この秋に予定されているBEATツアー、King Crimson の音楽について、ヴァイ先生がインタビューに応えました。
インタビュアーの方はファンによって制作された『King Crimson The Discipline Era Transcription』採譜原稿のプルーフリーディングを担当した方のようで、King Crimson の音楽に精通しており、ヴァイ先生と深い会話が展開されます。
最近公開された Part 2 の動画の1ヵ月前に Part 1 が公開されているのですが、そこではツアー用にPIAを3本製作中であること、Roland と GM-800 Guitar Synthesizer でパッチを制作していることを話していました。
今週はこれら動画の一部をまとめてみました。
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短いQ&Aの質問です。ロバートのニュー・スタンダード・チューニング(C G D A E G 低音弦から高音弦)を使いますか?
いいや
座って弾きますか?
立つだろうね、でも幾つかのコードではギターを持ち上げて押さえなくてはできないかも(笑)
ロバートのピッキング・スタイルを採用しますか?
私と彼のスタイルのハイブリッドを練習しようと思う。
昔の私はネック上部でピッキングしていたのだが、トーンが悪くて、自分のスタイルを変えたんだ。しかしその後、手首と肩の問題で新たなスタイルが必要になった。ロバートはとても協力的で助言をくれるよ。
一番難しいと思う曲は何ですか?
"Frame by Frame" も難しいピッキングテクニックがあるね。"Elephant Talk"も。でもこれはカバーバンドじゃないから、私のバージョンのプレイになる。でもロバートのプレイに敬意を払うよ。
King Crimson の音楽について
King Crimson の音楽というのは効果的なポリミーター(異なる拍子が複数進行すること)使用のお手本だ。彼らはフレージングや別のパートのために採用していた。音楽理論を効果的なサウンドのために活用していたんだ。
彼らのレコードを聴いて、ポリメトリックな何かが進行しているのは聴いて分かったが、当時詳しく覗いてみることはなかった。けれどとても気に入ったよ、複雑な音楽でありながら聴きやすく、複雑であるがための音楽ではなかったからだ。むしろとても音楽的だ。
そしてこの音楽の譜面を手に入れて読んでみると、彼らが実際に何をしていたのか、どれほど効果的で天才的なのかに気付いたよ。エイドリアンに聞いたのだが、彼とロバートはアンプも無しで2人が座り、何時間も作曲に取り組んだそうだ。そして遂に秘密の公式を見つけたそうだ。
それに比べたら私のここでの仕事は容易いものだ、この音楽本もあるしね。でもロバートのパートを弾き始めてみたら、フィンガリングを通してみると、何と彼らが優れているのか、楽曲が美しく構築されているのかがわかる。とてもユニークで効果的でただただ美しいんだ。
エイドリアンのパートも決してシンプルではない。変拍子の、異なる複数の拍子を駆使していたが、ロバートはさらにその上に拍子を変化させ、それらを統合するパートを弾き、美しいハーモニーのタペストリーを紡ぎだすんだ。それは繰り返すことなく、リズムはタイトでただただ美しいのだ。
ロバートは異なる創造性を投下する。ときにはメロディック、ときにはリズミック、ときには複雑なハーモニーを。けれど彼は常に美に昇華させ、彼独特のパフォーマンスたらしめる完璧な技術をもって演奏する。
私はリサーチの過程で多くのビデオを見たのだが、ロバートのように演奏する人はいない、彼の足元にも及ばないんだ。
(Part 2 につづく)