サミー・ヘイガーと The Best of All Worlds 2024 Tour 中のサッチがエディ・トランク氏のPodcastに登場しました。ツアー開始後にサッチがインタビューに応えるのは初めてですので、ツアーの話が聞けそうです。
エディさんは来月日本にやってくる彼らのツアーに同行するそうで、初の日本に興奮している様子。
以下、エディさんとサッチの会話の概要をまとめてみました。
===========
ツアーが始まって調子はどうだい?
興奮しているよ。このバンドで私が勤める役割について、複雑な心境があるから言葉にするのは難しいのだけど、とにかくこのショウは素晴らしいセットリストをプレイする楽しいロックンロール・ショウなんだ。
素晴らしい音楽を祝福しているし、長年の友人とプレイするのは楽しい。一方で私はエディの大ファンでもあるから、責任重大な役割でもある。彼の音楽に敬意を払い、彼が創造した楽曲の精神を真っ当に再現しなくては。
君らがツアーの前、リハーサルもしていないときにハワードの番組や私の番組でプレイしたけれど、(そういう状況も理解せず)今はネットで誰もが批判する時代だから、それがツアーの準備をする上で大きなプレッシャーになったのかな?
サミーから電話があってツアーに同意したとき、彼から実は1週間後にこの番組出演があるという話を聞いた。私には全くの準備不足になることはわかっていたのだけど、サミーはスポットライトを浴びるタイミングに関して優れた勘を持っているからそれを信じることにしたんだ。
あの番組では壮大な失敗をしてしまったけれど、大いに学んだことがある。正しいフィンガリングやピッキングやギターやアンプよりも曲のエッセンスを正しくとらえることが重要ということだ。それで、エディのアレンジを深く学ぶことにした。
そして更に Van Halen が創造したもの、譜面には書き留めることができないライブの魔法とも言うべきものを捉えたい。ロックンロールのマジックだよ、エディがステージに上がってはオーディエンスと作り出したものだ。
あの失敗から学んで、今は自信を持ってステージに上がることができる。 Van Halen や Montrose を正当にプレイできると。Chickenfoot の曲にしてもね、今は2024年なんだから、新たにそして本物のライブとして素晴らしいバンドとプレイしているよ。
ああ、今では君たちのライブを観た人たちの誰もが「サトリアーニは素晴らしい、完璧にモノにしている!何て楽しいショウだ」と言ってくるんだ。
でも君のこれまでのキャリアはソロアーティストとしてのもので、今のような状況だったのは Deep Purple での短い代役だけだったのではないかな?だから、あの番組出演以降にどうやって準備したんだい?
できること全てをやったよ。ギターのセットアップを変更し、アンプについては 3rd Power のディラナ・スコットの力を借りた。サウンドとしては1986年の『Live Without a Net』を更に味のあるものにしたかった。素晴らしいエンジニアのお陰でTHE DRAGON アンプが出来上がったのさ。
それから、Van Halen のギターパートを演奏してオンラインに動画を上げている数多くのギタープレイヤーの献身がなくては私にはできなかったよ。オンラインで20通りの "Good Enough", "Poundcake", "Judgement Day" なんかの細かなプレイを観た。幾人かのプレイヤーは完璧に近くて衝撃を受けたよ。
私は長いことジョー・サトリアーニでしかなかったから、他人のサウンドを考えることはなかった。でも私は正当なプレイがしたかったから、エディを含めて多くの人のプレイを研究して、多くを吸収したんだ。だから、沢山のギタープレイヤーに対して動画を上げてくれたことに心からお礼を言いたい。
それは驚いたな。あらゆる Van Halen の音源や動画などを当たるだけでなく、君は他のプレイヤーが弾いたものも参考にしたということかい?エディだけでなく、他人のプレイを研究するのはなぜだい?
聞いた話によると、エディとアレックスの兄弟で数週ジャムをして曲の形を作り、他のメンバーが入ってレコーディングして、その後ツアーに出たということだった。つまり、レコード音源は兄弟のジャムの集大成であって、一度ツアーに出ると、創造性溢れるエディは毎回違うプレイをしたんだ。
だから私はあらゆるバージョンを受け入れたいと思った。それにエディと異なる手を持つ他のギタープレイヤーたちがどうプレイするのか見たかった。ギターの持ち方、ピックの持ち方、ピッキングの仕方は人それぞれ違うからね。それらすべての違いが、正しいヴァイブ、リズム、トーンの形成に関わってくる。
そしてアンプ!エディが80年代中頃に使っていたリグの写真があるのだけど、彼が個性的なサウンドを作り上げるうえで如何に才能があったのかがわかる。そしてこれは大胆な発言かも知れないけれど、私たちが聴くエディのサウンドの半分は彼の手からきているのだと思う。
なぜなら数十年にわたって彼のリグは変化していったけれど、熱量、スナップ、攻撃的でありながら美しいサウンドは変わらなかった。つまり、全ては彼の手にあるんだ。
だから、たとえエディの使ったリグを手に入れたとしても、彼のサウンドには到達できないんだ。彼の手がなくては無理なんだ。それくらい彼は特別でユニークなんだよ。
staytogether.hateblo.jp
誰にしても、Van Halen のコピーバンドにしてもオーディエンスの前であれを再現するのは無理なんだ。
でも思うに、物真似をするのではなく、彼らの曲を健全な自分の個性をもって演奏することをエディは肯定するだろう。だから物真似はしない。敬意を持ったオマージュであること。楽曲を学び、その意図を理解して祝福すること。
なるほど、そうすると例えばギターソロについては、オーディエンスが記憶しているようにプレイするのかい、それとも少々のサトリアーニ味を付けるのかな?
いい質問だね。ミック・ジャガーや Deep Purple とのギグでも学んだことは自分自身でいることだ。キース・リチャーズやリッチー・ブラックモアのアイコニックなソロがある。でもソロすべてを覚えてそのとおりプレイしないことだ。彼ら自身が毎回同じプレイはしない。
でもファンにしてみると、記憶のとおりのソロが聴きたいと思うものさ。曲によってはできる限り本人のプレイに近いプレイがしたいと思うし、別の曲ではそうでないものもある。
"Panama" には特定のフックがあるから、できる限り近いプレイをしているよ。"5150" はオープンなところがあるから自由にプレイできる。それは彼らのライブクリップからわかったよ、クレイジーな曲だ。まるでハーフタイムのレゲエ・ジャムみたいでね。
セットリストが完成していく過程でどうやるかを話し合った結果、大部分はアルバムに近くタイトに仕上げた。その中でフレーズの頭と終わりをオリジナルに近くして、間を全てエディへのトリビュートにしたり。そういうアプローチも何曲かでした。
"The Seventh Seal" はできる限りエディのプレイに近づけた。この曲は余りに美しく完成されたギター構築物だからね。
選曲について君から提案したことはあったのかい?
いや、私は今年ずっと忙しかったから。それにサミーから渡される大量の候補曲の準備で一杯だったよ。"Judgement Day" をできるかと彼に訊かれたときは、大好きな曲だから喜んだよ。これを聴いているギタープレイヤーなら賛成すると思うけど、この曲はエディが天才だという証拠だ。
サミーが挙げる曲はどれも素晴らしいよ。数曲はメドレー形式になったけど、それをやらないと Van Halen 度が落ちてしまうからね。サミーの勘はいつも正しいんだ。
今はセットリストに入っていないけれど、入れたい曲はある?
"Oh Yeah" が入ったのは良かったよ。(サミーが日本でプレイしようという) "Can't Stop Lovin' You" については問題があって、この曲でのエディはスーパークリーンなサウンドなんだ。時間をもらって私のテックと方法を考えるよ。この曲のサウンドの為に別のアンプが必要だ。エディの美しいクリーンなサウンドを再現する方法を全力で探してみるよ。
マイクやサミーはエディのパートを弾くについて助けになる話をしてくれたのかい?
ああ、色々とても参考になったよ。でも彼らはエディのことを教えてくれる一方で私に自由な余白をくれたんだ。彼らと私の目指す方向が同じで良かったと思う。オリジナルに近づける一方で現在のオーディエンスに向けて新鮮で新たなものにするという考えだ。
その1つがキーボードのレイを入れるということだ。サムからこのツアーの話を聞いたとき、最初にサミーに頼んだのは人間のキーボードプレイヤーを入れることだった。レイはキーボードとギターとボーカルができる理想的な人物で私のツアーでも一緒にやった。彼も私と同様にエディのプレイを鍵盤で学んで衝撃を受けただろうね。
これは私の好奇心なんだけど、Van Halen のトリビュートの話では少し前にアレックスから出たときもギタリストは君の名前だった。それはなぜだろう?
私にもわからない。私はアレックスにもデイヴにも質問したんだ。私はエディのファンだし、抗えない魅力的な話だったから承諾はしたのだけど。
staytogether.hateblo.jp
何にしろ、どうしても実現しなかった Van Halen のトリビュートが実現したことはファンにとっても本当に良かったよ。
プロらしくない発言だけれど、このツアーでステージに上がる私は地下室でギターを弾いている14歳の子供のように、エディの書いた楽曲のパートを演奏することに大きな興奮を感じているんだ。
ちょっとしたハーモニクスだったり、グルーヴの中でのコードなんかにギタリストの視点でワクワクするものがある。曲には自由度の高いものから、完成されたものまであるし、毎晩すべてを楽しんでいるよ。
このツアーは好評だから、もっとツアーが拡大するのでは?
ああ、そうなれば良いと思っている。
君たちの日本ツアーに同行することになったんだ。凄く興奮しているよ。君の予定でリスナーに伝えたいことはあるかな?
今年のG3ツアーの録音やドキュメンタリーは予定通りに編集の段階にある。それから来年の夏には Satch/Vai のニューアルバムのリリース後に欧州をツアーしたいと思っている。
=========
最後辺りでサッチが日本初訪問になるエディさんからアドバイスを求められて、礼儀正しくすることや日本語を教えていました(笑)「アリガトウゴザイマス」
来月には彼らがやってきます!