Classic Rock magazine 300号の記念で組まれた対談にヴァイ先生&サッチが登場。zoomで行われた取材です。2人の対談は大好物なので、今週はこれを全訳しました。
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あなた方が実際に同じ部屋に揃ったのはいつが最後でした?
Joe Satriani:2020年の1月にNAMMで一緒にステージに上がったよ。
Steve Vai:それから、君とルビーナ(サッチの奥様)とでロックダウンの合間にこっちに来ただろう、一緒にディナーに出かけた。でもステージで一緒だったのはNAMMが最後だね。
JS:そうだった。最近、マイアミの画廊を展示会で訪れたんだけど、人と会って握手をするって感覚を思い出したよ。「ああそうだ、こうしてたんだった!」って。
(訳者注:サッチはロックダウン中、本格的に油彩画に取り組み、作品の展示販売会を米国各地のアートギャラリーで開催中)
SV:この前、Dream Theater を観に行ったんだ。この数年で初めて行ったコンサートで、素晴らしかったよ。私も同様に感じた感覚だ、ヴァイブや観客たち、懐かしかったね。
同時期にニューアルバムがリリースされましたが、これは計画していたのですか?
JS:私たちは可能なら何かと申し合わせるのが好きでね、やってることを正当化する感じさ。なぜなら私たちがやってることは業界の主流とは余りに異なっているから。
私たちはそれぞれの小さな世界で自分の芸術を追求しているんだ。リリース前にお互いにアルバムを送り合うと、とても興奮したよ、「よし、一緒にやろう!」とね。その方がより強いインパクトを起こせる、ポップとヒップポップの大海にたった1枚を投げ入れるよりも。
SV:ああ、子供の頃から計画してたのさ、「なあ、音楽業界が1方向に向いてしまったら…」
JS:「違うことしようぜ!」
SV:でもいいことさ、それによって底流にあるこのテのタイプの音楽をまだ愛しているギタープレイヤーたちへの認知が勢いづくだろう。私たちは自分たちの音楽が好きだし、このテの音楽に強く反応する幾多の人々が存在する。だから、私たち2人がリリースすれば、数の力が加わり、プラスに働く。
ジョー、スティーブの『Inviolate』でお気に入りは?
JS:最初の "Teeth Of The Hydra" だ。ドラマチックに始まるところが好きだね、そしてドンと引き込まれるんだ。その果敢さには驚かないよ、だってスティーブだからね。私は彼がそうしてきたところを沢山見てきた。でもそれを今どきのアルバムでやるっていうのは実に大胆だ。そしてとても美しい曲だ。
スティーブはジョーの『The Elephants Of Mars』はどうでした?
SV:ジョーと私は人生を通して親しい関係が続いてきた。もし彼の様に、何か心から愛するものを見つけ、人生を捧げたなら、どこまででも深く深く進むだろう。
このアルバムを聴くと、明らかにこれは進化だとわかる、メロディ的に、その深み、パフォーマンスもだ。"Sailing The Seas Of Ganymede" はとてつもなく力強い。私は予想を覆されるのが好きなんだが、これは全てがそうだ。「これ以上どんなトーンを思い付ける?」と思うだろう。
しかし、更に別のトーンが登場するんだ。自らのしている事において進化する能力は、その物事への関心度の高さを直接反映する。だから、一切の言い訳なしに全力で取り組むのだ。私は12歳のときにそれをジョーの内面に発見した。そういえば、君のレッスンの記録全てを見つけたって言ったかな?
JS:いや。本当に?
SV:屋根裏を整理してて、最初のストラトのケースを発見したんだ。開けたら、練習記録ノートの束と3年分の私たちのレッスン記録があったんだ。見返していたら、全ての始まりの言葉を見つけたのさ。ノートの1つでジョーが書いたものさ、「指板上の音がわからないなんてのはクソだ!」って。
JS:清潔な授業にしようとしてたのさ。(笑)
お二人はカール・プレース高校でしたよね、ジョーは Tarsus というバンドをやっていて。
SV:Tarsus の凄かったところは、少しばかり次世代に進んでいたところで、私と友人は彼らになりたいと思っていた。演奏が上手くて、サウンドも良かった。
Classic Rock 誌が発行された頃から世界は大きく変わりました。YouTube や Instagram で多数のフォロワーがいながら、実際のライブ演奏を一度もしたことのないギタープレーヤーについてどう思いますか?
SV:誰にでも居場所はあるものさ。我々は成功とは銀行預金の残高やアルバムセールスやグラミー賞の受賞だと思い込んできた。しかし、実際のところ、部屋で座って好きな楽器を演奏する腕があるということが最も「熟練した」アーティストが体験できる成功の感覚なのかも知れない。
JS:スマホに向けて演奏できる能力には驚かされるよ。やってみたけど、私にはない能力だ。@fernplants みたいなギタリストがシリアルを食べる合間にスマホの前で毎日最も複雑な演奏をしているのを見ると嫉妬を感じるよ。恐らく私の育った場所と時代のせいだろうね。
私はオーディエンスの前に出ると、例え5人でも5千人でも、突然スイッチが入るんだ。なぜだかわからないけれど。そのおかげで私の技術や才能不足や極度のシャイな性格でもやってこれたんだ。
でもSNSで最も興奮することは、若く才能豊かなギタープレイヤー、又全ての楽器演奏者が沢山いることだ。多くのプレイヤーが6弦、7弦、更には10弦に至るまで、驚異的なプレイをしているなんて、歴史上なかったことだ。
「ギターなんてもう人気が無い」と言われると腹が立つよ。気は確か?若者たちが今、歴史を作っているんだ。(そんなことを言うなんて)時代に追いついていないだけだ。50年、100年前の目線でギタープレイヤーを語るなんてもってのほかだ。過去のプレイヤーは今の彼らの先進さの足元にも及ばない。
それは今のプレイヤーのスタート地点のせいでは?彼らが初めてギターを手にしたとき、あなたがた2人がベンチマークだとしたら、彼らの楽器に対する期待は高くなるのでは?
JS:スティーブ、全部君のせいだって言ってるよ。(笑)私の持論は「レニー・クラヴィッツ・スケール」というのだけど、レニーは全てに優れている。外見も、プレイも、歌も、ヒット曲も書ける、設計デザイナーであり、素晴らしい家族がいる。私がPR活動をしなきゃならないときはいつもこう思うんだ。「ここでどれくらいレニー・スケールを登れるかな?」
でもスティーブの『Passion And Warfare』が出たとき、彼も全て備わっていた。新しいギター、外見、突出した演奏と曲。つまり、これは全て君の責任だ。君がこのラウドな、スタート地点の高い世代の若者たちを生み出したんだ!
SV:(笑)私の先生(=サッチ)を責めるべきだよ。それ以来いくつかのパラダイム・シフト(大変革)が起こった。それはあらゆる異なる分野、ビジネスでもアートでも起こる。モノリスが現れて、皆が更なる道具を持って集まるんだ。グランジが席巻すると、奏力の高さは伴わなかったが、トーンとリズム・プレイに進展があった。そして2000年頃には7弦が登場した。
ジョーが言ったように、楽器の可能性を拡大するのに魅せられた人々のサブカルチャーが存在する。彼らはこう言うのさ、「ふーん、よし。それがヴァイかサトリアーニか、マルムスティーンか誰かがやっていたことだな。つまりこれが僕の出発点だ」
これは私たちもやったことだ。ジョーは正しい。インターネットの出現でこの拡大成長する現象を目撃することができる。目が離せないね。(彼らの最初の)足掛かりになれて光栄だ。
あなた方はまだ音楽雑誌を読みますか?
SV:自分が雑誌に載っているのを見るとまだワクワクするよ。出かけて手にしたりはしないが、デスクに届いたり、画面で見る。私たちは2人とも70年代に十代を過ごしたから、クラシック・ロックのバンドは皆私たちの中で脈打っているのさ。その音楽は私たちに染み込んでいるから、このように載っているのを見るのは嬉しいね。
JS:この数ヶ月かは Led Zeppelin のライブ盤を1日何時間も聴いていた。ジミー・ペイジがどんなに偉大か信じられないほどさ。そしてバンドも素晴らしい。今ではストリームで聴けるライブ盤が多数あって、それらは私たちが子供の頃にマジソン・スクエア・ガーデンで聴いたよりも良い音なんだ。
大胆な即興技、オーディエンスはそれを渇望している、そんなのはもうお目に掛かれない。バンドはただステージに上がり、その場でカマすんだ!スティーブが言ったように、クラシック・ロックのその部分は私の中に植え込まれていて、今も共鳴するんだ。
このジャンルの雑誌の表紙は好きだよ。もしジミー・ペイジのツアー毎ショウでの即興についてインタビューができたら、首ったけになって読むよ。
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来年のG3共演は実現するのでしょうか?久しぶりに観たいよ~!