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Green (@ribbon_bear) が毎週好きな音楽ネタを語ります! Since 2011

注目女性ギタリスト ラリ・バシリオ & ニーリー・ブロッシュ

近年は才能豊かな女性ギタリストが世界のあちこちで頭角を現してきています。ロック・ギター界では、アリス・クーパーのバンドに加入し、昨年初のソロアルバムをリリースし、ギター雑誌の表紙になるなど、ニタ・ストラウス(Nita Strauss)の躍進が華々しかったですが、それに続けとばかりに注目株が新作をリリース。

私が今注目しているのが、ラリ・バシリオ(Lari Basilio)と ニーリー・ブロッシュ(Nili Brosh)

 

ラリ・バシリオ Lari Basilio

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ラリは8月末にニューアルバム『Far More』をリリースしました。これが彼女の初フルレングス・アルバム。何が凄いって超強力なスタジオ・ミュージシャンを起用しています。ヴィニー・カリウタ、ネイザン・イースグレッグ・フィリンゲインズ。リズム隊凄いですねぇ。

1stシングルの "Not Alone" はメロディックなバラードで、トーンやニュアンスが素晴らしく、今お気に入りの1曲です。

彼女のギターヒーローアンディ・ティモンズだそう!アンディのプレイに刺激を受けたことがギター道を邁進した理由の1つのようです。 "Not Alone" でのトーンやニュアンスはなるほど、アンディの影響では。

『Far More』からもう1曲、アップテンポなロック曲 "Glimpse of Light" は何とゲストにジョー・サトリアーニを迎えて。中盤で登場するサッチのソロパートはこれぞサッチの痛快プレイ。

ゲストにサッチを迎えられたのは今年の G4 Experience にラリが講師として参加したからなんでしょうね。G4に女性の講師は彼女が初めてだったと思います。サッチに認められなければ参加などできないと思うので、これは人脈的にもビッグな1歩でしょう。サッチは彼女の新譜を積極的にSNSで宣伝してくれていますから、サッチのバックアップを得られて彼女もかなり嬉しそう。

ブラジル出身の彼女は現在はLA在住だそうで、今年の秋冬には欧州でのギタークリニック・ツアーがあるようです。Suhr のテレキャスター使いが印象的。2017年の Malib Guitar Festival ではスティーブ・ヴァイとの共演も果たしました。(ビデオはこちら)再生50分辺りでヴァイ先生、ダニエレ・ゴッタルド、Zepparella のグレッチェン・メンらでジャムしています。このビデオには注目の若手ギタリストが3人も集合していますね。

なんとラリの来日が決まりました!マスタークラス&ソロ・ライブが行われるとのこと!

laritokyo.peatix.com

 

ニーリー・ブロッシュ Nili Brosh

昨年はラスベガスでシルク・ドゥ・ソレイユマイケル・ジャクソンをテーマにしたショウ "One" でギターを弾いていたニーリー。このショウをやることで彼女はパフォーマーとして大きく成長したに違いありません。ちなみにこのショウの準備期間に彼女はグレッグ・ハウについて学んでいました。

彼女は現在3rdアルバム『Spectrum』制作中で、先日はシングル "Primal Feels" が公開されました。華麗なギターテクニックを活かしたクールなロック曲で、ダンサー達とのパフォーマンスにはシルクの影響が見てとれます。

ニーリーのデビューアルバム『Through The Looking' Glass』にはアンディ・ティモンズがゲスト参加、2nd アルバム『A Matter Of Perception』にはブライアン・ベラー、スチュ・ハム、ヴァージル・ドナティ、マルコ・ミネマンら凄腕ミュージシャンが参加していたので、3作目に誰が参加しているのかも楽しみ。彼女はバークリーの人脈もありそう。

トニー・マカパインのバンドでトニーと息の合ったプレイをみせていた彼女は、7弦テクニカル系のイメージが強いけれど、アンディ・ティモンズの大ファンでもあります。(彼女の自宅デスク上の棚にはアンディのサイン入りCDが飾ってあったりします)

今年1月のNAMMではIbanez 繋がりでしょうか、アンディ・ティモンズ&ポール・ギルバートとの共演もありました。(ビデオはこちら
テクニカルなおじ様世代のスーパーギタリストたちに可愛がられるニーリーの今後も楽しみです。

 

スティーブ・ヴァイ Part 2 「トーンの質はプレイヤーの頭の中で聴こえている音で決まる」

先週に続きスティーブ・ヴァイライブチャットの要約です。ギア関連トークたっぷりで、細かいことまで覚えていないヴァイ先生はメーカー名を訊いたりするため、何度かギターテクのトーマスに電話していました。ギターファンにはかなり興味深い話が聞けます。

終盤にはギタープレイヤーの為にヴァイ先生が深いお話をしてくれています。

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JEMにしてあるちょっとした工夫

  • これはトーマスのスペシャルなんだ。ヘッド裏に磁石を貼って、レンチを付けてある。トーマスはこういうちょっとした工夫を思い付く天才なんだよ。私はいろいろと調整をするので、すぐにレンチが取り出せないといけないんだ。これを見ているギター職人がいたら、どうかアーム付きのギターで調整にこういう道具が要らないものを作ってくれ。レンチとかこういう道具が必要だなんて時代遅れだよ。君らならできる!
  • そうそう、もうじき Ibanez から素敵なサプライズがあるんだよ。楽しみにしてくれ。
  • ヘッド下のマジックテープで付けるピック入れとマジックテープ開閉式バックパネルもトーマスのスペシャルだ。バックパネルをいちいちネジで開閉するだなんて理解できない。簡単に開閉できるべきだ。
  • Graph Tech の Ratio チューナー (ペグを巻く感覚とピッチの感覚が対応するチューナー、先生が見せたのはピン止めタイプか?)が白JEMに搭載してある。普通はペグを巻いてもチューニングが動かない"遊び"の部分があるだろう、これにはそれがない。動かせばその分チューニングできるんだ。実に素晴らしいよ。
  • 完璧なロックング・トレモロはまだ発明されていない。フローティング・トレモロのチューニングは難しいが、トレモロセッターがそれを8割軽減してくれる。(バックパネルを開いて指し示して)ここのトレモロブロックがこのストッパーに接しているのをショウの前には確認する。このブロックの改良版が創られているんだよね?私はまだ試したことはないのだが。(サステインの向上、トーンを厚くするために素材を変えた新製品が出ているとデイヴ氏が補足)
  • 実はこれが役に立つんだ。(バックパネルを開けてティッシュをとりだす)スプリングの上にティッシュを置くのさ。これは保証しよう、こうしてティッシュをスプリングの上に置くことで、ブリッジ自体の材質が何かということよりもずっと確実にサウンドに対する効果があるんだ。なぜなら、このスプリングが動くとき、PUはその音も拾ってしまうんだ。それはコードを弾くときにも単音を弾くときにも起こる。こうしてティッシュを載せてバックパネルを閉じておけば、驚くほどにサウンドが締まるんだよ。

トーンに大きく影響するもの

トーンを形作るのには多くの要素が関連している。この数十年でギターの部品は大きく進歩してきた。ナットは変わったし、フレットも、PU自体やマウントの仕方、ギター塗装のカラーまで。それにテイルピース・ブロックも。でも私に言わせればどれもサウンドへの影響はマイナーな変化だ。

最もサウンドを大きく変えるのは演奏する会場だ。ステージの床材が全てを変える。会場の壁の材質や仕上げがグロスなのかとか、客席が布製か、床はカーペットか木製か、そういったことがサウンドに大きな影響を与えるんだ。ツアー先ではこれらの可変要素でサウンドが違ってしまう。

会場によって変わってしまうんだから、私のアドバイスはこうだ。自分のサウンドが素晴らしいのだと信じること。そうすることで不安感が消えると、自分のサウンドが気に入るようになる。国が違えば電圧も違ってくる。しかし、私が Carvin アンプを好きな理由がここにあって、何故か彼らのアンプは常に一貫したパフォーマンスなんだ。そして私の EVO や FLO を手に取ればそのトーンは想像できる。他の可変要素は受け入れるんだ。そうでなければ自分の気分に影響してしまう。

DLRバンドのリユニオンについて

分からない。今の私は自分の直感に基づいて行動している。以前デイヴも含めて皆が集まった時には素晴らしい時をすごした。けれど今はタイミングを逃してしまったように感じる。もちろん先のことは分からないし、私たちは連絡もとっているけれど、今は皆が忙しい。私は(リユニオンよりも)自分の頭の中にある音楽をアウトプットすることに集中している。

次のVAIアカデミー

次回はエリック(ジョンソン)に登場してもらおうと真剣に考えている。彼は実に素晴らしいプレイヤーだし、人柄もいい。前回参加してもらったときも好評だった。誰か他に提案はあるかな?エリック・ゲイルか、彼は素晴らしいね。彼のビデオを最近観たよ。彼は(音楽との)一体感が凄いし、活力にあふれている。

ギタープレイヤーにトーンについての教え

究極のところ、トーンはプレイヤーの手に宿るものだ。そしてアンプから発する。トーンの質はプレイヤーの頭の中で聴こえている音で決まる。例えば、ここでギターを手に取って弾くとしよう。その音がどうかということは耳で聴いているのではなく実は頭の中の音を聴いているんだ。そういう場合には多くの知的なタイプのプレイを思い付く。

メロディの質と同様にトーンの質は頭の中で聴こえている音に基づくのだ。だから、トーンを改善したければ、頭の中でどんなトーンを欲しているのかを聴かなくてはならない。単にプラグインして弾いてこれはいいとか悪いと感じているよりも、自分が探しているトーンがわかっていれば、それに役立つ道具についても自然と視界に入るだろう。

しかし、本質的なトーンの質というのはアンプがクリーンかどうか、どんなPUを使うか、セットアップがどうかということよりも、頭の中で聴こえるトーンを得るよう弦を弾こうとすることにある。頭の中の音に繋がった感覚で弦を弾くということだ。

これには多くの可変要素がある:ピッキングの場所や角度や強さや押さえ方。しかし、これら全ての事はプレイヤーの心的状況を表しているのだよ。怖れや不安など自分自身の心の状態、その姿勢が音に現れるのだ。そこに立ち戻って改善するのだ。それが私に言えることだ。

現在の自分にはあと少し届かないことを達成できる自分を想像してみるのだ。そうすればやがて自然に君の手が必要な位置を探り出し、指が動きだすだろう、私もまだそうして努力しているところだ。自分でトーンの上達を願う限り、それは可能なのだよ。

過去の偉大なプレイヤーが歳をとり、魔法的な感覚を失ってトーンが悪くなることがある。私も自分自身で経験済みだ。トーンへの集中力が欠けること、いやそれよりも常に成長し続けようという熱意が欠けることが原因だ。それは起こりえる。考えるとワクワクするようなメロディやトーン、ギグなどのアイデアを頭の中で思い浮かべること。それを実験するのだ。どうやって実現するのかということは考えなくていい。ただそういうアイデア自分のゴールを思い浮かべるのだ。それを持ち続けること。それに必要な要素は実は常にあるのだ。でも前向きな気運を持っていなければそこにアクセスすることができない。

さて、私は機材について話すのは好きだが、オタクではないんだ。楽譜やオーケストレイションについては完全にオタクなんだけどね。アンプやプリアンプ等、物質的な機材についての研究というのはそれなりの意味があるし、ワクワクして面白い。しかし、想像力についてもっと焦点を当てるべきだ。

自分の目指すものを心に想い描くこと、それを達成したとしたらどんな感じなのか、それを想像するんだ。でもそれは幻想やエゴに基づいたアイデアであってはならない。これらはいとも簡単に真の創造的アイデアを装うことがある。それらは頭の中で違う音がするんだ。

「こうでなければならない」というように切迫感を持っている。「有名になるまで、成功するまで」満足しないといったことだ。それは考え方として真逆になってしまっている。自分の状況に満足していれば、周りの事全てを良いと感じるだろう。そういう時には、上達することが喜びになるんだ。

自分を刺激するアイデアを追求するという本能に従うことはエゴとは正反対のことだ。その状態であるとき、君の元へやってくるものを感謝の気持ちで迎えられるだろう。前向きで感謝の姿勢を持って創作活動ができるんだ。その時にこそ、最高のアイデアが生まれるんだ。私はそう信じているよ。

スティーブ・ヴァイ Part 1「私のシグネチャーモデルを創ったよ、グリーンなんだ」

スティーブ・ヴァイが8月26日(現地時間)に Tone-Talkライブチャットに登場しました。なんと2時間半近くギア及び思い出話等、沢山語ってくれました。ヴァイ先生は始終ご機嫌で、司会者が時間の心配をしても大丈夫と、様々なギタートークで盛り上がっていました。あまりに長いので、そのトークの一部をPart 1と2に和訳してまとめてみました。今週はPart 1です。

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Generation Axe で演奏した "Bohemian Rhapsody" 裏話

あの曲を5人で演奏するのは実に練習と規律が必要だったよ。全員にフレディのボーカルパートを分けたんだ。あれを5人のパワフルなギターでプレイするには全員がお互いの音に繋がっていなくてはならない。つまり、各自のレーダーは完全に他メンバーのしていることに同調していなくてはならない。まるでテレパシーが通じているようにね。

そして我々は非常に繊細なことにも気を配らなくてはいけない。ヴィブラートは無しだとか。世界一ワイルドなヴィブラート使いのザックや、名手のイングヴェイに対してヴィブラートは無しと言わねばならない。「この音はこうなんだ、PUはこっちを使って、ボリュームを落としてくれ」というように。最初の音と最後の音は全員が完全に合っていなくてはならない。

フレディ・マーキュリーがスタジオで自分のボーカルをオーバダブしていたとき、彼は天才だからあれは自然に出てきたんだ。それを5人のギターでやるためには、言わば呼吸も統一しなくてはならない程なんだ。私が少し動くことが演奏開始の合図になっていた。結果として素晴らしい演奏になったよ。

YouTube にも出ているけれど、実際はあんなモノじゃない、私のところにはライブのレコーディング音源がある。残念ながらリリースしたばかりのライブアルバムには収録されていないんだ、あれはアジアツアーからの録音だからね。でも私の戸棚にはあるから、近いうちに私がたっぷりとミックス作業をしよう。

Synergy アンプについて

Synergy アンプに出会ったときに、これは画期的だと思ったよ。私だけがそう感じたのかはわからないが、これまでよく秘密が保たれていたものだ。このシステムは実に機能的だ。例えば、君がギタープレイヤーなら、アンプを用意して、スイッチングシステムを準備して、それら全てを持ってツアーに出なくてはならない。ライブ会場ではPAシステムの最適なバランスを見極めなくてはならず、異なるマイクをそれぞれのアンプ(スピーカー)に取り付けなくてはならない。全く実用的じゃない。

私は多くても2台のアンプでツアーする。輸送面でもそれが賢明だし、トーンの一貫性を考えてもそうだ。でも2チャンネルのアンプ1台で沢山のアンプを使えたらどうだろう。アンプにはプリアンプ・セクションとパワーアンプ・セクションがあるがプリアンプ・セクションから殆どのサウンドがくる。ディストーションやEQのフレイバーもだ。アンプ製造会社はこの部分の開発に心血を注いでいる。

(アンプ製造をしている画面右側のデイヴ氏が補足:近年のアンプのサウンドはプリアンプ・セクションからきている。ヴィンテージ・アンプはパワー管のゲインによるサチュレーションが影響する。最近のハイゲインのものは殆どプリアンプでサウンドが決まり、パワーアンプを介さないことも)

この会社はブティック・アンプのメーカーからプリアンプ・セクションのライセンスを受けることでモジュールを創っているんだよ。これはモデリングじゃないんだ。真空管を使ったプリアンプなんだよ。私のアンプを実際に見せよう。このラックには6つの Synergy プリアンプが入っている。それぞれが2チャンネルで、Fractal(エフェクトのみで使用)に繋がり、そしてパワーアンプに繋がっている。ステレオ・セットアップになっていて、様々なアンプのサウンドが一瞬で手に入るんだ。私のシグネチャーモデルを創ったよ、グリーンなんだ。一般発売日については知らないのだが、間もなくだろう。

DLRバンドのマジソンスクエア公演でのハプニング

楽屋で凄く緊張していた。子供の頃に何度かそこに行ったことはあったけれど、自分がそこでステージに立つだなんて夢の世界のことだった。緊張しながらウォーミングアップしたり、弦を伸ばしたり、アームを動かしたりしていたんだ。

ところがトレモロユニットからアームを外してしまったんだよ。ギターからテールピースが飛び出してしまった格好で、自分でも何が起こったのかわからなかったよ。ステージのライトが点いて正にショウが始まろうとしたときだ、私はデイヴを見つめて声も出なかった。そうしたらライトが消えたんだ。(笑)パニックだよ。当時はバックアップに本物のJEMギター(ジョー・ディスパーグニー氏制作のパフォーマンス・ギター)を3本用意していたのでそれを使った。

世界一ラウドなギターアンプ

世界一ラウドなギターアンプはDLRツアーの私のアンプだよ。デイヴがギターの音が十分にデカくないと思っていてね、キャビネット6個プラス6~8個がステージ両側後方にあった。さらにステージの両端にもキャビネットが並んでいた。ステージ下にもモニターがあった。凄い音だったよ。当時の私のセットアップは、ギターからエフェクター、それから Bradshaw のスイッチングシステム、そこからラックへ行ってパワーアンプを通じてステージ周囲のスピーカーだ。何しろトレーラー11台分の機材を運んでいたツアーだったから。大量の照明機材設備でギネスブックの記録にも載ったくらいなんだ。

ある日、ジョー・サトリアーニサウンドチェックに招待したんだ。彼がステージに立ったときには機材がオフになっていたから、何の音もしなかった。そんな彼の意表を突いて私がギターコードを鳴らしたら、どうなるかわかるだろう?可愛そうなジョーは3フィートほど飛び上がっていたよ。(大笑)

ある日私は耳栓をするのを忘れてしまったんだ。それでステージに出てしまったら、余りの音量に肘を耳に突っ込みたくなるくらいだったよ。それなのにデイヴは耳の保護を何もしていなかった。どうして彼が平気だったのか不思議だけれど、きっとロックンロールの力だね。

"Tobacco Road" 秘話

Eat 'Em And Smile アルバムでデイヴが "Tobacco Road" と言った直後にギターで dive bomb をやっているのが、"Tobacco" と言っているように聞こえるのは今でも驚きを持って覚えていることだ。最近も息子にこの話をしたのだけど、どうして起こったのか分からないんだ。

dive bomb は意図してやったのだけど、あのときPUの磁力で弦が引き込まれ、外れるときにああいう音が出たのだろう。ギターが「タ-バッコ」って言ってるみたいだからね。実際にあれを再現する方法を考えたくらいだ。アームダウンして弦がPUにぎりぎりまで近づいたところで適切な個所をタップすると「バッコ」という音がするんだ。(ギターを出して説明)

ヴァン・ヘイレンの曲をどう学んだのか

もちろん練習はするが、エドワードの音は出せない。あれは彼独自のものだ。例えば "Hot For Teacher" のソロで彼と全く同じことをするのは気が進まなかった。まずはしっかり聞いてパートを練習する。エドワードのような素晴らしいトーンを持つ者のパートを学ぶのは自分のプレイの為にもなる。

しかし実際にプレイするときには、自分のヒネリを入れない訳にはいかなかった。私にはモノマネと音楽的な自分らしさを残す微妙な境界線がわかっていたんだ。だから私は後者を選んだ。私がステージでコピーを演奏することに意味は無いだろう。Alcatrazz でイングヴェイのコピーをするとか、Whitesnake でサイクスのコピーをするとか。

もちろん彼らのプレイを学ぶけれど、私には彼らのプレイはできない。でもなぜ彼らのプレイをする必要がある?誰かと同じ音を出そうとすることは、第一に自分自身を欺く行為だ。自分のユニークな潜在力を否定してしまう。

ギターの行方

Crossroads で使ったパールレッドの Jackson === 博物館に展示
Universe のプロトタイプ === エンジニアにあげたら、彼がそれを人に売った。そこから買い戻そうとしたら凄い値段だった。
ハート型トリプルネック === 3本のうち1本は Hard Rock Cafe、もう1本は自宅、もう1本はチャリティの福引で当てたアイルランドの少年。彼は1ドルで手に入れた。

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Part 2に続く

スティーブ・ヴァイ 『Slip of the Tongue』発売30周年によせて

スティーブ・ヴァイが8月21日、『 Slip of the Tongue 』発売30周年によせてコメントをSNSに投稿しました。ヴァイ先生のキャリアの中で、これまであまり発言してこなかった Whitesnake 時代をこれほど温かい言葉で振り返ったのは初めてかも。素敵なお言葉だったので、以下和訳してみました。

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11月18日は Whitesnake の『 Slip of the Tongue 』発売30周年の記念日で、これを記念して Rhino Records は10月4日に30周年リマスター・ボックスを発売する。

これは私にとって特別なアルバムだ。デヴィッド・カヴァーデイルとの共作は完璧なタイミングで実現した。私は世界有数の優れたロックシンガーの舵取りのもと(デヴィッド・カヴァーデイルは今も強力だ)素晴らしい人たちと世界をツアーし、1晩に何千人もの人々にギターをプレイした。荘厳な経験で、これは私が常々願ってきた夢の1つが叶ったのだった。

ルディ・サーゾ、エイドリアン・ヴァンデンヴァーグ、トミー・アルドリッジとデヴィッド・カヴァーデイルには心から感謝している。彼らは私の友人であるだけでなく、私の教師でもあったのだ。しかし私がこれに気付いたのは随分と後になってからだった。我々は他の優れた才能を持つ人々と共に集い、この素晴らしいアルバムを創り、ツアーした。この大きな節目に、当時のスネイクたち全てにお祝いを言おう。

それから、ちょっとしたギターのトリビアを教えよう。このアルバムはプロトタイプの7弦 Universe ギターでの初レコーディングで、当時の私はこれを Ibanez と共同開発していた。このアルバムではそのギターを文字通り全曲で使っている。実に優れた低音域の層が加えられ、それは当時ユニークだった。

同時に、故人となった素晴らしきハワード・カウフマンにも感謝を述べたい。ハワードは Whitesnake のマネージャーだった人物で、80年代の最大規模の公演をいくつも運営した。彼は至高の人で、顧客にも音楽コミュニティ全体からも深く愛された人だった。彼の知人か仕事をしたことのある人に尋ねれば、誰もが顔を笑顔で輝かせ、彼の温かく前向きなエネルギーについてお気に入りの思い出を語りだす。彼はそういう人物なのだ。

ハワード、君にも『Slip of the Tongue』30周年おめでとう!

スネーク・ヴァイ

 

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素晴らしいですねぇ。署名がスネーク・ヴァイになっている程、過去の仕事も思い出も先生の中でポジティブなものに昇華しているということ。

Whitesnake 時代のことを語ったインタビューでは過去記事の「あのバンドで問題があるとすれば、それは私だった」がおススメ。これを読んでから今回のメッセージを読むとヴァイ先生の心の旅路が伺えるようで、ジーンとします。

『 Slip of the Tongue 』20周年版とドニントン・ライブは持っているのですが、初出し音源が沢山あるようで、30周年7枚組ボックスセットも気になります…

また、ヴァイ先生は9月13日に既発のライブアルバム/DVD『Stillness In Motion』をブルーレイ2枚+CD2枚のパッケージで発売します。元の発売時にレーベルであるSonyがブルーレイを出さなかったので、先生が権利を買い戻して発売するそうです。

これは発売時にファンから要望が出ていたもので、DVDではステレオ音源で5.1サラウンドはディスク容量の関係で収録されませんでした。これがブルーレイでリリースされるなら嬉しい。

また、ヴァイ先生は現況についてSNSで以下のようにコメントしていました。

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現在、私は新たな交響曲の作曲に取り組みながら、既存の交響曲に手を加えている。それらは2020年にヨーロッパの様々なオーケストラとスタジオ・レコーディングされる予定だ。この作業をそれはもう大変に楽しんでいるよ。

それに2週間ほど前、嬉しいことに私の次のスタジオ・アルバムのコンセプト全体が精神的イメージとして私に降りてきたことを公表しよう。よって、交響曲の仕事が終わったら、それに取り組む予定だ。

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次のアルバム・コンセプトを「恒久の淵からダウンロードした」と表現している原文にヴァイ先生のアートなセンスを感じます。それにしても、ニューアルバムの方がまだまだ進んでいないようで、クラっときました。(涙)

17年の段階で次のニューアルバムは3枚組のトリオ編成のそぎ落としたヘヴィな作品になると構想を仰っていましたが、1枚でもいいから早く出来ますように。(詳細は過去記事のこちら参照)

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PledgeMusic の破綻に思う

買収交渉が決裂したクラウドファウンディング企業の PledgeMusic が7月末に英国の高等法院から精算命令を受け、破産管財人による会社清算が行われるというニュースが複数のメディアから伝わってきました。(参考サイトはこちらこちら

やはり、という感じ。会社に現金化できる資産がどれほどあるのか不明だけれど、債権者が回収できる金額は少ないだろう。会社が営業資金とプレッジで集めた資金を分別せずに、債務の返済に新たなプレッジ資金を使っていたというレポートもあるようで、全くお粗末な運営だったようだ。

今回の件でアルバムに出資し、アーティストをサポートしたのにアルバムを受け取れなかったファンは数多い。

私は PledgeMusic に2回プレッジしている。1つはポール・ギルバートのニューアルバム『 Behold Electric Guitar 』で、もう1つはスティーブ・ヴァイの Big Mama-Jama Jamathon ライブレコーディングだ。

ポール・ギルバートのニューアルバムは昨年の9月にニューアルバムが届けられたので、セーフだった。一方、Big Mama-Jama Jamathon ライブレコーディングの方はだめだろう。

ヴァイ先生は6月に発売された Generation Axe のライブアルバムの制作時点から PledgeMusic を使い始めており、大変気に入った様子で、Big Mama-Jama Jamathon のチャリティオークション等でも使っていた。

自分のアルバムとは区別して、プロジェクトの音源制作の費用をカバーしつつ、話題づくりするのに最適の方法だと思ったのではないだろうか。Pledge ではなかったが、ジョー・サトリアーニも先ごろ発売された The Squares の80年代デモ音源制作をクラウドファンディングでスタートしていた。

5月24日にヴァイ先生はSNS及びオフィシャルサイトでファンに表明している。(以下和訳)

 

やあ、みんな、スティーブだ。

Generation Axe の PledgeMusic キャンペーンについて、GAのマネージメントはプレッジャー各人の注文内容、これまでに対応済みの注文、まだ対応しなければならない注文の詳細記録を先方から取得しようと努力している。これはGAと Big Mama-Jama Jamathon の双方についてだ。

PledgeMusic はGAに支払うべき巨額の未払い金があり、それは恐らく今後支払われないだろう。つまり、多くのアーティストとそのファンと君たちが直面しているこの問題の状況と同様、私たちも金を奪われたと感じている。

君たちの払った金は残念ながら未だ Pledge の元にあり、君たちの注文に応えるために私たちに届くことはなかったのだ。現時点では、寛大にもこの悲運な Pledge キャンペーンに賛同してくれた人たちには一部にしろ何がしかの解決法を届けられるよう、GAマネージメントは努力している。

Big Mama-Jama Jamathon の Pledge キャンペーンに賛同してくれた人たちについては、会計処理とアルバムのミックスを私が終え次第、私の私費をもって全ての注文を全うすると約束しよう。

これら2つのキャンペーンに賛同してくれて本当に感謝している。辛抱強く待ってくれてありがとう。本件の更なる情報については続報を待って欲しい。今は完成したばかりの Generation Axe ライブアルバムを皆が聴いてくれるのが待ちきれないよ。ありがとう。

 

ヴァイ先生が Big Mama-Jama Jamathon ライブレコーディングを私費でリリースしてくれるそうなので、私のプレッジは実害無く終わりそうだ。

それでも今回、PledgeMusic の精算が音楽のクラウドファンディングに与えたダメージは深い。クラウドファンディングの会社は他にもいくつかあり、今も多くのアーティストが利用している。私も Kickstarter や Indiegogo を使ってアーティストのサポートをしたことがある。それらは今後大丈夫なのだろうか?

そもそもクラウドファンディングがなぜ必要なのか?音楽業界の構造変化により、レーベルが制作費を負担する余裕がないのかも知れない。レーベル契約の無いアーティストには制作費をクラウドファンディングで集めて制作し、完成近い音源を持ってレーベル各社と交渉することができることは朗報だったと思うのだが。

 

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アンディ・ティモンズ 「自分にとって真に共鳴するもの、本物を創造しようとすること」

6月にトロントで行われた Cosmofest に出演し、多くのミュージシャンと親交を深めていたアンディ。主催者側のインタビュー動画が公開されましたので、その概要を和訳してみました。

機材トーク満載で苦労しました。誤訳かなと思うところがありましたら、勉強中の訳者に優しくレクチャーお願いします。:)

 

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あなたのトーンそしてプレイへのアプローチについてお伺いします。あなたは優れた技巧派でありながら、聴いたところサウンドにエゴがないのです。曲を引き立てるプレイですよね、あなたのソロへのアプローチ等をお聞かせください。

そんな風に言ってもらって嬉しいよ。そう受け止めてもらっているということは僕がやってきたことが成功したのかな。昨日も考えていたんだけど、僕は各地を飛び回って多くのギグやクリニックをやってきた。そこでよく質問されるんだ、僕のプレイのゴールはどこにあるのかって。思うに、プレイ中のある瞬間に捧げることにあるのじゃないかな。曲や音楽全般において。その瞬間に適したものは何か、それを尊重することだ。僕のキャリアの大部分はインストゥルメンタル音楽にあるのだけど、僕は多くのアーティストやシンガーのためにプレイしてきた経験もある。

何と言うか、自分の人生そのものとしてプレイしてきたんだ。プレイというのは自分だけの為のものではないんだよ。こんなこと言うと哲学っぽくなっちゃうよね、そういうつもりじゃないんだけど…(アンディ、照れまくって言葉を濁す)僕は常に非常に敏感なタイプの人間なんだ。そのせいで良くなかったこともあるんだけど。世間はそういう敏感さを受け入れてくれないこともあるからね。でも僕は自分の周囲の事を気に掛けるタイプなんだ。人間はもちろん自分のことを気に掛けるだろう、そこが強いと自己中心的ということだけど、僕は周囲の事にも気を配るんだ。それは音楽におけるアプローチも同じことだよ。

僕のバンドでは僕がメロディを弾いていて中心にいるのだけど、トリオだから、多くのスペースがある。別の状況では自分がどうその音楽に貢献できるのかを考えるよ。より大きな音楽の利益の為にということ。そんな言葉を使うとなんだか大げさになってしまうけど。(照れるアンディ)

キャリアの面でいうと、様々な異なる状況の中で、自分が役に立つよう心掛けてきた。ギグにやってきて弾きまくって自己宣伝するようなことではなく。そういう人とは誰もまた仕事したいとは思わないよね?

マイク・スターンがこう言っていたよ「批評を読んではダメだ。読むだろうけど、ダメなんだ」(マイクのモノマネを披露。僕は上手いんだよ、とノリノリ)マイクと知り合えて、彼とプレイできてとても光栄だよ、彼は僕のヒーローだ。彼は奇跡のような純粋な魂の持ち主なんだ。あんなにオープンでいることは敏感な彼にとっては同時に厳しくもあるんだ。

他のことに手を出さず、自分にとって真に共鳴するもの、本物を創造しようとすること、それを人が聴くのさ。僕は55歳(7/26で56歳になりました)で、もう50年ギターを弾いてきたことになる、これまでの経験を踏まえての話だよ。

もし誰かになろうという考えに囚われ過ぎると、常に結果は失望に終わるんだ。もし僕がウェス・モンゴメリーのように弾きたいと時間を過剰につぎ込んでも、もちろんそれは素晴らしい探求なのだけど、結果的にはただのモノマネに終わってしまう。ジャンゴ・ラインハルトでもそうさ。僕は去年から探求しているんだ、彼がどうやってあのプレイをしたのかってことを。「準備ができたのなら、私はここにいるよ」と彼の声が聞こえるくらいさ。彼が煙草をふかしながらね。(笑)

とにかく、そういう探求のとき、ウサギの穴に落ちないようにしなくてはならない。常に僕は僕自身なんだ。そう理解したのは5年ほど前かな。自分自身でいることが心地よいと思えるようになったんだ。自分がアラン・ホールズワースやショーン・レーンでないことにがっかりしないこと。

あなたは自分自身のサウンドを持っていますよね。

僕にはそれを真に受け止めることがとても難しかったんだ。僕は人生を通じて様々な優れたプレイヤーを崇め、憧れてきたから。(ギタープレイに)僕自身の声があると言われるけれど、それを受け入れるまでに時間がかかった。でも考えてみれば、人間は誰もが自分自身の声を持っているんだよ。それは人の身体的特徴による弦の押さえ方、ピッキングを通して現れる。弾けば弾くほど、その特徴は識別できるようになる。楽器に取り組む時間を長く持つことさ。そして、できないこと自体も僕らのアイデンティティを形作るモノになるんだ。なぜなら、できないことに対して別の自分のできるアプローチをとることになるからだ。

あなたのトーンについて伺いたいのですが、あなたのトーンはクリーンで、エリック・ジョンソン的に思うのです。

わぉ、彼は僕の特大のヒーローさ。(僕のサウンド創りには)ゲインが大きいね。ドライブとプッシュの調整さ。真空管のサチュレーションを使うにしろ、アンプのドライブを使うにしろ。僕はラウドでクリーンなアンプに惹かれるんだ。そしてフロント・エンド・ゲインを全て上げようとする。その方がアティキュレーションや細部をしっかり表現できると感じるんだ。僕のペダルボードを見ると、とても大きいのがわかるよね。それをインスタグラムに載せたら誰かが、「トーンは手に宿るんだw」なんて書いててさ、「そしてケーブルにもね 笑」って言った位さ。(笑)

僕には様々なサウンドのイメージが頭にあって、それを再現しようと様々な試みをやっている。ボリュームノブを下げて、僅かなゲインで得られるサウンドが好きなんだ。Blues Driver でも Xotic でも何度も試したよ。とてもマイルドなブーストなんだ。Blues Driver では高音域ではとてもクリアなサウンドが得られて、好きなんだよ。フルゲインでは使ったことはない。こうして(PUセレクターをネック側へ)ボリュームとトーンを調整して、高音域を保とうとする。そして指板上の指によって全ての繊細なニュアンスを表現するんだ。

とは言え、ステージに上がってあの(大きな)ペダルボードがあると、サチュレーションが起こる。ゲインが大きすぎるのさ。僕はいつもエリック・ジョンソンのようなファットで暖かいサウンドを追求してきた。高音域にも耳障りのないような。とても難しい道のりだ、ゲインを下げると高音域のノイズが増えるからね。でも僕のJHS ATペダルは素晴らしいんだ。ゲインが大きくてもエリック・ジョンソンのような、マーシャルっぽい、ヘンドリックス的な、クラプトンみたいなトーンが得られるんだ、MESA Lone Star のクリーンなアンプでね。あの小さなエフェクターペダルでこれを得られるのは便利だよ。まあ、ゲインとの最適なバランスを見つけることかな。

もちろん、前提として指板上の指とピッキングのタッチによるね。どれだけ楽器練習に時間を注ぐかということだと思う。僕は最初の頃(レコーディング)では Zoom (マルチエフェクター)からコンソールに繋げていたんだ。1stアルバムではそうだよ。僕はただ最高の演奏がしたかった。サウンドについてはエンジニア任せだったんだ。それが2006年のアルバム『Resolution』制作にあたって、真剣にサウンドの探求をしたんだ。エリック・ジョンソンのようにね。

あの道を進んでいくと、(エリックについて言われていることは)迷信ではないとわかってくる。彼はあの道に魂と時間を注ぎ込んだんだ。僕にはそれだけの忍耐はなくて、プラグインしたら直ぐにプレイしよう!と思ってしまう。でも『Resolution』はギター1本とベースとドラムだけだから、いいサウンドは必須だ。だから何週間もかけてこれというサウンドを探求したんだ。

そうやっていたら、「わお、エリックが言ってたことは本当だ!」となったのさ。彼がやっている Alien Love Child というサイド・プロジェクトのライブを以前観に行って彼のペダルボードを見たのだけど、彼のドライブ・ペダルが板の上で変わった角度に置いてあったんだ。普通はペダルボードにあるものだから、彼のギターテクに聞いたんだ。そうしたら、彼がサウンドチェックのときにケーブルを直そうとしてそれに触って動かしたら、「何をする!動かすな!」と言われたそうだ。動かすとトーンが変わったそうなんだよ。

で、『Resolution』制作時の話に戻るけど、僕はそれによく似たペダルを使っていた。チューブドライバーでノブが3つあって、ゲインが大きくてサチュレーションが効くやつだった。僕らはコントロール・ルームにいて、キャビネットは別の部屋にあった。僕は別のアンプにプラグインしていたのだけど、そのペダルから発生するシグナルが聴こえたんだ。音の振動が床を伝って、(ペダルの)真空管が(振動して)マイクロフォニック雑音を出していたんだ。プラグインしてプレイしてペダルを持ち上げてみると、その違いは信じられないものさ。なぜなら、低音域は全てそれらの音を集めているんだ。そしてペダルサウンドにそれが埋め込まれているんだ。

そんなこと思いもしませんでした。

それで僕は 2X4材をチューブドライバーの下に置いたんだ。ずっと音が良くなったよ。そういうことを長年かけて蓄積していったんだ。その内容を本に書いてくれって言われたこともあったけど、でもそうあるべきじゃないと思ったんだ。そういうことを YouTube なんかで見て近道できるのもいいけど、やはり苦労して知識を蓄えることが大切なんじゃないかな。僕らもそうやって学んでいったんだ。

もちろんギターそのものの習得が第一だ。タブ譜を見てこう弾くのかとやるのと、レコードを掛けて耳でプレイを発見していく違いさ。ミュージシャンにとって耳は最重要だ。だから僕は自分の頭に聴こえる音をギターで再現しようとする、もちろん直ぐにはできないけれど、それを求めて努力するんだ。僕は耳からサウンドを追求するのであって、(譜面やビデオなど)目から追求するのではない。

TrueFire というオンラインコースで「メロディック・ミューズ」というクラスを教えているんだ。そこではどんな音がメロディックなのか、耳の知覚をトピックにしている。今弾いている音の次にどんな音を聴きたいのか、経験に基づくサウンドガイドだよ。

Atvid

ロン・"バンブルフット"・サール 「僕はギターを置いて、まさかのリード・シンガーになったのさ!」

この夏 Yes のオープニングを務めた Asia ツアーは成功に終わったばかりですが、この歴史あるバンドに参加し、ギターとシンガーを務めたロンさんがメディアのインタビューに応えました。

複数のバンド活動にソロ活動にと大忙しのロンさん。極力他の仕事は断っているそうですが、その割にホット・ソースやバーベキュー・ソースのプロデュースなどは続いている模様。(笑)興味深かった一部概要を和訳してみました。

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Img_0825 Asia でツアーをされていますね。これはどういう経緯で?

数年前に「プラチナ・ロック・オール・スター」という催しがあって、カール・パーマーのマネージメントのブルース・トラドがバンドを集めたんだ。カーマイン・アピスをドラムにルディ・サーゾをベースに、僕がギターで、Talas のフィル・ナロウがボーカル、Yes と Asia のジェフ・ダウンズをキーボードに。そのメンバーでいくつかライブをやったよ、2016年の終わり位まで。

それで、2017年にもプレイしないかと訊かれたんだ。でも Sons Of Apollo が進んでいてとても忙しかったし、別のバンドに参加するというのには乗り気ではなかった。(スティーヴ・ハウの後任というのは)とても重圧だしね。2018年はずっと Sons Of Apollo のツアーだったけど、また誘われて、今度はやってみてもいいかなと思ったんだ。その時点ではボーカルがいたのだけど、彼が参加できないことになった。そしたらカールが「(ボーカルも)ロンでいいじゃないか!」と言い出したんだよ。

僕は自分が考えてもみなかった事や目指したものとは違う事、自分の快適ゾーンから外れた案件なんかに出くわした時には、そういう事態には何か意味があるのかも知れないと考えて「よし、やってみよう!」と言うことにしているんだ。それで Asia のギタリスト兼シンガーになった訳さ。

2ヵ月程はジョン・ウェットンのビデオを観まくって研究したよ。でも彼の歌い方は僕とはまるで違っていたんだ。僕は昔ながらのメロウな高音のシンガーで、彼のような特徴のある声は出せない。1ヶ月程は1日8時間ギターパートの練習をして、同時に歌う訓練もした。ジョン・ウェットンはベースを弾きながら歌い、スティーヴ・ハウはギターだったから、2人の別の人間がやっていたことを一度にやらなくてはいけない。随分練習したよ。

だって、コンサートにやってきたオーディエンスは何十年も前にアルバムで聴いたものを聴きにやってくるのだから、演奏が始まっていざ歌いだしたところで全く違うものにはしたくなかった。彼らがアルバムを初めて聴いた時のように心地よいサウンドにしたかったんだ。結果的には僕が目指したものにとても近いパフォーマンスができたと思う。

もう1つの挑戦がインイヤー(モニター)だった。僕は昔人間だから、あまり使ってこなかったけれど、今回はシンガーとして使う必要がある。でも最初のショウで(モニターを使っていると)、ビデオで確認してみると、僕はずっと僅かに音程が低かったんだ。それでトニー・ハーネルやジェフ・スコット・ソートなど仲の良いシンガーに相談したんだ。ジェフによると彼も同じ問題を持っていたそうで、彼は片方のインイヤーを外しているということだった。それからは音程を正確に捉えるために、聞こえるものの若干上を狙ってヒットしていたよ。

それと、ステージには僕のペダルボードは2つある。右足でボーカル用のパッチの入ったボードを、左足でギターのボードを操る。大変な練習が必要だった。それと後からリハーサルにスティーヴ・ハウがやってきて、いくつかの曲では彼が弾くとわかって、実はちょっとがっかりしたんだ。自分で弾きたかったから。でもこれは彼のバンドでもある訳で、僕が何か言うことじゃない。それで僕はギターを置いて、まさかのリード・シンガーになったのさ!

ギターを持たずにシンガーになったのなんて20代の頃にやっていたカバーバンド以来だよ。それでマイクだけを持ち、歌詞やメロディに集中して歌ってみたら、意外にも最高の気分だったのさ!

ギタープレイについて少し言うと、アルバムでスティーヴ・ハウは "Don't Cry" のソロでスライドを使うのだけど、僕はフレットレスのネックを使ってサステインを左手の爪を使って得ているんだ。指先を強く押し付けて爪で押さえるんだ。そしてネック外の音を出すのに、高音のハーモニクスを使っている。(訳者注:動画2分12秒辺りを参照)

 

Sons Of Apollo の状況はどうですか?

1月にスタジオに入って2ndアルバムのデモを録った。それからバーバンクのスタジオでマイクがドラムを、僕とデレクはそれぞれ家のスタジオでレコーディングした。1stアルバムは皆で集まってスタジオで創ったけれど、皆がそれぞれ忙しくて今回は残念ながらそれはできなかった。でも発売の来年1月までに今年後半にもう少し時間があるから、ギターパートや歌や曲についてもう少し手を加えることができる。

1stアルバムは実に素晴らしかったですよ。

ありがとう。各メンバーの音楽的特徴をしっかり残せたことが良かったと思う。皆の受けた音楽的影響を盛り込むことができた。次作でもそのようにできればと思っているよ。前作を上回ることが目標だ。2ndでは前作よりヘヴィでクレイジーなものにしたいね。ダイナミックでスペースがあってエモーショナルな。デレクが船長のようにプロデューサーとして僕らの向かうところを示しているのさ。

あなたは多くの仕事を抱えていますが、優先事項は何にありますか?

僕らのバンド5人は常にそれぞれが多くの仕事を抱えている。それを調整するのは難しいことだけど、5人のバンドであれば1人の取り分は2割なんだよ。自分の意見を言えるのは2割分ということさ。3割取ったとしたら、それは他の人の分を取ったことになる。全て自分の我を通したいのなら、自分のソロアルバムを創ればいいということさ。

Asia は思ってもみなかったギグだったけれど、いい人たちと仕事ができたから続けられたらいいと思う。Sons Of Apollo はマイクとデレクから始まった。素晴らしい結果だからこれも続く。僕のソロの仕事はいろいろある。今はできるだけ他のオファーに「ノー」と言うように努力しているんだ。だってそうしないと他の仕事に注ぐ時間や集中力を欠いてしまうからね。

今抱えている3つの仕事のような多様性があることで、常に新鮮な気持ちになれるんだ。同じことだけをしていると燃え尽きてしまう。バンドで大きなステージに立つこともあるけれど、ギタークリニックでは15人を相手にすることもある。

大きなステージに立つことが成功やロックスターということじゃない。価値のあることをすることが大切なんだ。自分の好きなこと、価値のある本物を提供することで、誰かを感動させることができる。それはバタフライ・エフェクトになって広がるだろう。教えることによって人を良い方向に導くことができ、世界に大きな貢献ができるんだ。

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今年の今後の予定も忙しそうなロンさん、来年は Sons Of Apollo で、そしていつか Asia でも観てみたいです。