スティーブ・ヴァイがインタビューに応えて、人生のベスト・アルバム13枚を選び、その理由やエピソードをThe Quietusで語っています。
13枚を選ぶのは難しく、明日選べばまた違うアルバムになるかも知れない、と断りながらヴァイ先生が選んだ13枚はジャンルも様々ですが、ヴァイ先生の音楽人生に影響を与えてきたことは間違いないようです。
以下はその中からヴァイ先生の好きなギター・プレイヤーのいる伝説のバンドについて、選んだアルバムとコメントの和訳です。ディープ・パープルのトリビュート・アルバムにも参加が発表されたヴァイ先生ですが、以下コメントを読んでみましょう。
Deep Purple "Made In Japan"
これを聴くまで私はライブアルバムはさほど好きではなかったんだ。いつも何かが足りないと思っていた。でも、このアルバムを満たしているエネルギー、音のクリア感、レコーディングの奥深さはどれも驚異的だ。
ルーズ感、選曲、ライブの雰囲気がこのアルバムを素晴らしいものにしている。それだけでなく、リッチー・ブラックモアはギターの名手だ。当時の私はジミー・ペイジ、ブライアン・メイにより共感を抱いていたが、それは彼らが独特のスタイルを築いていたからだ。
それに対し、リッチーはただ素晴らしいギター・プレイヤーなんだ。彼はただプレイして、ビブラートをかけ、ベンディングして弾きまくる。彼はジミーやブライアン同様に名手なんだ。でも、"The Battle Of Evermore", "Whole Lotta Love", "Since I’ve Been Loving You", "Tangerine"のギタープレイを比べるなんてことはできないだろ?リッチーはただ最高のロック・ギター・プレイヤーなんだ。
Queen "II"
クイーンは歴史上、最もユニークなロック・バンドなんだよ。私はディープ・パープルもツェッペリンも大好きだ。だが、クイーンと同様の音楽を作ったバンドはどこにもいない。
まるでバンドが何かに祝福されているかのように、彼らにはマジックが働いていた。彼らはまるでパーフェクト・ストームのようだ。フレディ・マーキュリーなんて、あの自信をどう量るんだ?そんなことは不可能で、彼は無限の自信を音楽で表現したのさ。
ブライアン・メイのギターへのアプローチは非常に独特だ。私を他のギター・プレイヤーと比べることはできるだろう。また、ジミー・ペイジを他のギター・プレイヤーと比べることはできるだろう。だが、ブライアンを他のギター・プレイヤーと比べることはできないんだ。
なぜなら、彼が楽器に触れると、音に命が吹き込まれる。彼はこれを曲を引き立てるために使った。「これがギター・ソロだ」なんていうのとは真逆なんだ。すなわち、彼こそがクイーンのサウンドなんだよ。
実際にこのバンドの誰もがクイーンのサウンドそのものだった。クイーンのⅡはこの時代において、最もミュージカルでアグレッシブなロック・レコードなんだ。
Led Zeppelin "II"
これは私の姉が部屋で聴いていたレコードで、それを聴いたとき、衝撃を受けたよ。誰にでも重要な瞬間というのはあると思う、それは一種のクリアな記憶で、何を見たか、匂いや色を覚えているものだ。
私は家の廊下を歩いていて、"Heartbreaker" が姉の部屋から聞こえてきたんだ。正に世界が止まった瞬間だ。精神を揺さぶり、あまりにもエネルギーに溢れていた。
やがてソロが聞こえてくると、私は異なる音楽の次元を発見した。私は多分、10歳か11歳だった。私はそれまでギターを弾いたことはなかったが、この時、ギターを弾かなくては、と思ったよ。