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キップ・ウィンガー 「最も純粋な Winger アルバムを制作するレシピ」

精力的に新譜のプロモーションでインタビューをこなしているキップですが、今週はこちらをまとめてみます。

 

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数時間前には "It All Comes Back Around" のビデオが公開されました。7分半の曲を2つ目のシングルにしたのはなぜでしょう?

それが良いと思えたんだよ、"Headed for a Heartbreak" 第2弾みたいだし、あれも7分ものの曲で、最後に長いギターソロがある。類似したフォーマットなんだ。ニューアルバムには聴いて欲しい曲が沢山あるから、そこから選ぶのは難しいのだけど、俺にはこれが論理的な選択だと思えた。まあ勘のようなものさ。

 

何年か前に始めたアルバム制作で、最初に手掛けた曲は何でしたか?

2019年にレブと書き始めたんだ。ひたすら書いて、良いアイデアだけを残していった。だから特にこの曲というのではなく、多数のアイデアを出して良いものだけを残していった。

作曲はほぼレブとの共同作業ですか?

ああ。俺が書いた曲が3曲。残りはレブと書いた。"Proud Desperado" の歌詞はデズモンド・チャイルドに助けてもらった。"Stick The Knife In And Twist" でも歌詞では友人に助けを借りたよ。それからジョン・ロスと書いた曲が1曲ある。

前のアルバムではドニー・パーネル(元KIX)とも共作していますね。彼とは今回やらなかったのですか?

彼にお願いだから(歌詞を書いてくれ)と言ったんだ、でも彼は自身のソロアルバム制作で忙しくてできなかった。実は何曲かあるんだよ、彼に書いて欲しかった曲が。遂には彼にお願いするのを諦めて、俺が自分で書かなきゃと言い聞かせてやった。彼は偉大な作詞家なんだよ。

作曲について訊かせてください。最も重要なことは何でしょう?ボーカル・メロディなのかコーラスなのか。以前デズモンド・チャイルドは曲のタイトルが最重要と言っていました。

ああ、俺も彼にこう言われたよ、「既にある曲に歌詞を書くことは大したことではない、曲名を思い付くことが重要で、そのタイトルにメッセージを込めるのが作詞だ」と。

俺はやったことがなくて、ミュージカルの『Get Jack』の作曲では、歌詞があってそこに曲を付けていった。俺には初めての経験だった。とてもワクワクしたよ、もっとやりたいね。オペラに曲を書くとか。でも俺は通常、曲-メロディ-歌詞の順に書くんだ。Winger では特にこのやり方がいい、俺とレブはリフから書くから。

作曲家として長い年月の間にどれくらい変わりましたか?

随分変わったね。以前はよくもがいていた。今ではもっと楽にアイデアを聴いてそれでどうするのかがわかる状態だ。以前は今よりも相当沢山の試行錯誤を繰り返さなければならなかった。

今は自分の耳に聴こえるものをどう生み出すかがわかっている感じだ。クラシックを学んだことで、自分が使える語彙(音楽的引出し)が増えたと思う。でも Winger でのプロセスは変わっていない。俺にできないことがレブにはできるし、その逆もあるから、俺とレブはいいチームなんだよ。

35年同じバンドメンバーですよね、アルバムからバンドの音がしますよ。

アルバム全曲聴いてくれているの?それは嬉しいね。アルバムでは初めて全曲でメンバー全員がプレイしているんだ。"Broken Glass" でギターソロを弾いたのはポール・テイラーで、ジョン・ロスとも曲を書いた。全員が全曲でプレイしていることが一番誇らしいね。それが最も純粋な Winger アルバムを制作するレシピだったとも言える。

"It's Okay" はインパクトがありました。

それは俺のお気に入りなんだ。この曲ではレブ・ビーチがリードボーカル・デビューしているんだよ。2つ目のヴァースを歌っている。"Rainbow In The Rose" でもリードを歌っているけれど、今回はヴァースを歌っているんだ。

"Down Incognito" みたいなファンキーな曲が欲しかったんだ。そんなタイプの曲をアルバム毎に入れている。"It's Okay, now" って Maroon 5 っぽい、という程でもないけど、ファルセットからビッグなコーラスへ進むんだ。この曲では、人生は幻で、真実を見ているつもりでも、実際には幻覚を見ているという内容だ。真実はベールの向こうにあるのさ。

とてもキャッチーな曲でした。1st シングルの "Proud Desperado" のハードなロックとの違いが良いです。

"Proud Desperado" は随分早い時期に書いたもので、プリコーラスの "Proud Desperado" は凄く良いコーラスだと思ったんだ。でも俺は、やはりそれがコーラスじゃない。もう一歩高めようと思ったのだが、それをどうやるのか思い付くには暫く時間がかかった。どう曲のエネルギーを高められるのか。

そしてやっと方法をみつけたんだ。これはミュージシャンにとって興味深い手法だと思う。曲のエネルギーを高めるため、リフに解決して戻るときに全音下げにしたんだ。2つ目のヴァースではヴァースとリフが移調して今度は上がって戻るのがわかるだろう。

歌詞については、幾つかの言葉が頭にあるものの、どうするのかわからなかったので、デスモンド・チャイルドに連絡したんだ。

最近はSNSが発展しているけれど、以前よりもファンと簡単に繋がれるようになったと思いますか?

そうだね。昔と違って間に何か挟むことなく直接できるのはいいことだ。でも俺のような古い人間は、生活の全てを録画したくはないし、余り時間を割きたくないんだ。俺は自分の時間を作曲に使いたい。SNSには気が削がれてしまうから、創作活動の邪魔なんだ。でも(ファン心理は)わかるよ、俺だってピーター・ガブリエルの投稿を見たいからね。

今日は2ndシングルのビデオが公開されましたが、他にもありますか?

ああ、合計で6つのビデオを撮った。"It's Okay" もそのうちの1つだ。観たら俺たちのしたことに驚くと思うよ。5月5日のアルバムリリースに合わせて、ビデオが1つリリースされるはずだ。どれが公開されるのかはわからないけれど。実のところ、まだあと2~3曲をビデオに撮りたいんだ。なぜなら今では聴くだけでなく、視覚の要素が必要とされていると思うからだ。

ツアーの予定がありますが、セットリストはどうなるでしょう?

バンド・ミーティングをやって話し合わなくちゃな。でも "Proud Desperado" は必ずやるし、多分 "It All Comes Back Around" も。ショウでの持ち時間が限られているし、シングルもプレイしなくちゃならない。新曲をやりたいのだけどね。

それに『Karma』の "Pull Me Under" も好きなんだ。ライブ演奏での俺のお気に入り曲は 『Better Days Comin'』からの "Midnight Driver of a Love Machine" なんだよ。プレイするのが楽しいんだ。

新曲だけのセットリストというのはどうでしょう?

アルバムの全曲再生というのは面白いよね、でもヒット曲をプレイするのも好きなんだ。オーディエンスが入り込むから。彼らの人生の時と場所に繋がるのだと思う。