Stay Together

Green (@ribbon_bear) が毎週好きな音楽ネタを語ります! Since 2011

キップ・ウィンガー ライブ@ Nagoya Jammin' 2018.03.10 初ライブ演奏曲を含む超レア曲のセットリスト!

キップの初ソロ・アコースティック ライブを名古屋で体験できるとは奇跡的!名古屋の入りを心配しつつ、日本でどのようなフルセットのショウを見せてくれるのか、楽しみで仕方ありませんでした。

開場したステージを見ると、そこには通常キップのソロライブには見かけないものがセットしてあります。まず目をひいたのはステージ下手にセットされた鍵盤。これはキップが弾くということですが、海外のソロライブでは見かけたことがありません。

ステージ上手にはパーカッションのセッティング。しかし、通常のボンゴだけではなく、シンバルもカホンもマイクもセットしてあります!どういうこと?さらにステージ奥には黒い12弦ギターが。これはバックアップ?さすが日本でのライブはギターのバックアップもあるのね。海外ではバックアップなしでやっているので、弦が切れるとその場でキップは弦を張り直しするのですが、日本では違う!

Kipnagoya2018拍手に応えながら登場したキップ、見知らぬ男性を連れています。パーカッションはいつものベン・ハインズじゃないんだ!

「やぁ、みんな調子はどう?キップ・ウィンガーだ。こっちはパーカッションのロビー・ロスチャイルド。彼は俺のソロアルバム全てでプレイしている」

何と、キップはソロアルバムのオリジナル・プレイヤーを連れてきてくれました!1曲目の"Cross"が始まって更に驚いたことに、ロビーさんはコーラスも歌っています!キップのソロライブでコーラスまで付くなんて凄い。キップの12弦と重なってロビーさんの強力なパーカッションで音はとても濃厚に。

それにしても、キップのノドはベストに近いレベル。Winger ライブでこれだけ調子がいいキップはそうそう聞けない。こんな調子のいいキップの声をアコースティックでじっくり聞ける。こんな幸せな体験ができることに、ひたすら感激。

「俺の初めてのソロアコースティックでの日本ツアーだ。来てくれてありがとう。リクエストにも応えるよ」

とキップが言うので、"Better Days Comin'" と言ってみると

「それはやらない」

案の定の速攻却下。オーディエンスから一気に大量のリクエストが連呼されるものの、キップの準備曲ではないようで、全て却下。もう一度と思い "So Long China" を言ってみると、

「それはやるよ、"So Long China" 推しが入ったぞ!それはセットリストのもっと後に出てくるから。実は今夜のセットリストはここにあるんだよ」

と、12弦ギターのボディサイドを見せるキップがオーディエンスの笑いを誘います。バンドでの演奏時とは違うアレンジで聞かせてくれる "Can't Get Enough" も好きだなぁ。

「次は1stアルバムから。(何度もリクエストされてる)"Without The Night" じゃないけどね(笑)、これはソロ・アコースティック・ショウだけど、俺は一応ロックするんだ」

と言って、メロイックサインを作ってポーズをとるキップ。グラミー賞にノミネートされるクラシック作曲家になってもこういうことをしてくれるキップでした。

「今夜のライブではめったにプレイしない曲もやるし、何曲かは初めてプレイする曲だ。失敗しないといいんだけど」

そうして始まった今夜最初のサプライズは "California"!この曲は1年前にリクエストしたら「それはやらない」と冷たく却下された思い出が。海外でもほとんど演奏されないレア曲です。これを聞けるとは感激!

さあ、日本初の "Miles Away" デュエットの公募が始まりました。知人男性が以前からヤル気で、しっかりと練習をしているのも知っていたので、どうか彼に当たりますようにと祈る瞬間。キップの問いかけがあり、「君、歌は上手いかい?」と聞かれて「今日のために練習しました!」と答える彼。そこでキップの心は決まったようで、彼が Winger Tシャツを着ていたこともポイントだったよう。

「これからバンド・ミーティングをするから、皆はメールでもツイートでもしてて」

キップはそう言うと、彼に向かって「いいかい、君はメインのメロディを歌ってくれ」と言っていました。歌う前にはお馴染みとなったミントガムを食べるキップ。「俺は息が臭いんだよ」なんて言っていましたが、こういう気配りは男性相手でも変わらないのね。(笑)オーディエンス大合唱のうちに "Miles Away" を終えると

「これぞライブ・ミュージックってものさ。Supprt Live Music!」

キップは前回の来日でも言ってたスローガンを掲げ、会場から同意の拍手を受けていました。今夜この会場にいる人たちにはしっかり伝わっていると思います。

「次は俺の曲の中で最もライブでプレイするのが難しい曲」

と始まったのは "Spell I'm Under" これもレア曲です。この曲に限らず、キップの曲は何と複雑な和音とコード進行によって出来ていることか!これだけ歌いながらよくもまぁ、そんなコードを押さえ、次々とチェンジできるものだと感心してしまいます。90年代の初頭にキップのことをポーザーなどと言った人はいったい何を見ていたのか。

次に始まったのは "Nothing" !これは大好きなソロ曲。コーラス部の声の伸びも艶も素晴らしいです。"So Long China" へと続くレア曲の感動に震えていると、その先には更なるお楽しみが待っていました。鍵盤に向かったキップをソロライブで見ることができるとは!

「次の2曲は初めてライブでプレイする曲だ。最初の曲は特に難しいから絶対に失敗するだろうな。でも俺は初めての曲をプレイするときは、たとえそれが最悪になっても、自分に無理強いするんだ。そうやって上手くなるんだから。君らはこれを世界で初めて聞くオーディエンスになる」

ピアノ弾き語りで始まったのは "Pages and Pages"。キップの精神世界が白いキャンバスに広がるような、もの悲しく美しい曲と美しい歌声。白い舞台セットに登場して踊るモダン・バレエダンサーの姿が目に浮かぶような楽曲。曲の後半ではロビーのパーカッションが加わり曲にオーガニックな色が加わりました。

次は "Where Will You Go" が!ハードコアなキップファンなら大泣きする選曲です。ああ、この曲をライブで聞けるだなんて、何てこと!(感涙)世界中のキップファンがこれを知ったら卒倒するでしょう。ここまで超特別なセットリストを用意してきてくれたことに感激で胸が一杯です。

ここからはお馴染みの Winger ヒット曲が怒涛のように続きます。"Blind Revolution Mad" はバンドでの演奏機会も多くはないし、キップのロックボイスを堪能できる曲。さらに "Down Incognito" でのパーカッションの迫力といったら!

"Madalaine" の冒頭では The Cars の "Just What I Needed" を1節歌うキップ。北米ツアーではこれが近年のお約束になっており、オーディエンスが続きを歌いだすと1コーラス合唱しますが、日本では反応がなかったのでスルー。

"Seventeen" でセットを締めた後にも手拍子を止めないオーディエンスに応えてキップがアンコールに再登場!海外ではソロライブでアンコールって殆どやらないような気がするのですが、そこも日本特別サービスでしょうか。拍手に応えながらも、アンコールの準備は全くしていなかった様子で

「うわ、どうしよう?何やろうか?」 とまどいながら、ロビーに訊くキップ。

「僕にそれ聞いてるの?」 と苦笑いしながら返すロビー。しばし相談した2人が始めたのは締めに相応しいロックソング "Deal with the Devil" でした。オーディエンスの拍手とシングアロングでフィナーレにぴったりの盛り上がりとなりました。

半分強位の入りだった名古屋でこれだけ熱いライブが繰り広げられたのはオーディエンスが熱かったから。そしてキップもそれに応えて素晴らしいライブを魅せてくれました。

そう、これこそがライブ・ミュージックの醍醐味。特別な舞台セットも演出も要らない、ミュージシャンがその技量でオーディエンスを魅了し、オーディエンスの熱気がミュージシャンを刺激して熱いライブ・ミュージックが生まれたのです。Supprt Live Music!

本日のセットリスト

01 Cross
02 Easy Come, Easy Go
03 Who's the One
04 Can't Get Enuff
05 Hungry
06 California
07 Rainbow in the Rose
08 Miles Away (duet)
09 Spell I'm Under
10 Nothing
11 Free
12 So Long China
13 Pages and Pages
14 Where Will You Go
15 Headed for a Heartbreak
16 Blind Revolution Mad
17 Down Incognito
18 Madalaine
19 Seventeen
encore
20 Deal with the Devil

=========================================

日替わりのレア曲について

名古屋、大阪、東京の3公演で、ライブ初演奏曲の他、日替わりのレア曲をセットリストに組み込んでくれたキップ。3公演のセットリストを比べてみると、目を引くのは各会場限定の曲。

10日名古屋

California
Spell I'm Under
Nothing

11日大阪

Ever Wonder
How Far Will We Go
Steam
Daniel

13日東京

Ever Wonder
How Far Will We Go
Blue Suede Shoes
Everything You do (duet)

私の場合、名古屋での超レア曲は外せないので、名古屋と "Ever Wonder" "How Far Will We Go" を聞くためにも東京に参加できて良かったです。本当に素晴らしいライブでした。キップ、ありがとう!