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ジョー・サトリアーニ&オリアンティ Part 1 「最終的なバージョンはアルバム版ではなく、ツアー中に生まれることもある」

オーストラリアの新たな音楽インタビュー番組は2人のミュージシャンを迎えて行われる企画で、第1回目のゲストはジョー・サトリアーニ&オリアンティでした。

珍しい顔合わせですが、両者から興味深い話が聞けます。アルバム制作からライブへの楽曲適応の話ではサッチから深くて印象的な話がありました。長い対談でしたので、今週は前半の概要をまとめました。

 

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2人の出会いを教えてください。

Orianthiスティーブ・ヴァイの紹介で何度かジャムしているけど、14歳の頃、ジョーたちとプレイするのはとても緊張したわ。とても楽しかったし、光栄なこと。

Joe Satriani:君は素晴らしかったよ。スティーブが紹介してくれたんだ、NAMMの時だったかな、どこかのクラブで。ティーブが君をミュージシャンとして、人として高く評価していた。君のキャリアが花開いていて嬉しいよ。もう何枚アルバムを出しているの?

Ori:6枚か7枚かな。更に2~3枚出る予定よ。あなたのニューアルバム『The Elephants of Mars』だったよね?先日 "Sahara" を聴いていたのだけど、質感もサウンドもメロディも全て素晴らしくて大好き。あなたのプレイは最高だし刺激される。

ライブアルバムと言えば、オリアンティは最近ライブアルバムをリリースしたし、ジョーは何枚も出している。人々はライブアルバムと言うと、コンサートを録音してリリースするだけだと思っているけれど、人々に知られていない作業というのはどんなこと?

JS:幸運なライブアルバムは、オーディエンスや会場に恵まれ、適切に録音録画され、全員が最高のパフォーマンスをしている。だからミックス以外は何も必要ない。そんな幸運に恵まれたライブアルバムも私にはある。

その一方で、デジタル・カメラが的確に呼応せず、カメラ間のコード問題の解決に何ヶ月も費やすこともある。カメラ以外は最高だったライブがあるんだ。確か、アナハイムでやった『Satriani Live!』だった。

ライブビデオ編集の最終段階で0.6秒の誤差に気付いて、最初まで戻して調べてもなぜかわからなかった。1つのカメラが奇妙なコードを出していることが判明するまで1ヶ月もかかったよ。コンサートは2時間半にも及ぶもので、原因は同期がオフになっていたんだ。

インストゥルメンタル音楽なんだから、同期は完璧であって欲しいだろう?フェイクじゃなくてライブビデオを創っていたんだ、全員が真剣に演奏して。だから完璧であって欲しい。でも様々なことが起こり得るんだ、良い事も悪いことも。

もし複数の公演を録音録画する機会があれば、私にはそんな機会は一度もなかったんだけれど、最高だよ。不安感がぐっと落ちるからね「その夜の公演が完璧で自分のベストでなくちゃならない」と思わなくていいから。オリアンティは別の経験をしているかな?

Ori:同じよ。私の最初のDVDはレーベルの Frontiers の求めもあって、猛スピードで制作が進んだので、編集の時間は余りなかった。あなたの言うように2公演の撮影があれば最高。

私は完璧主義だし、自分のプレイも歌も大半が気に入らない。こんなのどうやって修正したらいいのだろうって悩んだ。でも結局は、これはライブで、数カ所は修正するけれど、それというのは、オーディエンスがカメラの位置に気付いて、しかもマイクは会場全体に配置されていた。オーディエンスが曲間で話した変な会話がマイクに拾われていたの。とても不適切で下品なジョークとかがね。だからカットしなくちゃならなかった。(笑)

でもそれ以外は最高の夜だったわ。親しい友人のマイケル・ベアデン(Key)はレディ・ガガトニー・ベネットの仕事から直行してくれて、彼に参加してもらえて光栄だわ。会場はロスのバーボン・ルームだった。イタリアからカルメン・ヴァンデンバーグ(G)が来てくれて、時差ボケで大変だったと思うわ。アリス・クーパー・バンドからグレン・ソベル(Dr)にお願いして来てもらった。そうやって皆を集めたわ。

 

とにかく、あの夜起こったことはああだった。そう受け止めて前に進むしかない。アルバムを皆が楽しめるといいな。

良いアルバムですよ。2人とも今年アルバムを出したか、又は間もなくリリースですが、アルバム曲をライブ用にアレンジする過程はどうアプローチしますか?どれ位スタジオ録音に近いものを再現しようと?

Ori:この前のマーティ・フレドリクソンと制作したアルバムでは、イントロとかプログラムした音源を使っていたの。それらはライブでも使ったけど、そこに私がオーディエンスが退屈になる位までギターソロをガンガンに弾いていった。

そんな風に音源とミックスして、ジャムの余白を空けておくと、バンドもそこに各自の個性を表現してくれる。私はいつも違うミュージシャンを雇っているから。だから、そんなにアレンジを変えることはないけど、ジャムの余地は残しておく。

JS:そうだね、アルバム通りのサウンドやテンポを残しておくことで、ライブでプレイしたときに羽ばたく曲というのがある。

その一方で、最終的なバージョンはアルバム版ではなく、9ヶ月のツアー中に生まれることもある。皆が原曲を壊しまくった末に、「ああ、このバージョンをレコーディングすべきだった!」とわかるときがくるんだ。それまでわからないんだよ。

アルバム・レコーディングというのはその曲に対する経験値が最も低い状態でアーティストが行うものだ。バンドもクルーも朝の11時にデモを聴いたばかりでやってくるかも知れない。そして午後1時までにレコーディングして、ランチを食べ、2時半には終了してしまう。

十分に考える時間なんてないんだ。ミュージシャンもエンジニアも自分が雇った新しい人で、それがアルバムに入る。それが自分に一生ついてまわる。でも自分ではまだその曲への十分な理解に欠けているのさ。

そしてツアーに出て何千人ものオーディエンスの前でプレイしてやっとわかるんだ。「(テンポは)もっと早く/遅くするべきだった。ブリッジは外すんじゃなかった。ソロが長すぎた」とかね。だからアルバムから新曲をライブでプレイするというのは興味深いプロセスだ。

それにバンドと一体になり趣くままにプレイしないと。バンドが素晴らしすぎるときには、彼らをバックに抑えたくなくなる。そしてバンドに「次はこの曲だ。拡大して思い切りクレイジーにやろう」と言うんだ。そうしてライブのマジックが起こる。

Ori:その通り!

レコーディング中にこの曲をどうライブ演奏しよう?と考えることはありますか?それともそれは後回しにしますか?

JS:ハハ、どうかな。オリアンティは素晴らしいギターも弾くけど、同時に歌も歌わなくてはならないよね。どうだい?

Ori:私は以前ほどエフェクターを使わないけれど、以前は大きなペダルボードを使っていたのよ。今ではワウ・ペダルとアンプ位。でもソロ・セクションでは Whammy ペダルやファズ・ペダルなんかも使う。ペダルを踏んでそれぞれの音を覚えていないと。この前出たライブアルバムでは、スタジオ・アルバムのサウンドとは少々違っている。スタジオには何でもあるけれど、ライブでは違うから。

(Part 2 に続く)