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ジョエル・ホークストラ Part 2 「レブとはお互いのアイデアを出して助け合った」

ジョエル・ホークストラが Whitesnake のニューアルバム Flesh & Blood について語った Part 2 です。レブとの仕事について、各曲に対するコメントも語ってくれました。質問と和訳:Green

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ー アルバム制作において、あなたにとっての最大のチャレンジは何でしたか?

JH: うーん、そうだな。これはデヴィッドのバンドだから、彼はキッチンに多くの調理人を置かないんだ。だから、基本的にはデヴィッドと音楽監督、今のラインナップではレブがいて、仕事をしている。だから、僕は全ての制作過程を見聞きすることはできないかも知れない。だって、デヴィッドはいちいち5分ごとの進捗状況を説明したりなんかしないだろう。で、それは僕にとっては少々難しいことだった。なぜなら僕自身はコントロール・フリークで完璧主義者なんだ。ほんのちょっとした事が間違っていないかと気にしてしまう。(笑)

それで、終わりの頃にデヴィッドがくれた電話の内容を忘れてしまったんだけど、とにかく制作の過程を乗り切り、最終的には僕も共同プロデューサーに迎えられたんだ。僕に多く情報を与えることで、彼らは僕のアルバムへの考えを理解し、結果としてアルバムでの僕のソロの音量を上げることになった。それは全体像を見て、僕が曲の為に、アルバムのサウンドとして、何が良いかを考え、良きチームの一員になろうとしたからだった。その結果、僕も共同プロデューサーに迎えられたんだ。ミキシングのプロセスにも参加してメモを取った。この状況はとても嬉しいよ。

Purple Album のときは、僕はそういう貢献ができなくて難しかった。あれはデヴィッドとレブとマイケル・マッキンタイヤの作品だった。今回は僕も制作陣に迎え入れられ、ライティングにも参加した。デヴィッドが僕のことを単なるギタープレイヤーではないと認知し始めてくれたからだと思う。

僕は自分のことをミュージシャンだと思っているし、チームの誰もが輝いて欲しい。レブにも、トミーにも、マイケルにも。今のラインナップ全員で素晴らしい Whitesnake だと認められることが僕にとっては大切なことだ。Whitesnake は常に過去のラインナップと比較されていろいろ言われる。それ自体は仕方のないことだと思うよ。僕は人々に失望されるラインナップではありたくない。だからアルバムやプロダクションに関して、僕は全体を見て良い作品に資すると思う意見を言わずにはいられないんだ。

ー ニューアルバムであなた自身が最も誇りに思っている曲はありますか?

JH: 特にこれというのは無いんだ。僕は彼らと仕事できたことを誇りに思っている。以前僕が彼らに対する尊敬の念を語ったインタビュー記事があるのだけど、あれを読むといかにも僕は青二才で、(状況に興奮して)目を見開いている子犬のように感じる。

畏敬の念を抱いているというのではなく、今はデヴィッドやトミーやレブを尊敬しているんだ。彼らは何百万枚ものアルバムを売った経験がある。僕にはない。僕は80年代のロック全盛期を逃してしまった。僕は彼らに値する尊敬の念を持っているんだ。だって、デヴィッド・カヴァーデイルはロック界の王族で何千万枚ものアルバムを売ったんだ。ロックの殿堂入りも果たしている。彼と仕事をできることが誇らしいし、彼から学ぼうとしている。彼の助手として役立とうとしているし、このバンドにいる機会の全てを活かしたい。

レブ・ビーチについても同じさ。僕は子供の頃、レブ・ビーチをMTVで観ていたんだ。だからといって今彼を見て「うわぁ!」なんてことにはならない。彼は僕の友人だ。もちろん彼にはきちんとした尊敬の念を持ち接している。彼らがキャリアにおいて成し得たことには大きな尊敬を抱いている。トミー・アルドリッジについてももちろん同じさ。

ー レブとの作曲はどう進むのですか?

JH: 凄く簡単に進む。殆どの曲では既にデヴィッドがリフや冒頭のアイデアを持っているんだ。レブと僕がそれを発展させて、デヴィッドに戻す。レブと僕がそれぞれ違うアイデアを持っていることもある。”Hey You” では彼にはコーラスとヴァースのリフ・アイデアがあった。僕にはコーラス部がどうなるか、コンセプトがあった。ここでももちろん、「これがギターソロだ!」なんてことにはならないよ。お互いのライティングやアレンジのアイデアを出して、助け合うんだ。

アルバム1曲目の “Good To See You Again” では僕が全部リフを書いたのだけど、レブがそれにひねりを加えた。あれでは彼が僕を手伝ってくれた。そうやって互いに助け合っているんだ。僕は彼のことをとても尊敬しているんだ。彼が何か僕に言ったら、それは彼がそこで何かを頭の中で聞いているということだ。だから僕は「僕のやり方の方が早い」なんてエゴ丸出しのことは決して言わないよ。僕は常に挑戦したいからね。ミュージシャンは何かに強く固執して狭く考えてしまって、妥協できず、「俺の頭ではこう聞こえる」って言う人もいるのだけど、1年後に曲を聴き返したら、そんなことは大したことじゃないってわかるはずさ。

ー レブは優れたリフ・ライターですよね。

JH: ああ、その通り。皆は彼のことをとても優れたタッピングのプレイヤーで、リード・ギタープレイヤー、アーム使いも凄いと思っているだろうけれど、レブは歌も上手くて、それは Whitesnake で大切なことだ。皆が思っているよりずっといい声の持ち主だよ。バンド仲間としても素晴らしいし面白い。それに彼のリズム・ギターは実に優れている。とてもタイトなんだ。Winger のアルバムを聴いてみるといい、ギターは全て彼によってダブルにされているし、正に完璧だ。そこが実はレブとプレイする上でお気に入りのところさ。僕らはお互い、リズム・ギターのプレイをとても楽しんでいるし、とてもタイトにやれる。Whitesnake のリフというのは全く素晴らしいものばかりだ。レブとプレイするのは楽しいよ。

ー あなたたちはとてもタイトですよね。”Always & Forever” でのギターハーモニーも好きです。

JH: ありがとう。あの曲は全てデヴィッドが書いたものだ。彼はあの曲のコード進行をアコースティック・ギターで書いて、「A - F#m - A - F#m - A - F#m - D - D - E」とかだったんだ。僕はそれを少しドレス・アップして、多分頭の中にサイクスのイメージがあったのだと思う。1987アルバムでジョン・サイクスが何をしたかって、ちょっとしたコードの変化とか。僕は少しばかり Whitesnake 色を出したかったんだ。デヴィッドには基本的なメロディのアイデアがあり、ギターハーモニーのアイデアもあった。コンセプトをブレイクダウン部に入れるとかアレンジなどちょっとした僕の貢献もあるけど、あれは歌詞もメロディも全てデヴィッドの書いた曲。ちょっと Thin Lizzy のテイストがあるよ。

ー “After All” というアコースティック曲もありますね。

JH: あれは “Unzipped” に向けてデヴィッドとプレイした頃にできた曲で、実はこのアルバム用に書いたものではないんだ。彼には基本的な曲のアイデアがあって、フィンガーピッキングで弾いてくれた。Beatles 風のAセクションで、そこからどう進もうか、というものだった。それで僕はBセクションを考えて、それからちょっとしたイントロも思い付いた。それからインストゥルメンタル部分と、アウトロの部分も。そうして出来たんだ。ギターは全て僕が弾いている。レブはアコースティックを弾くのが好きじゃないんだよ。スタジオではアコースティックは僕が弾くんだ。僕はアコースティック大好きだから。中間部のスライド・ギターも僕が弾いてるから、あの曲のギターは全部僕だ。レブは面倒くさがりなんだよ。(笑)

ー あの曲では私にも少し Beatles が聴こえました。

JH: もちろんだよ!デヴィッドは Beatles が大好きだし、彼はもの凄い音楽研究家だ。彼はあらゆる音楽を聴くし、スタジオでは1日中音楽がながれているんだ。ディナーに行くときも必ず何か聴いている。その音楽は決して80年代のハード・ロックじゃない。皆が予想しないような音楽さ、モダン・ロックバンドのリミックスだったり、シナトラだったり。クラシック・ロックのマッシュアップ・ミックスだったりね。

とにかく Beatles の影響は僕というよりも彼からきたものだ。でも曲の最後のマイナー4thのコードとかコーラス部のコードとかは僕が書いた。僕も Beatles の影響は受けているけれど、少しなんだ。もちろん Beatles は好きだし、この上ない才能だと思うけれど、僕は80年代のハード・ロックの影響を受けて育ったから。

Whitesnake のニューアルバムについて、何か追加したいことはありますか?

JH: そうだね、シングルを聴いて直ぐに判断を下さないで欲しいということ。アルバムの各曲はあらゆる年代の Whitesnake の影響が感じられる。例えば、“Always & Forever” は Good To Be Bad や Forevermore 時代の影響がある。デヴィッドとレブが書いた “Sands Of Time” は Slip Of The Tongue の “Judgement Day” を思わせる。

“Shut Up & Kiss Me” はパーティ・ロックだよね、“Trouble Is Your Middle Name” はブルースで実にヘヴィなロックだ。“Good To See You Again” は The Rolling Stones のようでさえある。“Can’t Do Right For Doing Wrong” も Slip Of The Tongue のフィールだ。これはデヴィッドとレブが書いた曲でストレートなブルースで、ブルース色が濃く、まるでR&Bのようだ。

とにかく皆にはデラックス・エディションを手に入れて欲しい。ここは強調しなくちゃ。とにかくバラエティに富んだ楽曲だ。“After All” は Beatles の影響が感じられるアコースティックの曲で、これは Whitesnake にとって新たな領域だろう。これを書いていたときには Whitesnake のアルバムに入るとは思わなかった。きっといつか別の何かになるんだろうなと思っていたんだ。デヴィッドも決めていなかった。でも楽しかったし、彼がそれを気に入ったんだよ。

あらゆる年代の Whitesnake のテイストが反映されているし、“After All” のように新たな領域の曲もある。だってああいう曲は Whitesnake にはなかっただろう?バッキング・ボーカルはまるで Crosby, Stills, Nash & Young のようでさえある。とても多様性に富んだ楽曲なんだ。ミュージシャンもそれぞれ良い仕事が反映されたし、ミックスのクリス・コリアー(注1)も素晴らしい。デヴィッドはとても頭のいい人だよ。アルバムには僕自身もとても満足している。

(注1) ジョエルのサイド・プロジェクト、Joel Hoekstra's 13 のアルバム Dying To Live でミックスとマスターを担当した。その腕がデヴィカバ様に気に入られ、Whitesnake のニュー・アルバム Flesh & Blood 及び Slide It In: The Ultimate Edition (2019 Remaster) に参加している。

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Part 3 へ続く

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