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Green (@ribbon_bear) が毎週好きな音楽ネタを語ります! Since 2011

スティーブ・ヴァイ 「創造的であろうとする欲求と私の創造的意図に基づいた音楽を追求すること」

遂にヴァイ先生のニューアルバム『Inviolate』が発売されました!

今週25日に国内盤が届いてからひたすら繰り返し聴いていますが、万華鏡のようなVAIワールドに魅了され続けています。1曲目の Hydra サウンドの怪しい魅力は衝撃的!これまでに発表された楽曲もドラムトラックがマシンから腕利きプレイヤーに差し代わって、もの凄くクールになっています。

ニューアルバムのプロモーションで先生が受けた取材の記事や動画が毎日数個オンライン上で公表される日々が続き、私の処理能力を上回っておりますが、少しずつ当ブログで取り上げていきたいと思います。

今週はこちらのインタビュー記事から一部を和訳してみました。

smashinginterviews.com

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素晴らしいニューアルバムです。なぜタイトルを『Inviolate』に?

暫く前に見つけた言葉なんだが、とても気に入っているよ。基本的には害が及ぼされない、完全に安全なことだ。この言葉を私が使用したのは、これが人間の精神そして創造的本質に類似しているからだ。

作品を通しての音楽テーマはありますか?

作品を通しての音楽的テーマというのは必ずしもテーマではなく、一つ筋の通ったものでもある。この筋というのは私のメロディ感受性だ。私は速弾きギタープレイヤーとして認知されているが、このアルバムでも全てのアルバムにおいても、メロディが最重要なんだ。私は全てが欲しい。苦も無く、洗練されて滑らかな速弾きができるプレイヤーでいたい一方で、メロディックでなければならない。つまり、アルバムを通しての筋はメロディックであることだ。それが私の音楽的感受性に流れているものだ。どのアーティストも同様だと思うよ。

"Little Pretty" と曲に名付けたのはなぜですか?

思い浮かんだリフとコード変更を試していて始まったのが "Little Pretty" だ。コードというのは人の内面の感情を創造できるんだ。なぜかあの曲には面白いことにファンキーな暗さがある。原題は "The Red Flower" だった。というのも、私のiPhone に録音した2小節のフレーズから最初のアイデアが生まれたからだ。でも次第に曲自身が人格を持ち始め、私に曲を教えてくれたのさ。

すると、メロディが "Little Pretty" と言っているように聞こえ始めた。私は「オズの魔法使い」か「赤ずきん」と結び付けてイメージするようになった。とても魅惑的だ。何か魅惑的で興味を掻き立てられるものがある。これは私というミュージシャンの想像だから、そうなるのさ。私は "Little Pretty" をフレーズにしてメロディに何度ものせてみた。だから、何度も曲全体から聴こえてくるよ。まあ、基本的にはそうして出来たんだ。

ソロアルバムの制作前はいつも同じアプローチなのでしょうか?

私は80年代の昔から録音/作曲した音楽を世に出そうとした。ヘヴィなメロディでこれまでに私が試したことのないギターテクニックを使うことに焦点を当てた。実に素晴らしい経験だったが、同時に実に困難だった。これまでにやったことのない難しいテクニックを使った曲がアルバムに収録されている。

同じなのは、創造的であろうとする欲求と私の創造的意図に基づいた音楽を追求することだ。これは私にとって常に変わらない。最初からそうだった。しかし、プロジェクトは様々だ。だから、表面的なレベルではプロジェクトへのアプローチにはあらゆる種類のプリプロダクションがある。それはプロジェクトによって違うものだ。

(訳者注:この後で Hydra ギターの話題になりますが、同じ話題の解説をYG誌の取材でヴァイ先生が語っていますので、動画でどうぞ)

 

あなたがDLRバンドに加わったのは、ビリー・シーンがあなたにはザッパ的ユーモア精神があるので完璧だとデイヴに推薦したそうですが。

ハハ、デイヴのことを想像するなら、例えば "California Girls" で彼がやったような型にはめた面白さを思い浮かべるだろう。彼には面白くてコミカルなところがある。それはフランクも同様だ。音楽にユーモアを持込む人というのはそう多くない。そういうことをやるバンドもいるけれどね。で、デイヴもフランクもやっていた。ビリーが言っていたのはそのことだろう。

あなたもやっていますよね。

もちろん!私のカタログを聴けば、奇妙で可笑しなちょっとしたナンセンス、子供や人の声で面白いことを言っているよ。こういうのが好きでね、でも『Inviolate』には一切無い。

デイヴがラスベガスのショウをキャンセルして終わったと言っていますが、あなたは引退を考えたことはありますか?

いや。頭の奥で妄想したことはあるよ。朝起きて、ペットに餌をやって、散歩に行って、妻と出かけて、何もせずただ旅行したり。ただの妄想さ。そういうのはもう十分やったと思っていて、作曲のプロセスというのは終わりが無いんだ。

近代作曲家として歴史上最も優れた人物、エリオット・カーターに以前会ったことがある。102歳の彼はそのとき取り組んでいたフル・オーケストラの譜面を見せてくれたよ。だから、私が引退することはないだろうね。

(訳者注:エリオット・カーター氏は2012年に104歳で亡くなりました)

これまでのあなたのキャリアでのハイライトは何ですか?

何かをやらずにはいられないアイデアを思い付き、それを実行し、聴いてみて、自分の期待以上のものができたとき。それこそがご褒美さ。それが本物の報酬なんだよ。

『Inviolate』について何か言いたいことは?

スティーブ・ヴァイのファンでないとしても、このアルバムの何曲かは大いに楽しめるのではないかな。たっぷりメロディがあるからね。メロディこそが私にとって第一の重要要素だ。

これらをプレイするのをとても楽しみにしている。私はこのアルバムをライブで演奏するために制作したんだから。ライブはいつも楽しいし、気分が上がるよ、私は演じるのが好きだから。私は自分のことをサービス提供者だと考えている。

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