だ。この曲もギター・コミュニティでの受けが良かった。タイミングとしても正しかったよ、前のアルバム『Sex and Religion』は全く悪いタイミングでリリースしたから。

『Sex and Religion』についてはギター・コミュニティで大きな疑問が持たれていたと思う。「何をしてる?なぜ歌入り?インスト・アルバムじゃない!」とね。

Alien Love Secrets』は受けが良かった。"Kill the Guy With the Ball" や "Bad Horsie" などが。"Tender Surrender" は素晴らしいメロディとクライマックスに向かう構成が良いのさ、インストギター音楽を好む聴衆には完璧な方程式だろう。

この曲もコンサートで毎回プレイする。そうしないと皆が落胆するからね、不愉快にさせるのさ。

 

4. "Bad Horsie" 『Alien Love Secrets』(1995)

"Tender Surrender" とは随分と違う曲だ。メタル愛好家に好まれる。これも私の一面で、とても楽しんでいるよ。『Crossroads』のジャック・バトラーというところさ。

あの映画で私が演じた曲に繋がっている。あの映画は私のキャリアに莫大な影響をもたらした。映画製作中に脚本を読んでいると「ジャック・バトラーが貨物列車のように響くギターリフを始める」とあった。ギターで貨物列車の音を真似るなら、どんな音になるだろうと思った。

それで最初にチューンダウンして、あのリズムをベース音にしたのさ。その後、私が見た夢では、私は野生の雄馬に乗って、高く生えた草原を列車に追われながら走っていた。

馬は突然停止して、列車に立ち向かうのさ、そこで目が覚めた。(笑)そのときさ、映画の列車のコンセプトと馬の要素をミックスして曲を書こうと思った。

プレイするのが楽しい曲だ。順応性があり、常に変化をつけられる。とてもヘヴィで、それを感じると満足できる。ファンのお気に入りになった曲の1つだね。私の曲では間違いなく最もメタルな曲だ。

 

5. "And We Are One"『Modern Primitive』(2016)

この曲でのソロが恐らく、私のギターにおける最大の成果であると記録に残そう。フレージングが整っており、美しさがあるからだ。うぬぼれているとは思わないよ、これは私の能力の範囲内での話だ。

だから、私が何かについて、私にとっては深遠である、深く感動的である、美しいと言うとき、「私にとって」ということだ。同様に感じる人もいるだろう。だが重要なのは、アーティストは自らの音楽に親密な内面を投影することだ、なぜならその音楽は作家のDNAを受け継ぐのだから。

それがオーディエンスの求めるものだ。彼らは君を、君独自の創造力を求めている。誰かと同様のものなど求めていない、彼らは偽物を1マイル先からでも感じ取る。

この曲では、自分に言い聞かせた。「ここでソロをレコーディングする。リフは全てユニークであること。これまでにやったことではなく、革新的でなくてはならない」

この1曲では、私がこれまでにレコーディングしたどんな曲よりもフレージングとメロディの親密性がある。だから私にとってこの曲はとても重要なのだ。

私のプレイには多くの要素が同時進行しており、この曲を弾いている私を見ていない人には明確にわからないだろう。もちろん、それ自体が重要なのではない。重要なのは、オーディエンスが聴いて何かを感じることだ。

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5曲目の選択 "And We Are One" については過去のブログ記事内でも「最高のソロの1つ」と先生が言っています。「私の能力のイノベーションを含んだ演奏」というコメント全文は過去記事でどうぞ。

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