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Green (@ribbon_bear) が毎週好きな音楽ネタを語ります! Since 2011

King Crimson を演奏する BEAT ツアーがスタート!

ヴァイ先生が、エイドリアン・ブリュートニー・レヴィン、ダニー・ケアリーと組んだ BEAT ツアーが遂に9月12日、カリフォルニア州サンノゼからスタートしました!

 

 

 

いやー、先生がバンドの一員としてフロントマンの横で弾いているのを見るのって何十年ぶりでしょうか。それにしても個々の演奏力やパフォーマンスの変態度が高い。

ファン撮影の動画を見たところ、King Crimson をプレイする先生は新鮮でしたが、それでもご自身の音とプレイを随所で聴かせてくれて鳥肌が立ちました。

 

黒いつば広の帽子を被ったサングラス姿の先生って2013年の The Story of Light ツアーを思い出しますね。

動画では画像が粗いのですが、観察したところ、先生が今回使用したギターは、自身でペイントした新作のPIAで、多くの曲で弾いていました。途中でナチュラルフィニッシュな木目のJEMも登場。"Matte Kudasai" ではストラト風味の黒ボディJEMも。

あと、先生のギター写真集『Wire and Wood』のウルトラ・エディションに付属する限定のホワイト・フローラルJEMはBEATツアーで使用の予定ですが、初日には使用したのかな?

 

私は King Crimson に疎くて、その音楽をほぼ知らないのですが、今回の動画を見て、ヴァイ先生のギターと親和性が高いことに驚きました。ヴァイ節そのままでこの音楽にとてもフィットしている!

来年にでも日本に来てくれると嬉しいな。

 

 

9月12日 セットリスト

Set 1:

01. Neurotica
02. Neal and Jack and Me
03. Heartbeat
04. Sartori in Tangier
05. Dig Me
06. Model Man
07. Man With an Open Heart
08. Industry
09. Larks' Tongues in Aspic (Part III)

Set 2:

10. Waiting Man
11. The Sheltering Sky
12. Sleepless
13. Frame by Frame
14. Matte Kudasai
15. Elephant Talk
16. Three of a Perfect Pair
17. Indiscipline

Encore:

18. Red
19. Thela Hun Ginjeet

 

 

初日の公演を終えて、先生がインスタグラムを更新していましたので、以下に和訳してみました。


「5ヵ月に及ぶ熱烈な準備を経て、私はこのツアーに準備万端となったのだが、昨夜のサンノゼでの初日を終えて大きな安堵と喜びに包まれた。

ツアー初日とは試練となるものだ。精魂尽き果てる程にリハーサルに取り組んでも、ひとたびステージに上がり、照明が消えれば、そこには期待に満ちた観客がいて、リハーサルでの準備は白紙となる。

しかし、バンドは仕事を果たし、良い初日を終えて皆が安堵した。

私は自分のバンドを率いて35年になるのだが、BEATのステージでは我がブラザーであるフロントマン、エイドリアン・ブリューの指揮の元にとても心地よい場所を得ている。

この歴史ある音楽を情熱的なファン層に向けて演奏するのはとても楽しい。オーディエンスがこの音楽に心からの献身を示すのを発見し、バンドの皆が固いサポートを感じた。

これほどに熟練し才能に満ちたバンド仲間とステージに立つこのツアーの続きを心から楽しみにしている。共にすごして楽しい類まれな人たちであることは言うまでもない。

サンノゼのオーディエンスにはこの初演を素晴らしく楽しい経験にしてくれたお礼を心から伝えたい」

 



 

 

ジョー・サトリアーニ 「エディの物真似はしない。敬意を持ったオマージュであること。楽曲の意図を正しく理解して祝福する」

サミー・ヘイガーと The Best of All Worlds 2024 Tour 中のサッチがエディ・トランク氏のPodcastに登場しました。ツアー開始後にサッチがインタビューに応えるのは初めてですので、ツアーの話が聞けそうです。

 

エディさんは来月日本にやってくる彼らのツアーに同行するそうで、初の日本に興奮している様子。

以下、エディさんとサッチの会話の概要をまとめてみました。

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ツアーが始まって調子はどうだい?

興奮しているよ。このバンドで私が勤める役割について、複雑な心境があるから言葉にするのは難しいのだけど、とにかくこのショウは素晴らしいセットリストをプレイする楽しいロックンロール・ショウなんだ。

素晴らしい音楽を祝福しているし、長年の友人とプレイするのは楽しい。一方で私はエディの大ファンでもあるから、責任重大な役割でもある。彼の音楽に敬意を払い、彼が創造した楽曲の精神を真っ当に再現しなくては。

君らがツアーの前、リハーサルもしていないときにハワードの番組や私の番組でプレイしたけれど、(そういう状況も理解せず)今はネットで誰もが批判する時代だから、それがツアーの準備をする上で大きなプレッシャーになったのかな?

サミーから電話があってツアーに同意したとき、彼から実は1週間後にこの番組出演があるという話を聞いた。私には全くの準備不足になることはわかっていたのだけど、サミーはスポットライトを浴びるタイミングに関して優れた勘を持っているからそれを信じることにしたんだ。

あの番組では壮大な失敗をしてしまったけれど、大いに学んだことがある。正しいフィンガリングやピッキングやギターやアンプよりも曲のエッセンスを正しくとらえることが重要ということだ。それで、エディのアレンジを深く学ぶことにした。

そして更に Van Halen が創造したもの、譜面には書き留めることができないライブの魔法とも言うべきものを捉えたい。ロックンロールのマジックだよ、エディがステージに上がってはオーディエンスと作り出したものだ。

あの失敗から学んで、今は自信を持ってステージに上がることができる。 Van Halen や Montrose を正当にプレイできると。Chickenfoot の曲にしてもね、今は2024年なんだから、新たにそして本物のライブとして素晴らしいバンドとプレイしているよ。

ああ、今では君たちのライブを観た人たちの誰もが「サトリアーニは素晴らしい、完璧にモノにしている!何て楽しいショウだ」と言ってくるんだ。

でも君のこれまでのキャリアはソロアーティストとしてのもので、今のような状況だったのは Deep Purple での短い代役だけだったのではないかな?だから、あの番組出演以降にどうやって準備したんだい?

できること全てをやったよ。ギターのセットアップを変更し、アンプについては 3rd Power のディラナ・スコットの力を借りた。サウンドとしては1986年の『Live Without a Net』を更に味のあるものにしたかった。素晴らしいエンジニアのお陰でTHE DRAGON アンプが出来上がったのさ。

それから、Van Halen のギターパートを演奏してオンラインに動画を上げている数多くのギタープレイヤーの献身がなくては私にはできなかったよ。オンラインで20通りの "Good Enough", "Poundcake", "Judgement Day" なんかの細かなプレイを観た。幾人かのプレイヤーは完璧に近くて衝撃を受けたよ。

私は長いことジョー・サトリアーニでしかなかったから、他人のサウンドを考えることはなかった。でも私は正当なプレイがしたかったから、エディを含めて多くの人のプレイを研究して、多くを吸収したんだ。だから、沢山のギタープレイヤーに対して動画を上げてくれたことに心からお礼を言いたい。

それは驚いたな。あらゆる Van Halen の音源や動画などを当たるだけでなく、君は他のプレイヤーが弾いたものも参考にしたということかい?エディだけでなく、他人のプレイを研究するのはなぜだい?

聞いた話によると、エディとアレックスの兄弟で数週ジャムをして曲の形を作り、他のメンバーが入ってレコーディングして、その後ツアーに出たということだった。つまり、レコード音源は兄弟のジャムの集大成であって、一度ツアーに出ると、創造性溢れるエディは毎回違うプレイをしたんだ。

だから私はあらゆるバージョンを受け入れたいと思った。それにエディと異なる手を持つ他のギタープレイヤーたちがどうプレイするのか見たかった。ギターの持ち方、ピックの持ち方、ピッキングの仕方は人それぞれ違うからね。それらすべての違いが、正しいヴァイブ、リズム、トーンの形成に関わってくる。

そしてアンプ!エディが80年代中頃に使っていたリグの写真があるのだけど、彼が個性的なサウンドを作り上げるうえで如何に才能があったのかがわかる。そしてこれは大胆な発言かも知れないけれど、私たちが聴くエディのサウンドの半分は彼の手からきているのだと思う。

なぜなら数十年にわたって彼のリグは変化していったけれど、熱量、スナップ、攻撃的でありながら美しいサウンドは変わらなかった。つまり、全ては彼の手にあるんだ。

だから、たとえエディの使ったリグを手に入れたとしても、彼のサウンドには到達できないんだ。彼の手がなくては無理なんだ。それくらい彼は特別でユニークなんだよ。

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誰にしても、Van Halenコピーバンドにしてもオーディエンスの前であれを再現するのは無理なんだ。

でも思うに、物真似をするのではなく、彼らの曲を健全な自分の個性をもって演奏することをエディは肯定するだろう。だから物真似はしない。敬意を持ったオマージュであること。楽曲を学び、その意図を理解して祝福すること。

なるほど、そうすると例えばギターソロについては、オーディエンスが記憶しているようにプレイするのかい、それとも少々のサトリアーニ味を付けるのかな?

いい質問だね。ミック・ジャガーDeep Purple とのギグでも学んだことは自分自身でいることだ。キース・リチャーズリッチー・ブラックモアのアイコニックなソロがある。でもソロすべてを覚えてそのとおりプレイしないことだ。彼ら自身が毎回同じプレイはしない。

でもファンにしてみると、記憶のとおりのソロが聴きたいと思うものさ。曲によってはできる限り本人のプレイに近いプレイがしたいと思うし、別の曲ではそうでないものもある。

"Panama" には特定のフックがあるから、できる限り近いプレイをしているよ。"5150" はオープンなところがあるから自由にプレイできる。それは彼らのライブクリップからわかったよ、クレイジーな曲だ。まるでハーフタイムのレゲエ・ジャムみたいでね。

セットリストが完成していく過程でどうやるかを話し合った結果、大部分はアルバムに近くタイトに仕上げた。その中でフレーズの頭と終わりをオリジナルに近くして、間を全てエディへのトリビュートにしたり。そういうアプローチも何曲かでした。

"The Seventh Seal" はできる限りエディのプレイに近づけた。この曲は余りに美しく完成されたギター構築物だからね。

選曲について君から提案したことはあったのかい?

いや、私は今年ずっと忙しかったから。それにサミーから渡される大量の候補曲の準備で一杯だったよ。"Judgement Day" をできるかと彼に訊かれたときは、大好きな曲だから喜んだよ。これを聴いているギタープレイヤーなら賛成すると思うけど、この曲はエディが天才だという証拠だ。

サミーが挙げる曲はどれも素晴らしいよ。数曲はメドレー形式になったけど、それをやらないと Van Halen 度が落ちてしまうからね。サミーの勘はいつも正しいんだ。

今はセットリストに入っていないけれど、入れたい曲はある?

"Oh Yeah" が入ったのは良かったよ。(サミーが日本でプレイしようという) "Can't Stop Lovin' You" については問題があって、この曲でのエディはスーパークリーンなサウンドなんだ。時間をもらって私のテックと方法を考えるよ。この曲のサウンドの為に別のアンプが必要だ。エディの美しいクリーンなサウンドを再現する方法を全力で探してみるよ。

マイクやサミーはエディのパートを弾くについて助けになる話をしてくれたのかい?

ああ、色々とても参考になったよ。でも彼らはエディのことを教えてくれる一方で私に自由な余白をくれたんだ。彼らと私の目指す方向が同じで良かったと思う。オリジナルに近づける一方で現在のオーディエンスに向けて新鮮で新たなものにするという考えだ。

その1つがキーボードのレイを入れるということだ。サムからこのツアーの話を聞いたとき、最初にサミーに頼んだのは人間のキーボードプレイヤーを入れることだった。レイはキーボードとギターとボーカルができる理想的な人物で私のツアーでも一緒にやった。彼も私と同様にエディのプレイを鍵盤で学んで衝撃を受けただろうね。

これは私の好奇心なんだけど、Van Halen のトリビュートの話では少し前にアレックスから出たときもギタリストは君の名前だった。それはなぜだろう?

私にもわからない。私はアレックスにもデイヴにも質問したんだ。私はエディのファンだし、抗えない魅力的な話だったから承諾はしたのだけど。

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何にしろ、どうしても実現しなかった Van Halen のトリビュートが実現したことはファンにとっても本当に良かったよ。

プロらしくない発言だけれど、このツアーでステージに上がる私は地下室でギターを弾いている14歳の子供のように、エディの書いた楽曲のパートを演奏することに大きな興奮を感じているんだ。

ちょっとしたハーモニクスだったり、グルーヴの中でのコードなんかにギタリストの視点でワクワクするものがある。曲には自由度の高いものから、完成されたものまであるし、毎晩すべてを楽しんでいるよ。

このツアーは好評だから、もっとツアーが拡大するのでは?

ああ、そうなれば良いと思っている。

君たちの日本ツアーに同行することになったんだ。凄く興奮しているよ。君の予定でリスナーに伝えたいことはあるかな?

今年のG3ツアーの録音やドキュメンタリーは予定通りに編集の段階にある。それから来年の夏には Satch/Vai のニューアルバムのリリース後に欧州をツアーしたいと思っている。

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最後辺りでサッチが日本初訪問になるエディさんからアドバイスを求められて、礼儀正しくすることや日本語を教えていました(笑)「アリガトウゴザイマス」

来月には彼らがやってきます!

 

ジョー・サトリアーニ サミー・ヘイガーと The Best of All Worlds 2024 Tour スタート!

遂にサミー・ヘイガーと共に Van Halen 曲をたっぷりと演奏するツアーが始まりました。どんなセトリになるのか興味津々でしたが、やっぱりVH曲が多かった!

 

 

7月13日セットリスト

01. Good Enough (VH)
02. Poundcake (VH)
03. Runaround (VH)
04. There's Only One Way to Rock
05. Judgement Day (VH)
06. Panama (VH)
07. 5150 (VH)
08. Summer Nights (VH)
09. Ain't Talkin' 'bout Love (VH) (Michael Anthony on vocals)
10. Top of the World (VH)
11. Best of Both Worlds (VH)
12. Satch Boogie (Joe Satriani)
13. The Seventh Seal (VH)
14. Right Now (VH)
15. Why Can't This Be Love (VH)
16. Eagles Fly
17. Mas Tequila (SAMMY HAGAR AND THE WABOS)
18. Heavy Metal
19. I Can't Drive 55
20. Space Station #5 / Oh Yeah / Jump (Montrose/ Chickenfoot/ VH)
21. When It's Love (VH)


いやあ、最高に楽しいロックショウじゃないですか!このお歳になっても元気にロックして夏のパームビーチが似合うおじ様たち。

私はエディのギタープレイがどうだと語れないので、サッチファンとしての感想ですが、曲のアイコニックなエディのソロは踏襲しつつ、発展可能な箇所ではサッチらしいプレイが聴けて嬉しいです。

サッチの "Panama" とか楽しくて実際に聴くのが楽しみ。

サッチは殆どを Chrome Boy と 赤&黒のJS で弾いているみたいですね。EVHギターがどこで登場するのかと思っていたら、なぜかサミーの曲で登場していました。

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先週、サミーは人気DJエディ・トランク氏のラジオに登場しました。そこでの会話でこんな話が。

このツアーでのジョー・サトリアーニのギタープレイについて

彼がどんなに優れたミュージシャンなのか言葉にできないね。彼には独自のスタイルがあって、それはエディとは違っている。この件が決まってから彼はスタジオに籠って練習していたよ。

そして彼はエディのソロやパートのエッセンスを取り入れ、レコードを再現しつつ、そこここで少しばかりジョー・サトリアーニのプレイをするんだ。ジョーは正確にエディの弾いた音をプレイして、同時に彼自身の魂を投じた自分のプレイをする。エディの物真似をずっとプレイする奴なんかよりずっといい。

ギタートーンについては、エディとは違う。エディに似ているようだが、俺にはどうやっているのかわからない。何しろ最高のトーンだ。

まだステージでプレイしていないが、今後セットリストに加えたい曲

"Love Walks In" これはバンドでは強力すぎると感じてキーボードとボーカルだけにしようかと考えつつまだ様子見なんだ。

"Can't Stop Lovin' You" これは95年の日本大ヒット曲だから、日本ではやらなくちゃいけない。訪日する前にテストしてやるつもりだ。

"Don't Tell Me (What Love Can Do)" はセットに加えたいね。パワフルなステイトメントだ。

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サミーのギタリスト人選についてこんな記事が出ていましたが、サッチの自伝本(Strange Beautiful Music)の中でサミーが下のコメントをしていましたので、抜粋しておきます。

www.barks.jp

「だから俺は Chickenfoot のリード・ギター・プレイヤーじゃないのさ。ジョーはずっと上のレベルでプレイできる。ステーキが用意されてるのにハンバーガーを食べる必要なんてないだろう?

それにジョーは史上最高のリズム・ギター・プレイヤーなんだ。

ジョー・サトリアーニのことをリズム・ギター・プレイヤーだなんて考えないだろう?俺が歌って、彼が後ろでリズムパートを弾いているとき、驚くことに、ドラマーが要らない程なんだ。ポケットがどこか瞬時に分かる。ジョーのタイムは完璧で決して乱れない

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9月の来日が楽しみです。

関連過去記事

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ジョー・サトリアーニ サミー・ヘイガーと来日決定!VH曲をプレイ!

しばらく前に発表がありましたが、Sammy Hagar: The Best of All Worlds 2024 Tour が日本にやってきます!いやー、このツアーを日本で観れるとは驚きでした。日本のプロモーターさんが頑張ってくれたのでしょうか。

www.livenation.co.jp

このツアーは今のところ今年の夏の北米ツアー28公演のみが発表されていて、世界ツアーの話はまだ聞こえてきていませんでした。収益的にはさほどない日本ツアーを北米の次にやってくれるだなんて奇跡としか思えない。私の念が通じたのか?(違)

サミーのギャラは相当高いと思うのですよ、その上このとんでもない円安ですよ!1ドル80円くらいの時代を思い出してみてください。そこと比較したら、倍の円貨を払わないと今のドルの価値に届かなくなってしまった。その上米国ではインフレが相当に進んでいる。

そういうことを思うと、チケット代のS席(もはやSとかでなく一般席と呼び変えた方がいいかも)20,000円、GOLD席35,000円というのは意外と安いのでは。今の米国では前方の良席はもっと高額だと思う。

その上、会場に驚きました。

名古屋がある!(感涙)しかも、Niterra日本特殊陶業市民会館 フォレストホール。もっと大きい会場は押さえられなかったのでしょうか、国際展示場くらいはいきたかった。

大阪は堂島リバーフォーラムで、スタンディングの会場らしい。東京はさすがに有明アリーナですが、名古屋・大阪と東京のキャパは3倍くらい違う。

私はキャパの小さい会場でこの特別なライブを体験してこようと思います。

サミーが投稿したこちらの動画によると、今回の日本ツアーではたっぷりのVH曲と、サミーの懐かしい曲と最近の曲、Montrose 曲、Chickenfoot 曲をやるとのこと。以前のインタビューではサッチのソロ曲もやると言っていましたが、どうなるのかな、ソロタイムにでもやってほしい。

来日メンバーについてもサミーが動画で紹介していますが、マイケル・アンソニー と ジェイソン・ボーナムの他に、サッチのツアーメンバーのレイが鍵盤で参加します。 

サミーがリハーサルの動画をチラリと公開しています。

youtube.com

上の動画でサッチの背にあるのは、このツアーで使用するアンプ。THE DRAGON 25 はサッチと 3rd Power のディラナ・スコット氏のコラボレーションで制作されたものだそう。

3rdpower.com

こちらのサッチ投稿ではEVHギターを掲げています。Ibanez ではないギターをツアーで使うのでしょうか?でも他のリハ写真ではいつものJSギターがラックに並んでいましたので、見慣れたJSギターもツアーでは観れそう。

 

7月13日が北米ツアーの初公演。もうすぐですね、どんなセトリでどんなショウになるのか楽しみです。

このツアーに関する過去記事はこちら。

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ちなみに、このツアー用画像のロゴですが、北米ツアー発表時から日本ツアー発表時までにロゴが変化しているのですよね。VH本家からクレームでもついたのでしょうか?

スティーブ・ヴァイ BEAT を語る Part 3「おかげで実験してみたいテクニック、聴いたことのないコードのアイデアをもらった」

この秋の BEATツアー、King Crimson のメンバーについて、ヴァイ先生がインタビューで語ったことのまとめ続きです。

先生がトニーやロバートについて、またツアーの今後について語っています。先生からは King Crimson の音楽に向き合う興奮や喜びが始終伝わってきますね。

 


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トニー・レヴィン

ところで、ちょっとしたトリビアですが、トニー・レヴィンが初めて有給でオーケストラ演奏したのはイゴール・ストラヴィンンスキーとなんですよ。

それは凄いな。彼の音楽を最初に耳にしたとき、感心はしたものの、詳しくチェックはしていなかった。しかし、以前実は彼から一緒にツアーに出ないかとオファーがあったんだ。その時は別のツアーのただ中でできなかった。でも彼は本物の演奏家で音楽を愛する者だとわかっていたよ。

今回、彼のプレイをじっくり聴いてみて、彼の脳はポリメトリックに出来ているのだと思った。彼は何でもできる。彼のパートはオーケストレーションが構築されており、彼の出す音は全て曲の中で重要な機能を持っている。

スコアを手にしながら、じっと彼の演奏を聴いてみると余りに感嘆したので、彼に手紙を書いたよ。彼の曲への貢献に圧倒されたし、完璧で見事なまでに音楽的、熟練していながら楽しいのだ。時に抽象的で機転が利いているし、刺激的だ。これは本当に稀なことだよ。

そうですね、実は彼は写真家でもあって素晴らしい写真を撮ります。ロバートは彼をベースプレーヤーの前に芸術家と評していますね。

ロバート・フリップ

ロバ―トについては、彼の持つ包括的なレベルというのはミュージシャンにとっての全世界に及ぶと思う。強力なプレーヤーとしての要素を全て持っているんだ。

ロバートの持つ個性というのは、彼独自の演奏法により、効果的かつ徹底的な鍛錬による技術は至高の域だ。このような特異の人物が編み出す音楽はユニークで美しいものさ。

ロバートの研究には一生かかるだろう。彼以外には誰も成し得ない彼独自の創造性の領域がある。これほどユニークな創造性を追求するということは、多くの人は自らブロックしてしまうのでできないのだが、ロバートはフランクと同様に決して止まることなく尽きることのない自分のアイデアを追求する。

ロバートのプレイの特徴として、タイムが完璧なことがある。彼のピッキングテクニックは大抵ダウン・アップ・ダウンとなるが、音符が正確に均質化していて、パーカッション的なフィールを音楽に与えている。

トニーが言ったと思うが、ロバートは人間メトロノームのようだ。誰もロバートのようなプレイはできない。

すまないが私はレガートプレイのタイム的には揺らぎのあるタイプだ。だが、ダニーが代わりにきっちりとビートをキープしてくれると保証しよう。

ロバートと連絡を取り合っているそうですが、何かシェアできる話はありますか?

彼のコードソロについて、解説をお願いしたんだ。"Neurotica" のライブ版を聴いていて、彼が弾いた素晴らしいコードが知りたかった。彼はオルタード・スケールを書いて説明してくれた。実際には彼は動画に撮って説明してくれたのさ。

特定のスケール上において有効な様々なコード構成音について。私たちは音楽理論について語ったのだが、私は理論を理解するが深く語り合ったのは久しぶりでね、おかげで実験してみたいテクニック、聴いたことのないコードのアイデアをもらった。

もちろんロバートとは違うものになるが、King Crimson の音楽には適したものになるよ。

このツアーはチケットの売れ行きが激しく、ファンから追加ツアーの希望も聞こえてきます。今後の予定はどうですか?

はは、先のことはまだ何も決まっていない。今のところ、このツアーにはいい反響がある。私たちはもっとツアーしたいんだ。だが、機材等の運搬や未確定部分も多い。皆それぞれの仕事もあって、ダニーには TOOL がある。

私はジョー・サトリアーニとアルバムを作っているし、ツアーもあるだろう。だから2025年のことは何も決まっていないんだ。でもBEATのツアーがもっとできればいいね。

(おわり)

動画45分以降辺りのお話は以下の記事にまとめられていますので、ご参照ください。

amass.jp

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先生の終盤のコメントを聞いていて思うのですが、BEAT は2025年以降も続きそうな予感ですし、エイドリアンの他インタビューでの会話でも来日ありそうな感じでしたので、これは来るなと。

Satch/Vai は共作のアルバムリリース後、すなわち2025年以降でワールドツアーがありそうな予感。

ということで、私は BEAT も Satch/Vai も来日ありと期待します。

今週はサッチがサミー・ヘイガーと夏からツアーするVHトリビュートが9月に来日公演決定のニュースがありましたし、(これが一番日本では観れないと思っていました。今のところ北米と日本でだけ観れるツアーです!)ここ数年で観たいツアーが全部観れるという幸運が日本に居ながらにして得られそうです!(歓喜

 

 

コリー・ウォン ライブ@梅田クラブクアトロ 2024.06.04 新世代のギターヒーローはカッティング・マスター

コリーのことを知ったのは、数年前にジョー・サトリアーニが彼の曲にゲスト出演したのがきっかけでした。もの凄いカッティングの使い手だなと思っていたら、その後スティーブ・ヴァイをインタビューしていて、彼の Podcast をよく聞くようになりました。彼は話も面白いので、コリーの Podcast "Wong Notes" おすすめです。

staytogether.hateblo.jp

その後に知った Dirty Loops とコリーの共演は最高にカッコ良かった。

ヴァイ先生から「現代の注目すべきギタリスト5人」の1人として名前が挙がっているコリー。ヴァイ先生が「君とジャムしたいんだ!」と熱いラブコールを送るレアな才能。

amass.jp

更にコリーは2023年、サッチの G4 Experience に講師として参加。

サッチが「コリー・ウォンのライブは彼のショウマンシップとミュージシャンシップが合わさっている。彼のギタープレイヤーとしての力量だけでなく、プロデューサーそしてライターとしての才能に触れるためにライブを観るべきだ」と言っていますので、私はずっと彼のライブを観たいと思っていました。

staytogether.hateblo.jp

それが遂に実現しました!日本公演は中小型のライブハウスで東京・大阪それぞれ2日ずつ。最初に発表された2日は直ぐにソールドアウトして、追加公演が発表されるも即完売。これは熱い!

海外ではシアタークラスの会場を埋めているコリーを日本の小規模会場で観れるとは!しかもこんなお手頃チケット価格(8千円)で円安の日本へ。経費削減のために小規模な編成で来日するのかと思っていたら、韓国や中国のツアーとの合わせ技で実現したのか、彼の通常フルバンドで来てくれたとは、感謝!

コリーのライブを観れることに大喜びしましたが、彼のことはたまに動画で見るくらいで、私はアルバムも曲も知らない新参者ゆえに、今回のライブレポは単なる感想程度のものですので、コリーのファンの方が読むには及ばないシロモノです。どうぞすっ飛ばしてください。

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ソールドアウトの会場に入るまで、客層チェックをしていたのですが、私が普段行くライブとは客層が大きく異なり、30代前後の若者が多かったです。男性のほうが少々多め。メタルライブは主な客層が40~60代じゃないかなぁ…

インストライブの場合は更に年齢層が高く男性が多くなる傾向のロックやジャズですが、今日のコリーは違うのね。そう言えば、 Polyphia もインストなのに客層若くて女性も多く、従来のインストものとは違うファン層を獲得しているよね。

次世代のギターミュージックというのは、聴衆も含めてすっかり違うものなのかも。音楽の未来のために良いことだろうなぁ。一方でメタル系は若返りを図らないと未来が先細りな心配も。

さて、私は運よくPA上の3階中央のポジションをゲットできて、視界良好です。視界を遮るものがないってこんなに爽快なのね。

定刻に登場したバンド。クアトロの狭いステージに総勢9人のミュージシャンを配置するのも大変だったのかも。ドラム、鍵盤、管楽器5種、ベースに加えてコリー。全員がお揃いのジャージ姿というのがいいじゃん(笑)胸には Wong を表す「黄」の文字。

景気よく始まったオープニング、コリーのカッティングを観て聴いて「これだ~!」と歓喜。これぞカッティング・マスター。リズム・リードギターという領域を今の時代に開拓しちゃったの凄いよ、本当に。

バンドが作り出すイカしたグルーヴに5種の管楽器が順にリードを取り、ソロで魅せる。高速でノリの激しい曲からチルタイムまで、様々なプレイを堪能しました。バラードではクリーンで繊細なロングギターソロも。カッティング以外の技巧を詰め込んで、メロディも聴かせます。いい音してるわ。

コリーが弾いていたのは彼のシグネチャーのストラトで、後ろにバックアップが1本。アンプは Fender のようでした。エフェクトは足元に数種のシンプルそうな感じ。

ふと思ったのですが、バンド構成は Tedeschi Trucks Band に似ている。シンガー&コーラスとパーカッションがいないけど。TTB はブルースやR&B でジャンルは違うけど、どちらも腕利きのミュージシャンが揃って、順にスポットライトを当てていくところとかショウの構成が共通している。どちらもギタリストの腕前が突出しているしね。

MCの時間が殆どなかったのはちょっと寂しかったですが、初演奏の新曲を含め、たっぷり2時間弱楽しませてくれました。「昨日も来てくれた人もいるね、今日は違う曲をやるよ」という言葉どおりだったのでは。

セトリはPAさんの卓の上にあったのを拝見。実際に何か変えてあっても私にはわかりません。大阪初日のセトリをSNSで見かけましたが、全く違うセトリで全通するようなファンには感激だったでしょうね。


本日のセットリスト

01. Opener
02. Flyers Direct
03. Welcome 2 Minneapolis
04. Massive
05. Simon
06. Flamingo
07. Burning
08. Sidestep
09. Stomping Grounds
10. 305
11. Gumshü
12. Separado
13. Home
14. Lunchtime
15. Dean Town

 

 

スティーブ・ヴァイ BEAT を語る Part 2「優れたドラマーというのはグルーヴを取り出して動かせるものなんだ」

この秋に予定されている BEAT ツアー、King Crimson の音楽について、ヴァイ先生インタビューでの語り続きです。

先生がドラマーについて深く語っているのは珍しいし、お話も興味深かったです。

それにしても先生の口から名前の挙がるドラマーの強烈なこと!

 

 

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エイドリアン・ブリューの才能

歌いながら楽器を弾くというのは特定の脳の領域を使う。エイドリアンのその才能は驚くべきものがあるよ。この音楽では多くのことが進行している、通常の拍とリピートされるラインがあって、それで十分に難しいというのに、ポリメトリックなんだ。

これは厳正な演奏でなければ上手くいかない。エイドリアンは更にその上で歌うんだ、まるで語るようにね。全く異なる役割をこなしているんだ。複雑な音楽を正確に演奏することと歌うこと、これをやるというのは離れ業だよ。

更に彼のこの音楽に対する歌詞とメロディでの貢献は実に美しい。彼は音楽の複雑さと聴き手にとっての容易さのバランスをとることができる。素晴らしいよ、希少なことだ。

その通りですね。彼は自身のソロ音楽とは異なる King Crimson の音楽を書くことができ、それは実にバラエティに富んでいます。

彼のギタープレイのスキルは、彼がザッパのミュージシャンであるから私のレーダーにかかったのだが、彼が King Crimson でやったことは彼がフランクのところでやったこととは違う。

彼のギタープレイで発見したことは、ノイズをコントロールして音楽的サウンドにすることだ。彼が何かすると常に上手くいくんだ。音程もタイムも合っていてクリエイティブだ。

"Dig Me" (『スリー・オブ・ア・パーフェクト・ペアー』)を聴いてごらん、「これは何だ!」こんなことを誰ができるのか?と感心する。彼が過小評価されているという言葉は、彼は十分に尊敬されているから当てはまらないけれど、(彼の才能を深く知って)私にとっては大きな発見だったよ。

 

ドラマーの能力

あなたがジェレミー・コルソンをオーディションしていた頃に、私はあなたの為に仕事をしていて幸運でした。ドラマーに求めることについてあなたと議論しました。今回のリズムセクションについて、あなたの考えを聞かせてください。

私はフランクの仕事でヴィニー・カリウタの採譜をしたことでドラマーの役割について深く理解することができた。腕の立つドラマーは様々な能力を持ち合わせている。

フランクとの仕事をするまで、私には「ドラマーにロックする」という言葉の意味がわからなかった。私は複雑な音楽をプレイをすることはできたが、「ドラマーにロックし、グルーヴする」ということになると、さっぱりわからなかった。ただプレイするだけで、本当のところで繋がっていなかったのだ。

私が『Flex-able』を創り始める頃にフランクがドラムマシーンをくれたんだ。あのレコードを聴くとリズムがガチガチなのがわかるだろう。「これがタイミングだ、ロックするというのはこういうことだ」と思っていた。

だが、プロのドラマーと仕事をするようになってわかったんだ。ドラマーというのはギタープレイヤーのようなもので、各自にトーンがあり、フィールがある。スネアドラムを叩くとそこにはトーンがあり、人によってヒットが違うんだ。そしてグルーヴの解釈については、各自が異なるアプローチをしている。

年月を経て、私は自分がドラマーに何を求めるのか、様々なドラマーの機能を理解した。

King Crimson を聴くようになって、腕の立つドラマーがいかにフィールを作り出し、コントロールするのかがわかった。グルーヴの中できっちりとプレイするドラマーがいる、彼らはクリックを埋める(訳者注:恐らくドラマーが聴くクリック音にビートを完全に合わせるという意味合い)ことができるのだ。

つまり、彼らは非常にタイトなプレイをするので、クリックが聞こえないのだよ。私も若い頃は真剣にこれを練習した。クリックを埋めたかったから。そうしていると、自分のプレイでクリックが聴こえなかった。こういうのはある種の硬さを生むものだ。

私はやがて気づいたのだが、優れたドラマーというのはグルーヴを取り出して動かせるものなんだ。グルーヴに乗っかって、そうするとリラックスしたフィールでありながら動きが出る、これはラップによくみられるものだ。その一方で、グルーヴを押して前でプレイできるドラマーがいる。これらは優れたドラマーに出来ることで、学習中のアマチュア向きではない。

ビル・ブルーフォードが King Crimson でプレイした頃について言うと、彼のプレイはいかした温かみのあるルーズなエッジがあった。彼はそれ程きっちりはしていない。

例えばマイク・マンジーニは実に一分の狂いもない正確なプレイができる。ジェレミー・コルソンもそれができる。彼はそれほど正確な位置へクオンタイズ(量子化)しているのではなく、少しばかり曖昧さがある。温かいんだ、ぎこちない感じではない。ビルのグルーヴのルーズさは言うなればジェレミーより幅広いんだ。

例えば、ヴィニー・カリウタについて言うと、彼は何でもできる。彼はビートに正確に乗ることもできるし、その周囲を動くこともできる。

ダニー・ケアリーのプレイを観察してみると、彼は包括的だとわかる。

テリー・ボジオを例に挙げると、彼は音楽的な耳を持ち、作曲家なんだ。テリーは優れたドラムパーツの構築家でドラム・オーケストレーションをする。

ダニーもそのタイプだと感じるんだ。ダニーの味はエレクトロニクス音楽にも彼のすることに注がれている。パーカッションで織られるタペストリーにも反復モチーフにも注がれ、彼の音楽的才能は奥深いのだとわかったよ。

彼とまだプレイしたことはないが、このバンドがもたらす大波を考えると興奮するよ。

(Part 3 へつづく)