Stay Together

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スティーブ・ヴァイ+Polyphia 「僕らのギターヒーローへ、愛を込めて」

2022年12月号の Guitar World 誌で特集されたヴァイ先生とPolyphia メンバーの対談記事が遂にWEB公開されました。今週は前回紹介したの抜粋記事には含まれなかった部分を中心に和訳してみました。

www.guitarworld.com

staytogether.hateblo.jp

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"Ego Death" への参加について

Tim Henson:スティーブが俺たちの曲に参加すると言ってくれて、ぶっ飛びそうだったよ。だって、「夢の実現リスト」の1つにチェックマークを付けられるんだ。

Scott LePage:そして実現して、彼からトラックを受け取った。「ああ、本当にスティーブ・ヴァイが俺らの曲で弾いてる!」って感激した。聴きながら思うのさ、これ以上にクールなことってあるか?って。

Steve Vai:彼らは私が参加したことを光栄だと言ってくれる、とても嬉しい。でも実のところ、私も光栄だ。両者互いにそう思っている。

TH:俺らのこと熱心なオタクファンって言われても構わない。(笑)

SL:僕も同じく。

ヴァイを知った経緯

TH:10歳でギターを始めた頃、親父が映画『Crossroads』を見せてくれた。ちょうど『School of Rock』を見た後で、あの映画ではザックって子供がギターの速弾きをしてて、クソカッコイイと思った。そうしたら親父が「この映画が好きなら、こっちを見ろ」と勧めたんだ。

それで『Crossroads』を見たら、『ベスト・キッド』の俳優がギターを弾いてて、悪魔のギタリストでスティーブ・ヴァイが出てた。ぶっ飛んだよ。そこから俺は沼にハマった。ティーブの "Tender Surrender" のビデオは今でも観てる。俺は正にオタクファンなんだ。

SL:僕の父はティーンでギターを始めた。父はレコードとTAB譜を買って、繰り返し聴きながら、時にレコードの速度を落として曲を覚えたという。スティーブ・ヴァイランディ・ローズのレコードでやったそうだ。だから、僕がギターを始めたとき、それらを聴いて練習した。

初対面

TH:(2020年のNAMMで共演する機会を得たとき)NAMMのとき、何かに打たれたんだ。皆がスティーブを話題にするとき、素晴らしい話ばかりなんだ。それでこう思った、「俺は今みたいなクソな振る舞いは止めないと。俺も人にああいう風に話題にされたい」

SV:(熱心なファンの反応について)彼らは近づいてきて固まってしまうんだ。なぜこんな変わった態度を?と思うけれど、気付くんだよ、自分のしていることが彼らにとって何か意味があるのだとね。彼らの人生で重要なものなんだ。

私はただ普通の自分自身でいるだけさ。外面で人々がどう思おうとも、私はただ普通の家族持ちの男だからね。

君ら(ティムとスコット)の番はやがて来るだろう。君らはギターで全く新たな表現を発達させていて、そういったものを求めている人々はいる。私はこの歳までにいくつかの革新が起き、過ぎるのを見てきた。今こそ新たな進化の頃合いだろう。

ギタープレイ面でのヴァイの影響

TH:さっき言ったように、"Tender Surrender" ビデオは一番のお気に入りだ。何度も見て、サーキュラー・ヴィブラートを真似してみた。彼の顔の表情までもね。俺のビデオでは、完璧ストイックだけど、ステージで古い曲のソロを弾くときは、それが現れるよ。スティーブから学んだものだ。

SL:誰かがギターでクールなプレイをしていると、インスタでもビデオでも、「どうやってあのサウンドを?」となる。スティーブについて言うと、彼のプレイから学んだ最大のことはハーモニクスとアームの使い方だ。1フレット内で彼は音程を外さずプレイできる。どんな方向にもベンドして正確な音を出せる。多くの人が(アームで)「ウー!」とやるのとは違う、ティーブは音楽的に使える。作曲家としての発想だ。

SV:君らは嬉しいことを言うね。

Polyphia を初めて聴いたとき

SV:最初は彼らが何をしているのか全てはわからなかった。ビデオを観て、本物だとわかったよ。ティムと話して、彼がどうやってこれらのテクニックと感性を発達させたのかを聞いた。私の思った通りだったよ、創造的になるために、既存の枠にとらわれない考え方。真の進化のための唯一の方法だ。

上手く行きっこないという言い訳や恐れを捨てて、自分独自の欲求を追求しなくてはならない。他に私が言いたいことは、これら進化した音楽は素晴らしいが、メロディが無ければその魅力は限られるということだ。しかし彼らの曲については、優れたメロディがあり、とても引き込まれる。最初からそうだ。

既存の枠にとらわれない精神はスティーブから多く発せられました。あなたの影響です。

SV:人は皆、他人が奇妙な自分自身をさらけ出しているのに惹きつけられる。励まされるからさ。彼らが私にその幾らかを見出したのだろうが、私もまた彼らにそれを見た。互いに励まされるのさ。常にそういうものだよ、パフォーマーを観て影響されたり、刺激を受けたりせずにはいられないものだ。

あなたのスタイルの要素を真似したいと思うプレイヤーもいますが、あなたは彼ら自身であることを励ましています。

SV:ああそうだ。もし誰かが私のようになりたいと思ったなら、最良の方法は真の自分を知ることだ。なぜなら、君は私のようにプレイしたいとは思わないからだ、そこには本物がない。どうしてもそうしたいのなら構わないが、選択の余地がない人もいるのだ。彼らは創造しているとき、真の自分自身でなくてはならない。我々は皆、先人の築いた礎の上に立っている。私はその大量の色彩のほんの一部でしかないのだよ。

あなたは余り多くのゲスト曲参加はしませんね。何か基準はありますか?

SV:時と共に変化してきたが、近年の考えはこうだ。「私に残された時間を考えると、自分の音楽だけに専念しよう」なぜなら、それが私を一番満足させるからだ。しかし、何か興味深く特別で、自分が効果的に貢献できると感じるものがやってこれば話は別だ。

そして、誰かが私を何かでプレイさせたいと思うなら、私は指示を受けるのが得意でないと知る必要がある。「よし、これがヴァイで、何が起こるか予測不能だ」と思って欲しい。

Polyphia から誘われて、とても喜んだんだ。「何でもいい、プレイする」と思ったのさ。彼らはとても美しくユニークなことをやっている、私はその一部を何とか手にしたかったのだ。

ティムとスコットが初めてあなたの家に来てどれ程興奮したかを聞きました。でもあなたと写真を撮り忘れたとか。

SV:そうだ。彼らは「また行っていいですか?」と訊いてきた。(笑)実は私も同じことを思ったのさ、でも変に聞こえそうでやめていた。それで彼らのメッセージに「ああ、戻っておいで。それがいい」と言ったのさ。

TH:俺ら、彼にそんな厚かましいメッセージ送れるとは思わなかったよ。

(ヴァイ先生、スタジオに向かいギターを手に戻る。ボティがはんだに覆われた見事なギター)

SV:見事だろう?私が欧州ツアーに出ている間に彼らが家に届けてくれたものだ。暫くは気付かず、エンジニアのグレッグがケースを開けるまでそのままだった。「これは何だ?」と言って、献辞を読んだら、とても微笑ましかった。

キャビティ・プレートにはティムとスコットのサインがシルバー・マーカーで書かれ、その上には「僕らのギターヒーローへ、愛を込めて」と書かれている。(彼らは書くためにマーカーを店へ買いに行ったそうだ)

見事な外見のギターです、まるでエイリアンから届いたみたいです。

TH:俺の新しいナイロン弦ギターのプロトタイプなんだ。ボディ表面のカスタマイズは Nusi によるもので、彼はすげぇアーティストなんだ。ビヨンセがニューアルバムで着ている衣装をデザインした。

彼がキラキラに装飾したギターをポストしたから、彼に連絡を取ったんだ。「やあ、俺にアイデアがある。君がポップ・スターにやってることを俺らのギターにやってくれる?」ってね。彼がアイデアを気に入って、これを創ったんだ。超特別さ。

(恐らく、下部の動画で使われているこの↓ ギターがその1本と思われる)

ティーブとメールのやり取りをしていると、人生に珠玉のアドバイスをくれたから、彼にどうお礼をしていいのかわからなかった。何か贈りたかったけど、全てを持っている人に何を贈ったらいい?

俺らの曲に "40oz" って曲があって、モルト酒のことなんだ。セブン・イレブンに行って40オンスを買ってサインして送ったけど、後で部屋を見渡してそのギターが目に入った。「いやそれ(ギター)はクレイジーだ。スティーブは持ってる」って。

SV:それは特別だね。

SL:クレイジーなギフトだよ。

SV:ああ。このギターはハーモニー・ハット(自宅スタジオ)の壁にずっと掛けられる、そして私が目にする度に、つまり毎日、君ら素晴らしい若者との特別な関係を思い出すだろう。感動したよ、どうもありがとう。

TH:嬉しいよ。思い切り弾いてくれ。

SV:ベストを尽くすよ。終わりにこれを言わせてもらおう。君らについて実に感心したことがある。

君たちにはこのビジネスでとても長い間やっていけるモノがある。更に成長するのに必要な姿勢も持ち合わせている。ヴィジョンが大切だ。

君たちは「NO」なんて言葉を知らない。君たちは脳で音を聴きさえすれば、それを実際にプレイする方法を見つけられる。それはわかっているね。君たちが望む限りずっとプレイし続けることは疑いの余地がない。

TH:わぉ!言葉もないな、頑張るよ。

SL:好きな道だから、ずっとやり続けるよ。

 
 
 
 
 
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2人がヴァイ先生へお礼の品をと思って、セブン・イレブンでお酒を買うところは、「え、そこで?(驚)先生はお酒飲まないし」と焦りましたが、その後特別のギターを贈ったという話で、とても微笑ましい会話でした。