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キップ・ウィンガー 「ニューアルバムはバンドの誕生からこれまでの歩みを包括するものにしたかった」

Winger が前作『Better Days Comin'』からは10年ぶりとなるニューアルバム『Seven』を5月5日にリリースすると発表し、先行してシングル "Proud Desperado" を公開しました。

 

全曲のサンプルを聴いてみて、過去作の集大成とも思えるサウンドと感じました。ヴァイオリニストを迎えてのボーナストラック"Proud Desperado" アコースティック版もさすがの出来で、マエストロ・キップに脱帽となりそうです。

過去5年程、キップにニューアルバムの予定を直接訊いたことも数回あったし、パンデミック後には海外メディアやSNS情報から進行状況をチェックしながら気長に待ちつつ、いったいいつになったらリリースできるのかと案じていましたが、発売日が出てほっと一息。本当に長かったよ。

しかもバンドは春から英国、夏は北米ツアーが多数予定されており、9月には豪州、その後に日本へ行きたいとのこと。(プロモーターとの話がついて実現しますように!)今年の秋冬は超多忙なコンサート祭りが待っていそうです。

ニューアルバムの宣伝でキップが多数のインタビューを受けており、その多くがこれから公開されそうです。さらに16日にはキップのFBでライブチャットが行われました。

そのチャットからの情報まとめと、他のインタビューから内容をピックアップして概要を以下にまとめました。

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FBライブチャットからの情報まとめ

ニューアルバム『Seven』

・ニューアルバムのコンセプトは、1stアルバムと『Pull』が交わり、『Karma』のテイストを少し加えたもの

・バンドロゴをオリジナルに戻し、ポール・テイラーがバンドに復帰、メンバー全員が全曲でプレイしており、最も真正な Winger アルバムであると感じている。

・アルバムの12曲はレブと作曲に注力した。ハズレ曲は無い。作詞にも時間を掛けた。ロッドのドラムは凄いし、バンド全員がプレイしている。

ジョン・ロスと俺の共作は "One Light to Burn" だ。サンプルが聴けるよ。

・バラードは1曲ある。もう1曲バラードぽいのもある。 "Headed for a Heartbreak" 第2弾みたいなタイプで、言わば壮大な曲だ。

・"Proud Desperado" はレブと俺で書いた。メロディも書いたが歌詞で行き詰り、デズモンド・チャイルドに頼った。パートを素晴らしいものに仕上げてくれた。

・レブ恒例の長いギターソロが "Proud Desperado" に無いとの指摘に対して:一部俺1人で書いたところもあるが、殆どは俺とレブで曲を書いた。曲に(長い短いではなく)ふさわしいものを書いている。"Proud Desperado" のギターソロはレブ最高のソロの1つだと思っている。なぜならあれでは全てのレブのプレイが入っている。タッピングもアームプレイもリッチー・ブラックモア的プレイも少々。

レブ恒例の長いギターソロは2nd シングルにあるから楽しみにしてくれ。近いうちに公開。この曲がニューアルバムの中で俺のお気に入りだ。サプライズにしたいから詳しいことは言えない。

・ボーナストラックは "Proud Desperado" のアコースティック版で、日本限定だ。弦楽四重奏のアレンジをした。パーカッションはロビー・ロスチャイルド。トレイシー・シルバーマンがストリングス、チェロは名前をど忘れしたけどクレジットに書いてある。俺はクールなアレンジをしたんだ。

・ジャムしているうちに曲が全く違うものになっていくことがある。"Your Great Escape" が "Disappear" に変わっていくんだ。ニューアルバムに "Heaven's Falling" という曲があるんだが、エンディングにロッドがスペシャルなドラミングをしている。

・プロデューサーとエンジニアは俺が兼務した。だがミックスは友人のジャスティン・コールドリューに頼んだ。彼はマイク・シェプリーと仕事をしてきたし、ボブ・エズリン他の偉大なプロデューサーともやってきた。

・古いロゴを戻すアイデアは俺。ニューアルバムはバンドの誕生からこれまでの歩みを包括するものにしたかった。だから、オリジナル・ロゴとフェニックスの背景に『Karma』のデザインを配置した。

・MVはまだ6曲ある。

 

ツアー

・ツアーについては予定が入り多忙になる。(詳細はオフィシャル参照)

・9月のオーストラリア・ツアーに向けて動いている。

日本のファンはプロモーターに連絡して欲しい。俺たちは日本でプレイしたい。

(訳者注:前日のラジオ番組ではツアーについて「オーストラリアの後、できれば日本でも」と言っていましたが、FBでの話し方では日本側との話が難儀している模様)


Winger 過去曲について

・"Under One Condition" では兄のネイトがバックコーラスのハーモニーを書いた。彼はそこの天才なんだ。

・"Generica" のコード変更とハーモニーは最高!のコメントに:俺の個人的お気に入り。音楽理論を試していて、新たな閃きが書いているときにあった。

・『Live in Tokyo』(1991)のリイシューはないかの問いに:わからない。あれがどこにあるかも不明。探してみるよ。

・『IV』の作曲ではかつてないほどの自由を感じた。興味深いことに 1st, 2nd アルバムが好きで『IV』が嫌いだったファンが立ち戻り、『IV』を好きになっている。意識下で育つようなアルバムなんだ。

・"Pull Me Under" は好きな曲。ついこの前、バンドにこの曲をオープニングにしたいと言ったところだ。『Karma』ツアーで使った。

・『IV』のようなプログレッシブな方向は考えていないかのコメントに:Winger のプログレ的要素は気に入っている。もっとその方面に行くこともできる。俺は子供の頃からそんなバンドを好きで聴いてきたから。(Jethro Tull、YES 等)

 

ライブパフォーマンス

・レブはステージでギターを持てば、稲妻に打たれたかのように内面にチャネリングできるギタリストだ。家でスマホを前に速弾きするギタリストとは違う。全てを肉体に宿しているんだよ。それを35年間隣で目撃したのは驚異だ。ロッドにも同じことが言える。

・61歳になって喉に少々の問題が生じた。ケアに時間が掛かり、ニューアルバムの為に声の準備をするのに大変な努力を要した。ロックして確かなボーカルとなるよう努めた。ライブで少々乱れることはあるが、まだ高音が出せることに満足している。

・"Spell I'm Under" の高音はまだ出せる。難しいし、回復に時間がかかる。

・記憶に残るギグのトップ3は、1992年パリ、Scorpions のオープニングは恐らく俺の最高のショウ。KISSのオープニングでのマジソン・スクエアガーデン、それから去年のギリシャでのデズモンド・チャイルドのコンサート。

 

その他作曲などプロジェクト

・制作中のヴァイオリン・コンチェルトは第1及び第3楽章は書き終えたが第2で行き詰っている。来年どこかで披露できるのでは。

・"交響曲第一番" のアルバム収録はもう少し先になる。今のヴァイオリン・コンチェルト他、多くの作品を収録したい。

・"Conversations With Nijinsky" の第3楽章は自分の作品の中で最もお気に入りだろう。

・おそらく次のソロアルバムはダブル・アルバムになる。やることが沢山あるのでまだ手をつけられないが。

・『Get Jack』で映画を作ったらというコメントに対し:奇遇だ。ちょうど今日俺もダミアンにあれで映画ができないかと言ったところだ。コロナでブロードウェイは閉まってしまったが今は戻ってきているので、あれを当初計画に戻して進めるべく、コツコツ努力している。

・『Conversation with ***』(昨年キップのYouTube チャンネルで開始された対談番組。初回ゲストはアラン・パーソンズ)のゲストにスティーブ・ヴァイを迎えた。3パートから成るビデオになる。非常に有益な内容で、スティーブは長い時間話してくれた。基本的には俺がファンな人物との会話。

(訳者注:キップのクラシック・アルバムのサンクス・リストにはスティーブ・ヴァイの名前がある。この点について以前キップに質問したところ、同じクラシック作曲家のロックミュージシャンとして交流があり、意見交換やアドバイスなどもらった、という趣旨の返答だった)

 

その他音楽関連

・俺はクラシックばかり聴いて、あまりロックは聴いていない。でも最近聴いたものでロックというと、Falling In Reverse というバンドだ。クールだからYouTube で聴いてごらん。ケイン・ロバーツのオススメだったんだ。

・Greta Van Fleet について:明らかに強い Led Zeppelin の要素がある。

・38 Special (米バンド)を聴いて育った大ファンだ。エージェントから彼らのオファーを聞いたことがあり、驚き嬉しかった。

・ソロで使うアコースティック・ギターのチューニングはドロップC。ショウではコンプレッサーを使い、低音をPAに繋ぐ。それが俺の頭の中のキックドラムなんだ。それが俺のサウンドの秘密。

 

飲食関連

・2012年以来酒を完全に断っている。喉を乾燥させてしまうから歌の為に止めた。でも止める前はシングル・モルトのスコッチ Ragganmore (と聞こえる)が好きだった。あとワインならカベルネ・ソーヴィニヨン。あの味が恋しいよ、でも俺は断酒記録を破る気はない。

コソボ(去年の夏に行った)のソーセージは絶品

ポーランドワルシャワの食は最高

メルボルンのコーヒーは絶品

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インタビュー動画から一部

ヴァイ先生との対談動画を近日公開予定

スティーヴ・ヴァイと対談したんだ。近いうちに俺のYouTubeチャンネルで公開する。スティーブは博学のクラシック作曲家だ。それと同時に、彼は自認しているようにとことんやる奴だ。変わった服を着たり、派手なロックスターにもなる。

彼は子供時代に、親の影響で『ウェストサイド・ストーリー』を見てショウビズに引き込まれると同時に、彼自身はとてもシリアスな作曲家なんだ。

そこは俺も同様で、作曲に関して真剣に向き合っているし、その一方で俺もとことんやりたい。そこにはシアトリカルな要素があって、光るスーツに変なサングラスで叫んでも気分良く感じるのさ。同時にシリアスなアーティストでもある。彼とは同類の精神を持っていると思う。

Metallica ジェイムズ・ヘットフィールド

1年半程前にジェイムズ・ヘットフィールドから電話があって、(ラーズがMVでキップのポスターにダーツを投げた)一件について謝罪を受けたよ。

彼はとても潔く、彼のような人柄の人物とは完璧に友人の関係になれる。彼はとても誠実で、俺の一件を追い払うために電話してきたのではない。彼は何度かメッセージをくれて、それから時折メッセージをやりとりしている。ラーズからは連絡はないだろう。

あの一件のとき、皆がまだ若造でああしたら面白いと思ったのだろう。俺にとってはミュージシャン仲間をこき下ろす行為であり、面白くはないけれど。

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2018年時点でのニューアルバムに関するコメントはこちらで。

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