近年は才能豊かな女性ギタリストが世界のあちこちで頭角を現してきています。ロック・ギター界では、アリス・クーパーのバンドに加入し、昨年初のソロアルバムをリリースし、ギター雑誌の表紙になるなど、ニタ・ストラウス(Nita Strauss)の躍進が華々しかったですが、それに続けとばかりに注目株が新作をリリース。
私が今注目しているのが、ラリ・バシリオ(Lari Basilio)と ニーリー・ブロッシュ(Nili Brosh)。
ラリ・バシリオ Lari Basilio
ラリは8月末にニューアルバム『Far More』をリリースしました。これが彼女の初フルレングス・アルバム。何が凄いって超強力なスタジオ・ミュージシャンを起用しています。ヴィニー・カリウタ、ネイザン・イースト、グレッグ・フィリンゲインズ。リズム隊凄いですねぇ。
1stシングルの "Not Alone" はメロディックなバラードで、トーンやニュアンスが素晴らしく、今お気に入りの1曲です。
彼女のギターヒーローはアンディ・ティモンズだそう!アンディのプレイに刺激を受けたことがギター道を邁進した理由の1つのようです。 "Not Alone" でのトーンやニュアンスはなるほど、アンディの影響では。
『Far More』からもう1曲、アップテンポなロック曲 "Glimpse of Light" は何とゲストにジョー・サトリアーニを迎えて。中盤で登場するサッチのソロパートはこれぞサッチの痛快プレイ。
ゲストにサッチを迎えられたのは今年の G4 Experience にラリが講師として参加したからなんでしょうね。G4に女性の講師は彼女が初めてだったと思います。サッチに認められなければ参加などできないと思うので、これは人脈的にもビッグな1歩でしょう。サッチは彼女の新譜を積極的にSNSで宣伝してくれていますから、サッチのバックアップを得られて彼女もかなり嬉しそう。
ブラジル出身の彼女は現在はLA在住だそうで、今年の秋冬には欧州でのギタークリニック・ツアーがあるようです。Suhr のテレキャスター使いが印象的。2017年の Malib Guitar Festival ではスティーブ・ヴァイとの共演も果たしました。(ビデオはこちら)再生50分辺りでヴァイ先生、ダニエレ・ゴッタルド、Zepparella のグレッチェン・メンらでジャムしています。このビデオには注目の若手ギタリストが3人も集合していますね。
先日、ラリが来日してマスタークラス&ソロライブを10月に行うと発表されました。一部キャンセルされている模様で、情報の確認ができませんが、こちらのサイトではライブが告知されています。
ニーリー・ブロッシュ Nili Brosh
昨年はラスベガスでシルク・ドゥ・ソレイユのマイケル・ジャクソンをテーマにしたショウ "One" でギターを弾いていたニーリー。このショウをやることで彼女はパフォーマーとして大きく成長したに違いありません。ちなみにこのショウの準備期間に彼女はグレッグ・ハウについて学んでいました。
彼女は現在3rdアルバム『Spectrum』制作中で、先日はシングル "Primal Feels" が公開されました。華麗なギターテクニックを活かしたクールなロック曲で、ダンサー達とのパフォーマンスにはシルクの影響が見てとれます。
ニーリーのデビューアルバム『Through The Looking' Glass』にはアンディ・ティモンズがゲスト参加、2nd アルバム『A Matter Of Perception』にはブライアン・ベラー、スチュ・ハム、ヴァージル・ドナティ、マルコ・ミネマンら凄腕ミュージシャンが参加していたので、3作目に誰が参加しているのかも楽しみ。彼女はバークリーの人脈もありそう。
トニー・マカパインのバンドでトニーと息の合ったプレイをみせていた彼女は、7弦テクニカル系のイメージが強いけれど、アンディ・ティモンズの大ファンでもあります。(彼女の自宅デスク上の棚にはアンディのサイン入りCDが飾ってあったりします)
今年1月のNAMMではIbanez 繋がりでしょうか、アンディ・ティモンズ&ポール・ギルバートとの共演もありました。(ビデオはこちら)
テクニカルなおじ様世代のスーパーギタリストたちに可愛がられるニーリーの今後も楽しみです。