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Green (@ribbon_bear) が毎週好きな音楽ネタを語ります! Since 2011

スティーブ・ヴァイ 「インスピレーションはあらゆるものに勝る」

スティーブ・ヴァイが米メディアのインタビューに登場しました。音楽業界で長いキャリアを持つレンマン氏の番組は若いミュージシャンのビジネスでの成功に役立つよう、様々な専門家を招いて、視聴者の質問に答えるもので、番組はインターネットを使ってライブ配信されています。

1時間半ほどの番組の中では、視聴者の質問に答えながら、ヴァイ教義をたくさん聞くことができます。そのほんの一部ですが和訳してみました。

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君の両親は音楽教育にとても協力的だったようだね。

私自身が今では人の親になっているから分かったのだが、親の気持ちは自分が親になって初めて分かるものだよ。

親というのは子供を愛するあまり、失敗して欲しくない、幸せな人生をおくって欲しいと思うものなんだ。多くの場合、音楽は趣味としてやって欲しいと思うものさ。なぜならミュージシャンとして生計を立てていく道は非常に厳しいからね。

私の両親は当初私の中に音楽の才能を見ていたわけではなかったけど、ギターレッスンへ私を車で送迎してくれたり、とても辛抱強く協力的だった。私はギターネックを持って学校に通ってるような子供だったのさ。こんなことするのは皆にはオススメしないけどね。私があまりにギターに執着していることが問題視されて、父からそれはマズイと言われたよ。(笑)

(視聴者の質問)音楽業界で友人を作るコツは?

まず肩の力を抜いて、自分がどんな人と知り合いになりたいかを考えること。どうやって知り合うか?ということは最初に考えることではないんだ。まず自分がどんな人と会いたいのか考えるんだ。それから、自分なんてあの人に会ってもらえっこないっていうネガティブな自分の声が聞こえてきたら、それに気づいてシャット・ダウンすること。それが重要なんだ。

それができれば心配なんてすることはない。彼らはやがて向こうからやってくる、なぜなら君自身がマイナス思考を断ち切って、様々な場所に出かけ、人々に会うことによって彼らを引き寄せるからだ。彼らが誰にしろ、共鳴する相手に出会えば君はその人といいチームが作れるだろう。

実に素晴らしい答えだ。私のところにもよくこういう質問が来る。皆は(成功するためには)最初に誰に会ったらいいのか?ということばかり考えているけれど、そうじゃないんだ。

皆が誤解しているのはここなんだよ。成功している著名人に会って、その人に自分を救い上げて欲しいと考えているけれど、そんなことは起こりっこないんだ。例えば、私と君が若くて無名のときに出会ったとしよう。君にはマネージメントのスキルがあって、音楽業界のことも分かっている。君は私に何かの才能を認め、私も君に精神的なつながりを感じたとしよう。そういう2人がチームを組むことで大きな成功を生むんだ。

ライブとレコーディングのどちらが好き?

全部好きなんだよ。重要なのはその時にやっていることを楽しむことだ。例えばスタジオにいる時は、そこで行う全てのことに集中している。

スタジオにある様々な機器がうまく働かないことに腹を立てても仕方がないんだ。そんなことはいつでも起こることだ。その状況を受け入れてそれを楽しむことだ。緊張感を下げて今していることに向き合えば、やっていることに自然と質が伴ってくるんだ。

何かがが上手く行けばリッチになって幸せになれると考える人がいるけれど、そんなのは幻想なんだ。人は誰でも、不安感や恐怖、怒りといった感情と生きていかなくてはならないんだ。

こういうことを言うと、(映画スターとまではいかなくても)あなたは成功したからそんなことが言えるんだと人に言われるけれど、皆に私と同じ体験をして理解して欲しいと思っているよ。

実に興味深いね、私もこの業界に入って早い段階で金は人を幸せにしないってことに気がついたよ。

金を持つことで、肩にのしかかる問題は大きくなる。全ては心の持ち方なんだよ。それについては最近面白い調査記事を読んでね、高額宝くじに当たった人の調査なんだ。当選した当初は激しく考えが次々と沸いてくる、それは次に困惑へと変わっていく。そして面白いことに数ヶ月後にはその人は元の自分に戻るそうだ。

つまり、自分を満たしてくれるだろうと思う何かに無理をして手を伸ばそうとすることに当てはまると思うんだ。そうすることで暫くは満足感を得られるかもしれない、でもそれは決して真に深いところで自分を満たしてはくれないんだ。

だから私は幸運にも自分を満足させてくれるものがインスピレーションであることに喜びを感じているよ。インスピレーションはあらゆるものに勝るんだ。不安な感情をも凌駕してしまう。

強力なインスピレーションが沸いてくるとそれに囚われてしまうんだ。それが良いアイデアかどうかは関係ない。それこそが求めるべきものなんだ。それは強力なエネルギーを与えてくれるものだからだ。

オーディエンスに受け入れられるかなど関係ない。君が良いものを作れば人はやってくる。自分の創作活動に集中して、ほかの気をそぐようなことを気にしないことだ。

Vai Academy について教えて欲しい。音楽の世界で君のような人に教えてもらえる機会は珍しいよね。

これは私が長年考えていたアイデアでね、あらゆるミュージシャンが学ぶべきカリキュラムだと思う。演奏からビジネス面までカバーしたカリキュラムだ。私は以前からこういうキャンプをやらないかと誘われていたけれど、距離を置いていたんだ。ただ参加者とジャムるだけのキャンプにはしたくなかったんだよ。

そしたら、素晴らしいアイデアが浮かんできてね、毎年特定のテーマを決めて開講するんだ。去年は曲を作るっていうテーマだった。作曲から演奏、リハーサル、レコーディング、ミキシング、プロツールの使い方、著作権保護の仕方、広告宣伝の仕方などを学んでもらった。

アーティストであってもビジネスの仕組みを知ることは重要だ。ここでフランク・ザッパの名言を教えよう。「(権利を)所有し、運用する方法を学べ。世間は知っている。」(You have to learn how to own and operate it, the world knows.)

今年のVai Academy について説明しよう。今年はギターそのものがテーマなんだ。この楽器について学ぶんだ。専門家になる必要はない。しかし、楽器を知ることは役にたつはずだ。ボディの材質による音の違いやネックについて、ギターのセットアップについても。

ラリー・ディマジオにピックアップの講義をしてもらう予定だ。彼以上にこのテーマを話す適任者はいないだろう。私の見解では、彼は世界一のピックアップを創る人だからね。