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アンディ・ティモンズ ライブ@ Cotton Club Tokyo 2019.04.05. 生 "Bohemian Rhapsody" 遂に!

Ear X-tacy Remastered の発売に伴うアンディ・ティモンズのアジア・ツアーが日本を皮切りに始まりました。今回も前回と同じく Cotton Club での3夜連続公演(前回は4連続でした)で、1st showでは Ear X-tacy Remastered の曲を、2nd showでは Andy Timmons Band の人気曲をプレイするという内容でした。今回もお得な2公演セットチケットの販売があって嬉しい限り。

私は4日と5日の2日間参加し、両日とも素晴らしいプレイが聴けました。今回のレポートは最終日のライブから書きます。ちなみに、4日は RINGO STARR And His All Starr Band で来日ツアー中だったアンディのギターヒーロースティーヴ・ルカサーが1st showの途中から聴いていたようで、1st show終演後の休憩時間に楽屋訪問があり、翌日アンディのSNSツーショット写真が掲載されていました。そっか、この日に1st showのアンコールがなかったのはそういうこと?(笑)両者のファンとしては是非ともルークの飛び入りが観たかったなぁ。

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Img_2418 1st show

定刻に登場したアンディとバンドは短い挨拶の後、オープニングのジャムを始めました。ブルージーなミッドテンポのプレイは時折エモーショナルなアンディ節の効いた曲でした。

私の目を惹いたのはアンディの深い青紫色の柄シャツ姿。おおっ!ちょっとドレッシーなシャツ姿珍しい!昨夜は定番の黒いジャケット姿だったのよね。

ドライブ感溢れる"Carpe Diem"、"Turn Away"、に続いてアンディの地元、ダラスのギターヒーローを称えた "I Remember Steveie" と近年のライブでの演奏機会の少ない曲が聴けるのが今回のショウのいいところ。

「次の曲はトリオで演奏するのは初めてなんだ。アルバムではマイクと僕とでプレイしたほぼアコースティック曲で、Ear X-tacy ではアルバムの最後に収録した。"There Are No Words" 」

この曲をライブで聴くのは初めて!アルバムではアコースティックとクリーンのエレクトリックとベースでのとてもオーガニックな美しいバラードです。この曲については以前アンディがこう語っていました。(過去記事はこちら

「僕は大学の頃、お金がなくて家族にプレゼントが買えなかったから、音楽を小さなカセットに録音して贈っていたんだ。アルバム "Ear X-Tacy" に収録された "There Are No Words" という曲は家族へのクリスマスプレゼントだったんだ。このクレイジーな音楽ビジネスの世界でミュージシャンになろうともがいている自分を愛し、支えてくれた家族のことを考えながら書いたものだよ」

そんな話を思い出しながら聴くと、美しいメロディと粒やかで透明感のある温かいギターサウンドがそれはもう全身を包みこむようでした。この繊細な表現力の豊かさ、この点においてアンディに敵うギタープレイヤーは殆どいないと思うのです。

「次の曲はチキンピッキングを使った "Farmer Sez" だから、曲中に好きなだけ歓声を上げて、テキサスっぽくやって!」

この曲は以前のライブでも次第にbpmを上げていって、ドラマーさんとどこまでいけるか競争していたなぁ。今回もbpmを上げる度にオーディエンスから歓声が上がり、楽しい雰囲気に。新しいアンディのシグナチャーギターのATZはこの曲の定番のようです。

"No More Goodbyes" では中盤にドラムのロブ・アヴシャリアンの見せ場があり、続いてベース、マイク・デーンのソロタイムありと、バンドにもしっかりスポットが当たります。マイクのベースソロ曲は前回もそうでしたが、美しいバラード曲でベーストーンによる表現力が味わえます。ベースプレイヤーのソロタイムってプレイ技術や激しいリズムをショウケースする人が多い気がするのですが、こうして曲や表現力を前面に出す方って珍しいと思う。そして彼のトーンは美しい。

"Electric Gypsy" が始まると待ってました!とばかりの拍手が。アンディを代表する人気曲だものね。そして1st showを〆るのは定番の "Cry For You"。この曲はアンディの代名詞にして生演奏ではその日のアンディが表れる曲なのですが、今夜は凄かった!ギターと一体になって慟哭をあげるようなプレイは何度も観てきたアンディのプレイでも更に次元を上げたもの。その証拠にノッてきたアンディが見せる、プレイしながらの2cm程のジャンプも飛び出しました。やった!アンディが飛んだ!(歓喜

前日の終盤からアンディのプレイ中のピックアップの選択を観察していたのですが、今更ながらに興味深かった。曲中のクリーンもしくは歪ませても音粒の表現を際立たせるフロントPU、ドライブ感溢れるサウンドを紡ぎ出すブリッジPUと切り替えながら、更にボリュームノブとアームの繊細なコントロールであの驚異的にエモーショナルで表現力に富んだサウンドを生んでいるのね。センターPUを使ったところは見なかったと思うのだけど、アンディはどんな時に使うのだろう。

2nd show

ショウのスタートにぴったりの "Deliver Us"、そしてドラムイントロからの "Helipad" と流れは完璧。

「99年リリースのアルバム The Spoken And The Unspoken からドラムのロブをフィーチュアした "Duende"」

今回のセット1つ目のサプライズだったのが、"Duende" です。この曲の存在を忘れていました。(汗)このアルバムからライブでプレイするのってとても珍しい!ナイロン弦のスパニッシュなギタープレイがアルバム収録バージョンでしたが、今回のライブではギターソロが聴かせどころになっており、原曲よりパワフルで異国情緒あふれる味わいに。それにロブのドラムソロを挟んだパートは緊張感があってとてもクールでした。

「まだリリースしていない新曲をプレイしよう。まだきちんとレコーディングはしていないけれど、近いうちにするよ。僕の家族へ捧げる、僕の生まれ故郷 "Arizona"」

おお!新曲を書いているという発言は以前から聞いていましたが、ライブで1曲プレイしてくれるとは嬉しいサプライズ!とても優しくて温かい曲調はアリゾナの自然の中に沈みゆく夕陽を連想させます。ニューアルバムは少し先かも知れませんが、今からとても楽しみです。

アンディへ近寄り何かささやくマイク。テーブルから眼鏡を取って足元のセットリストを見るアンディ。

「おっと、順番を1つ飛ばしちゃったな。セットリストを見てないとね。(笑)次の曲はとても厳しい身体状況に置かれたギタリスト、タケシのことを想って書いた曲。"Next Voice You Hear"」

前アルバムに収録された泣きの名曲を今回も聴けて嬉しい。この曲もアルバムリリース前からライブでプレイしていた曲で、それを次の新曲 "Arizona" に続けて聴けるとは、何とも感慨深い。

「11月にビデオを公開した Queen の曲をやろう」

今回の目玉の1つ、"Bohemian Rhapsody" が遂に!クリーントーンのギター1本で始まった美しいメロディ。やがてバンドが合流し、ギター史に残るあの名ギターソロへ。素晴らしいよ、アンディ!オペラパートももちろんギター1本で表現、ロックパートへと力強く流れ込み、ラストパートへ。その美しいことと言ったら、生で聴けて感激!演奏後の拍手もひときわ大きくなっていました。

もう1つ。演奏中にマイクが2cm程ジャンプしたのです!決して大きなアクションを見せる人ではありません。常に寡黙でクールに弾いているマイクが飛んだ!初めて観た!それくらいバンドもノっているということだよね!

見事な "Strawberry Fields Forever" でセットを〆た後、日本公演最後のアンコールは、何をやろう?とマイクと話したアンディ、

「よし、ロックをやろう!」

と "Super 70's" でした。ノリの良いアンディらしいロック曲で日本公演は幕を下ろしました。3日ともセットリストはほぼ同じでしたが、初日のみ前回の来日でもプレイした坂本九さんのカバー "Sukiyaki" をやったようです。

今回は、Ear X-tacy 25周年でアルバムからの名曲+レア曲が聴けて、2nd show でもレア曲や新曲、Youtube に投稿され話題になった "Bohemian Rhapsody" が聴けるという満足感一杯のライブでした。アンディ、ありがとう!また来てね!


本日のセットリスト

1st show

01. Carpe Diem
02. Turn Away
03. I Remember Steveie
04. There Are No Words
05. Hiroshima (Pray For Peace)
06. Farmer Sez
07. No More Goodbyes
08. Bass solo
09. Electric Gypsy
10. Cry For You
encore
11. Groove Or Die

2nd show

01. Deliver Us
02. Helipad
03. Winterland
04. Gone
05. Ascension
06. Duende
07. Arizona
08. Next Voice You Hear
09. Bohemian Rhapsody
10. Strawberry Fields Forever
encore
11. Super 70's

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【追記】

終演後のサイン会で、アンディにニューアルバムについて訊いてみました。

―新曲 "Arizona" はとても美しい曲でしたが、ニューアルバムはいつ頃になりそうですか?

AT: どうかな、まだわからないのだけど、早ければ来年くらいかな。

―他のインタビュー(関連記事はこちら)で読みましたが、ボーカル曲をレコーディングしているとの話でしたが、次のアルバムは歌モノとインスト曲のアルバムですか?

AT: いいや、それは別々のプロジェクトなんだよ。(にっこり)

ということで、もっともっと深堀して訊きたくなりましたが、あまりゆっくりお話できる状況ではなかったので、ここまで。アンディの抱えているレコーディング・プロジェクトは、過去のインタビュー記事から推察するとサーフ・アルバムとジャズ・アルバムもありますので、今後がますます楽しみです。

最後に、素晴らしいアンディのサウンドを支える為にその裏側で貢献されたKさん、この上ないライブを体験できたオーディエンスの1人としてその熱い献身に心からお礼を申し上げます。

なお、アンディのサウンドを支えるアンプについて詳しい資料がありましたので、リンクをこちらに。(記事終盤をチェック!)アンディは市販のアンプに1つ手を加えて使っているそうです。また2日目のライブ前に撮影されたビデオでも少々話しています。