Stay Together

Green (@ribbon_bear) が毎週好きな音楽ネタを語ります! Since 2011

Dirty Loops @ Billboard Live Osaka 2022.09.05 ポップスの皮を被ったリズム・モンスター

日本で観たライブレポをブログに書くのは、2020年の Queen+アダム・ランバート 以来となります。2年半もライブ・ミュージックのない時間が過ぎたのかと思うとパンデミックの及ぼした影響にがくぜんとします。

Dirty Loops のことを知ったのは最近です。まず、シンガーのジョナ・ニルソンのソロアルバムにヴァイ先生が参加したのです。この時点ではジョナのバンド活動のことまでは関心が向きませんでした。

その後、大注目しているギタリストのコリー・ウォンとDirty Loops が共作したアルバム『Turbo』のことを知り、YouTube をチェックしてみると、「こいつら、凄い!」とそのグルーヴに震えました。ギター界のニュースター&リズム・モンスターのコリーとヘンリックの共演は正にモンスター対決。

 

最後の決め手はヴァイ先生のニューアルバム『Inviolate』にベースのヘンリック・リンダーが1曲で参加したことです。ヴァイ先生が彼の才能に惚れ込んでプレイを懇願して実現したという経緯が更に興味を引きました。(その経緯については下の過去記事をご参照ください)

staytogether.hateblo.jp

彼らのバンドが生演奏するなら観ておきたい!とBillboard Live Osakaへ久しぶりに訪問。

さて、遂に2年半振りのライブです。しかし、依然コロナ禍とあって、開演前に会場側からの注意事項が伝達されました。「食事中以外はマスク着用、声出し禁止。演者への身体的な接触禁止」せっかくのジョナ前かぶりつき席でしたが、仕方ない、これがコロナ後のライブだと再認識しました。

客層はHR/HMやジャズ・フュージョン系のライブに比べると少し若くて、女性が半数くらい。これは珍しい。おじさんばかりのライブ会場に慣れているので、ちょっと新鮮。

ステージは客席から見て、右サイドがドラム(ドラムシールドの覆いあり)中央奥にベースアンプ、中央前に鍵盤、左サイドにサポートの鍵盤ブースの設置。メンバーの3人に加えてサポートのプレイヤーが鍵盤とバックボーカルで大活躍していました。

ボーカルのジョナはバンドの外見も担当できる爽やかイケメン、なのに黒いTシャツに黒いパンツで、ローディーさんと間違えてしまいそう。(汗)衣装考えようよ…

登場したジョナはMC少な目で、伸びやかなハイトーンで優れた歌唱を聴かせてくれました。さすがの実力。見事な上腕二頭筋や爽やか笑顔に目が行きそうになりますが、今日の私の目的はヘンリックのプレイを見ることなのだ!

お目当てのヘンリックはジョナの陰で見えにくい!のですが、バンド内で演奏しながら唯一ステージ上を動けるのが彼なので、ステージの両サイドに何度も来てはオーディエンスにサービスしてくれていました。そんなヘンリックにスポットライトを当てて欲しかったよ、照明さん!

昔のアーティスト写真と違ってヘンリックの髪型はトガってなくて、でもフェイス・ピアスやアイラインは同じでした。白いTシャツとパンツのシンプルな服装だけど、ゴツいハイカットのスニーカーが個性を演出。想像よりも小柄で体格的には日本人と大差ない感じ。

小柄で手も決して大きくはありません。それなのに6弦の Mattissonbass (見たことないメーカーでしたが、スウェーデンのメーカーと判明)の太い指板上をタランチュラのごとく左手が自在に動くわ、強烈なスラッピングと指引きに目を奪われました。

しかもこのベース、カッタウェイが異様なほど深い。ハイフレットの音を完全に使えるようデザインされている模様。その上、彼が目の前で弾いてくれたときに気付きましたが、フレットがヴァイ先生も使っていた True Temperament なんですね。ギターでは普及してきた感がありましたが、ベースで使っている人を初めて見ました。

このフレットについて、彼が Guitar World 誌でコメントしていました。(割と最近使い始めた模様)

www.guitarworld.com

全く通常のフレットのように感じるんだ。それがこれを採用した大きなポイント。チューニングが良くてコードプレイが改善した。ギターとベースにとって素晴らしい発明だよ。

彼らの演奏を聴いていると、アルバムよりもずっとリズミックでグルーヴしてて、間奏からのセッション・タイムはかっこいいフュージョン!全員腕利き!現代版のTOTOと言いますか、ポップスの皮を被ったリズム・モンスターだわ、これ!

バンドにおけるベースの役割が随分と大きいのにも驚きました。ベースをこんなにもフューチャーするのか!そのあたりについては先ほどのGW誌でヘンリックがこんな話をしていました。

ジョナ(Vo,Key)とアーロン(Dr)がベースパートの作曲に大きく関わっているんだ。そのせいでベースパートがとても奇妙なんだよ。多くはアーロンからきていて、特定のことを求められる。そうすると新しいことを学ばなくてはならないんだ。時にはそんな奇妙なラインをどうベースで弾くのか延々とフィンガリングも練習することになるけれど、感謝しているよ。

ライブ終盤ではノリの良いヒット曲を立て続けに。"Hit Me" ではジョナがオーディエンスを立たせて、コール・アンド・レスポンスを要求。

「声出し禁止」って言われてるんだけど…と戸惑いつつも、すっかり彼らのエネルギーとリズムに浸かった快感から、できる範囲で答えてきました。あー楽しかった。

ぜひ今度はコリー・ウォンと日本に来て『Turbo』全曲やって欲しい!


本日のセットリスト

01. Follow The Light
02. Accidentally In Love
03. Sayonara Love
04. Just Dance (Lady GaGa cover)
05. It Hurts
06. Old Armando Had A Farm
07. Next To You
08. Coffee Break Is Over
09. Wake Me Up (Avicii cover)
10. Circus (Britney Spears cover)
11. Baby (Justin Bieber cover)
12. Roller Coaster (Justin Bieber cover)
13. Breakdown
14. Work Shit Out

encore
15. Rock You
16. Automatic (Hikaru Utada cover)
17. Hit Me

"Rock You" で使用していたヘンリックの新しいピンク色6弦ベースにはなぜか Hard Off のストラップが!(爆笑)日本のお友達からのプレゼントでしょうか?笑える。

ちなみに、上に貼った "Follow The Light" のMVですが、コリーのPodcast で実現したコリーとヘンリックの対談によると、完全別撮りだそう。コロナ禍のため、スウェーデンアメリカで別に撮影しつつ、物理的に同じ空間にいるように見せるため、同じ照明・カメラ・ラグを揃え、カメラ位置も合わせて撮影したそうです。なるほど!