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Green (@ribbon_bear) が毎週好きな音楽ネタを語ります! Since 2011

スティーブ・ヴァイ The Secret Jewel Box 15年後に明かされた秘密のインタビュー!Part 2.

先週に引き続き The Secret Jewel Box に隠されていたヴァイ先生のインタビューCDの内容の続きです。

「なお、ここで今話している時と事情が変わって、私が話している曲がディスクに収録されず、私が話してもいない曲が収録されることになるかも知れない」

とご本人がコメントしている通り、Archives, Vol. 3&4 については先生の語る内容と収録内容がかなり異なっています。実際のトラックとの違いをチェックしながら、先生のお話を聞いていくとなかなか面白く、ヘヴィなヴァイファンにはオススメの内容です。

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Archives, Vol. 3: Mystery Tracks

"Speeding"

元は "Kill The Guy With The Ball" の最初のパートだった。でも曲が長過ぎてカットしなくてはならなくなったのだ。オジー・オズボーンと仕事をしたときにどうかと思ったのだが、結局、エグチ・モリタカという優れた日本人のドラマーに曲を送って、強力なドラムパートの録音を入れてもらった。これは彼のアルバムに入っているよ。(訳者注:正確にはヒグチ・ムネタカ 樋口 宗孝)

"The Rumble"

エスト・サイド・ストーリーは私の子供時代から大好きなサントラで、大変な影響を受けた。これを聞いて将来は音楽家になろうと思ったものだ。ウエスト・サイド・ストーリーのコンピレーションアルバムを作ることになったプロデューサーでアレンジャーのデヴィッド・パックが私にコンタクトしてきたんだ。

"The Rumble" という曲でチック・コリアと彼のバンドとの仕事だった。コンセプトは2つのバンドが対立しながらプレイするというものだった。楽しかったのはスタジオでのこと、彼は鍵盤を首から掛けていて、私と向き合って前後に動きながらプレイしたんだ。彼のプレイは凄かったよ。

(訳者注:この曲は "Archives, Vol. 4: Various Artists" 収録です。ヴァイ先生はここではレコーディング時のバンドの説明をしていませんが、ディスクのブックレットにはミュージシャンの詳細が記載されています。それによると、このコンセプトはジャズとロック ミュージシャンの2つのバンドが対峙するというもので、ジャズチームを率いたのがチック・コリア、ロックチームを率いたのがヴァイ先生でした。ロックチームにはサイモン・フィリプスやデヴィッド・ペイチの名、ジャズチームにはフランク・ギャンバレの名も!)

"Sofa"

Zappa Universe はザッパのトリビュートバンドで、彼らに曲を提供した。私はNYに行って彼らとライブで共演したんだ。この時の演奏は Best Instrumental Rock Performance でグラミー賞を受賞した。そのグラミーはちょうど今この部屋のマントルピースの上に置いてある。

"Let It Go!"

Wild Style という日本のバンドの曲で私がギターパートを弾いている。

(訳者注:この曲は収録曲ではありません)

"Funk Me Tender"

バークリーで同級生だったランディ・コーヴェンとはとても仲が良かった。彼と私は Morning Thunder というバンドをやっていた。

(訳者注:当時の詳しい思い出話はこちらの過去記事でどうぞ。2014年に亡くなったランディのことを先生が語っています)

ランディがソロアルバムを作るというので、そこにギターパートで参加したものだ。この曲は Morning Thunder でやっていた曲だ。

(訳者注:この曲は収録曲ではありません)

"Drifting" "Bold As Love"

エディ・クレイマーのプロジェクトで、ジミ・ヘンドリックスの楽曲をオーケストラアレンジして、ロックバンドとロンドンのメトロポリタン オーケストラが演奏した。 "Bold As Love"でクールだったのは、スタジオで演奏する時に、ドラマーのトニー・ウィリアムズ他の皆がジミヘンのTシャツを着てプレイしたんだ。そのTシャツはカルロス・サンタナからのプレゼントだったんだよ。

(訳者注:この曲は "Archives, Vol. 4: Various Artists" 収録です)

"Fool For Your Loving" (Vai Voltage Mix)

私が Whitesnake に参加した当時、彼らは世界中で1400万枚ものレコードを売り上げた直後だった。彼らは実際にパフォーマンスも演奏もできるヘヴィメタルバンドとして尊敬を集めていた。優れたミュージシャンのバンドだ。

当時の私はちょうど Passion And Warfare を仕上げたところで、レコードが売れるとも思わなかったし、あのアルバムでツアーが出来るとは思いさえしなかった。デイヴと道を別けたところで、クールなロックバンドでいい楽曲をプレイするのもいいかと思ったんだ。

それに世界をツアーして、王族のような扱いを受けるのもいいと思ったんだが、ツアーが始まってみると Passion And Warfare のプロモーションにも、とてもいい機会だった。私が当時 Whitesnake に参加したことに混乱している人も多かったけれど、80年代はビッグヘアのロックギター名手たちにはいい時代だったのさ。私はそれにハマったからね。(笑)

私には2つの生活があったんだ。1つはビッグなロックバンドで世界中のアリーナをツアーする男、もう1つは秘密の生活でスタジオに座って心の底にある変な音楽を録音する奴さ。その音楽でまさか生計を立てられるとは思わなかったよ。

WhitesnakeDavid Lee Roth と同じようなタイプのケースで、大観衆にギターをプレイできる素晴らしい機会だった。素晴らしいミュージシャンとアルバムを作れたし、それにクレイジーな衣装もたっぷり。ヘアスタイルも何でも好きなことがやれた。そしてツアーして世界中を周れたんだ。実に素晴らしいミュージシャンに恵まれていたよ。

毎晩デヴィッド・カバーデイルがステージに上がり、何の不満も言い訳も無く、彼のやり方で本気の歌を聞かせるところを見たのには実にインスパイアされたし、そこに参加できたのはこの上ない経験だった。

"Fool For Your Loving" は私自身のアイデアにより、ギターパートを再構築したものだ。オリジナルバージョンは以前のアルバムに収録されていて、これはリメイクだった。2バージョンあって、1つはビッグなギターウォールのサウンドで、もう1つは Vai Voltage Mix だ。そこではギターで様々な音のタペストリーを構築した。

(訳者注:この曲は収録曲ではありません。Whitesnake の収録曲は "Archives, Vol. 4: Various Artists" の "Sweet Lady Luck " )

Archives, Vol. 4: Various Artists

日本では国内盤が輸入盤よりも価格が高いというケースがある。彼らは国内盤を売るためにボーナストラックを収録する慣習がある。このディスクにはそのボーナストラックを収録した。

(訳者注:下に出てくるボーナストラックは断りが無い限り "Archives, Vol. 3: Mystery Tracks" 収録曲です)

"Just Cartilage"

これは Sex And Religion のボーナストラックだ。この曲はこのアルバムの他の曲とは違うレコーディングのやり方をした。私が書いたベーシックなリズムパートをベースプレイヤーの T.M.スティーヴンスに送って、好きなようにプレイしてくれと言ったんだ。それをデヴィン・タウンゼントに送ってボーカルパートを書いてくれ、録音しようと言ったのさ。当時のレコーディング作品の中のお気に入りの1つになった。

"The Murder"

Fire Garden のボーナストラックで、ちょっとしたジャムソングだ。

"San-San-Nana-Byoushi"

Alien Love Secret のボーナストラックだ。日本では宴会や会合の最後にこうして手を叩く習慣がある。(先生が実際に叩いてみせる) これが "San-San-Nana-Byoushi" だ。よしこのリズムで曲を作ろうと思いついてできた曲だ。

(訳者注:あの、会合の後に三三七拍子ってのはちょっとないかと、宴会でも三三七はないのでは? 汗)

"Selfless Love"

The Ultra Zone のボーナストラックで、母に捧げた曲だ。こういったシンプルなアコースティック曲のアイデアが沢山あるから、いつかやりたいと思っている。

"Maple Leafs"

Alive In Ultra Zone のボーナストラックだ。この曲はアイルランドでのサウンドチェック時に録音した。ドラマーのマイク・マンジーニがリハーサルに出られなかったのだが、私はどうしてもアイルランドの曲を録音すると決めていた。その場にいたのは私とマイク・ケネリーだけだったので、2人でこの優れたメロディのシンプルな曲を録音した。アルバムに良くフィットしていると思う。

(訳者注:先生はアイルランドと連呼されていますが、この曲はカナダの曲なので先生の記憶違いだと思われます。だってタイトルはメイプルリーフだし、汗)

"Feed My Frankenstein"

青春期の私のお気に入りのアーティストはアリス・クーパーだった。彼の音楽は素晴らしく、アレンジもクールでシアトリカルなロックンロールだ。私の好きなモノが詰まった音楽だ。いつか彼と何かやりたいと思っていた。

ある日アリスから電話がきて、彼のアルバムでギターソロを弾いてくれと言うんだ。もちろんこの機会に飛びついたよ。ジョー・サトリアーニとアルバムで共演したのは初めてだった。残念ながら一緒にプレイしたのではなく、録音テープを送り合ったものだ。

(訳者注:これ以降にコメントされる曲は "Archives, Vol. 4: Various Artists" 収録曲です)

"Western Vacation"

Western Vacation は友人のマーティ・シュワルツのバンドで彼とは大学時代からあちこちで一緒に暮らした親友だ。彼のところには何人ものミュージシャンが転がり込んでいて、スチュ・ハムも一時期いたけれど、ミュージシャンの避難所のようなところさ。このバンドのアルバムでソロを頼まれたので参加したんだ。

当時のシルマーでの暮らしは素晴らしかった。ここで私の最初の、いや実際は2つ目のスタジオを作ったんだ。Stucco Blue Studios と言うのだが、ここでは Flex-Able, Flex-Able Leftovers, Passion And Warfare, デイヴの Skyscraper など大量のレコーディングをした。ある曲にボーカルで参加したスザンナは "Under The Same Moon" という本を書いたんだ。当時のシルマーでの暮らしが少し書かれている。

"Ease" "Home"

Alcatrazz でツアー中に友人から電話があって、プロデューサーのビル・ラズウェルPublic Image Limited のアルバムを手がけているというんだ。南アフリカぽいフィールのコンセプトでアルバムを作っていて、ヘヴィなギターを加えたいそうだった。NYへ飛んで、ELLスタジオに入り1日半でレコーディングした。もう1人のギタリストはニッキー・スコッポリーデスでクールなプレイヤーだったよ。

"There's Still Hope" "Autumn In Nepal"

親しい友人のボブ・ハリス(婦人は上記のスザンナ)がソロアルバムを作ることになった。彼はザッパバンドで私の同僚だった。多くのワーキング・ミュージシャンは何度もその忙しい仕事の中で突然壁にぶち当たることがある。そして彼らにとって個性的でオリジナルなものを作らざるをえなくなる。そういう時に彼らの最高の作品が生まれるのだ。

ボブにとってはこれがそうだと思う。彼は「このアルバムを作らなくてはならない、ずっと私の頭の中に聞こえている音楽がある」と言っていた。それがアルバム The Great Nostalgia だ。とても美しいアルバムでそこに私も参加したんだ、とても気に入っているよ。

"Super Girl"

よくセッションの仕事の依頼が来るのだが、私はあまり好きではないので断っている。でもなぜかこの依頼には興味が湧いて引き受けたのだ。日本のスーパーグループ Rebecca だ。ギターソロを提供した。

(訳者注:この曲は収録曲ではありません)