Stay Together

Green (@ribbon_bear) が毎週好きな音楽ネタを語ります! Since 2011

アンディ・ティモンズ 「どうしたらメロディが書けるのか?答えは単純さ、もっとメロディを学ぶんだ」

アンディ・ティモンズがオンラインイベントに参加しました。イタリアの音楽チャンネルのイベントで特別ゲストの参加を挟みながら、インタビューとライブパフォーマンスは2時間半にも及びました。その中から興味深かった一部分をまとめてみました。

アンディの作曲を支えている無意識の習慣についてのお話が興味深かったです。

 

 

==========================

メロディやハーモニーなどあなたの曲はどう作曲しているのですか?

一度に浮かんでくるんだ。最近ではエディ・ヴァン・ヘイレンが亡くなったときに彼の家族を想って曲を書いたのだけど、僕はギターを手にして心のままにつま弾いていた、そしてメロディが浮かんだんだ。最近は多くの場合ハーモニーで頭の中に聴こえてくるんだ。

アルバム『Resolution』で新たなアプローチを始めたとき、こんな(ギタープレイしてみせる)コード・メロディの形で結実したんだ。時にはバンドとジャムしているときに閃くこともあるし、ドラム・ループを掛けて練習しているときに閃くこともある。リフだったり、探求するに足るアイデアだったり。そのときにはできるだけ記録するようにしている。今は皆がボイスメモに100個ものリフを録音していたりするよね。僕は16歳のころから山ほどのカセットテープに録ってきたよ。一聴して特徴があり、そこに何か魅力のあるもの、そんなアイデアを発展させている。メロディが先に浮かぶこともある。

1日中メロディが頭の中にあるんだ。僕が人生を通じてその重要性や価値に気付かずにしていることなのだけど、音楽を聴いているときでもそうでないときでも、グルーヴが浮かんで、頭の中だけ、もしくは身体を動かしていたりするんだ。それと同時にメロディも浮かぶ。これらは全くの無意識下で起こっていて、どれだけ役に立っているのか考えることもなかった。妻と行く服飾店の音楽がお気に入りなんだけど(笑)ムーディなキーボードとコード進行で、それがメロディを創る絵具なんだ。良く知られている曲でも僕はカウンターメロディを歌ったりハミングしていたりする。

こうして僕はずっとメロディを即興していたり、曲のタイムに合わせているんだ。楽器が手元になくても、自分の頭の中のグルーヴやメロディの記憶庫に入るんだ。そこにはこれまでに聴いてきた音楽が蓄積されている。そうすると、自分の音楽を書いたり楽器を演奏するときがきたら、自分の音楽脳は強化されているので、見つけたいアイデアやフィールを引き出せる、後はそれらを楽器に当てはめていくんだ。これは誰に言われた訳でもなくて自然とやらずにはいられなかったことなんだ。本能的な無意識の行動だった。

すなわち作曲というのはあなた自身の全てを表現するものでもあるのですね。

そうだね。別のギターレクチャーの機会にメロディや曲のインスピレーションについて話したのだけれど、僕が思うに、僕たちが聴いたり、プレイした音楽は記憶に刻まれていくものだ。即興でソロを弾くときや作曲のときには過去の感動した記憶に従っているのさ。記憶の曲を複製したり、一部を頂くのではなくて。時としてそうなってしまうこともあるし、正直な人は意図的だったと言うけどね。(笑)

例えばジョージ・ハリソンが The Chiffons の "He's So Fine" をパクってしまい、メロディが酷似していた。彼の頭の奥にあの曲があったのだろうけれど、彼は意識になかったんだ。(訳者注:63年の The Chiffons のヒット曲 "He's So Fine" に対して70年のジョージの "My Sweet Lord" が酷似しているとして著作権侵害で訴えられ76年にジョージが敗訴した)

音楽というのは同じような頭の中からくるものだから、僕にとっては導かれるようなものなんだ。これまでに聴いた音楽やコードや多くのものから同様の質のものを引き出そうとする。だから、よくどうしたらメロディが書けるのかって聞かれるけれど、答えは単純さ、もっとメロディを学ぶんだよ。1日中速弾きの練習をするのではなくて。それは自分の持つ絵具の1つで、僕もそういうエネルギーがプレイヤーから伝わってくるのは好きだよ、でもメロディも聴きたいだろう。印象に残って何か君の心を動かすものだ。そういういくつもの絵具が集まったもの、それが聴いて楽しいものだ。

曲だけでなくあなたの即興のソロでも多くが感じられます。常に新たな試みをしていますね。

色々なものを吸収することだよ。僕はこの数週間、エルビス・コステロトム・ペティブルース・スプリングスティーンの新譜などを聴いていた。素晴らしい歌詞とシンプルな曲がとてもパワフルで大好きさ。トム・ペティの作曲はとても深い、彼は最小で多くを語るんだ、曲にも歌詞にも余分なものは無い。僕の音楽もそうでありたいね。もちろん他のギタープレイヤーもチェックしているよ、インスタグラムを見ながら何だこれ!って驚愕しているんだ。腕の立つプレイヤーが沢山いる。互いに刺激しあって高めあうんだ。

今練習していることは何ですか?

毎朝コーヒーを味わってから、僕のルーティンではバッキングトラックを掛けながらジャズをインプロバイズするよ。あと曲を学ぶのも好きで、最近やったのはエルビス・コステロとパート・バカラックのコラボレーションで、キャロル・キングの人生を反映した映画『グレイス・オブ・マイ・ハート』のサウンドトラックだ。その中の曲がゴージャスでね、"God Give Me Strength" は素晴らしいメロディだよ。こういうシンプルな曲を学ぶことで僕の中のライブラリーにまた違う音楽が刻まれるんだ。常に音楽を聴いて、メロディや歌詞の美しさを見つけている。

テクニックの面では何かありますか?

エディが亡くなったときにはタッピングだったり、別の時にはハイブリッドピッキングだったり。僕はそれをあまり練習してこなかったけれど、今の若いプレイヤーはとても高いレベルで使っているよね。練習したいテクニックをリストにしたりするけど、僕は昔からあまり練習に長けていなかった。先生がいればモードとかいろいろ練習してそれは良かったのだけど、練習はただプレイしたり作曲する時間になりがちだった。スティーブ・ヴァイのように1日10時間練習メニューみたいな厳しい鍛錬ができたら良かったのだけど。

いつも言っているのだけど、皆それぞれ自分に合う練習法を見つけることだ。厳しくて気分がのらなければインスパイアされないし、逆に楽しければどのような練習でも楽器に集中でき、ヤル気につながるだろう。僕は様々な曲をプレイすることで成長し、楽器との繋がりも強化できたよ。時間をとって根気強く続けることだ。

(アンディが語ったギター練習についてはこちらでも読めます)

staytogether.hateblo.jp

ティーブ・ルカサーとラリー・カールトンのショウがあったときに、ラリーのペダルに質問が集まったことがありました。ラリーが彼のセッティングで何人かに弾かせてくれたのですが、誰も同じトーンを出せませんでした。ラリーは冗談で(君たちのトーンを)リモコンで操作したのだと言っていたエピソードがあります。(笑)

ラリーとスティーブのショウはダラスであったときに観に行ったよ。スティーブの演奏はもちろん素晴らしかったのだけど、その夜のラリーのペダルはボリュームペダルだけだったのさ!彼の Gibson ES-335 とボリュームペダル、それだけなんだ。その夜は彼らをタコスを食べに連れ出したよ、最高の夜だった。彼らと同じ部屋にいるだなんて圧倒されたよ、僕の最大のヒーローの2人だからね。

ティーブは全般的に僕に影響を与えたプレイヤーだけど、ラリーにも多くの影響を受けた。彼のファースト・ソロアルバムはトーンも素晴らしかったけれど、1音1音の扱いが完璧にコントロールされていてエレガントだ。ベンドもプリベンドもコントロールされている。彼のアルバムを聴き直したら、僕が無意識に捉えて自分のものにしたところがわかると思う。何度も繰り返し聴いたので、自分の一部になったんだ。

staytogether.hateblo.jp

来月にはスティーブ・ルカサーをこの番組のゲストに迎えようと今調整しているんですよ。

素晴らしいね、僕をその回のスペシャル・ゲストに呼んで欲しいな!

もちろんですよ。シークレット・ゲストとしてお呼びします。
ところで、コロナ禍で音楽産業は変化を余儀なくされましたが、これは新たな時代の始まりなのでしょうか?

そうだね。僕が StageIt で毎週オンラインライブを始めたのは必要からだった。ツアーができなくなってしまったから。これを使ってライブをしていた友人に教えてもらって僕も始めたんだ。これなら家のスタジオから配信して幾らかの収入を得られる。もちろんバンドと一緒にプレイしてオーディエンスがいる方がいいけれど、生活を変えなくてはならない中で、このテクノロジーがあって感謝しているよ。

パンデミックで出かけられなくても人々はオンラインで集い、子供はオンラインゲームで友達と集まったりしている。こうしてミュージシャンがアートをオンラインで提供できる形式というのは良いことで、僕たちが以前の生活に戻れたとしてもこれまでの形式に加わる形で続くのだと思う。

f:id:ribbon_bear:20201126172442j:plain

 

レブ・ビーチ 「デヴィッドは決して立ち止まることなく常に前進する」

レブ・ビーチが長年制作していたインストゥルメンタル・ギターアルバムを遂に完成させました。11月6日にリリーされた『A View From The Inside』はロック/フュージョンのクールなギターアルバムで、さすがのクオリティでした。

 

一昨年のG3でジョー・サトリアーニとレブが話したときに「インストアルバムが完成したら直ぐ送ってくれ」と言われて今回実行できたようなので、(サポートを含め)G3に参加するというレブの長年の夢(過去記事参照下)が叶う日が来るといいですね。前回のG3はフィル・コリン参加でギターファンを驚かせましたから、もしかしてもしかしたら夢では終わらないかも知れません。

staytogether.hateblo.jp

アルバムのプロモーションに伴って行われた多数のインタビューの中から1つをピックアップして、日本の雑誌でも読めるお話を割愛して、個人的に面白いと思ったコメントをまとめてみました。

======================

シグネチャー・ギターモデルについて

Winger が下り坂になった頃、Ibanez にもう俺のシグネチャー・モデルの Voyager を作れないって言われたんだ。それでジョン・サーのところに行ったんだよ。Suhr は素晴らしいギターだけどとても高価だ。実際、俺のモデルからの収入なんてないんだ。Ibanez の方が断然金にはなっただろう。

俺の夢なんだけど、いつか Voyager を再リリースしたいんだ。あれはクールな形だし、デザインを思い付いたのは俺だからとても誇りに思っている。雑誌 Penthouse にも載ったんだぜ!あれはLAに向かう飛行機の中でナプキンにデザインを描いたんだ、Ibanez のデザイナーと一緒に。

エディ・ヴァン・ヘイレンについて

エディがいなければ俺は Guitar World誌の表紙を飾ることも Winger が成功することもなかっただろう。 Van Halen が高いミュージシャンシップをシーンにもたらした。俺はタッピングでシュレッダーに分類されているけれど、自分のやり方でやったことが良かったと思う。エディがどうやっているのかはレコードの写真でしか見れず、右手を使うのか!!と自分でやってみるしかなかった。タッピングがなかったら俺は速弾きにはならなかっただろう。

イングヴェイが登場したとき、皆がプレイを真似して皆がイングヴェイみたいに聴こえたけど、皆がエディの真似をしても誰もエディのサウンドにはならなかった。誰もエディを再現することはできないんだ。

デヴィッド・カヴァデールの様子

元気そうだよ、毎日ジョークを言ってる。歳と共に力が衰えるボーカリストは多いけど、彼は常に100%でライブに臨むんだ。翌日もショウか休みかに関係なく。彼は決して立ち止まることなく常に前進する、だからこの先もずっとそうだと思う。

Whitesnake の初期の楽曲について、またプレイするのが好きな曲

(初期の曲は)ほとんど知らない。ライブでやるものだけ覚える。
好きなのは断然 "Still Of The Night"。あのリフは最高で、デヴィッドが揃える真のプロミュージシャン(歴代のWSバンド)と演奏するのはたまらないんだ。ミドルセクションのブレイクの後、鍵盤とギター2本でオーケストラのような重層のサウンドを創る。あと、"Slow And Easy" だ。あのブレークの後のフレーズ!アリーナ全体がリバーブに包まれるようだ。あのサウンドは俺の大好きな『KISS ALIVE!』的でさ。それに"Judgement Day" は壮大でクール、アリーナで栄える曲だ。

f:id:ribbon_bear:20201120100107j:plain

インイヤーモニター

Whitesnake のいいところは、最高のインイヤーモニター・エンジニアを雇えることだ。俺はピーター・フランプトンのライブアルバムのようにミックスするよう頼んでいる、最高だよ。インイヤーモニターは重要だ。後ろのスピーカーやフロントのモニターを聴いてギターのいいフィードバックを活かすってこともできるが、Winger がやるクラブギグ等、9割方ではサウンドガイが未熟で毎晩サウンドが違うんだ。インイヤーモニターのいいところは毎晩同じサウンドが得られること。

Whitesnake のセットリスト

セットリストはデヴィッドがプレイしたい曲のリストをくれて、どう思うか訊かれるんだ。バラードを2曲続けない方が良いとか、3曲は全部キーが同じだけど、といったことを俺が助言する。そういうことは彼は考えないからね。

俺のソロアルバムでも10通りのトラックリストを考えたんだ。その多くでは2曲が同じキーになっていた。流れを考えないとな、セットリストでも同じだよ。でも、今のアルバムではレコード会社に「誰も最後まで聴かないから、ベストの曲を頭に入れろ」と言われる。

自分がどんなプレイヤーかを表すプレイ

アームとタッピングプレイ。曲なら、一般的ラジオリスナーには "Headed For A Heartbreak"。この曲にはレガートとタッピングがあって、典型的な速弾きプレイではないから。ギターファンには "Black Magic"。俺が弾いたベストソロは "Witness" だと思う。

Winger ニューアルバムについて

キップが全曲に高い水準を求めているから時間がかかっている。クールなギターパートとキャッチーなメロディが要るんで、11曲書いたけれど残したのは5曲だ。最近はレーベルによるスーパーグループってのが多くて、その多くはスタジオに入ってよしこれだ!って感じで次々書き上げてるけど、(曲に)高い水準を設定してないんだよ、残念なことに。

ジョエル・ホークストラとの違い

俺たちは全く違うプレイヤーだ。彼は譜面が完璧に読めるし、スケールも全部知ってる。俺は基本がわかるってだけだ。俺は(ライブで)一晩中同じエコーを掛けているんだけど、信じられないって言われる。320msのディレイだ。一方、彼は曲毎にディレイをプログラムしている、完璧主義なんだよ。俺なんて彼と比べたら原始人かもな。俺のディレイ設定だとアリーナでプレイしているような感じがして好きなんだ。ギターがドライで大胆に聞こえる。サウンドに空間が加わるんだ。グランド・キャニオンでプレイしているみたいに。

=========================

レブのインイヤーモニターの話は下の過去記事でも話していました。それを読み返したら、当時ビリー・シーンに "Black Magic" をニューアルバム用に弾いてもらったとあるのですが、アルバムではスティーブ・ヴァイのツアーベーシスト、フィリップ・バイノーでした。何があったのだろう…?

staytogether.hateblo.jp

 Winger のニューアルバムは当初2021年初めの予定から5~6月に目標がズレてきていますので、いつも通りのスケジュール感だと21年秋冬くらいでしょうか?(汗)まさに今、キップのスタジオで2人が制作している様子です。↓

 

デヴィッド・カヴァデール 「スティーブ・ヴァイが残していた素晴らしいリックを発見した」

Whitesnake の『Love Songs』発売に合わせてデヴィッド・カヴァデールがインタビューに応えました。(The Rhino Podcast 音源はこちら

アルバムについて、パンデミック後のツアーについて、その他興味深い部分をまとめてみました。カヴァ様の引退構想が再燃しているようで、Flesh And Blood ツアーが2度延期された日本のファンとしては気がかりです。

====================

f:id:ribbon_bear:20201113170708j:plain

お元気でしたか?アルバム『Love Songs』が発売になりましたね。

体調は非常に良い。しかし欧州ではまたこのパンデミックが大変なことになってきている。私たちは人間という種のために皆で協力してこれを乗り越えなくてはならないのだと思う。

Rock・Love・Blues のトリロジーアルバムはマイケル・マッキンタイアとの会話で、私のフェアウェル・ツアーに関連した作品として創られたものだ。69歳でリタイアなんて素晴らしいだろう?フェアウェル・ツアー用にバカバカしいデザインのTシャツも用意していたんだ。(笑)元々のアイデアは私の50年にも渡るキャリアに感謝するツアーを2021年に行うというものだった。私のエージェントは21年春からのツアーはどうかと言ってくるのだが、もちろん私には未来を予知することなどできないし、クリスマス・ギフトに未来を予知してくれる水晶玉が欲しいところなんだが(笑)、21年の後半でさえ、多数の人々が集団で集まるイベントが安全かは疑問だ。22年になるのではないか。

ブルース・スプリングスティーンエルトン・ジョンも2022年までは何もしないと言っていますね。

妥当だろうね。私はマイケルとずっとオフィスで仕事をしていたよ。そこで検討していたのはポッドキャストや800人程度のクラブで私の歌だけでなく様々なハレンチな話をするというものだ。(笑)それにしても私たちのビジョンを理解してサポートしてくれるチームがいてくれて幸いだよ。この Rock・Love・Blues のトリロジーアルバムは今後発売されるボックスセットの予告編のようなものだ。

『Love Songs』はタイトルから甘いラブソング集だと誤解する人がいるかも知れませんよ、聴きましたがこのアルバムは実にロックしています。

ラブソングであっても私のミュージシャン達は実にパワフルだからね。ブライアン・ティッシーとマイケル・デヴィンは強力だ。"Love Will Set You Free" は敬愛するスティービー・ワンダーへのトリビュートでもある。ギターを管楽器に換えたところを想像すれば私の言うことがわかるだろう。

あなたはアール・スリック(ギタリスト 『Into The Light』参加)とも仕事をしていますね、Whitesnake のギタリストとは違うタイプです。

彼は意外にも近所に住んでいてね。デヴィッド・ボウイとも仕事をした、オーガニックで素晴らしいギタリストだ。当時は Whitesnake とは違うバンドを探していたのだよ。マルコ・メンドーザはジャズまでプレイできるオールラウンドのベースプレイヤーだし、デニー・カーマッシも素晴らしい。ジミー・ペイジも彼のプレイが好きでね、ミック・フリートウッドとデニーは私のお気に入りの白人シャッフル・プレイヤーだ。デニーと言えば、サミー・ヘイガーのキャリア40周年を記念したコンサートでは、彼とジョー・サトリアーニのバンドでジャムしたんだ。

(訳者注:2012年9月に行われた 4 Decades Of Rock コンサートのこと。カヴァ様はデニー、サッチ、マイケル・アンソニーのバンドでサミーと "Rock And Roll" を歌う。当時のメディア記事はこちら↓)

www.blabbermouth.net

サミーとは今年 Whitesnake と一緒にツアーの予定だった。サミーは熱心に何度も私を説得しようとしたのだが、私は「無理だと思う、次の機会にしよう」と断ったのさ。

アルバムを通してバンドは違いますが、あなたの声を軸としてアルバムとして統一感があります。新たなリミックスには驚きがありますね。

『Deeper The Love』ではスティーブ・ヴァイがオリジナル版で残していたリックを発見してね、イントロに素晴らしいメロディがあった。「なぜあの時に入れなかったんだ!」と思ったよ。遂にこれを入れてスティーヴィーに送ることができたよ。彼は全く忘れていたけどね。(笑)

 

最近、『Live At Doninton』の30周年で皆がオンラインで集まったんだよ。スティーブ・ヴァイエイドリアン・ヴァンデンバーグ、彼は残念なことに風車小屋の電力でインターネットに繋いでいたものだから上手くいかなかったのだが(笑)、トミー・アルドリッジ、ルーディ・サーゾが集まった。皆の祝辞で私のSNSがパンクした程だったよ。

 

『Live At Doninton』30周年同窓会の模様はこちらの過去記事で。

staytogether.hateblo.jp

====================

Purple ツアー時のようにカヴァ様の引退したい病の再燃か?お歳を考えれば有り得ることなのですが、ゆったりスケジュールでのツアーなら70代でもやれるのでは?この先大量のボックスセットとリミックスがリリースされそうですが、ツアーの方もよろしくお願いします。それにしても来年もライブがない世界なのでしょうか…(涙)

スティーブ・ヴァイ 「新しいギターを十分使い慣れるには、まる1年くらいかかるんだ」

スティーブ・ヴァイの新しいシグネチャーモデルPIA (Paradise In Art/奥様の名前でもある)の限定カラー3色も遂に日本の楽器店で入手可能になりました。ゴージャスな写真にうっとりするばかりです。PIA制作過程の話は各所で語られていますので、今年の2月に Guitar Interactive で特集されたPIA発売記念インタビューから、他であまり話されなかった興味深い部分の概要をまとめてみました。

www.guitarinteractivemagazine.com

=======================

PIAはあなたの言うとおりこの上なく、デザインの背景には真のインスピレーションが伺えます。過去にJEMに手を加えたけれどあまり成功しなかったこともありましたか?

 

f:id:ribbon_bear:20201106153109j:plain

 

ああ、JEMが登場してから長年になるのでグリップを変えようという話になって、奇妙な穴を空けたことがあるが、上手くいかなかった。1度限りの実験だったよ。ハードテイル・モデルも上手くいかなかったな。ファンに気に入られなかったんだ。あれはアーム無しのJEMが欲しいプレイヤーもいるかと思ってのことだったが、全く気に入られなかった。それ以外についてはJEMは素晴らしい進化を遂げたよ。カラーやピックアップやネックなど様々に変化を加えたが、ギターの骨格は不変だ。

それで、ニューモデルを出す時期がきたのではないかと思った。私の直感が告げたのだ、「OK、今だ変えよう」と。このような直感が浮かんで消えず、一層大きくなるとき、これは本物だとわかるのさ。これを私は「衝動が強烈になる」(push comes to shove)と呼んでいる。これはやらなくてはいけないのさ。

PIAには独自の音があるとのことですが、まだレコーディングには使われていません。ツアーに出たとき、どの曲がPIAで弾かれるのでしょうか?

いい質問だね。まだ答えはわからないが。まだ複数のPIAを試しているところでね、最初のプロトタイプの4本を受け取った。これでピックアップをいくつか試したり、手を加えたが、今は別所に保存されている。私が死んで何年も経たないと開けられることはない。

それからNAMMショウ用に4本を受け取って、そのうちの何本かに手を加えた。ピンクのPIAにはサステイナーもスキャロップも何も手を加えていない。だからEVO同様で、EVOでプレイする曲に使うだろう。この何年も私は少々スキャロップされたフレットを好んできた、FLOⅢのようにね。グリーンのPIAは "Bad Horsie" をプレイするようなセットアップにした。ドロップチューニングでは違う弦を使うし、テンションもスプリングも全て異なる。少しばかりスキャロップにしたし、サステイナーを載せた。白のPIAはFLOの分身みたいで、同じくスキャロップとサステイナー付きだ。ゴールドのPIAはドロップDチューニング専用にセットアップした。

 

 

 

これらのギターは実験としてNAMMでのギグでEVOも含め全てを使用した。FLOも使ったかな?全てを使ってレコーディングとツアーのために評価したかった。更に4本のPIAを受け取る予定で、最初のPIAはIbanezの博物館みたいなところに収納されるんだ。次の4本は私のもので保存する。そうしたらツアー用に様々にPIAに手を加える。

あまり話してこなかったのが、ネックサイズについてだ。PIAのネックはJEMよりずっと太いのだが、とても気に入っているよ。ツアーでは薄いネックに惹かれるのだが、ネックの太いものよりも簡単に環境変化の影響を受ける傾向がある。楽屋からステージに移動する間にチューニングが狂ってしまうんだ。ショウの間も同じだ。会場が暑くなれば全て変わってしまう。それで太いネックを試すことにした。この方がツアーでは使い易いから、このサイズを使おうと思う。だが、薄いのも作ってもらうかも知れない。個人的好みとしては薄いのが好きなんだ。

PIAにサステイナーを載せたそうですが、一般販売のものに付ける予定はありますか?

もう10年くらいやりたいと思っていることなんだが、問題は私の気に入るサステイナーが Fernandes のものということだ。サステイナーには基本的に供給元が2つだ。Sustainiac は品質が一貫しており、クリーンで長年に渡って私のギターのそこここで使用してきたが、ちょっとした限界があるんだ。PU自体の音にも満足できず、私にはしっくりこなかったのだ。

それで私は Fernandes を使い続けたのだが、彼らの問題は会社が小規模で生産量が少ない上に、品質に一貫性がない。通常、私がギターに載せたいと思う個体を見つける為には4個ほど買わなくてはならないのだ。これらの理由から、Ibanez の生産ラインに十分な供給を得るのは難しいと思う。それで Sustainiac に移行することに決めた。今は彼らと組んで私の求める物を目指して手を加えているところだ。

Sustainiac が私の要求全てに応えるものを創ってくれたら、Sustainiac を搭載したPIAかJEMの市販品を出せるかも知れない。私が実際にプレイするギターのようにしっかり創られていなければならないけどね。それにある種のトレムセッター(トレモロスタビライザー)も必要だ。フローティングトレモロは私にはデリケート過ぎるんだよ。本物のフローティングトレモロで1音弾くと音は奇妙に振動する。チューニングは難しいし、だからトレムセッターは必要だ。

なるほど、あなたの仕様が通常のオプションとして販売されないのがなぜかと不思議に思っていました。

サステイナーもトレムセッターも先に話した問題が解決すれば導入するだろう。スキャロップ・ネックについては、個人の好みの問題だ。そんなに需要があるのか疑問なんだ。だからシグネチャーギターに取り入れることは考えたことがなかった。とはいえ、常に「完全なスティーブ・ヴァイ モデル」を出す可能性は残っている。

あなたがジョーとエリック・ジョンソンとの最初のG3ツアーのプロモーションで持っていたギター(訳者注:10周年記念のJEM10)の記憶があるのですが、そのギターがライブで使用された覚えがないのです。あのようなアニバーサリーモデルにはなかなか愛着が湧かないものでしょうか?

Ibanez の世界ではアニバーサリーモデルであれ何にしろ、新たな美しいアイデアが生まれるのだ。もちろん私がライブで使用し露出することが期待されるのだが、私にとってEVOが常に1番なんだよ。あのギターには磁力のように惹きつけられる。暖かくて常に我が家と感じられる場所なんだ。

新しいギターというのは使い慣れる必要がある。十分に使い慣れるにはまる1年くらいかかるんだ。自分のDNAや汗が注がれ、様々なエピソードや秘密も染みつく頃に本物の音が生まれる。音が変わるんだ。新車のようなものだ。新車は新車の匂いがするだろう?新しいギターは新しいギターの音がすると感じるんだ。木材は呼吸していないし、膨張してもいない。何年も共鳴することで木材が変わるんだ。

だから、EVOやFLOを弾かないなんて私にはできないのさ。これらが何十年にも渡って私のメインギターだからね。だから、あれらのアニバーサリーモデルを私があまり弾かないことについて謝罪しよう、特にIbanezに対して。そのせいで潜在的な売上を減らしてしまったかもしれない。

でもこれが私という人間なんだ。私は自分の芸術的直感に基づいて活動するしかないんだ。私がIbanezギターを使うのはエンドーズ契約があるからではなく、それらが私にとって完璧な楽器だからなんだ。Ibanezのような意識高く実効的な会社と仕事ができてとても幸運だと思っている。

 

 

======================

Vai.com のギターギャラリーにJem10が掲載されていますが、そこに面白いエピソードが記載されていました。90年代に初めてヴァイ先生が中国でライブしたときのこと、ショウの後に食べるものが無く、プロモーターは北京から車で2時間かかる Hard Rock Cafe にバンドを連れていったそうです。しかし、厨房は片づけた後でバンドに食べ物は提供されなかったそう。ヴァイ先生はレジの後ろに展示してあったこのJem10をみつけ、後日 Hard Rock Cafe と交渉して別のギター何本かと交換でこのJem10を返してもらったそうです。それにしてもその夜のバンドは何か食べれたのでしょうか?

ビリー・シーン 「クレジットはエディ・ヴァン・ヘイレンだが、起源はビリー・ギボンズにある」

ビリー・シーンがインタビューに応えました。スタジオで興奮ぎみのミュージシャン2人との会話に盛り上がってご機嫌でいろいろと語っていましたので、興味深かった一部を要約してみました。

 

===========================

自分がレコーディングした中で最も強力に思うアルバムは?

DLRの『Eat 'Em And Smile』と Mr.Big の『Lean Into It』と The Winery Dogs の1stアルバムだ。これらのアルバムは友達に会うとまず聴かせたアルバムさ。アルバムの制作には全力を注いでも完成品が自分にしっくりこない時というのはあるんだ。この3枚は強力だった。

The Winery Dogs で達成したことの1つはリッチー・コッツェンを世界に知らしめたことだと思うね。多くの人は彼のことを「しばらく Poison にいた奴」くらいにしか認識していないが、一方で彼はスタンリー・クラークのバンド Vertu でアラン・ホールズワースの代わりに入ってプレイしたんだ。

そうですね、リッチーはグレッグ・ハウとも超絶のフュージョン・アルバム(『Tilt』)を出しています。

ああ、彼のプレイもボーカルも作曲も素晴らしいよ。リッチーは The Winery Dogs で超重要な要素だった。

最もクレイジーなツアー中の出来事を教えてください。

沢山あって数冊の辞典くらいになるな。『Eat 'Em And Smile』のツアーは当時の世界一ビッグなロックスターだったデイヴとで、スティーブやグレッグと一緒だった。驚異的なツアーだったよ。あるとき、雑誌の Time か Life からカメラマンがやってきて、写真を撮ったんだ。ライブの最後に俺たちが歓声をあげるオーディエンスに背中を向けてカメラを向いたもので、とても楽しみだった。でも彼らはその写真を使わなかったんだ。何が起こったかだって?何人もの女の子が胸を見せていたんだ。胸が見えたらまずいから、彼らは写真を使わなかったのさ。(笑)

付け加えておくけど、俺たちのツアーバスにはドラッグはなかった。俺なんて71年からアスピリンも使ってない位だ。ドラッグもコカインも全くやらない、酒を少々楽しむくらいさ。スティーブもグレッグもブラッドも俺も真面目な人間で、デイヴは俺たちにとても親切だった。デイヴは別のバスに乗っていたから、そこで何があったかは知らないけどね。

プレイに役立った好きなリック又はテクニックは何ですか?

74年にビリー・ギボンズがプレイするのを見に行ったんだ。彼がアリス・クーパーのオープニングでバッファロー公演があった。そこで彼がこう弾いたんだ。(ベースでプレイしてみせる)そんなのは見たことなかった。彼は右手で弦をフレットにハンマリングしてたんだ。これはギタープレイヤーがこぞってタッピングプレイをする前の時代の話だ。家に帰って直ぐにやってみたよ。右手で弦を押さえると音がするじゃないか!それでいろいろ試した。それが俺のタッピングを使ったベースプレイの始まりになったんだ。

そして78年に Van Halen が登場した。もちろんショックだったよ、タッピングをやっているのは俺だけかと思っていたから。だが実際のところ、クレジットは全てエディ・ヴァン・ヘイレンに相応しい。一般に浸透させただけでなく、彼のタッピングは素晴らしかったし、俺が思いも寄らないやり方であれをやっていた。だからタッピングのクレジットはエディにあるが、その起源としてはビリー・ギボンズにあると思う。

ある日、LAでスタジオ・レコーディングに行ったんだ。親しい友人のリタ・フォードのところに。俺は知らなかったがサプライズでそこにはビリー・ギボンズもいたんだ。スタジオに入ってびっくりしたよ。そこではリタとビリーと俺とでレコーディングしたんだ。休憩時間に彼と話をしたよ。彼はあらゆることに博学で素晴らしいんだ。お礼を言って帰ろうとしたら、ビリーがちょっと待てと言う。彼はバッグから彼の写真を取り出してサインしてくれたんだ。(額に入れたビリー・ギボンズのサイン写真をみせるビリー)彼は俺のことなんて知らないと思っていたのに。インタビューで俺のタッピングはどこから来ているのか訊かれる度にビリー・ギボンズと答えていた。彼はそれを読んだと言って、「その調子でな」と言ったのさ。

実は彼は俺のソロアルバム『Holy Cow!』に参加している。スタジオにやってきた彼はテレキャスを持っていたのだが、持ってくるギターを間違えたようだった。部屋には俺が誰かにジョークでもらった100ドルの中国製ストラトがあって、それはローBにダウンチューニングしてあったから弦がゆるゆるだった。このギターしかないけど、使ってみるかと彼に訊くとやってみると言う。結果、100ドルのストラトと Line 6 Pod で彼のギターはレコーディングされた。それでも素晴らしい出来だったよ。友達に聴かせてギタープレイヤーを当てさせたら、「ビリー・ギボンズ?」って答えていた。直ぐに彼だってわかるのさ。

わぉ!音は手に宿るって言いますね!ミュージシャンへのアドバイスはありますか?

スティーブ・ヴァイの(ツアーバンドで)リズム・ギターを弾いているデイヴ・ウェイナーの話をしよう。彼は素晴らしい奴なんだが、最初はスティーブのオフィスでインターンをしていたんだ。彼はMI(Musicians Institute)にいたんだが、スティーブは知らなかった。デイヴの家にはスティーブのポスターが貼ってあって、スティーブ・ヴァイの大ファンだったのさ。

彼がスティーブのところで働くようになって、スティーブは彼がギターを弾くことを知ったのさ。「どれぐらい弾けるんだ?」と訊かれてこれぐらいですと答えた。それで「ホテルの予約を任せていいか、フライトの手配もできるか」と言われているうちに「ツアーマネージャーとしてついてこないか、それにリズムギターも弾いてくれ」と言われたんだ。そうして今では彼はスティーブの右腕だ。

これは誰にでも起こり得るんだ、心から望んで努力していれば。そういう希望と楽観主義を皆に持ってもらいたい。それと同時にそこには何の保証もなく何でも起こり得るということも理解して欲しい。生涯を通じて頑張って良いミュージシャンになっても成功が起こらないかも知れない。どこかに理由が隠れているのだろう。人に礼儀を持って親切にすること。俺も時には失敗するけれど。早く行って、(会場に)残り(タスク以上の)仕事をすること。そうすれば実現できる。

f:id:ribbon_bear:20201030141007j:plain

==========================

ビリーのタッピングの起源の話が興味深かったです。以前、ヴァイ先生がビリーのことをこう語っていました。

「シュレッダーという言葉があるが、ビリーは最初のシュレッダーなんだ。その言葉が使われ始めるずっと前からシュレッドしている。彼はエディ・ヴァン・ヘイレンよりも前からシュレッドしているんだ。彼は非常にユニークで、シュレッドの権威なんだよ。私は彼の技術から随分と盗ませてもらった。(笑)」

元記事はこちら↓

staytogether.hateblo.jp

ジョー・サトリアーニ 「テクニックというのは道具箱の道具に過ぎないんだ」

最近はインタビューに積極的なジョー・サトリアーニが新たなインタビューに応えました。こちらのギタリスト向けの番組の終盤では深い会話が聞けましたので、その部分を和訳してみました。プロフェッサー・サッチが語ると言葉に重みがあります。

エディ・ヴァン・ヘイレンの訃報が伝わる直前にされたインタビューだそうですが、エディについても興味深いコメントがあります。

 

 

======================

では最後の質問です。多くのギタープレイヤーがクレイジーだと思っていることは何だと思いますか?つまり、あなたは知っていて皆が知らないこと、もしかすると厳しい現実かも知れませんが。楽器に対する誤解とか。

うーん…(しばし考えて)ギタリストなら君の指が弦にふれることで、皆に音が聴こえるんだ。人は君の物語を聴くことになるから、言うべきことがなくてはいけない。これは本当のことで、私がこの話をしたのは、私たちギタリストというのはテクニックを解き放った人を尊敬する傾向があるだろう、やらずにはいられないんだ。ギタリストにはそれを弾くのがどんなに難しいのかが解るからね。チューニングを保つことも、複雑さも、現代音楽にフィットさせる難しさもある。

今の若手プレイヤーがギターでやっていることは全く驚異的さ。けれど、ギタープレイについて若手世代やまだ楽器を始めていない人も知るべきなのは、自らの独自性で有名になりたいのなら、少なく弾くことを覚えなくてはいけない。弾けば弾くほど、オーディエンスはプレイヤーの指と弦の奏でる親密さを聴き取れなくなる。速すぎては聴き取れないんだよ。多くの指を使うと、例えばピックを使って弦を高速で繰り返しピックすると、そこにはもうジョーの音はない。誰でも私のプレイを真似できるんだ。

エディ・ヴァン・ヘイレンが凄かったと思うことは、彼がタッピングを使い始めたとき、彼は革新を起こしただけでなく、あのプレイにエディの音が聴こえることだ。彼よりタッピングが上手い何百人ものプレイヤーがいるかも知れないけれど、そのプレイで名前が判る人はいないんだ。これはどういうことか。

テクニックが上がり、音数が増えれば増える程、一般的なオーディエンスにはプレイの違いがわからないんだ。音楽的文脈で創らない限りは。これが他とは違うオリジナリティになる。例えばベートーベンだ。彼が登場したとき、1曲に多くのアイデアを詰め込み過ぎて、不人気だったし、嫌われもした。それでも全体として彼が成し遂げた作曲面での質やメッセージ性を無視することはできなかったから、今日でも彼の名が知られているんだ。作曲面の中身からであって、音数が多かったからではない。誰にでも大量の音数をプレイすることはできる。

部屋に座って最速のギタリストよりも速く弾けたとして、じゃあ B.B.King の名前はなぜ有名なんだ?それを一度考えてみるといい。彼のプレイした1音1音は彼の指から発せられたことがわかるだろう。彼の物語、彼の感情を表しているんだ。より速く弾けば、メッセージを送るのがより難しくなる。伝えたいメッセージや物語と繋がっていなくてはいけない。君のプレイ方法はもしかしたらそれには逆効果かも知れないんだ。

時には最速のプレイが必要かも知れない、私もテクニックは大好きさ。私に弾けないような速弾きや複雑なプレイも大好きだ。本当に好きで毎日(インスタグラムで)観ているんだ、楽しいからね。でも私がよく生徒に言ったのは、テクニックというのは全て同じで、コードも音符も同じで、他のスケールよりも優れているスケールなんてものもない。全て同じで、道具箱の道具に過ぎないんだ。

私たちミュージシャンが理解しなくてはいけないのは、感情を引き出すためにそれら道具を使い、人々の人生に寄り添う音楽を創るということだ。私たちの仕事はそれだ。だからテクニックに惑わされるな、それらはただの道具だ。

 

f:id:ribbon_bear:20200625141207j:plain

 

ジョー・サトリアーニ 「エディ・ヴァン・ヘイレンの真似と本物との違いは、あのリズムを再現できないこと」

先週に引き続き、エディ・ヴァン・ヘイレンの訃報を受けてのRolling Stone誌記事の和訳です。

www.rollingstone.com


サッチのインタビューには先週のヴァイ先生の話のように個人的関係の話題はありませんが、同世代のサッチがギタリストとしてどうエディを評価していたか、何が Van Halen を偉大にしたのか、その辺りのお話は興味深いです。

========================

初めてラジオから "Eruption" を聴いたとき、私はカリフォルニアのバークレーにある小さなアパートに住んでいた。手にギターを持ちながら私は完全に釘付けにされた。子供の頃にヘンドリックスを初めて聴いたときみたいだったよ。違うのは私がもう大人で既にミュージシャンになっていたことだ。

君たちはきっと何人にもインタビューして、彼が革新をもたらしたあれやこれやその他について延々と聞かされてきたことだろう。実際にそうだ。しかしもう1つ重要なことは、彼が自分よりも前の時代の先駆者のやった全てをとても美しく又楽しく統合したことだ。これは私が彼と同世代だから経験からわかるんだ。私は彼より1歳年下だ。

私はいつも彼は私世代のプレイヤーの中で最も偉大な人物だと思っていたよ。偉大なプレイヤー:ヘンドリックス、ペイジ、ベック、クラプトンらの直後の世代が私たちだ。しかも彼は笑顔でそれをやってのけたんだ。当時においてそれはとても重要なことだ。なぜなら多くのギタリストはしかめっ面でうなってる、気取った奴だったから。複雑化していたんだ。

何年かの間、ギターが不人気になって奇妙な方向へ向かっていると感じていた。ところが突然、救世主がラジオから現れて私に直接語りかけたんだ。彼のギタープレイを聞く度にあの興奮を忘れることはない。いつだって気持ちのレベルを上げて、自然に笑顔になるんだ。誰かがあれをやってくれたことがただ嬉しい。彼のプレイには1音1音に歓びが込められている。彼の微笑みが全て楽しくてやっていると教えてくれるのさ。けれど同時に、ミュージシャンたちは自分が彼には決して及ばないと知っていた。

彼のリズムは完璧で夢中にさせる、それに彼の音の選択は笑ってしまうほど、可笑しくて大胆だ。素晴らしい曲を書き、何時間ものつまらないシロモノで飽きさせることはない。いつだってロックン・ロールさ。自信たっぷりで、完璧なリズムが全曲をつき動かしていた。

偉大なプレイヤーを愛情を持ってトリビュートしようとする人、また彼らの真似をしようとする人と本物との違いは、あのリズムを再現できないことさ。ヴァン・ヘイレン兄弟、エディとアレックスの2人はとてつもないビート・アタックをする。彼らのリズム・ポケットのセンスはとても強烈だ。一聴すれば彼らとわかる。そのリズムセンスが世界中の聴衆を掴んだのさ。

アルバム『1984』に見逃されている曲 "House of Pain" が入っている。これを聴けば、彼らがあのリズムをどう叩き出しているのかわかる。私は2人を分けたくないんだ。エディのギターを聴くときはいつもアレックスのドラムも聴いているんだ。素晴らしいことだよ、共にプレイする兄弟の歓び、そこにある紛れもない愛。

 

 

==========================

サッチは『The Extremist』の制作時にアンディ・ジョンズ(当時 Van Halen 『For Unlawful Carnal Knowledge』を制作していた)をプロデューサーに迎え入れます。最初に2人のミーティングが行われたのはエディの自宅スタジオでした。この時(91年)サッチはエディと会っていますが、サッチとエディの初対面はいつだったのでしょう?89年にヴァイ先生とエディが連れ立っていた頃にヴァイ先生がサッチを紹介していたのかな?

f:id:ribbon_bear:20201016101525j:plain