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Green (@ribbon_bear) が毎週好きな音楽ネタを語ります! Since 2011

WINGER ライブ@Club Citta' 2014.11.23  Witness なサプライズ!

名古屋ライブの大興奮さめやらぬまま、WINGER来日最終公演の川崎、Club Citta'へ行ってきました。今回、4公演のうち、最初と最後に参加したのですが、結果的には大成功の選択だったと思っています。(全部行けたら最高なんですけどね)

キップはそれぞれの公演で約束どおり、ファン投票の中から初めて演奏する曲をやってくれたのですが、初日と最終日は私もリクエストしていた曲でした。こんな企画やってくれるなんて嬉しすぎる。またしても超ロング・レポになってしまいました。

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オープニングはサイレンの音から始まる、ツアーのオープニング・ナンバー "Midnight Driver Of A Love Machine"。お馴染みになってきたこの曲、オーディエンス参加できるコーラスやフラッシーなギター・ソロがあって、オープニングにぴったり。

カワサキ~!調子はいいかい? "In The Heart Of The Young" をやるよ!」

キップの一声で、"Can't Get Enuff" から2ndアルバムの完全再現ライブがスタート。そこからは立て続けに2nd 再現が完璧に進みます。欲を言えば、"Loosen Up" をアコースティック・ヴァージョンで聞きたかったなぁ。"Easy Come, Easy Go" の後、虹色のバラが投げ入れられました。

「アリガトゴザイマス。次はA面の最後に入ってた曲。俺たちも演奏するのが好きな曲だ」

A面とかB面とか、若い世代には分からないだろうな~、って思ったけど観客の年齢層はレコードの時代が分かる世代だったわ。(笑)幻だった"Rainbow In The Rose" を年に3回もライブで聞けるという幸せ。演奏はもちろんだけど、レブのコーラスが聞きどころでもある曲です。

少し間があって、チューニング・タイムのようでしたが、アルバムのイントロ音源に続いてレブのギターで"In The Day We'll Never See" 、続いて "Under One Condition"。これはバンドのコーラスとギターソロにしびれました。

「次の曲はベースなしで歌うよ」

とキップがベースをジョンに渡し、"Little Dirty Bronde"。 ベースを弾きながらだと歌いにくい曲なんだろうか。続く"Baptized By Fire" のラップがどうなるのかと思っていたのですが、キップとジョンによる交互のラップボーカルはお見事!2ndアルバム最後の "In The Heart Of The Young" でもキップの声が本当に良く出ていて、バンドのコーラスも美しい。

キップとポールを残して、メンバーが引き上げ、キップが12弦アコギに持ち替えました。直ぐに始まった演奏は "Blue Suede Shoes"。 そして今夜はジョンがベース、ポールがアコギの体制で "Who's The One"。名古屋と担当楽器が変わったのは、ベースを入れたかったということなんでしょう。通常の演奏に戻って、"Down Incognite" (最後にジョンのチキン・ピッキング付き)が終わると、

「俺たちをデビューからずっと応援してくれてありがとう。1stアルバムから3番目のシングル曲"Headed For A Heartbreak"」

プログレな演奏を見せるバンドはそのまま"Tin Soldier" で彼らの演奏力を披露。

「今年の4月に俺たちのニュー・アルバムが出てるけど、新しいバージョンも出てるからね。ニュー・アルバムからもう一曲やろう。今日はポールがいるからいいね。」

オーディエンスからのポール・コールにポールが手をあげて応えていました。やっぱりポールはライブに必要な人だわ!本当はここで "Queen Babylon" が聞きたかったのだけど、"Rat Race"。ロッドのドラム・ソロに続いては "Madalaine"。 ライブの定番曲であり、ショウのハイライトでもあるヒット曲。ポップな曲のエンディングをアレンジしてバンドの演奏をショウアップするジャムタイムがたまりません。

レブのギターソロ!今年のツアーでジョンがいない時の助っ人ギタリストだったドニーさんが言っていたけれど、レブのギターソロは毎晩違うそうです。本当?と思っていたけど、今夜も名古屋とは違ってた。レブって毎晩その日のインスピレーションで即興始めるんだ。出だしでちょこっと音を外して、「しまった!」と特大スマイルでちょっと顔を赤らめるレブがカワイイのなんのって。ギターヒーローぶりとこのギャップがたまらないのよねぇ~。美しいレガート・プレイと陶酔したレブの表情。オーディエンスの熱狂が伝わって、レブも相当気分が高揚していたと思います。

カワサキー!ありがとう!お前ら愛してるぜ~!」

と、あのちょっと甲高い声でレブが思い切り叫んでくれました。"Seventeen" で本編を締めたバンドはオーディエンスに挨拶をしながら、一旦引き上げました。満場の拍手の中、直ぐに戻ってきたキップの口からは大変なサプライズが告げられました。

「アリガトゴザイマス。今夜は日本で最後の夜だ。毎晩初めて演奏する曲をやるって約束をしているから、今日は "Witness" をやるよ」

それを聞いて場内騒然。コアなWingerファンからのリクエストは多い曲だったと思うのですが、ラストの超特大ギターソロを果たしてライブで出来るの?やらないでしょ?と思ってたファンは多いはず。私もリクエストしていましたが半ば実現は諦めていました。

演奏準備の間、レブが凄くナーバスになっている様子が良く分かりました。ペダルを確認したり、腕を動かしてみたり、立ち位置を変えてみたり。うわ~、緊張してる。リハの時間もあんまりなかったのかな。これで今夜、レブが初日ほどビールを飲んでいなかった理由が分かりました。ビールも飲んでいましたが、むしろ水を口にしていた方が多かったので、不思議に思っていたのでした。やだー、レブったら今日のライブは"Witness"で頭がいっぱいだったんでしょ~。

"Witness" は美しい曲。キップのボーカルが胸に染み込む~。そしてギターソロ凄い、レブはアルバムのソロを再現してる。あまりに見事な演奏にオーディエンスが息をのむ、私もその1人。鳥肌立ちました。("Witness"のソロ演奏にまつわる裏話はこちらの記事をどうぞ)そして曲の締めはあまりにも完璧なコーラス・ハーモニー!
"would you dare open your heart?" このフレーズで止めたエンディングはアルバムよりも好き。
川崎まで来て良かった!

名古屋同様にオーディエンスからベーシストを1人ステージに上げて始めるお楽しみ "Ain't Talkin' 'Bout Love" で終演かと思ったら、レブがチューニングをしていたので、まだ1曲やるんだと確信しました。

「ライブに行って音楽を支えるのは大事なことなんだ。そうすることで君らはライブを楽しみ続けることができるんだよ。Support Live Music! では"Pull" からもう1曲」

最後を締めたのは"Blind Revolution Mad" でした。最後に記念撮影をして、充実感あふれる笑顔で感謝の言葉と共にバンドは引き上げていきました。これほどの満足感を味わえるライブはめったにないでしょう。素晴らしいライブをありがとう!

川崎のライブはMCの時間をあまり取らず、2ndアルバムの再現もあったせいか、淡々と曲数をやってくれました。名古屋では米国でのライブ同様に観客をのせるためのトークなどがありましたが、ここまで3公演をこなすうちに日本ではロイヤルなファンも多いし、言葉の壁もあるので、演奏に集中するほうが良しという結論に至ったのではないでしょうか。日々のライブで反応を見ながら微調整をしてきたということなんですね。

そう考えると、米国でのライブに近いバンドのショウを名古屋で見て、レア曲や"Karma"の曲を聞き、川崎の最終日で2ndアルバムの再現と"Witness"が聞けたというのは最高でした。

今日のライブはカメラクルーが入っていましたので、何らかの形で音と映像が公開されることを期待しています。バンドへのリクエスト時に「前のライブDVDからもうずいぶん経つから、日本のライブでDVDかアルバム出してください」ってキップにお願いしたんだけど、届いてるといいな~。

本日のセットリスト

01. Midnight Driver Of A Love Machine
02. Can't Get Enuff
03. Loosen Up
04. Miles Away
05. Easy Come, Easy Go
06. Rainbow In The Rose
07. In The Day We'll Never See
08. Under One Condition
09. Little Dirty Bronde
10. Baptized By Fire
11. You Are The Saint, I Am The Sinner
12. In The Heart Of The Young
13. Blue Suede Shoes
14. Who's The One
15. Down Incognite
16. Headed For A Heartbreak
17. Tin Soldier
18. Rat Race
19. Rod drum solo
20. Madalaine
21. Reb guitar solo
22. Seventeen
encore
23. Witness
24. Ain't Talkin' 'Bout Love (Van Halen cover)
25. Blind Revolution Mad

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【おまけ:出待ち編】

終演後のサイン会にも外れてしまったので、最終日は1杯飲んでから出待ちの列に加わってみました。
最初に出てきたポールはにこにこと列の全員をケアしていました。やはりいい人。レブは疲れていたのか、列の中ほどから後ろのファンに応えてすぐにお迎えのバンに乗り込んでしまいました。残念!続いて登場したロッド教授はにこにことサインや握手に応えていました。

キップには聞きたいことがあったので、思い切って聞いてみました。(この質問にまつわる前日談はこちらの記事でどうぞ)

「どうして、WINGERとジョエル・ホークストラが初めて演奏したときに、"Oh! Darling" をやったの?」

「"Oh! Darling" は俺の好きな曲なんだよ」

「でも、あなたの両側には速弾きギタリストが立ってたのに?レブとジョエルよ」

「何で早い曲をやらなかったかってこと?」

「そう。ジミ・ヘンでもVan Halen でも "Helter Skelter" でもなく」

「そりゃ、サプライズだからだよ」 (キップ、にやり)

今日の"Witness"も相当なサプライズだったけど、キップはあの日、どんなギターバトルが始まるかと期待したオーディエンスを意表を突く選曲で驚かせ、最後には両ギタリストに花を持たせたということね…まいりました。

ジョンには素敵なファン・アート(ツイッターで知り合いになった方の作品)の件を直接伝えたかったので、

「このファン・アート見ました?」とスマホでジョンのイラストを見せたところ、

「こいつは凄い!」 と大喜びしていました。(ジョンってこんなに嬉しそうな顔するんだ!)

「誰が書いたの?」 と興味津々モードで聞かれたので、作者の名前とバンド宛にツイートされていることを伝えたところ、

「分かった、後で見てみるよ」 と言ってました。
(バンドアカウントの確認を繰り返していたので、これは社交辞令じゃなくて、本気とみた!)

翌朝にこのイラストがバンドからリツイートされて、ああ、ジョンがチェックしてくれたんだと、1人ガッツポーズでした。素敵なイラストを描いてくれたまるおさんにも感謝!

【おまけ:キップの12弦エレアコ逸話】

今回のステージで遂に拝むことができた、キップがソロ・ショウでいつも使っている12弦エレアコ
とても目を引くデザインだし、サウンドホールのない独特のフォルムなどが気になっていたギターでした。
YairiのAlvarezだよと知り合いの方に聞いていましたが、現行モデルは見かけません。

このギターでもうひとつ、とても気になっていたのが、フロントボディに描かれたピエロの絵
ボディカラーもそうですが、こんなに大きなイラストの入ったギターなんて珍しいので、何かこの絵はキップにとって特別なものなのかと長らく不思議に思っていたのです。
その後、キップの1stソロアルバム "This Conversation Seems Like A Dream" のブックレットを何の気なしに見ていた時にこのピエロの絵が印刷されているのに気がつきました。元の絵を反転させて使っているのです。(写真参照)

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この絵は何だろう?そう思っていたところ、友人から1stソロアルバムのアートデザインはキップの亡くなった最初の奥様が手がけていたという話を聞いてやっと気がつきました

「ブックレット内のアートデザインはベアトリス・ウィンガーによる」

とブックレットに記載されているではないですか!
そうか!キップは亡くなった奥様の手がけた絵をギターに入れているんだ!
そうすることで、たった27歳でこの世を去った最愛の奥様への想いをあのギターを演奏するたびに胸に刻んでいたのでしょうか。せつなくて悲しくて涙があふれそう。

キップは既に幸せな再婚をして、彼の天職である音楽制作に人生を捧げてくれていますが、キップの人間的、音楽的深みは様々な苦難を乗り越えて作り上げられたのだろうと感じました。是非ともキップのソロ・アコースティック・ライブを日本でも見たいと思うのです。