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Green (@ribbon_bear) が毎週好きな音楽ネタを語ります! Since 2011

2024年のライブを振り返る

今年も当ブログをご訪問頂きまして、ありがとうございました。

ブログを始めてからほぼ13年間は週1回の更新を継続してきましたが、今年の半ばくらいからは「ネタがあったときにのみ更新する」スタイルに移行しました。「書きたい!」と思うネタに出会うことが減ったのが理由です。

個人の情報発信の手段として、ブログという形態はもう古いのかな、動画が旺盛で文字を読む人は少ないのかな、自動翻訳が発達してこういうブログは不要になってきたかな、などと思ったりしていますが、とりあえず自分が書きたいものがあるうちは、のんびりと継続しようと思いますので、来年もお付き合いのほどよろしくお願いいたします。

今年は2020年以来、4年ぶりの Monsters of Rock Cruise に参加したこと、サミー・ヘイガーと来日したサッチを観れたのが個人的なハイライトでした。
パンデミック後の来日公演は引き続き多数あったのですが、私は例年よりも少ないライブ参加となりました。それにしても物価高と円安でライブチケットも物販も値上がりを実感した1年でした。

 

2024年 参加ライブ

02月 Queen
03月 Monsters of Rock Cruise
05月 Marcin, The Choppers Revolution
06月 Cory Wong
09月 Tim Christensen, The Best of All Worlds
12月 Covet

 

2024年 ベストライブ

No.3 Cory Wong

ずっとずっとライブで観たかったコリー・ウォンが来日してくれたのは嬉しかった!しかもチケットがお安かった。北米ではもうシアタークラスでヘッドライナー公演している彼をクラブ公演で観れるのも感激でした。

彼のバンドを引き連れての公演は狭いステージがぎゅうぎゅうでしたが、最初から最後までノリノリのリズムマシーンのごとく弾くコリーが観れてとても楽しかった。

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No.2 Glenn Hughes/ Ace Frehley

今年のクルーズでは70代のレジェンドの活躍が印象深かったです。

中でもグレン・ヒューズエース・フレーリーは凄かった!
グレンは圧倒的な歌唱で会場を支配していましたし、エースのギターはまだまだいい音だった!
乗船していたミュージシャン達が数多く、レジェンドのライブを観に来ていたのも特徴。

今年後半に豪州までツアーに来ていたグレンですが、結局来日はなかったのが残念です。

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No.1 Joe Satriani at MORC/ The Best of All Worlds

今年は個人的にサッチ祭りの1年でした。

クルーズでサッチのソロライブを観て、ニューアルバムからの新曲を聴き、最後に特別ゲスト参加のG3を間近で観れたのは最高の体験でした。

そしてまさかの The Best of All Worlds ツアー来日。北米まで行かなければ観れないと思っていたショウが日本に来てくれるだなんて、嬉しくて小躍りしましたよ。

VHをできるだけ再現しつつ、サッチらしいギターを聴かせてくれたのは感激でした。

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その他では、今年は凄腕系のミュージシャンを厳選して観てきました。

Marcin の超人的アコギプレイには息をのみましたし、The Choppers Revolution は Dirty Loops のヘンリック・リンダーを観たくて行きましたが、超絶で楽しいライブでした。

ティム・クリステンセンのソロライブはバンドも巧者揃いで、いい音聴かせてくれました。

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来年はサッチ/ヴァイで来日があることを心から祈って。両者を同時に観れちゃうなんて、幸せすぎる!

 

 

トップ・プレイヤーが実践する曲の覚え方:身体的記憶・音楽的記憶・理論的記憶

今週はGW誌の記事で興味深いものがあったので、それを紹介します。

www.guitarworld.com

腕利きギタリストたちが曲をステージでパフォーマンスするため、どうやって準備しているのか。曲の暗記プロセスはどんなものかを質問した回答のうち、スティーブ・モーズ、アンディ・ティモンズ、ジョエル・ホークストラ、ポール・ギルバート、フィリップ・セイス、マーティ・フリードマン、ロン・サール、マイク・ケネリーのコメントをまとめてみました。

ギター弾きの方には参考になるお話かと思います。

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特定のギグでの演奏に向けて、どのように楽曲を覚えるのですか?

ティーブ・モーズ:繰り返しプレイして覚え(身体的記憶)、頭の中で音楽を再生する(音楽的記憶)、そして分析する(理論的記憶)。

身体的記憶はゆっくりと完璧に、止まらずプレイすることでどの部分の練習が必要かがわかる。原曲を聴くことで記憶できるし、分析することでどのキーが使われているのか判明し、アレンジを把握できる。

アンディ・ティモンズ:その楽曲の複雑さのレベルによるね。譜面が渡されたら、僕は最初は参照せずにできる限り耳で覚える。もちろん、難しいフレーズを弾くのに譜面は助けになる。

何年も前に気付いたのだけど、僕が最初に譜面を読んで入ると、曲を耳で覚えるのに対してずっと多くの時間がかかるんだ。耳で覚えるのが僕の指の動きへ直接の回路になっている。

記憶し定着させるのに最良の方法は繰り返し聞くこと。体に取り込んでしまえば考えなくても曲が聴こえる。

ジョエル・ホークストラ:反復練習に勝るものはないよ。僕は通常、ギグ当日を起点に練習開始日を決める。その日からは毎日その曲を演奏する。最終段階ではギターだけで弾く、そうすればもう曲の構造を覚えて何にも頼っていないことになる。

ポール・ギルバート:それが良い曲だといいね。良曲というのはメロディとアレンジが早く記憶に残るように書かれている。歌詞はもっとやっかいだね、調べものが必要だったり自己診断が要るかも。

フィリップ・セイス:ひたすら反復練習。ひたすら弾いて何も考えなくてよいところまでやる。できるだけ深く記憶に定着させて、毎回より上手く弾けるよう取り組んでいる。

マーティ・フリードマン特に難しい曲の場合、全ての音に対してベストなサウンドで間違えないフィンガリングを決めるのに時間を割く。そして大量の練習をする前にそれを盲目なまでにこなす。

でも多くの場合、暗記することは余り考えずに、何度も曲を聴いて頭に取り込まれるようにすると、大抵の問題は解決できる。

ロン・サール:短いパートに分解するのが良い。複雑なフレーズなら、小さなセクションに分けて、セクションを練習する、それからセクションを繋げて練習する。

長いアレンジの曲なら、コード進行の数を数えてその数の並びを覚えるんだ。紙とペンを持って覚える曲を書き出すと良い。

それから曲を覚えるのに異なるキーで演奏する。練習時にはオケに合わせて弾かないようにする。曲のガイドが必要ないところまで練習するんだ。

マイク・ケネリー:何十年も前、ブライアン・ベラー(ジョー・サトリアーニのベーシスト)から聞いたんだが、彼が知らない曲を覚えるプロセスというのは楽器を手にする前に何度も何度もその曲を聴くということだった。

私も時間のあるときは、ひたすら曲を聴いてすごす。家でも車でも聴いて、その何が良いのか分析する前に、曲としてサウンドとして知り尽くす位まで。

そこまできたら、後は黙々とやるだけだ。自分のパートを小節ごとに覚えるのさ、ゆっくりと、微妙なニュアンスを会得して、必要なら曲の構造を書き出して、脳の記憶と体の記憶を同時に積み上げるんだ。

 

新たに曲を覚える上で最も難しい面は何ですか?

ティーブ・モーズ:一番難しいのは、(観客による)気の散る環境を作ることだ、実際のギグのようにね。例えば、何か通常でやらないこと、遅いテンポでプレイするとか(これは言葉よりも難しい)で試すことができる。でも人前(家族や友達でも)で弾くことが良い準備になるから、気の散る状況に慣れることだ。

アンディ・ティモンズ:音符を暗記することが1つ。曲の形式を覚えることは時により難しい。でもこれらは全て曲を体に吸収することで解決する、だから繰り返して聴くんだ!

ジョエル・ホークストラ:短い時間で多くの曲を暗記すること。Foreigner のコンサート・セットを24時間で覚えなくてはならなかったとき、僕は1時間50分間集中して覚え、10分間の休憩をとって身体を横にして目を閉じて脳が処理できるようにした。

(訳者注:ジョエルが Night Ranger 在籍時、Foreigner とツアーをしていたが、ミック・ジョンソンの健康上の問題で代役に指名され、24時間で準備した経験がある)

ポール・ギルバート:暗記するには多くの時間を割いて聴くこと。好みの曲ならそれが楽しみになるけれど、その曲の作りが雑だとしたら苦労することになる。

フィリップ・セイス:集中力を切らさないこと。外部のものに気を散らさずに自分のゴールをしっかり見据え続けることで、曲に息が吹き込まれ命が宿り、グルーヴが生まれるんだ。

マーティ・フリードマン自分の曲なら覚えることは全く難しくない。僕にとって暗記するのが難しいのは他人が書いた複雑なパートだ。そういう場合、練習時に詳細な合図を付けていく。

例えば「ダブルタイムのフレーズ」、「初回はF#で終わり、2度目はGで終わる」、「3拍のロングトーンを保ってから上昇」とか。特に似通った多くのパートを弾かなくてはならないときに。

ロン・サール:変わったアレンジを覚えるのは難しい。1つのバースでのみコード・ビートが余分に1つあるとか、休符とキー移動が予想外の場所にあるとか。

対照的に、単純な曲が覚えるのに難しいこともある。多くの曲に似通ったコードが使われていて、演奏の順序において少ない違いしかない。別の曲のパートを混乱してしまうことがある。

マイク・ケネリー:私の経験則では、シンプルな曲ほど暗記が難しいものだ。正反対に感じるかもしれないけれど、私にとっては全く理にかなっているんだ。

私がザッパの作品を覚えているとき、自分に定着させることはとても簡単だった。なぜなら全ての奇妙なメロディやコード変化は私がそれまでに弾いたことのないものだった。だから私の記憶に定着するのは早かった。それらを愛聴してきたことは無論役に立った。自分の一部のように感じたから。

対照的に、ジョー・サトリアーニの作品を覚えるのは難しかった。彼の作曲における創作過程はもっと繊細だからだ。

当初の暗記過程は全てを吸収するのに苦労した。そのような場合にはひたすら繰り返して聴くことが覚えて弾く前にとても重要だ。必要なら(曲の構造を)図に書き出すのは役に立つだろう。そうすることで異なる曲間の繊細な区別がつく。

 

ステージで演奏する上で、パートを忘れないようにするコツがあれば教えてください。

ティーブ・モーズ:異なるテンポや違うシナリオ、セクション毎などで練習すること。しかし重要なのは頭の中でできるだけ何度も反復すること。待ち時間や移動時間や行列に並んでいるとき、頭の中のフレットボードで音楽を視覚化するんだ。自分のアプローチを多様化することで自分のアプローチの基盤を強化できる。

アンディ・ティモンズ:集中力が一番難しいだろう。ステージというのは練習部屋とは全く異なるものだ。僕はバンドとオーディエンスに向かいたい傾向があって(もちろん、これらは譜面に頭をうずめていては不可能だ)そのためには楽曲がしっかり自分に根付いて自然なものになっていることが大前提だ。

それによって僕はただ演奏してその瞬間に音楽を投影できるんだ。ミスが起こるかって?もちろん、でも少なくとも僕は最高に楽しんでいるよ。

ジョエル・ホークストラ:反復、反復、反復あるのみ!誰かが耳元で叫んでいても、完璧に弾けるくらいに曲をしっかり覚えることさ。

ライブ演奏では様々なことに気をそがれる。インイヤー・ミックスの音が変だったり、観客の誰かが何かしていたり、バンドの誰かが(機材の)技術的問題を抱えていたり。そういったものに気を付けないと自分のパフォーマンスが低下してしまう。

ポール・ギルバート:僕が曲の何かを忘れてしまったなら、バンドの誰かがカバーしてくれるのを祈るよ。僕はただボリュームを落として自分の居場所を見つける。3ピースのバンドでは隠れる場所はないから、しっかり曲を覚えていないといけない。それかアームで狂ったように弾くしかない!

フィリップ・セイス:言ったように、しっかり繰り返し練習すること。時折、なぜか思い出せないところがあったら、小さな図を書いて床に貼るんだ。

要はその瞬間に集中して、歓びと感謝、興奮と楽しみの気持ちを持って音楽にアプローチすること。

マーティ・フリードマンコンサートそのものは自分のベッドルームやリハーサル室や同日のステージ上でのサウンドチェックとも圧倒的に異なる雰囲気であることを理解して気を引き締めること。

不必要な感覚的情報を絶え間なく浴びる結果として、集中力を大きくそがれることもある。それを頭に入れて準備することで当日の問題を摘み取るのに役立つだろう。

ロン・サール:観客に観られると心境は普段と異なってしまう。だから、人に観られるところで練習しよう。曲を弾くときには人の目を入れるんだ、インスタグラムのライブをしたり、君の脳をパフォーマンスのモードに入れるもので。それから観客の目の届かないところにパートのメモとかのカンペを忘れずに!

マイク・ケネリー:まず本番の前に沢山練習することは必須だ。自分の脳をシャットダウンして体の記憶だけで弾けるくらいになるまで。体に刻んだ曲の記憶は脳の記憶よりもずっと長くもつ。だから、自分の体の記憶を信頼して仕事を任せ、頭に邪魔させないことができるかなんだ。

例えば、これから来る難しいパートのことを考えすぎると、何もそのことを考えずに自分の指の動きに任せた場合よりも、必ず多くの場合でお粗末な結果になる。

曲を何度も弾いて練習するより他の方法はないんだ。だから時間をかけるんだ、そうすればその結果はその後何年にもわたって実を結ぶだろう。

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皆さん共通の答えが繰り返し聴いて練習することでしたね。それ以外の道はないとの事。
そんな中で私はマイク・ケネリーの回答を興味深く読みました。



スティーブ・ヴァイ BEAT ライブストリーミング!King Crimson の世界

11月10日(現地時間)にロサンゼルスで行われた BEAT ライブが有料でライブストリーミングされました。お値段は日本円で4千円弱とまあまあしますが、当日から7日間はアーカイブを何度でも視聴可能。(間もなく終了ですので、皆さんお早めに!)

マルチカメラを使用したプロショットで、サウンドのミックスはグラミー賞エミー賞の受賞歴もあるボブ・クリアマウンテン氏が担当したそう。

私はライブストリーミングで視聴したのですが、不要に感じたチャット画面を閉じて、Apple TV 経由でスピーカー再生したところ、画質も音も満足なクオリティでした。

私はファン撮影動画で何回かこのライブをチェックしてはいましたが、プロショットで専用にミックスされたものは全然違いますね、後日これが映像作品として発売されるのかも知れませんが、バンドがツアー中の今見ることができて大満足です。

 

ステージにメンバーが登場してスタート。

先生は先月くらいから投入したグレースーツ姿(この日は着なかったですが、色違いの赤いスーツもインパクト大です)、お手製ペイントのPIA、Ivyaを演奏していました。このツアーではこれがメインギターになっています。(Ivya にはシールドが2本挿されていたのですが、何だろう?)

ライブ中盤では、先生のギター写真集『Wire And Wood』のウルトラ・エディションにのみ封入される世界限定14本の Jem 77WFP (White Floral Pattern)を弾いているところを初めて観ました!このツアーで使う予定だったものですが、準備が整わずに少し前から使用され始めた模様です。

それからもう1本、ストラトタイプの黒ボディJemも1曲で使用されました。

私は King Crimson に疎いので、オリジナルと比較してどうだという話はできないのですが、このストリーミングを観て、先生がとてもこのバンドにフィットしているのを感じました。音楽が知的で職人的技の高みや実験的先鋭さや面白さもあって、ザッパ風味も感じる。

原曲に忠実に弾いているところはあるのでしょうが、先生のサウンドで、ソロではしっかり先生らしさが満載で、エイドリアンとの相性も良く、トミーも加わっての弦楽三重奏なんて変態すぎて異次元音楽空間でした。(賛辞です)

セットは二部構成のため、一部終了後の休憩タイム20分ほどの間にメンバーが揃ってのインタビュー映像をながしてくれました。既にこのブログでも書きましたが、BEAT 結成の経緯や各メンバーの想いなどのお話。

セトリは初回公演からほぼ変更していないようです。(過去記事参照)

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BEAT は来年あたりに来日してくれないかな?今回の素材でライブCDや映像作品の発売もありそうですね。


一方で『G3 Reunion Live』が1月31日に発売されます。CDは2枚組で、LPのようにツアー写真集が付属するのかは不明。日本盤がでるのかも早く知りたいですね。

今のところ、このライブアルバムからは下の "Crossroads" とヴァイ先生の "Zeus In Chains" が先行リリースされています。

 

G3もライブで観たいんだな~。来日お願い。

 

スティーブ・ヴァイ BEATツアーに向け、ロバート・フリップから受けた支援と知恵と導き

9月20日、BEATツアー中のヴァイ先生が長文をSNSで投稿していました。こんな風にツアーについての想いを長文で語るほどに先生の中で充実感や興奮が高まっているのだと思います。

今週はその投稿を和訳してみました。

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(大きく口を開け、歯を見せて笑う)ダニーと私は(歯科矯正医の)見事な仕事を見せたかったのさ。(注:上の写真参照)

オースティン、素晴らしかったよ、ありがとう。

今夜のフェニックス公演で、北米BEATツアー全65公演の第6回目になる。

このツアー参加の機会が訪れたとき、私の心の目ではステージに立つ自分の姿が浮かび、上手くいくと思えた。しかし実際には私の期待を大きく超えるものになったよ。この音楽に対するオーディエンスの情熱は明らかであることがわかった。

毎晩、オーディエンスの熱狂とサポートは驚くほどで、この全くもって優れた音楽をリリースから40年の歳月を経てライブでファンに聴かせる機会を提供する者の一部としてステージに立つことを私は益々快適に感じている。

ツアーがこなれてくるのに大抵は1週間程度かかるのだが、バンドには美しい一体感があり、彼らとプレイすることは毎晩の歓びだ。

ひとたびツアーに出てツアーバスで共にすごせば、秘密はなくなり互いに親しくなって絆が生まれるものだ。そして嬉しいことにこの紳士たちは個人としても傑出した人物だ。素晴らしく、思いやりがあり、面白くて温かみがある。

ダニーのソロを毎晩観て、彼とドラムの霊的な繋がりに私は完全に引き込まれてしまう。彼の熟練した技に圧倒されて次の自分のパートでつまずいてしまうこともある。そして、彼は何と素晴らしい人か!ツアーを共にするバンドメイトとして願う全てを備えている。

そしてトニー・レヴィン…とんでもない!私はこの男に熱烈に恋しているよ。完全で完璧な紳士であり、驚くほど温かな気質とユーモアのセンスを備えている。常にカメラを構える愛好家でこのツアーを内部から記録している。

毎晩、彼のベースから大きな丸みのあるサウンドが私たちのインイヤーモニターを満たし、それはまるで私たちの魂を横たえる温かく心地よいベッドのようだ。彼のプレイは魔法のようで、何曲かでの彼のイントロソロは毎晩ユニークに異なっており、刺激を受ける。

私は長年に渡ってエイドリアン・ブリューの貢献を尊敬し感嘆していたが、実際に他のギタリストと共に仕事をする機会を得て、遠くからの賛辞などでは気付くこともなかったのだが、真に輝くスターを発見した。

人は誰しもが違っているものだが、エイドリアン・ブリューこそは唯一無二だ。彼の近くにいたとしても、彼ほどに創造的でギター電子工学に卓越した人のことを私は知らない。

彼のソロを注意深く見て聴いては、驚きの余り笑ってしまうのだ。彼がオリジナルのボーカル録音をしてから40年以上経つというのに、彼の声は温かく軽快で、私の耳と心は悦びで満たされる。

そして楽曲そのものは、私とファンにとって、これらがいかに素晴らしいか表現する言葉がない。

エイドリアンはまた優れたギター仲間でアームを酷使し合うのも楽しい。そして彼即興のウィットに富んだユーモアのセンスに私は頭をのけぞらせて大笑いしてしまう程だ。

エイドリアンは私たちの忠実なリーダーであり、彼と共同プロデューサーのアンジェロがこの魅力的な冒険を実現した。

彼らに私の心からの感謝を送るとともに、この雄大なBEATツアーを稼働させている人々にも感謝を。

そして、この全てにおいて私が言うところの「ヴァイ・アドバンテージ」とは、ロバート・フリップ卿から私が受けた支援と知恵と導きだ。

ティーンの頃以前から、私は彼のファンだったものの、私の無知で未熟な耳では彼の作品の裏で実際に何が起きているのか知る由もなかった。しかし、ひとたび私が丹念に調べ、彼のギターパートを学び始めると、彼が規律、革新、創造的直観のモノリスであることがはっきりとわかった。

思うに、ロバート・フリップこそはプログレッシブ音楽の始祖なのだ。彼はそれを60年代後半に先導し、80年代に King Crimson でその音楽ジャンルを再構築したのだ。

私の直感では遠い未来において、ロバートの貢献は研究対象となり静かに賞賛されるだろう、しかしそれは偉大な貢献だ。

彼の音楽的発想とギターに対するユニークなアプローチによって、彼は音楽界における最も貴重で非凡な才能を持つ人物と言える。

彼の心を読み取り、難解なギターパートを限られた私の能力の範囲で習得する非常に困難な挑戦において、彼による万全の支援と極めて重要な指導を得たことは、この上ない光栄だと感じている。

そして、今回のツアー全てでファンが温かく迎えてくれたことに感謝したい。ライブではファンのサポートを感じたし、それこそが私にとって全てだ。

今回の挑戦において、楽曲の不可欠な要素がロバートのプレイスタイルであり、ファンに深く愛されていることから、それこそが1つ欠けていた要素だった。

ロバート卿の後任となるなどとは不可能なことだが、私の力の範囲で彼の優れた演奏を再現し称えることは、私にとってこの上ない充実感と満足感を得る旅路となった。

言い換えれば、私はとぉぉぉぉぉ~~~ってもこのギグを楽しんでいるよ!

 

 

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今回のツアーでヴァイ先生が主に弾いているPIAですが、パウダーブルーのPIAにハンドペイントを施した「Ivya」です。
20時間ほどかけて筆のおもむくままに作画したそうで、Ibanez が見事な仕上げのコーティングをしてくれたそう。
そして先生とは25年もの付き合いのあるファッションデザイナーのトニー・サルティーノさんが「Ivya」に描かれたパーツを再現して刺繍した黒いスーツを制作してくれたそうです。
このスーツもシャツもいかにも先生らしさがありますね!

 

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サミー・ヘイガー来日! The Best of All Worlds Tour @ Niterra日本特殊陶業市民会館 フォレストホール 2024.09.20 至福のVH祭り

本当にこのツアーが北米の短いツアーの後に日本にやってくるなんて奇跡!アメリカまで行かないと観れないと思っていました。まさか日本で、しかも名古屋で観れるとは。(感涙)

日本での初日となる名古屋はサミーにとっても相当に久しぶりの日本オーディエンスなので、どんなショウになるのか楽しみです。

メンバー登場前、ライブのイントロとして正面スクリーンに映し出されるサミーのキャリアからのスポットライトをまとめた動画が今夜の期待を高めます。

そしてメンバー登場。「ハロー、ベイビー!」のサミーの声と共にバンドがロックのお祭りをスタートします。それにしても何て元気で声が出ているんだ!サミー本当に76歳?

私の席からはマイクが近かったのですが、彼も70歳だというのに元気に跳ねて小走りしたりしている!

この会場は音がイマイチなことが多く、心配でしたが、今回はまあ合格レベル。私の席からはサミーの声と演奏は聴きやすく、マイクのベース音は少し大きめ。ケニーのドラムは音量的に良い感じで、サッチのギターは少し聴き辛く感じましたが、途中からかなり改善されました。

サッチのギターサウンドは3月に聴いたソロのときよりも少しウォームでクラシックなロックサウンドになっていると感じました。ソロのときの方が音粒までクリアで硬質な感じ。

そしてやはりさすがサッチは何を弾いても上手いし完璧。けれどソロ公演のときの寸分違わぬパーフェクトさと比較すると、レイドバックして仲間とのプレイを楽しんでいる感じ。"Runaround" ではギター弾きながらぐるぐる回って皆で遊んで楽しそう。 

「久しぶりだ、来てくれてありがとう。このまま一晩中いくぞ。俺は名古屋に4日くらいいて、クールな所に行ったし、バーにも全部行った。すっかりここが気に入ったから、皆も俺たちバンドを気に入ってくれると嬉しい。さあ次はジョー・サトリアーニにギターを弾いてもらおうか」

ロックなギターソロをイントロに始まったのは "There's Only One Way to Rock" そりゃあ盛り上がるよね。サミーは前方のオーディエンスにマイクを向けたり、アイコンタクトしたりと動き回って、年齢を感じさせない動き。さすがアメリカを代表するフロントマン。

「楽しんでるか!今夜は俺たちが好きなVHの曲をやる。次は全てのVH曲の中で俺のお気に入りの曲だ」

始まったイントロは "Panama"!かつて日本中のギター少年少女がこの曲の練習をしたのではないでしょうか、最高にカッコイイVH曲。

そしてアイコニックなこの曲のギターソロ、サッチはオリジナルのパートやサウンドを再現しつつも完コピではない絶妙の匙加減です。曲のコーラス部ではオーディエンスが歌って飛び跳ねる盛り上がり。

「ジョー、準備はいいか?次の曲はVHの中で最も難しい曲だ。まあ、ジョーには何てことないかもな、俺には大変だ」

"5150" にオーディエンスは歓喜。LPジャケットを持参してサミーに差し出すファンから受け取ると、サミーがサインを書いてあげていました。ファンサービスもとびきり!お手製のメッセージ付きフラッグを持参したファンからもフラッグを受け取りサインしてしばらくステージに飾ってくれたり。

何といっても、オジサマ達がそれは楽しそうに演奏して歌っているのが伝わります。西海岸の香り漂うとことんハッピーなヴァイブ。

「1985年に俺は呼ばれて5150スタジオに行った。そこで試しにエド、アル、マイクとプレイした。俺たちは話しながらビールを飲んでた。エドがギターを手に取ると、トランストレム(Trans-Trem)って見たことのないものがのってた。ジョーのようなギターに詳しい奴なら知ってるだろう。俺は初めて見たんだ。

(注:Steinberger社製のギターにかつて搭載されていたトレモロ・システムで、コードを弾いた状態でアーミングしても音程を維持できる機能と、アーム操作だけでチューニングを変更できる機能が特徴的。エディは "Summer Nights" で使用していた)

それで俺たちは曲を書いたんだ、『5150』アルバムに入ってる。それで俺たちはツアーに出たんだが、そのギターはどうにも安定しないんだ。俺のプレイは最悪だったよ。そうしたら今回その曲をできるかって訊くと、ジョーはあのギター(トランストレム付き)じゃなくても弾けるって言うんだ!」

"Summer Nights" をトランストレム無しでこともなげに弾くサッチがどんな凄いのか、私にはよくわからなかったのですが、詳しい方のお話では相当凄いようです。さすがプロフェッサー・サッチ。

「来月カボで俺の誕生パーティーをするんだ。まあ、毎日がパーティみたいなものだけどな、昨夜はバンドの皆で出かけて日本酒を2本空けたよ、最高だ。さあ、俺の相棒、マイケル・アンソニー!」

(注:昨夜は名古屋錦の和食料理店でディナーだった御一行、お店では一升瓶の日本酒を2本空けた模様。お店情報)

次はサミーの休憩タイムとなり、"Ain't Talkin' 'bout Love" ではマイクが中央でマイクを取り、シンガーに。

ベースは昔雑誌で見たあの Jack Daniel's 柄のアレです!このベース、ボディ上部に小さなボトルが2本収納できるスペースがあるんです!そこから1本取り出したマイクはボトルを加えて一気飲み。空のボトルをオーディエンスに投げていました。すげい…今でもこのノリ。

ヒット曲のオンパレードで盛り上がりは続く。しかし、本当にサミーはよくこれだけ歌えてると感心。"Top of the World" でもひとしきり盛り上がり、サミーがブレイクを入れると

「ナゴヤ、今夜は音楽のセレブレーションだ!久しぶりの日本をお祝いしよう、そして人生と音楽を祝おう!」

すると鍵盤のレイが Kool & The Gang の "Celebration" のサビを歌って、ドラム以外のメンバーがステージを同じステップで歩いて楽しいひとときとなりました。

再びサミーの休憩タイムとなり、私にとってはお楽しみの "Satch Boogie"がスタート。この曲を年に2回もライブで聴けるの嬉しすぎる。今回を機にサッチのソロ来日ツアーが実現しないかなぁ… Satch/Vai でもいいんやで。(熱望)

"Right Now" では後ろのスクリーンに「今」と出て、歌詞を訳しているのかと思ったら、「カボは良い天気」とか「今生まれる子供は100歳まで生きるかも」とか「ジョー・サトリアーニはエイリアンです」とかは一体何だったのだろう?(笑)

メンバー紹介でレイを紹介するとき、シドニー出身のレイについて:

「ここと時差がたった1時間だもんな、俺らにとっては1日半も違うのに(注:そんな訳ない)。今日はカリフォルニアにとっては明日だもんな」

ケニーについて:

「ジェイソン・ボーナムが家族の事情で英国に帰らなくてはならなかったとき、ケニーはたったの24時間前の頼みでやってきてくれた。彼がこのツアーを救ってくれたんだ。ケニーは Chickenfoot にもいたんだ、『Chickenfoot III』だよ」

(注:チャドがツアーに出れないときに、ケニーが代役で『Chickenfoot III』のツアーを行った)

これを聞いて、Chickenfoot をそろそろやってくれるのかなと心待ちにしましたが、実際には最後まで演奏されませんでした。バンドのメンバーが全員そろっているのになぜセトリから消えてしまったんだ~?北米ツアーでは1曲やっていたじゃないか~!(号泣)

"Mas Tequila" ではサミーが持ち込んだ自身のブランドのテキーラをボトルからプラスチック・カップに少しずつ注ぐとステージ端から端の前方のファンに手渡ししていました。これ、北米のツアーでやっているのを動画で見ていたので知っていましたけど、日本でもやるとは思わなかった。(笑)正に酒宴の様相に。

サッチはここまでずっとVH曲を自身のJSモデルで弾いていたのですが、サミー曲になってからフランケンで弾いていました。事情があるのかもですが、VH曲では弾かないのね…(苦笑)

「俺たちは他のバンドみたいに曲を終えてはけてから歓声で戻ってアンコールってことはしない。最後の曲を終えるまでどこにも行かない。まだ終わりじゃないぞ。

俺たちが日本に行くことが決まってから、あの曲をやって欲しいという声がいくつもあった。それらをやったら24曲になっちまう。

でもこの1曲をやらなきゃいけないと言われた。この曲はVHでもやっていなくて、まあ1度くらいやったかも知れないけど。3時間前に楽屋で君らのためにリハーサルした。失敗しても怒るなよ、俺は歌詞だって覚えていないんだ」

きました、"Can't Stop Lovin' You"!サビのメロディはレイが主旋律を歌っています。レイはマルチの大活躍。もちろんサビはオーディエンスも大合唱。

"Jump"、"When It's Love" と続いたVH曲で楽しいロックンロール・パーティは終演を迎えました。ちょうど2時間。2024年になって日本でたっぷりのVH曲をサミーで聴けるとは、感無量。

30年くらいタイムスリップして、あの頃の自分に戻ってライブを体験した余韻冷めやらぬ熱いオーディエンスの拍手は長く続く。

「君らのためにこの音楽に命を吹き込み続けたんだ、来てくれてありがとう」

メンバー全員でカーテンコールに応えた一行はステージを去っていきました。

楽しいライブでした。本当に日本に来てくれてありがとう。

北米ツアーのセトリと比べると "Can't Stop Lovin' You" が追加された一方で "Judgement Day" と "Oh Yeah" が消えていたのは個人的にとっても悲しいです。Chickenfoot!(まだ言う)

 

本日のセットリスト

01. Good Enough
02. Poundcake
03. Runaround
04. There's Only One Way to Rock
05. Panama
06. 5150
07. Summer Nights
08. Ain't Talkin' 'bout Love
09. Top of the World
10. Best of Both Worlds
11. Satch Boogie
12. The Seventh Seal
13. Right Now
14. Why Can't This Be Love
15. Eagles Fly
16. Mas Tequila
17. Heavy Metal
18. I Can't Drive 55
19. Can't Stop Lovin' You
20. Jump
21. When It's Love

 

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King Crimson を演奏する BEAT ツアーがスタート!

ヴァイ先生が、エイドリアン・ブリュートニー・レヴィン、ダニー・ケアリーと組んだ BEAT ツアーが遂に9月12日、カリフォルニア州サンノゼからスタートしました!

 

 

 

いやー、先生がバンドの一員としてフロントマンの横で弾いているのを見るのって何十年ぶりでしょうか。それにしても個々の演奏力やパフォーマンスの変態度が高い。

ファン撮影の動画を見たところ、King Crimson をプレイする先生は新鮮でしたが、それでもご自身の音とプレイを随所で聴かせてくれて鳥肌が立ちました。

 

黒いつば広の帽子を被ったサングラス姿の先生って2013年の The Story of Light ツアーを思い出しますね。

動画では画像が粗いのですが、観察したところ、先生が今回使用したギターは、自身でペイントした新作のPIAで、多くの曲で弾いていました。途中でナチュラルフィニッシュな木目のJEMも登場。"Matte Kudasai" ではストラト風味の黒ボディJEMも。

あと、先生のギター写真集『Wire and Wood』のウルトラ・エディションに付属する限定のホワイト・フローラルJEMはBEATツアーで使用の予定ですが、初日には使用したのかな?

 

私は King Crimson に疎くて、その音楽をほぼ知らないのですが、今回の動画を見て、ヴァイ先生のギターと親和性が高いことに驚きました。ヴァイ節そのままでこの音楽にとてもフィットしている!

来年にでも日本に来てくれると嬉しいな。

 

 

9月12日 セットリスト

Set 1:

01. Neurotica
02. Neal and Jack and Me
03. Heartbeat
04. Sartori in Tangier
05. Dig Me
06. Model Man
07. Man With an Open Heart
08. Industry
09. Larks' Tongues in Aspic (Part III)

Set 2:

10. Waiting Man
11. The Sheltering Sky
12. Sleepless
13. Frame by Frame
14. Matte Kudasai
15. Elephant Talk
16. Three of a Perfect Pair
17. Indiscipline

Encore:

18. Red
19. Thela Hun Ginjeet

 

 

初日の公演を終えて、先生がインスタグラムを更新していましたので、以下に和訳してみました。


「5ヵ月に及ぶ熱烈な準備を経て、私はこのツアーに準備万端となったのだが、昨夜のサンノゼでの初日を終えて大きな安堵と喜びに包まれた。

ツアー初日とは試練となるものだ。精魂尽き果てる程にリハーサルに取り組んでも、ひとたびステージに上がり、照明が消えれば、そこには期待に満ちた観客がいて、リハーサルでの準備は白紙となる。

しかし、バンドは仕事を果たし、良い初日を終えて皆が安堵した。

私は自分のバンドを率いて35年になるのだが、BEATのステージでは我がブラザーであるフロントマン、エイドリアン・ブリューの指揮の元にとても心地よい場所を得ている。

この歴史ある音楽を情熱的なファン層に向けて演奏するのはとても楽しい。オーディエンスがこの音楽に心からの献身を示すのを発見し、バンドの皆が固いサポートを感じた。

これほどに熟練し才能に満ちたバンド仲間とステージに立つこのツアーの続きを心から楽しみにしている。共にすごして楽しい類まれな人たちであることは言うまでもない。

サンノゼのオーディエンスにはこの初演を素晴らしく楽しい経験にしてくれたお礼を心から伝えたい」

 



 

 

ジョー・サトリアーニ 「エディの物真似はしない。敬意を持ったオマージュであること。楽曲の意図を正しく理解して祝福する」

サミー・ヘイガーと The Best of All Worlds 2024 Tour 中のサッチがエディ・トランク氏のPodcastに登場しました。ツアー開始後にサッチがインタビューに応えるのは初めてですので、ツアーの話が聞けそうです。

 

エディさんは来月日本にやってくる彼らのツアーに同行するそうで、初の日本に興奮している様子。

以下、エディさんとサッチの会話の概要をまとめてみました。

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ツアーが始まって調子はどうだい?

興奮しているよ。このバンドで私が勤める役割について、複雑な心境があるから言葉にするのは難しいのだけど、とにかくこのショウは素晴らしいセットリストをプレイする楽しいロックンロール・ショウなんだ。

素晴らしい音楽を祝福しているし、長年の友人とプレイするのは楽しい。一方で私はエディの大ファンでもあるから、責任重大な役割でもある。彼の音楽に敬意を払い、彼が創造した楽曲の精神を真っ当に再現しなくては。

君らがツアーの前、リハーサルもしていないときにハワードの番組や私の番組でプレイしたけれど、(そういう状況も理解せず)今はネットで誰もが批判する時代だから、それがツアーの準備をする上で大きなプレッシャーになったのかな?

サミーから電話があってツアーに同意したとき、彼から実は1週間後にこの番組出演があるという話を聞いた。私には全くの準備不足になることはわかっていたのだけど、サミーはスポットライトを浴びるタイミングに関して優れた勘を持っているからそれを信じることにしたんだ。

あの番組では壮大な失敗をしてしまったけれど、大いに学んだことがある。正しいフィンガリングやピッキングやギターやアンプよりも曲のエッセンスを正しくとらえることが重要ということだ。それで、エディのアレンジを深く学ぶことにした。

そして更に Van Halen が創造したもの、譜面には書き留めることができないライブの魔法とも言うべきものを捉えたい。ロックンロールのマジックだよ、エディがステージに上がってはオーディエンスと作り出したものだ。

あの失敗から学んで、今は自信を持ってステージに上がることができる。 Van Halen や Montrose を正当にプレイできると。Chickenfoot の曲にしてもね、今は2024年なんだから、新たにそして本物のライブとして素晴らしいバンドとプレイしているよ。

ああ、今では君たちのライブを観た人たちの誰もが「サトリアーニは素晴らしい、完璧にモノにしている!何て楽しいショウだ」と言ってくるんだ。

でも君のこれまでのキャリアはソロアーティストとしてのもので、今のような状況だったのは Deep Purple での短い代役だけだったのではないかな?だから、あの番組出演以降にどうやって準備したんだい?

できること全てをやったよ。ギターのセットアップを変更し、アンプについては 3rd Power のディラナ・スコットの力を借りた。サウンドとしては1986年の『Live Without a Net』を更に味のあるものにしたかった。素晴らしいエンジニアのお陰でTHE DRAGON アンプが出来上がったのさ。

それから、Van Halen のギターパートを演奏してオンラインに動画を上げている数多くのギタープレイヤーの献身がなくては私にはできなかったよ。オンラインで20通りの "Good Enough", "Poundcake", "Judgement Day" なんかの細かなプレイを観た。幾人かのプレイヤーは完璧に近くて衝撃を受けたよ。

私は長いことジョー・サトリアーニでしかなかったから、他人のサウンドを考えることはなかった。でも私は正当なプレイがしたかったから、エディを含めて多くの人のプレイを研究して、多くを吸収したんだ。だから、沢山のギタープレイヤーに対して動画を上げてくれたことに心からお礼を言いたい。

それは驚いたな。あらゆる Van Halen の音源や動画などを当たるだけでなく、君は他のプレイヤーが弾いたものも参考にしたということかい?エディだけでなく、他人のプレイを研究するのはなぜだい?

聞いた話によると、エディとアレックスの兄弟で数週ジャムをして曲の形を作り、他のメンバーが入ってレコーディングして、その後ツアーに出たということだった。つまり、レコード音源は兄弟のジャムの集大成であって、一度ツアーに出ると、創造性溢れるエディは毎回違うプレイをしたんだ。

だから私はあらゆるバージョンを受け入れたいと思った。それにエディと異なる手を持つ他のギタープレイヤーたちがどうプレイするのか見たかった。ギターの持ち方、ピックの持ち方、ピッキングの仕方は人それぞれ違うからね。それらすべての違いが、正しいヴァイブ、リズム、トーンの形成に関わってくる。

そしてアンプ!エディが80年代中頃に使っていたリグの写真があるのだけど、彼が個性的なサウンドを作り上げるうえで如何に才能があったのかがわかる。そしてこれは大胆な発言かも知れないけれど、私たちが聴くエディのサウンドの半分は彼の手からきているのだと思う。

なぜなら数十年にわたって彼のリグは変化していったけれど、熱量、スナップ、攻撃的でありながら美しいサウンドは変わらなかった。つまり、全ては彼の手にあるんだ。

だから、たとえエディの使ったリグを手に入れたとしても、彼のサウンドには到達できないんだ。彼の手がなくては無理なんだ。それくらい彼は特別でユニークなんだよ。

staytogether.hateblo.jp

誰にしても、Van Halenコピーバンドにしてもオーディエンスの前であれを再現するのは無理なんだ。

でも思うに、物真似をするのではなく、彼らの曲を健全な自分の個性をもって演奏することをエディは肯定するだろう。だから物真似はしない。敬意を持ったオマージュであること。楽曲を学び、その意図を理解して祝福すること。

なるほど、そうすると例えばギターソロについては、オーディエンスが記憶しているようにプレイするのかい、それとも少々のサトリアーニ味を付けるのかな?

いい質問だね。ミック・ジャガーDeep Purple とのギグでも学んだことは自分自身でいることだ。キース・リチャーズリッチー・ブラックモアのアイコニックなソロがある。でもソロすべてを覚えてそのとおりプレイしないことだ。彼ら自身が毎回同じプレイはしない。

でもファンにしてみると、記憶のとおりのソロが聴きたいと思うものさ。曲によってはできる限り本人のプレイに近いプレイがしたいと思うし、別の曲ではそうでないものもある。

"Panama" には特定のフックがあるから、できる限り近いプレイをしているよ。"5150" はオープンなところがあるから自由にプレイできる。それは彼らのライブクリップからわかったよ、クレイジーな曲だ。まるでハーフタイムのレゲエ・ジャムみたいでね。

セットリストが完成していく過程でどうやるかを話し合った結果、大部分はアルバムに近くタイトに仕上げた。その中でフレーズの頭と終わりをオリジナルに近くして、間を全てエディへのトリビュートにしたり。そういうアプローチも何曲かでした。

"The Seventh Seal" はできる限りエディのプレイに近づけた。この曲は余りに美しく完成されたギター構築物だからね。

選曲について君から提案したことはあったのかい?

いや、私は今年ずっと忙しかったから。それにサミーから渡される大量の候補曲の準備で一杯だったよ。"Judgement Day" をできるかと彼に訊かれたときは、大好きな曲だから喜んだよ。これを聴いているギタープレイヤーなら賛成すると思うけど、この曲はエディが天才だという証拠だ。

サミーが挙げる曲はどれも素晴らしいよ。数曲はメドレー形式になったけど、それをやらないと Van Halen 度が落ちてしまうからね。サミーの勘はいつも正しいんだ。

今はセットリストに入っていないけれど、入れたい曲はある?

"Oh Yeah" が入ったのは良かったよ。(サミーが日本でプレイしようという) "Can't Stop Lovin' You" については問題があって、この曲でのエディはスーパークリーンなサウンドなんだ。時間をもらって私のテックと方法を考えるよ。この曲のサウンドの為に別のアンプが必要だ。エディの美しいクリーンなサウンドを再現する方法を全力で探してみるよ。

マイクやサミーはエディのパートを弾くについて助けになる話をしてくれたのかい?

ああ、色々とても参考になったよ。でも彼らはエディのことを教えてくれる一方で私に自由な余白をくれたんだ。彼らと私の目指す方向が同じで良かったと思う。オリジナルに近づける一方で現在のオーディエンスに向けて新鮮で新たなものにするという考えだ。

その1つがキーボードのレイを入れるということだ。サムからこのツアーの話を聞いたとき、最初にサミーに頼んだのは人間のキーボードプレイヤーを入れることだった。レイはキーボードとギターとボーカルができる理想的な人物で私のツアーでも一緒にやった。彼も私と同様にエディのプレイを鍵盤で学んで衝撃を受けただろうね。

これは私の好奇心なんだけど、Van Halen のトリビュートの話では少し前にアレックスから出たときもギタリストは君の名前だった。それはなぜだろう?

私にもわからない。私はアレックスにもデイヴにも質問したんだ。私はエディのファンだし、抗えない魅力的な話だったから承諾はしたのだけど。

staytogether.hateblo.jp

何にしろ、どうしても実現しなかった Van Halen のトリビュートが実現したことはファンにとっても本当に良かったよ。

プロらしくない発言だけれど、このツアーでステージに上がる私は地下室でギターを弾いている14歳の子供のように、エディの書いた楽曲のパートを演奏することに大きな興奮を感じているんだ。

ちょっとしたハーモニクスだったり、グルーヴの中でのコードなんかにギタリストの視点でワクワクするものがある。曲には自由度の高いものから、完成されたものまであるし、毎晩すべてを楽しんでいるよ。

このツアーは好評だから、もっとツアーが拡大するのでは?

ああ、そうなれば良いと思っている。

君たちの日本ツアーに同行することになったんだ。凄く興奮しているよ。君の予定でリスナーに伝えたいことはあるかな?

今年のG3ツアーの録音やドキュメンタリーは予定通りに編集の段階にある。それから来年の夏には Satch/Vai のニューアルバムのリリース後に欧州をツアーしたいと思っている。

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最後辺りでサッチが日本初訪問になるエディさんからアドバイスを求められて、礼儀正しくすることや日本語を教えていました(笑)「アリガトウゴザイマス」

来月には彼らがやってきます!