Stay Together

Green (@ribbon_bear) が毎週好きな音楽ネタを語ります! Since 2011

マーティ・フリードマン 「ジェフのタッチは真似ることなどできない」

Guitar World 誌の最新号(2023年4月号)はジェフ・ベック特集になっており、多数のギタリストからの哀悼コメントが掲載されています。もちろんサッチとヴァイ先生からも。

その中から、先日武道館で Megadeth との共演でメタルファンを熱くしたマーティ・フリードマンの思い出話が公開されていましたので、以下に和訳してみました。

www.guitarworld.com

===============

僕がジェフ・ベックのことを知ったのは少し遅くて、親友のジェイソン・ベッカーを通じてだった。ジェイソンはいつもジェフの素晴らしさを絶賛していた。

ジェフはプレイを聴けば彼だとわかる特に比類のない模範で、優れた技巧と匠の持つ深みを常に備えている。

ジェイソンがいかにジェフを敬愛しているのかを知っていたから、僕はシカゴで行われた初期のジェイソン・ベッカー・トリビュート・コンサートで、愚かにもジェフ・ベックの曲をジェイソンにプレイしようと決めたんだ。

良さそうに思えるかもしれないけれど、ジェフのタッチは真似ることなどできない。文字通り、彼の人生を生きて彼の経験を経なければ、あのような演奏はできないんだ。それに加え、彼が生み出し何十年にも渡って磨き上げてきた個性的技巧の博士号も必要だ。

それでも、自分のセットの最後で "Cause We've Ended as Lovers" をプレイした。曲はむしろシンプルで親しみあるメロディだ。だが実際には、メロディがシンプルであるほど、それがジェフ・ベックの手にかかれば、彼以外の者が同じ楽器で解釈するには飛躍的に難しくなる。なぜなら、オリジナル版のフィールや抑揚そして感情はジェフただ1人のものだからだ。

(コンサートの)出演者はスーパーギタリストで一杯だった。僕の出番の次はエディ・ヴァン・ヘイレンだ。とんでもない愚か(もしくは度胸…でも多分愚かな方)だよ、エディ・ヴァン・ヘイレンの前でジェフ・ベックの曲を弾くなんて…しかも彼の出番の直前で。

それで、僕はそれを弾いてなんとか生き残った。良くても「可」で、恐らくまるきりイケてなかっただろう。多分後者だったと思う。

ここで言いたいのは、ジェフ・ベックがいかにユニークで個性が突出した人物なのかということ。そして彼の音楽をプレイすることによって、僕は自分自身の音楽の道を進もうと強く刺激を受けた。

そのように影響を受けたのは僕だけじゃない。僕らギタリストの多くがジェフの作品をプレイしようとして、降参し自問するんだ。「何バカなことしてるんだ?あんな風に弾けるわけないのに」ってね。そして自分自身のプレイに向き合うんだ。