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アンディ・ティモンズ 『Resolution』 のインスピレーションはヴァイの一言

アンディ・ティモンズが英国でのギター・クリニックの際にインタビューに応えました。ギターのテクニカルな内容に加え、嬉々として様々な話を始めるアンディは、こんなに喋る人だったの~?と驚くくらい。しかも高速トーク!キャリアを振り返ってのなかなか興味深い話もしていたので、一部を和訳してみました。

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あなたは、ロック・スターの方向へは向かわずにセッション・ミュージシャンとしてのキャリアを築いてきましたよね。

僕がギターを始めたのは金持ちになるとか有名になるとかのためじゃなかったんだ。僕は見事にこのどちらにもなれなかったけど。(笑)Danger Dangerでメジャー・レーベルの契約があったけど、音楽と関係のないこともやらなくちゃいけなかった。そのために僕はギターを弾いてきたんじゃないって気持ちがあったんだ。

でもその後、僕は自分が本当にやりたいと思ったことをやれるチャンスに恵まれた。自分のソロ・アルバムを何枚も作ったし、サイモン・フィリップスのアルバムに参加したり、オリビアニュートンジョンのバンドでもプレイした。彼女は本当に素晴らしいシンガーだ。

ファンから世に出るためにどうすればいいのかって聞かれるけど、今はネットの恩恵がある。昔はもの凄く演奏が上手いことに加えて、とてつもなく幸運でなくてはいけなかった。チャンスにそこに居て、有力者に見いだされる必要があった。でも今では、ただもの凄く演奏が上手ければいいんだ。家でビデオを撮ってネットに上げればいい。そうすれば世界が見つけてくれるんだから。

私はギタープレイの技術に熟練していながら、メロディ・センスをしっかり持っているあなたのプレイに魅了されていたんです。

ありがとう。僕はミュージック・ファンとして育ったんだ。技術的に凄い演奏を聞く前に、素晴らしいメロディを聞きたいんだ。技術力というのは自分のパレットに沢山の色を持つようなもので、表現力を上げてくれる。オーディエンスもそこに夢中になってくれたりする。初めてイングヴェイを見た時は圧倒されたよ。あれは人生で見た中で最高のプレイだった。でも僕には自分はこの方向じゃないって分かったんだ。

G3は続いているんですか?

もちろん。今はG4をやってるんだ。ギター・キャンピングなんだよ。ジョー・サトリアーニ、マイク・ケネリー、ポール・ギルバートと僕に300人くらいの生徒でやるんだ。彼らの素晴らしいところは優れたプレイヤーであると同時にコミュニケーション力が優れているんだ。これっていつでも起こることじゃないんだよ。特にジョーは素晴らしい。

ジョーの自伝本 (Strange Beautiful Music) は読んだ?一番のオススメだよ。特に最初の数章はジョーがどうやってギターを手に取り、プレイしていくのかが書いてあって、お気に入りなんだ。12歳のスティーブ・ヴァイが16歳のジョーのところにギターを習いにやってくるんだ。この年頃には大きな年の差だ。学校の廊下でスティーブはジョーを影から見ていて、今日は何を着てるとか、今日は「ハイ」って声をかけれたとか言ってたんだ。ティーブが書いてたけど、レッスンは週に1日1時間だったそうだ。それに集中してる彼が微笑ましいんだ。

(訳者ひとり言:学校の廊下シーン、週に1度のギターレッスン・シーン、どちらも大好きなシーンです!アンディと一緒!)

昨年、ロベン・フォードのクリニックがあった時に聞いたのですが、彼はジョー・パスのレッスンを受けたそうで。ギターの名手が先輩の名手から学んだという話は僕も好きなんですよ。
Ibanezとの付き合いはどれくらいなんですか?

多分、91年か92年くらいだったと思う。当時Danger Dangerにいた僕はKRAMERを使っていたんだけど、

覚えていますよ。どピンクのギターでしたよね。

はは(苦笑)フロイド・ローズとサステイナーの時代だったね。どういう訳かあの会社はビジネスから撤退してしまった。当時の僕は幸運にもDanger Dangerにいて、MTVに出ているような時代だった。だから複数の会社からオファーをもらっていて、NAMMショウに行ってブースを見渡しながら、どこのメーカーのギターにしようか考えていたんだ。

Ibanezは既にジョー・サトリアーニスティーブ・ヴァイ、ポール・ギルバートを獲得していて、僕の親友のレブ・ビーチもIbanezを使っていた。僕も彼らの仲間に加わりたいって思ったのさ。

それでアーティスト契約のクリス・ケリーに会ったんだけど、彼は「Danger Dangerは好きじゃないけど、君は好きだ」って言ってくれて、最終的に日本の本社を説得して僕と契約してくれたんだ。そして「君の理想のギターは何だい?」って聞かれる段になっても僕は全くアイデアが浮かばなかった。

それで彼は1から作りあげることにして、色々な米国産カスタムギターを送ってくれた。僕はストラトのネックが気に入ったんだよ。ペグはゴトー。これはオリジナルのプロト・タイプでほとんど当時から変えてないんだ。ほら、1994年の2月14日、バレンタインデーだ。ピックアップは元がジェフ・ベックモデルのダンカンだったけど、その後デマジオと僕で製作したので、それになってる。

僕はシグネチャー・ギターを出すんだったら、自分が使っているものと全く同じものでなくてはいけないという強いこだわりがあったんだ。だから部品なんかも高くて、出来てみたら、Ibanezシグネチャーの中でも最も高額な類のギターになってしまった。僕の願いを聞いて正確に作ってくれたことにはとても感謝しているよ。

(この後はアンディのシグネチャーと新しく出たその廉価版のギターを比べて試奏して、そちらも凄くいい出来だと話しています)

あなたのアルバム"Resolution"は素晴らしいです。

ありがとう。あのアルバムはオーバーダブを使わずに、ただギターとベースとドラムで作ったアルバムだ。あれはインスト音楽をプレイする上で自分をもう一度奮い立たせてくれた作品だ。

当時、リズムギターにもメロディにもこれといって熱中できなかった。でも、これの前のアルバムを聞いたスティーブ・ヴァイがギター1本で弾いたある曲について「君の指はフレットと一体になっているね」と褒めてくれたんだ。それで、もしこれをアルバム全部でやってみたらどうだろう?って思ったのさ。つまり先輩に奮い立たせてもらったんだよ。それで自分のプレイを1から考え直したんだ。

自らにプレッシャーをかけてプレイの原点に戻るというのは素晴らしいチャレンジです。エフェクト類も使わず、ただプラグインして原点に戻るというのもいいですよね。

はは。でもギタリストはペダルが大好きだから(笑)でも僕が昨夜使ってるのは2つだけだよ。ゲインとディレイがあればいいんだ。

(この後は今年の来日時にも使っていたプロトタイプの白いギターを演奏しています。ジェフ・ベックみたいな真っ白いギターが欲しかったので作ったそうです)

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最近ではサイモン・フィリップスのニュー・アルバムのレコーディングに参加していたアンディ、来年も来日してくれるかも。

下の動画は91年(93年かも)のNAMMショウで、アンディが仲間に加わりたかった人々とジャムしてる映像。アンディはレブの隣に立って弾いています。もちろん、ジョー・サトリアーニスティーブ・ヴァイ、ポール・ギルバートも勢ぞろい。ちなみにこの時のドラムはサイモン・フィリップス